ARMORED CORE Verdict day ~Before the emblem~ 作:エーブリス
黒い鳥の活動を書いてみたくなっただけっす。
あ、黒い鳥の過去とかは僕の妄想100%ですので…
―MIYNSKY HILLSにて…―
「おい起きろ!そろそろ目的地だぞ!」
「…ん?ああ、悪い…今すぐ準備に入る」
クレーターだらけの台地には(見える限りでは)一機のACを吊るした大型ヘリのみ。
そのヘリは傭兵として、任務のため…もっと厳密に言えば金の為、指定された場所へと向かっている。
「必要ないかもしれんが、もう一度任務の内容を確認しておくぞ…今回は指定された輸送トラックの護衛とのことだが…お前に来る任務だ、そう一筋縄には行かんだろうさ」
「だろうな…人気者はつらいねぇ、ファットマン」
「んな事言って、お前はソレを化物みてぇに追い払っているわけじゃねーかよ」
「化物、ねぇ…」
「なんだ?お前さんらしくない反応だな」
「いやね、息子の事を思い出しちまってね…」
「ああ…事故で生き別れたって言う…」
「そうだ。でも今はもしかすると死んじまってるかもしれない…それに、あの子にはほとんど構ってやれなかった…」
「…その話もう8回目だぞ?」
「そんなにしていないだろう!」
「いいや、したね。酒を飲むたびにその話で泣きだしてそれの相手をするこっちの身にもなって欲しいよ」
「全く…誰がそんな事を」
「アンタだよ!」
「あれ?そうだっけ?」
「「ははははははは」」
ヘリのパイロット…ファットマンは相棒のACパイロット、通称『黒い鳥』と任務の前に何気ない会話を交わしていた。
しかしそれも終わり。
「さて、おふざけはここまでだ。いつの間にか目的地だぜ相棒」
「いつでも行けるよ」
ヒートハウザーとハイスピードミサイルで武装したAC…サカニー・ゴラーブは大型ヘリから切り離され、その二脚の脚を地につけた。
護衛対象のトラックはすぐ隣だ。
『あんたが護衛のACか。頼んだぞ』
「…任せとけ」
このAC乗りは身内以外にはあまり口数の多い男ではない。
むしろ一言発する事自体がかなりレアなのだ。
まあ、傭兵が易々と腹の内を見せては如何なものかという話だが…
「護衛対象にマーカーをセット、今の所周囲に敵影無し。だが油断するなよ」
「言われなくとも……?」
黒い鳥が、何かをその目で見つけたようだ。
「…おいファットマン、ホントに敵影は無いんだよな?」
「?、ああ…特に何も映ってないぞ」
「そうか…俺の思い過ごしだったようd「待て!さっきの言葉はナシだ!」!?何があった!」
「念の為、最近出回った生体センサーでもスキャンしてみたら北200m先に一つ、それもかなりデカい!」
「生体…!?マーキングできるか?」
「了解した!だが武器のロックオンができるかどうかは…」
「その為のハウザーだ!」
『おい、何処に行く!』
黒い鳥は、その敵影に向かってブースターをふかした!
「おいおい…透明かよ…」
宙を舞うその敵は、なんと透明だったのだ。
見えるのは微かな輪郭のみ、しかも想像以上に巨大だ。
「またタワーから変なのが出てきたのか?まあいい…何処のどいつかは知らんが、ぶっ飛べ!」
だが、黒い鳥はそれでもお構いなく両腕のヒートハウザーを発射した。
「流石に一撃じゃ沈んでくれねえか…じゃ、出血大サービスじゃ畜生め!」
「お、おい!少しは節約しろ「だあああああああああああああああああああああああああああああああありゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああうううううううううううおおおおおおおおおおおおああああああああああああ」ダメだこりゃ」
ガトリングのようにヒートハウザーの弾丸を消費する彼に、ファットマンは(金銭的な意味で)軽い絶望を覚えた。
しかし、その弾丸は全て命中させている。
「クソッ!Livといいコイツといい!何発撃ったらぶっ壊れるんだ!?」
そう悪態をつきながらも、彼は敵との距離を正確に取り、保ち、一方的にダメージを与えている。
「しっかし、ただの案山子だな!……って、嘘だろ!?」
急に、敵はハウザーの雨の中を無理矢理進み始めた!
「そんなんアリかよ!畜生が!」
どうやら先ほどからの攻撃も、効果が薄かったらしくその勢いは全く衰えない。
それは、突然の事だった。
『グォオオオオオオオオオオォォォォ!!!!!』
金属音だろうか、ソレは咆哮を上げた!
「うるせぇぇぇえッ!兵器の癖に声なんて出すのか!?」
いや待て、コイツが引っ掛かったのは生体センサーだ。
ならば本当に…いや、どうでもいい…!
彼はもう一度、ソレに容赦ない砲火を浴びせていた。
そしてついに、ソレは地に落ちる!!!
「良し!ダメ押しにコイツでも喰らいやがれ!」
彼はACの肩に装備されたハイスピードミサイルを計16発、ソレに叩き込んだ!
ソレは爆煙で多い尽くされ、その姿は視認できなくなった。
「殺ったか…!あ、ダメだなコレ言っちゃ」
しかし、それを言ったが最後…というのがお似合いだろうか?
爆煙を裂き、ソレは突撃してきた!
「チャージで競うつもりか?相手を間違えたな!」
それに対抗する形で彼もACのハイブーストをふかし、ブーストチャージを放った!
ソレが狙うのは分からないが、彼が狙うのは微かに浮き出た顔であろう部位。
しかし、決着は思わぬ形で付いた。
『グォアッ!?』
突然、黒い何かが飛来した。
球体のようにも見えた【それ】は、ソレを無慈悲に襲う!
「なっ…!」
更にもう一発、そしてもう一発と【それ】は彼の背後より放たれた。
「どこから…」
彼が…ACが振り返ると、そこにはただ護衛対象のマーカーを写すだけ。
「…おいおい…一体何を積んでやがったらこんな…」
気が付くと、ソレは今にも息絶えそうだった。
せめてその姿だけでも拝んでやろうと、彼は目を凝らす。
それは、翼の生えたトカゲが如き容姿…
「…何のジョークだ?」
それは、「竜」だった。
「見たか…ファットマン」
「ああ…悪い夢でも見てる気分だ」
もしアレが本当にタワーから発掘された何かの兵器ならば、当時の人間は何を考えていたのだろう?
(キサラギあたりか…?)
彼は、心の中でそう呟いた。
◆ ◆ ◆
結局、ミッションは中止。
なのに依頼主は報酬を提示した額の倍出すと言ってきた。
何から何まで謎で塗りたくられた今回の任務。
しかし、2人にはその謎はどうでもいいことだった。
「…ハァ」
「どうした?流石にあんなモン見ちまったらお前でも気にせずにはいられんか?」
「いや、そうじゃない……取り敢えずラジオでも流してくれ」
「あいよ」
ファットマンは彼の要望通り、ラジオを流す。
スピーカーからは、暗い雰囲気のクラッシックが流れてきた。
『月光』だ。
しかし視界は霧に覆われており、雲は厚く、同じ名を冠するレーザーブレードを彼のACは今日に限って積んでいなかった。
今宵は、月は何処にもない。
「…周波数を変えてくれ、その曲嫌いなんだ」
「分かった」
周波数を変えると、更に暗い曲が流れてきたが彼はそれでよかった。
そう言えば今日は日曜日だ。