僕のヒーローアカデミア PLUS ウルトラマン 作:リューイ
信が八百万たちにヒーローになる動機を語った日からおよそ2週間、雄英体育祭当日を迎えていた。
この日、信は八百万と通学路を学校に向かい歩いている時、思いがけない人物と再会した。
それは以前に信が出会った時より成長していたが変わらず流星マークの赤いスニーカーを履いる山川マサトだった。
「僕の事覚えているかな?」
マサトが信に問いかけが信は彼がここにいることに驚いて言葉が出ない。
「やっぱり、覚えてないか、むかし一度会っただけだものね。」
マサトの少し寂しそうな表情に信はあわてて否定する。
「いや、覚えている。 覚えているよ、いじめられている君を僕が助けた。」
信は少し苦し気にそう言う。
だがマサトはそれを気にする様子もなく「覚えていてくれて嬉しいよ。 今日は不躾で申し訳ないんだけど君に頼みがあってきたんだ。」と言う
それを聞いた信は八百万に先に学校に行ってほしいと言い八百万と別れた。
八百万と別れた信とマサトは脇道に入り話をつづけた。
「君の頼みを聞く前に君に謝らせてほしい。」
信はそう切り出すとマサトに深く頭を下げ謝罪した。
「君と初めてあったとき俺は君を助けるつもりで一番深く心を傷つけてしまった。本当にすみませんでした。」
肝心のマサトがよくわかっていない様子だったので信は謝罪をつづけた。
「あの時俺は強い力を持っていることに得意になって天狗になっていた、だから無意識に弱い者なんて決めつけて君を貶めた、本当にすまない。」
言い終えると信はマサトの目をまっすぐに見つめる。
「こんなことが償いになるのか分からないけど今、俺は無個性でもヒーローになれることを世の中に示したくてあの力を使わずにヒーローを目指している。許してくれとは到底言えないが俺がヒーローの資格が取れるまでヒーローを目指すことを許可してもらえないだろうか?」
信の真摯な願いをぶつけられたマサトは少し動揺している様だった。
「今更! なんで……そんなことを!!」
マサトの語気を強めた発言に信は「そうだな、確かに今更謝ったところでどうにもならないか。」とつぶやくとマサトはあわてて否定した。
「ちっちがうよ。そうじゃなくて今更気にしてないって言いたかったんだよ。 」
そう言い、なにかごまかすように笑うマサトは何か隠しているようだとは信も感じたが彼に対して謝るという選択肢しか持たなかった信は自身が感じた疑念を無視してマサトの願いの内容を聞いた。
「ところでマサト君の頼みって何?」
「そうだった、それが本題だった。今日、僕は雄英体育祭を見に行こうと思ったんだけどけど今年は警備が厳しくて会場付近以外観れないみたいなんだ。それでなんだけどもしよければ他の所にも入ってみたいんだ、案内してくれないだろうか?」
マサトの頼みは中々難しいものだったが信は彼への罪悪感から受けることにした。
「わかったよ。 何とか希望に添える様に頑張ってみるよ。 案内は昼休みとかでいいかな?」
「あぁ、十分だ。 ありがとう。」
その後、信とマサトは昼に連絡を取り合うために連絡先を交換していったん別れた。
長年にわたる後悔が少しは晴れたはずの信の表情は余晴れやかではなかった。それはマサトに合い苦い思い出を克明に思い出したからかもしくは、信の中にマサトに対する無視したはずの疑念が心に泥の様に溜まっているからなのかもしれない。
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信がマサトと別れた学校に着くと皆すでに体操服に着替えて準備万端整えていた。
信もあわてて体操服に着替えたが時間はもう開会式の直前になっていた。
その後も開会式では爆豪が選手宣誓で全員に喧嘩を売るようなことを言うなど、騒動はたくさんあった、しかし体育祭自体はは、騒々しくも楽しく進められていった。
