作戦は第四フェイズまで無事に終了した。昨日は感応種イェン・ツィーをブラッド隊が倒して道を開き、キャンプ地である第五ポイントを片付け、今日は作戦の第五フェイズへと突入しようとしていた。
予定ではサリエル神属ニュクス・アルヴァが五体もいるため、厄介なことになると予想されている。ブレードによる攻撃が通用せず、更には回復弾によって他のアラガミを回復してしまうのだ。当然のようにニュクス・アルヴァの周囲には他のアラガミがいるので、非常に面倒な戦いになるのは間違いない。
既にシスイを除いた第一部隊は下がって簡易基地のある第一ポイントの守護をしている。戦力としてはブラッド隊の四人に加えて、シスイしかいないのだ。強いて言うなら神機兵もいるが、今回は進路の左右から押し寄せるアラガミの対処に回ることになっている。
「今日は厳しい戦いになるかもな」
「はい。ニュクス・アルヴァは一度討伐していますが、非常に厄介でした。同時に五体となると、かなり難しいのではないかと思います」
ヒカルの呟きにシエルが答える。
ニュクス・アルヴァは身体を構成するオラクルの結合率が低い代わりに、引力のようなもので互いに引き付け合っている。結果としてブレードで攻撃した場合、雲や霧を切り裂くような手応えとなってしまうのだ。バレットならばニュクス・アルヴァのオラクル細胞と反応して破壊を誘導することが出来るので、近接攻撃を得意とするヒカル、ナナ、ギルバートとしては戦いにくい相手となる。シエルも銃身はスナイパーなので、一人でニュクス・アルヴァ五体を相手にするのは難しい。
そんなことを思ってヒカルとシエルは難しい表情を浮かべていたのである。
「シスイは楽勝だって言ってたけど、あの人の神機は第一世代ブレードタイプだよな。どうやって倒すつもりなんだ?」
「彼のことですから、強がっているわけではないでしょう。ですが不安ですね」
「神機兵が感応種クラス相手でも問題なく戦える実力があれば良かったんだけどな……」
「難しいでしょう。感応種単体ならともかく、感応種は他のアラガミを呼び寄せて統率します。どうしても神機兵では対応できません」
今の神機兵は他の支部なら十分な戦力となる。しかし、極東で戦うには少し足りない。極東地域での戦果は神機兵の数で押したからこそ、という側面もあるのだ。同じく数を当ててくる感応種相手では討伐も不安定になる。流石に任せられない。
二人がそうやって話していると、シスイ、ナナ、ギルバートが同時にやってきた。集合時間は十分後なので遅刻した訳ではない。しかし、ヒカルとシエルを待たせていたのは事実なので、軽く謝罪する。
「待たせたね二人とも」
「ごめんね隊長にシエルちゃんも」
「二人とも早いな」
あくまでヒカルとシエルが早く来ていただけの話だ。気を悪くしたわけでもないので、大丈夫だと言いつつ首を振る。
そしてヒカルは、先程からシエルと話していた内容をシスイにぶつけてみることした。
「なぁ、シスイさん」
「ん? どうしたのかなヒカル?」
「今日の作戦なんだけど、本当にニュクス・アルヴァを一人で担当するのか?」
「まぁね。流石に感応種五体だと、周囲のアラガミも多いと思う。だから、ブラッドにはそっちを担当して貰いたいんだ。ニュクス・アルヴァは防御力と耐久は低いからね。一人でもなんとかなるよ」
「いや、あいつはブレードが効かないの知ってるだろ? シスイさんは第一世代神機のヴァリアントサイズなのに大丈夫か?」
ヒカルの心配に尤もだという表情を向ける他のブラッドたち。
しかしシスイは自身あり気な雰囲気を出すだけだった。
「ここは僕に任せるといいよ。まぁ、ビックリするかもしれないけど、あまり驚かないで欲しいかな。ともかく危険なことはないし、ニュクス・アルヴァは五体いても一分かからずに倒せるから」
シスイの言葉にますます疑問符を浮かべるヒカルたち。正直、どうしてそこまで自信たっぷりでいられるのか理解できないだろう。
