自分で体調心配しといて何処ぞのアトラクションみたく超高速で急上昇、急降下する会長さんはエルフではなく、鬼だと思います。
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叫び過ぎたせいで息も絶え絶えになりながら見上げたそこは鬱蒼とした森に囲まれた大きな石の祠があった。てかここどこだ。
「ここはシンシスの大森林。最奥の地。人が立ち入ったことのない未踏の地。そしてボクの隠れ家でもある所。さしずめ、『ホーエンの祠』とでも言ったところかな。」
そう言って会長さんは笑った。爽やかな笑顔で人の心読むなし。でもそうか、この会長ロリコンだな!?ボクみたいな幼女をこんな人気の無いところに連れてくるなんて…これからあんなことやこんなk
「事はしないし、そんな気もない。そもそも僕は成人の女性の方が好きだからね。ってこんな話をしている暇は無いんだ。」
「何故です?と言うか、また心読みましたね!?なんで読めるんですか!?」
「それは僕のスキルのお陰。で、ここに来た理由はもうすぐリブラムが隣国のゼリラフェルンの攻撃を受けるからだ。詳細は省くけど、ゼリラフェルン最強の軍隊が来るらしい。そしたらリブラムの常駐軍程度じゃ一日と持たないだろう。」
「ごめんなさいもう一回…何故です?」
「はぁ…詳細は省くけどっていったよね?」
あ、そうだった。でも、好奇心って大事だから。
「いえ、あの、攻めてくる理由だけでいいので教えてくれませんか?」
「仕方ないなぁ、目的だけね。それで我慢してよ。」
「はい!」
「今リブラムには沢山の転生者が居るんだ。それもツクヨみたいに能力に覚醒する前のね。そしてその子らは、能力さえ覚醒させれば軍の大隊と同じ位の強さになる。たった一人でね。そりゃあ奪うにきまってるよね。そして急に副都を襲われたら、グランが怒って報復しないわけないでしょ?ゼリラフェルンはそれを狙ってるの。ーーーはい。お話終わり。祠の裏に地下への入り口が有るから。入って。僕が迎えに行くまで絶対に出ちゃ駄目だよ。いいね?」
会長さんは、そこまでまくし立てるように話をしてボクに、隠れるように促した。何故、隣国が戦争をしたがっているのか。何故、リブラムに転生者が沢山居るのか。等々、何故が尽きないけどなんか会長さんの顔が本気で焦ってきていたので、素直に従うことにした。
「…分かりました。いや、分かってないですけど、まずは従います。」
「そうか!ありがと、」
「ただし!終わったら全部話してくださいね。ほぼなにも知らないまま閉じ込められるんですから。」
会長さんが言い終わる前に被せて言った。この世界に来てからまだ一日と少ししか経っていない。それなのにやれ戦争だ、潜伏だ、と訳の分からない事になっているのだ。それ相応の説明を断固として要求しなければならない。と、思っている。
「…うん、そうだね。いずれ知るしね。分かった。全て話そう。それでいいね?」
「はい。会長さんが来るまで隠れていればいいですよね?」
「うん。中の本でも読んで待ってて。食べ物も自由に食べていいから。じゃあ、行ってくる。」
「はい。」
そして会長さんは、また"飛遊"で飛んで行った。飛んで行ってから気づいた。なんか思ったより素っ気ない送り方をしてしまったなぁと。まぁ、過ぎた事は気にしない。それよりも早く地下へ行こう。
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薄暗い階段を下りるとそこには…って言おうと思ってたのに階段は思いの外綺麗だし、明るくてちょっと驚いた。そして相変わらずの金属?製の鈍く光る銀色の扉があった。その先には、所謂研究所のような施設があった。沢山の棚があり、本やら試薬やらがきちんと整頓されて置かれていた。
「思ったより綺麗に掃除されているなぁ。」
少し考えて分かった。確かに危険な実験とか精度を求められる実験でゴミが舞ってたりしたら、精度云々を言う前に出来てくるものが変わってしまいそうだ。
「んー。よし。取り敢えず部屋を全部探検しよう。」
探検するとは言ったものの、そこまで広くはなかったせいですぐに探検は終わった。研究室の他には、シンプルだけど一番広かった書庫、何故か大量の樽が置いてあった倉庫、生活感のない寝室とリビング、高そうな調度品をあしらった客室があった。
「うーん…思ったより広くなかったなぁ。と言うかお腹すいた。食べ物探そう。」
そのまま食べ物探しを始める。
「なーんか、返事がないのに一人で喋ってるって…寂しいなぁー。」
そう、一人ごちる。なにかある、と言う訳ではないが前世?の記憶がよみがえってきた。ここに来る前は高校生だった。頭もそこそこ、顔もそこそこ、運動神経もそこそこ、何か特技があるのかって聞かれても、「特に浮かびません」って答えるしかない、モブみたいな奴だった。ただ、自慢できることと言えば、学校内で屈指の人気を誇る男の子が幼なじみで、割りと連絡とってたって事かな。まぁ、しょうもない事だけど。
「今頃、行方不明って騒がれてるのかなぁ。これじゃお父さんとお母さんと同じじゃん。」
父と母は共働きで、あまり家に居なかったが夜には帰ってきていた。しかし、ある日を境に帰りすらしなくなった。そして、全国で同時に十六人の人が行方不明になると言う怪事件が起こった原因は不明、規則性は皆無で大人から小さな子供まで、北の地方から南までと警察もお手上げな事件だった。もしかしたら…
「お父さんとお母さんもこの世界に居るのかなぁ?」
期待しつつもこの見た目で会っても分からないだろうなぁと落胆する月夜であった。
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すでに星が輝くようになった空を一人の男が高速で飛行していた。
ゼリラフェルンは情報操作に非常に長けている。今回もそうだ。リブラムに転生者が集まっているなど公開されている情報ではない。国の重役、具体的には公爵とリブラムの各養成学校の校長しか知り得ない事だった。しかし彼らは何処からかその情報を仕入れていた。普通ではあり得ない事だ。暫く飛んでリブラムで急遽敷設した防衛指揮所に着く。
「あぁ、やっと来たかルルク君。さ、座って座って。」
カイル学園長に促される。既に僕以外揃っている様だった。そしてある意味国軍の将軍達よりも強いかもしれない面々だった。剣、魔法、銃の学園長及び生徒会会長が全員集まっていた。
「すみません。遅れました。それで今、進捗はどうですか?」
「うむ、"敵は東より"と斥候から報告が来た。なので我々は軍をニ分割し、北門と南門に配備する。」
少し考えてその魂胆が読めた。敵は情報操作に長けている。ならば、東よりと言って逆から攻めてくるだろう。と、普通なら読むが相手がさらに裏をかいて南北のどちらかから来る可能性が高い。ならば、それに対策してやろうという話だ。ふむ…
「なら僕は東門に居ましょう。」
「うむ、頼もうと思っていたところだ。剣は北門、魔法は西門、銃は南門、ルルクには東門を頼む。」
各学園長は移動能力も桁違いなので全ての門に一人ずつ着く。そして今回剣と魔法の会長は本部から指揮をするので余りの僕が門を守る。と言うか三人の中で一番強いからだね。
「本来ならもっと綿密に作戦を立てたいが、日は落ち兵士達も配置についたそうだ。我々も動くとしよう。」
剣の学園長の呼び掛けに各々が応じる。そして解散していく。さて、僕も移動するとしよう。相変わらずの"飛遊"で雲のない夜空を飛んで行った。