第一種目が障害物競走でこれがまた入試の時のヴィランロボットが出たり綱渡りがあったり、しまいには地雷原があったりと相当ひどいコースだった。
そんな中信は何とか機転を利かせ20位と言う順位に入り第二種目への出場権を得た。
しかし最も驚くべきことは緑谷出久が個性も使わずに一位を取ったことだろう。
それは幾分運に恵まれた感はあった。 だがその運を掴めるほどの地力を緑谷が努力して身に着けていたことに信は彼が一位になったこと以上に感心している様だった。
続いて第二種目は騎馬戦が行われたがポイント制が採用され第一種目でトップを取った緑谷などは集中的に狙われて忙しそうだったが信の方はと言うとこれと言った見せ場もなく騎馬戦で敗退した。
信はもちろん悔しそうだったが、どこか一仕事終えて肩の荷が下りたと言わんばかりの雰囲気だ。 それはやはり信にとって今は、体育祭の競技よりもマサトとの事の方が優先順位が高いからなのかもしれない。
騎馬戦が終わり昼休みになると信はクラスメートたちと別れてマサトに連絡を取り体育祭の会場であるスタジアムの入口の一つ、あまり人が来ない入場ゲート付近で待ち合わせをした。
信がマサトを待っていると知った声が入場ゲートの中から聞こえてきた。
信がすこし興味を持ち声が聞こえた方を覗き込むとそこには緑谷と轟が対面し何か話していた。
その内容は轟の父No.2ヒーローエンデヴァーはNo.1ヒーローオールマイトに勝つためだけに金と権力を使い個性婚をして轟を作ったがその所為で彼の母は心を病み彼自身も傷ついたという内容だった。
そしてだからこそエンデヴァーを見返すために『母の個性だけでNo.1ヒーローになる』と言っている様だ。
そしてそのためにもオールマイトに目をかけられている緑谷に勝つと宣戦布告している様だった。
その話を聞いて信は分かる話だと少し轟に共感した様だったが、期せずして盗み聞きするような形になってしまい気まずさも感じている様だった。
信が居心地の悪さを噛みしめていると話が終わったのか轟と緑谷がゲートから出てくる。
先に出てきた轟を緑谷が追う形で出てきて轟に対し宣戦布告し返している。
「君に比べたら取るに足らない些細な動機かも知れないけど僕だって負けたくないわけがある。 僕を助けてくれた人、期待してくれている人、そんな人たちの思いにこたえるためにも誰にだって、君にだって勝つ!」
それを聞いた轟は少し振り向き緑谷の顔を見ると信に気づかなかったのかそれとも気づいていながらあえて無視したのか何も言わず去っていった。
信はその場に残った緑谷に盗み聞ぎしたことを謝るために声をかける。
「緑谷君」
緑谷が振り返り信を見つける。
「盗み聞きするつもりはなかったんだけど聞こえてしまって。ごめん。」
緑谷は話を聞かれたことは恥ずかしそうだったが怒ってはいないようだった。
「えっと、別に気にしてないよ。それより東田君はどうしてこんなところに?」
信は素直に「ここで待ち合わせしてるんだよ。」と答えた。
「あぁ 八百万さんと待ち合わせか。 じゃ僕は食堂に行くから、またね。」
緑谷は八百万と待ち合わせしていると勘違いしていたが訂正するほどの事ではないと信はそのまま緑谷を見送った。
「昼からの最終種目がんばって!」
「ありがとう」
そう言って食堂に向かう緑谷を信が見送ってすぐマサトがやってきた。
「やぁ 待たせてしまったかな。」
「そんなことはないよ。 早速だけどこれに着替えてくれるかな。」
やってきたマサトに信は自分の予備の体操服を渡す。
それを受け取ったマサトは少し困惑気味だったので信は追加で説明をした。
「警備があるから私服でうろついたら目立つ、だから俺の予備の体操服で見て回ろう。 警備が厳しくなっていると言ってもやっぱり多くの人が出入りする今日は平常時よりは警備はどうしても甘くなるから体操服をきてまぎれたら部外者かどうかわからなくなるよ。」