しかし、ヒカルたちが問い詰めようとしたところで、ヒバリからの通信が入った。
『まもなく作戦開始時間となります。『朧月の咆哮』第五フェイズ。本日はニュクス・アルヴァ五体を討伐することになっていますので、シスイさんは用意をお願いします。目標はおよそ三キロ先で、キャンプ地予定の第六ポイントもそこになります。今日も予定コースから外れないように戦ってください』
「こちら第一部隊シスイ。了解しました」
「ブラッド隊も了解」
作戦開始が近づいていることを知らせるヒバリの通信で、五人は意識を切り替える。まだ若い彼らもゴッドイーターとしてはプロだ。意識の切り替えは上手い。
命をかけて戦う以上、余計な思考は除かないと、あっという間に命を落としてしまう。特に今回のような乱戦が想定されている場合はそれが顕著だ。
『各員、バイタル安定。偏食因子も正常です。ミッションをスタートしてください』
時間が来ると同時にシスイとブラッド隊は駆けだす。
サバイバル特殊ミッション第五フェイズがスタートしたのだった。
キャンプ地から一キロまではアラガミに遭遇することもなかったのだが、すぐに大量のアラガミが目の前に出現する。かなりマルドゥークに近付いているので、それだけアラガミの出現密度が高まっていたのだ。
コンゴウ、シユウ、グボログボロは堕天種を含めて大量、ヤクシャ、ヤクシャ・ラージャ、ウコンバサラのせいで紫に染まっている場所すらある。そして小型種に関しては数えきれないほどだった。
「散開!」
ヒカルの叫び声と同時に五人は飛び散り、各自でアラガミを討伐し始める。流石に中型種以下ならば一人で十分撃退できる実力者たちだ。この程度ならば散らばった方が効率も良い。
シスイとしても攻撃範囲の広いヴァリアントサイズを生かすために、一人で戦う方が楽だった。
「それ!」
咬刃を伸ばして横向きに薙ぎ払う。
円運動を描く刀身が周囲のアラガミを真っ二つに切り裂いた。ノヴァの因子が込められたシスイの神機はあらゆるアラガミに対して特効である。中型種以下など雑魚でしかない。
更にシスイはヴァリアントサイズを縦横無尽に振り回し、一秒に一体以上という討伐速度を維持しながら周囲を殲滅していく。
「ガアアア!」
「邪魔だよ」
立ち塞がるコンゴウに対して、シスイは無慈悲な一撃を繰り出す。縦に切り裂かれたコンゴウは深紅の液体を飛び散らせながら倒れた。続いて空中から特効を仕掛けるシユウ堕天もヴァリアントサイズで叩き落し、咬刃を伸ばしてガリガリと削り取る。
ヤクシャの放つオラクル弾すら切り裂き、無数のオウガテイルは一薙ぎで両断する。
扱いが難しいハズのヴァリアントサイズを自在に操り、間合いを常に操作しながら立ち回る姿は惚れ惚れする程である。まさかインドア派の研究者だとは誰も思うまい。
「グオオオオオオオオオオオオオオ!」
そして遂に大型種すらも乱入する。
しかも接触禁忌種ディアウス・ピター。ヴァジュラに似た能力でありながら、その戦闘能力は遥かに上を行く。雷撃の威力、速度はヴァジュラの倍とも言われ、怒り状態では背中から翼のようなものまで生えるのだ。硬質で骨格だけの翼は攻撃にも利用され、喰らえば一溜まりもない。
そんなディアウス・ピターが小型アラガミを吹き飛ばしながらナナへと迫っていた。理由は特になく、単に一番近かったからである。
拙いと思ったナナは咄嗟に装甲を展開した。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「きゃあっ!?」
白い雷を纏った一撃は広範囲に影響を与えながらナナを吹き飛ばす。凄まじい質量と速度から繰り出される突進だったので、パワータイプのナナでも踏ん張ることが出来なかった。
「ナナ! クソ!」
