日常を取り戻すために   作:緑黄竜

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思った以上に進まなかったです。


未知との邂逅

周り一面緑に覆われ、木々の隙間からこぼれる光、時折聞こえてくる鳥たちの大きな声、

ピクニックで来たらベストプレイスな森である。

 

もう一度言おう。ピクニックなら最高であったんだが、、、

 

しかし、現実とは無情なもので実際には明らかにやばそうな連中に囲まれているのが、俺、葛城蒼真の現状だった。

 

「おい、お前、時空管理局の手のものだろ!!密漁してた俺らを捕まえにきやがったのか。くそ、せっかくあいつから逃げられたと思いきや、、、」

 

「ああ、こんなところに転移してくるなんて一般人なはずがねえ、こいつどうする??」

 

時空管理局?転移?なんの話だろうか。

相手が言っている意味が皆目見当つかないが、あまりよろしくない状況であることは何となく把握している。なんて言ったって、薄汚れたマントに杖や剣、銃などを持ったコスプレ集団である。何かの宗教儀式をしてるか、森の中での楽しいオフ会(もはや意味不明)の真っ最中かもしれない。奴らが異様に汚れてたり、傷を負っていることを少し気にしながらも必死で情報を整理する。

 

「お、おい、とりあえず俺に向けてるものを下してくれないか?俺もどうしてこんなところにいるのか見当もつかなくてさ。ったく、さっきまで倉庫にいたっていうのに、どうしてこんなところに、、、」

 

「信じられねーなあ、とりあえず、消すかこいつ、顔を見られちまったことだし」

 

 

連中の一人がそう言い銃を上げた瞬間、蒼真の背筋に寒気が走った。本能に任せてその場から飛びのくと蒼真が先ほどまでいたところの地面が見事にひび割れている。

 

(おいおい、今のは何だよ!ビームみたいなのが銃からでたぞ!)

 

「ふん、今のをかわすってことはやはり、ある程度の使い手か。最近の管理局はこすい事しやがる。おい、全員構えろ。さっさと殺してずらかるぞ。こんなやばいところ」

 

おそらく先ほど俺に銃らしきものを向けたやつがリーダーなのだろう。そいつの合図とともに全員が得物を構えなおした。

 

(くっそ、状況はいまいちわからんが、この場はとりあえず逃げないと。なんか奴らの気をそらす術は、、、)

 

そこまで考えた瞬間、

 

ドゴン!!!!ズドン!!

という何か重いものを落としたかのような地響きが聞こえてきて蒼真は危うく態勢を崩しかけた。

 

「うおい、何だ!?」

 

「来た、、奴が追い付いてきやがった!!」

 

「リーダー、どうしますか!?」

 

地響きが聞こえてきた瞬間、奴らの様子が一変した。何かにおびえだし、震えているものもいる。これはチャンスかもしれない。

「おい、落ち着け!」

 

リーダーが周りの奴らに気が向いた瞬間、蒼真は動いた。近くにいる1人にタックルをかまし、包囲網に穴をあけ、全力で走り出した。

 

「チッ、何やってやがる。あいつを逃g・・・」

 

ドスン!

 

リーダーの声を遮るように再び地響きが聞こえ、蒼真は少し後ろを確認した。逃げてる途中でまた狙い打たれたらたまったものではない。

 

が、後ろを見た瞬間、茫然とした。

先ほどまでリーダーがいた位置には別の生物が鎮座している。おそらく踏みつぶされたのであろうリーダーの姿はない。

 

「り、竜だと!?」

 

おとぎ話、ファンタジーでおなじみのあの竜が目の前にいる。うろこは真っ赤で大きさは5mを超えている。その状況に思わず足が止まってしまうが、奴らはもはや蒼真に注意は向けていなかった。竜は何か怒り狂うように咆哮し、奴らをにらみつけた。

 

「ヒッ!」

 

「い、いやだ、死にたくない!!」

 

リーダーがやられた奴らにもはや統卒はとれておらず蜘蛛の子を散らすように逃げ出している。中には、杖から光の球やビームを出し、竜に攻撃しているものもいるが、まったく効いているようには見えない。そして、巨大な竜は一人、また一人と爪や足でその命を刈り取っていく。

 

「あ、ああ、あああ」

 

人の命が刈り取られていく様を蒼真は呆然とした。なんとあっけないのだろう。なんとちっぽけなのだろう。こんなにも簡単に人は死んでしまうのか。

 

やばい、このままだと俺も殺される。

 

逃げないと。

その思考に至った蒼真は少しずつ後ずさり、距離をとる。どうやらあの竜はやけに奴らにご執心らしい。蒼真のほうには全く注意を向けていない。

 

「逃げるなら今か、、、」

 

まだ生きてる数人を見捨てることに少し罪悪感をかんじたが、どうすることもできない。死んでしまったら元も子もない。

 

そして、蒼真は十分距離を取り、そこから全力で走り出した。

 

行先なんて決めてない。ただ、この恐ろしい空間から少しでも離れること、それだけが今の蒼真を突き動かしていた。

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