説明を聞いたマサトは頷くと体操服に木陰で素早く着替えを済ませた。
「それじゃあ、まずどこから案内しようか?」
信がリクエストを聞くとマサトは信の思いもしない場所を希望した。
「控室とかスタジアムの観客が入れないところとかを見てみたい。 普段見る事の出来ないところだからね。」
マサトのリクエストに信も少し不思議に思ったがマサトの言葉にそんなものなのかなと思いスタジアムの中を案内した。
「わかったよ。それじゃあ行こう。」
暫く信がマサトを案内していると偶然にもオールマイトと遭遇した。
「やぁ、東田少年と誰だったかな?」
オールマイトの問いにマサトは言葉に詰まるが信があらかじめ考えていた言葉をマサトの前に出て答える。
「彼は普通科の友人です。ですからオールマイト先生が覚えていなくても仕方がありませんよ。 僕らは急ぐのでこれで失礼します。」
さっさとこの場を後にしようとする信とマサトをオールマイトが呼び止める。
「少し待ってくれ東田少年、君が個性を使わぬ訳を君の許可も得ず緑谷少年から聞いてしまった。すまない緑谷少年に私が話すように言ったんだ。申し訳なかったね。」
なんで呼び止められたか分からず驚いていた信とマサトだが、オールマイトの言葉を聞くと信は、なんだ、そのことかと安堵した様子だった。
「そのことでしたら別段秘密にしているわけでもないのでお気になさらず。」
そう言って足早にその場を去ろうとする信たちをオールマイトはなおも呼び止める。
「まつのだ、東田少年、 話はまだ終わってはいないぞ。 ヒーローは危険な仕事だ、私は個性があるのにそれを使用しないでヒーローになるのは反対だ。それは自分の命も他人の命も危険にさらしかねない行為だ。」
オールマイトにまっすぐ向き合い信は彼なりの答えを返す。
「それでも僕はそんな事態に陥らない様に予め限界まで努力していくつもりです。」
オールマイトは信の頑なな意思を感じたのか少しため息をつく。
「わかった。 だが少なくともそう思う人間もいるという事は覚えておいてくれ。」
オールマイトの忠告を聞いた信は何も言わず頭を下げ、マサトとその場を足早に去っていった。
しばらくの間信とマサトの間には静寂しかなかった、それは信が案内役だと言う事も忘れたかのように無言であったからだが、マサトの一言によりその静寂は唐突に終わりを告げた。
「個性を使わずにヒーローを目指しているって本当だったんだな、障害物競争の時も騎馬戦の時も使ってなかったし。」
「まあね。 まだまだ未熟だけどね。」
少し暗い雰囲気になりかけていたので信は気分を変えるために新たな提案をする。
「もう少しで午後の競技が始まるし1-Aの観客席に行かないか? 生徒用の観客席はグラウンドに近いから一般の観客席より見応えはあると思うよ。」
それにマサトも賛同する。
「いいね。 楽しみだ。」
そうして2人が気分を切り替え観客席に移動している時、たまたま八百万と出会った。
「百、どうしたんだ、その格好?」
「信さん!?」
信に声をかけられた八百万は信がいることにとても驚き思わず自分の姿を己の腕で隠そうとした。
しかし発育の暴力とまで言われた彼女の肉体を隠すには彼女の腕は小さすぎ八百万がチアリーダーの格好をしていることはまるわかりだった。
「こっこれは午後からの応援合戦のコスチュームで、別に着たくて来てるわけではありませわ。」
恥ずかしそうにしている八百万だが信はいつものヒーローコスチュームの方がきわどいと思ういながらも、それは言葉にはしないで応援だけしてその場を去ろうとする。
「そうなんだ、まぁ頑張って、観客席から見てるよ。」
観客席に行こうとした信だが言い残したことがあったのか八百万の方を振り返る。