ナナにいち早く気付いたヒカルは持ち味の速度を生かしてディアウス・ピターに斬りかかる。少しでも気を引いてナナの復帰を助けようと考えたのだ。
しかし、ディアウス・ピターはヒカルとも正面から渡り合えるほど速い。ショートブレードという攻撃力の低い武器では打ち合うだけでも弾かれる程の防御力も持っている。
そこで、ヒカルはブラスト弾をぶつけることにした。
「飛べ!」
二連射されたバレットは遥か上空へと飛んでいく。そしてヒカルはすぐにブレードへと切り替えてディアウス・ピターへと斬りかかった。そこへ復帰したナナも参戦し、パワーのある一撃が加えられる。ブーストハンマーによる攻撃が叩き込まれ、流石のディアウス・ピターも呻いた。
そこにシエルがスナイパー弾を撃ち込む。
怯んだところをギルバートが突いた。
「ぶっ飛びやがれ!」
ブラッドアーツ『バンガードグライド』による一撃がディアウス・ピターの後ろ脚を抉った。体重を支え切れずに崩れるディアウス・ピター。それと同時にヒカルが叫ぶ。
「全員下がれ!」
一斉攻撃のチャンスだったはずだ。
しかし、誰も疑うことなくディアウス・ピターから離れるようにして飛びのく。すると、上空から高速で巨大なオラクルの弾丸が落下し、ディアウス・ピターに直撃した。同時に大爆発を引き起こし、周囲のアラガミを巻き込みつつディアウス・ピターに大ダメージを与える。
「グゥゥ……」
倒れ伏す黒いアラガミ。
しかし、すぐに起き上がって凄まじい咆哮を上げた。
「グオオオオオオオオオオオオオオッ!」
ヒカルを始めとしてナナ、シエル、ギルバートは耳を塞いで衝撃に耐える。
ディアウス・ピターは体内のオラクル細胞を活性化させ、本気の状態になった。背中からは不気味な骨格を思わせる翼が生えて、纏う雷は深紅に染まる。ここからが本番とばかりに威圧を放っていた。
「油断するなよ! コイツは厄介だ!」
かつてはロシアで猛威を振るい、コロニーを幾つも壊滅させたアラガミとして知られている。討伐出来るゴッドイーターは非常に少なく、一体出現すれば複数の支部が協力体制を敷くほどである。一つの部隊で討伐出来るのは極東ぐらいなものだった。
しかし、更に言えば極東にはディアウス・ピターを一人で討伐出来る存在もいる。
「ディアウス・ピターはね。覚醒中に最も隙が大きくなるんだよ」
そんな声が上空から聞こえたかと思うと、轟音と共に咬刃を伸ばしたヴァリアントサイズが上から叩き付けられる。そしてガリガリと削りながらクリーヴファングが放たれ、そのままディアウス・ピターを真っ二つに引き裂いてしまった。
ノヴァの因子を持つシスイにかかれば、ディアウス・ピターですらこのザマである。
「だから隙を突けば覚醒した瞬間に討伐出来る。覚えておくといいよブラッドの諸君」
そう言いつつ神機に付着した赤い液体を振り払うシスイ。
それを見たブラッドは心を揃えて叫んだ。
『いや、それが出来るのはあんたぐらいだ(です)(だよ)(だろ)』
「……? 何を言ってるんだい? 僕は研究員だよ。本職の君たちに出来ないはずないだろう? 現にリンドウさんやユウ、ソーマは出来るし」
「世界最強のゴッドイーターと比べられても……」
「比較対象がおかしいですね。流石はシスイです」
「リンドウって誰ー?」
「知っとけナナ。極東が誇るヤバいゴッドイーターの一人だ。雨宮リンドウ、ソーマ・シックザール、そして神薙ユウは有名だぞ」
「へぇ~。ギルは物知りだねぇ~」
「これぐらい常識だ……」
酷い言われようである。
しかし、これぐらい出来なければ世界最強は張れない。その事実を思い知らされたブラッドだった。
「じゃ、次に行こうか」
一方のシスイは全く気にした様子もなくディアウス・ピターの屍を越えていく。そして迫る小型アラガミを薙ぎ払いながら前に進んでいた。
今日はまだ一キロも進んでいないのだ。最終目標地点にいるニュクス・アルヴァ五体までまだまだ距離がある。