「そういえば言っていなかったけど、かわいいよ。」
そう言われた八百万は最初何を言われたのか分からず呆けていたが、すぐにチアリーダーのコスチュームの事だと思い至った。
「ありがとうございます。 これは本場のチアのコスチュームのデザインをマネして私の個性で作りましたの。」
だが信がかわいいと言ったのは別の事の様で「いや、百の事だよ。」と言うだけ言って信はマサトとさっさと観客席に行ってしまった。
一人取り残された八百万はしばらく顔を真赤にして思考が完全にフリーズしてしまった様だった。
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八百万とあった後、信とマサトは1-Aの観客席に来ていた。
信はマサトの事をクラスメイト達には他のクラスの友人だと紹介し午後の競技を共に鑑賞した。
そして午後の競技も着々と消化されて行き今は最終種目のトーナメントが行われている。
今、目の前の競技場では丁度、緑谷と轟の対戦が佳境に入ってきたところだ。
「彼は強いな。」
今まであまり喋らず試合を見入っていたマサトが唐突に話し始めた。 これまでの試合を見て何かを感じたのだろうか今までより真剣な様子である。
「これまで体育祭を見て回って思い知ったよ、俺が弱かったのは個性のあるなしじゃなく強くなろうって思っても何もしていなかったんだってこと。 俺はバカだったよ、それでヴィランに騙されて改造されて怪獣にされて、本当に馬鹿だ。」
信はマサトの話が急にとんでもない話になり、ついていけてないようで傍目に見てわかるぐらい狼狽している。
「一体何の話をしているんだ?」
「俺の話さ、馬鹿な俺のな。 信、いやウルトラマントラスト! 俺は先生って呼ばれている体にたくさん管を通している他人に個性を譲渡できる奴とそいつと手を組んでいる奴の部下のドズル星人によって改造されて今日この場所で騒ぎを起こすために送り込まれてきたんだ。時間になれば俺は怪獣になって自我を失い暴れまわる様に改造されているんだ。 だからせめて人間である内に君の力で殺してくれ。」
「なんてことを言うんだ!!」
余の衝撃の事実に信はもう冷静ではいられず立ち上がり思わずマサトに怒鳴るがそれを不振がる物はだれもいなかった、くしくも緑谷と轟の最後の衝突が同時に起こり、その轟音と衝撃により信の声はほとんどかき消されたからだ。
だがマサトには伝わったようで彼は信の腕を取り頼んだ。
「頼む! せめて! せめて人間として死にたいんだ。 俺は今まで多くの人に迷惑をかけてきた、君にだって本来負わなくてもいい重荷を背負わせてしまった。 だからせめて君には俺になんてとらわれずに力を十全に使って多くの人を助けるヒーローになってほしいんだ。 その最初として俺を君のその力で命を終わらせてくれないか。 俺にとってそれが最後の救いなんだ。」
マサトの真剣な様子に信は本当の事なのだと分かった。
しかしマサトを殺すなんて選択肢を取ることができない信は否定の返事を返す。
「そんな事は出来ない。 他の方法を考えよう。 きっと何かいい方法がある。」
そんな信の言葉をマサトは真っ向から否定する。
「相手はそんな生易しい奴らじゃない。 君の力も知っていたし、何よりもう時間がないんだ。 たのっ……」
マサトは言い終わる前に激しく苦しみだす。
心配した信がマサトを支えようと手を伸ばし彼の体に触れた瞬間、手に痛みが走った。
信が己の手のひらを確認すると無数の小さな裂傷ができているのに気づく。マサトに触れただけで傷ができたことに疑問を感じ彼の体を見るとそこには無数の鋭い鱗のようなものが生えていた。
マサトはなおももがき苦しみついには観客席から落下してしまった。
信も助けようと手を伸ばすが寸前の所で届かずマサトが落ちてゆくさまを見ているしかなかった。