「気を引き締めるぞ」
「ええ」
「うん」
「当然だ」
ヒカルは改めて気合を入れた。
ブラッドの皆もシスイが実力者であることは知っていたが、ここまで圧倒的であるとは知らなかった。普段の研究員としての働きに加え、これほどゴッドイーターとしても実力を有しているとなると、エリート部隊としてやってきた自分たちが恥ずかしくなる思いである。
しかし、そこでフェードアウトするほど弱くはない。
アレこそが目指すべきものだと再確認したのだった。
「俺に続け」
『了解』
ヒカルはショートブレードを振るいつつ、ブラッドアーツ『風斬り陣』でアラガミを切り刻む。大型種に備えてオラクルリザーブを繰り返し、高火力ブラスト弾をいつでも撃てるように準備した。
シエルはヒカルと同じくショートブレードを振り回し、偶にスナイパー弾で狙撃する。ナナは火力の高さで中型種を吹き飛ばし、ギルバートも自在に槍を振るってアラガミを駆逐していた。
『ここから大型種の反応が増え始めます。皆さん、気を付けてください!』
ヒバリからの通信で、ここからが正念場だと皆が悟る。
現に、視界には大型アラガミが何体が映っており、こちらへと向かって来ていた。流石に一部隊で捌く数のアラガミではない。ヒカルたちも厳しい表情を浮かべる。
しかし、シスイだけは冷静なまま
「そろそろ手加減抜きじゃないと無理みたいだね……」
偏食因子を投与されたゴッドイーターは五感が鋭くなる。
よって少し離れた位置にいたブラッドにもシスイの呟きは聞こえていた。
(あ、あれで手加減していただと……!?)
ヒカルは混乱する。
圧倒的な実力だと思っていたシスイは、あれでも手を抜いていたという。ならば本気はどうなってしまうのだろうか。答えはすぐに示された。
シスイの周囲に幾つもの槍が浮かぶ。
オラクルを収束させてノヴァの因子を込めた槍であり、赤い水晶のような見た目だった。
「行け」
オラクル槍は飛翔して正確に大型種を貫く。そして同時に貫かれたアラガミの体内でオラクル槍が成長した。枝のように伸びて体内からアラガミを突き破り、一撃で死に至らせる。
それを見たヒカル、シエル、ナナ、ギルバートは目を疑った。
「あ、あれは一体……」
「シエルちゃんでも分からないの?」
「はい。私も色々な論文を読んでいますが、あのような技術は初めて見ました。新しい神機の機能だとでもいうのでしょうか?」
唖然とするブラッドをよそに、シスイは次々とオラクル槍を撃ち込んで大型種を殲滅していく。近づくアラガミはヴァリアントサイズで一刀両断され、遠くのアラガミは槍の脅威にさらされる。
一方的な蹂躙とはこのことだった。
もはや理解不能な領域の戦いではあるが。
「中型種以下も多いね。それならこっちの方が効率的かな?」
シスイはそう言って左手を無造作に振るう。
すると、大量のオラクル弾が生成され、雨の如く降り注いだ。貫通力重視のオラクル弾はアラガミの大軍を穴だらけにして殲滅していく。他の支部では苦戦を強いられるアラガミであるはずの中型種ですら、雑魚同様と言った様子だった。
そしてシスイが本気を出した瞬間に進行ペースは一気に上がる。一時間かけても数百メートルしか進めなかったところを、僅か三十分で目標地点手前まで到達したのだ。
「ヒカル、シエル、ナナ、ギル。そろそろ目標のニュクス・アルヴァだよ。気を引き締めて」
「いや、これって引き締める必要あるのか……?」
ヒカルのそんな疑問はスルーして、シスイは殲滅に専念する。大量のアラガミがいるお陰で空気中のオラクル濃度は高く、オラクル弾生成にも困らない。集中力が保てるうちは幾らでも倒せる状態だった。
ブラッドとしては拍子抜けするほど楽な戦闘になり、困惑していたほどである。
『間もなくニュクス・アルヴァの感応波領域です。注意してください!』
だが、ヒバリの通信もあってやはり気を引き締める。
感応種は簡単な相手ではないのだ。遠くにニュクス・アルヴァ特有の目立つ色が見え始め、周囲のアラガミはニュクス・アルヴァを守るようにして周囲を固め始めた。
「ここは俺がやる。ぶっ飛べ!」
ブラッドバレット抗重力弾を付与したバレットが放たれ、重力による位置エネルギーを蓄えながらアラガミの中心へと落ちていく。そして地面に触れた瞬間、炸裂して放射弾が高速回転した。
制御・高速回転に放射(LL)を組み合わせたバレットであり、まるで刃が回転するかのようにしてアラガミを刈り取る。抗重力弾のお陰で効果射程は数倍に伸び、威力も同様に上がっている。これによってかなりのアラガミが倒れた。
「まだまだ!」
溜めていたオラクルを消費しきる勢いでヒカルは特殊バレット『ウェルテクス』を放つ。ラテン語で渦の名を冠するバレットだけあって、巻き込むようにして多数のアラガミを倒していた。
勿論、シスイ監修のバレットである。
「使いこなしてるみたいだね。作った甲斐があったよ」
「『メテオ』もだったけど、シスイさんのバレットは使い勝手が良いからな」
「それは僥倖だね。さて、道は開けた。行こうか」
シスイはヴァリアントサイズを片手に走り出し、ヒカルのバレットで開けられた道を進んでいく。途中で寄って来るアラガミも一撃で倒し、五体の
ブレードタイプの神機を使うシスイでは絶対に勝てないアラガミ。
ブラッドも初めはそう考えていた。
しかし、本気のシスイを見た今はそんなことを露ほども思わない。寧ろ『ニュクス・アルヴァ、ご愁傷様』とでも考えていることだろう。
「これで終わりだね」
現に、シスイが降らせたオラクル弾の雨によって五体のニュクス・アルヴァはあっという間に穴だらけとなっていく。見る見るうちに結合崩壊も進み、無残な姿へと変えられていく。元が美しいアラガミだけにかなり残酷な光景を見せられているようだった。
無論、そこに容赦がないのは当たり前だが。
とは言えブラッドとしてもドン引きだった。
「うわぁ……」
「酷いと言いますか、凄いと言いますか……コメントに困る光景ですね」
「あ、ダウンしちゃった」
「終わったな」
周囲のアラガミを軽く相手しながらシスイの所業に感想を述べる四人。
今日はこのポイントでキャンプをするので、周囲一帯のアラガミは殲滅しなければならない。神機兵も手伝ってくれているが、余裕がないのは確かだ。しかし、シスイの行う光景を見ていると、何故か余裕があるように思えてしまう。
それほど圧倒的だった。
ニュクス・アルヴァは回復弾を使用する暇もなく倒される。耐久力の低さから、他のアラガミよりも早く倒れてしまったのだ。そして中核を担っていたニュクス・アルヴァが消えたことで、他のアラガミにも影響が出始める。
シスイとブラッドにかかれば問題ない相手となっていた。
『残り大型種が二体、中型種が六体、小型種が六十六体です。既にキャンプ地周辺は神機兵が安全を確保しています。残りを殲滅すれば第五フェイズは完了です』
終わりが見えたことで五人の動きはより鋭くなる。隠し事が一つ亡くなったシスイは、ヴァリアントサイズを振るいつつもオラクル弾を放ってアラガミを仕留めていく。ブラッドもブラッドアーツの力で大型種すらも簡単に倒し、中型以下も順調に狩っていた。
アラガミの数が多いので捕食によるバーストも長時間持続可能であり、スタミナ管理も楽になる。ここまで来れば勝ち戦同然だった。
「コイツで最後だ」
ヒカルは最後に残ったザイゴートを真っ二つに引き裂き、戦いを終結させる。
『周囲のアラガミ反応が全て消失しました。第五フェイズ終了です。直に輸送車が来るので、それまで周囲を警戒しつつ休んでください』
そして無事に第六ポイントを確保する。
後はスパルタカスが陣取る第七ポイントで最後の中継を取り、第八ポイントでマルドゥークと戦う。総勢七フェイズにも及ぶ大規模ミッションも終わりが見え始めていたのだった。