マサトが観客席から落下すると流石にクラスメイトや先生たちなども気づき始める。
信はマサトが無事かどうかを確認するためにクラスメイト達が止めるにも関わらず観客席から飛び降りた。
それをみて審判をしていたミッドナイトと会場の設営で下にいたセメントスが駆け寄ってきた。
「マサト君!!」
信がマサトの名を呼ぶが彼はうめき声をあげるばかりで返事をしない。
信が何も出来ず、どうしたものかと思案していると先生たちも駆け寄ってくる。
だがその間もマサトの体の変化は止まらず、だんだん体が膨張していく。
もうこれ以上先生たちを近づけてはマサトも先生たちも危ない、そう判断した信は強引にミットナイトとセメントスの手を取り退避する。
「彼はヴィランによって怪獣に改造されてここを破壊するように命じられているんです。危ないので退避してください。」
信が説明をしているまさにその時、マサトは怪獣メモールに変化した。
その体はまるで風船にみたいに一気に膨れ上がり全高40m以上に達し、体全体に青い鱗のようなものが生えて顔はまるで獣の様になり、尻尾まで生えてまるきり怪獣になった。
だが唯一足の赤い配色だけがマサトが履いていた赤スニーカーの名残の様で信にあの怪獣がマサトだと強くを感じさせた。
メモールが雄たけびをあげ、その尻尾を動かすとスタジアムの一角にぶつかる。
スタジアムにいた者たちは必死に逃げて何とか尻尾の直撃したものはいないようだが大勢の人が瓦礫の下敷きになったようだった。
怪獣の体はスタジアムに対し大きすぎメモールが動くだけで大きな被害を出す。
これ以上の被害はマサトの為にも出すわけにはいかないと信はメモールを止める決意をする。
「ミッドナイト先生! 皆を避難させてください。 俺は彼を何とか止めます。」
「ちょっと、待ちなさい。」
信はそれだけ言うとミッドナイトの制止も聞かずメモールのもとへ向かう。
信が空に手をかざすとだんだん光が集まり彼自身からも光があふれ出る。そして次の瞬間にはその光は怪獣と変わらぬ大きさまで成長しその中からウルトラマントラストが現れる。
トラストは一旦この場からメモールを離そうと考えたのかメタフィールドを展開しようとメモールの上空にエネルギを放った。
だがそれは突如として現れた赤い大きな球体と小さな球体を棒でつなげた様な宇宙船から放たれた光線により妨害されてしまう。
トラストは思わずその宇宙船の方を見上げるが、今はメモールを止める方が先決だとすぐにメモールへと向き直り今度は直接動きを封じるためにメモールに組み付く。
しかし体を抑えることはできても尻尾までは抑える事の出来なかったトラストは何とか尻尾を封じようとするがメモールは余計に暴れ被害が増えていく。
トラストはそれに焦りまたメモールを暴れさせてしまうと言う悪循環ができてしまっている。
そんな時、頼もしい助っ人たちがやってきた。 それは雄英の教師や警備にあたっていたヒーローたちだ。
「尻尾は私が抑えてるから、体はあんたがしっかり抑さえてなさいよ。」
Mt.レディはそう言うとメモールの尻尾を抑えてくれた。
「ありがとう。 Mt.レディ!!」
以前怪獣にこっぴどくやられたにも関わらずまた誰かを助けるために怪獣に相対することのできるMt.レディにトラストは尊敬の念を抱き、また感謝していた。
そして二人でメモールを抑えている間に続々とヒーローが集まりオールマイトも参戦した。
オールマイトがトラストとMt.レディに抑えられているメモールに彼の必殺技DETROITSMASHを放つ。
だがしかしトラストは己の手でオールマイトの必殺技を受け止めた。
それはトラストが知っていたからだ。 コスモリキットの様に何発もオールマイトの拳を受ければ怪獣とて命を落とすと。
だが事情を知らぬオールマイトはトラストを叱責した。
「何をするのだ、東田少年、その怪獣を倒さねば被害がもっと広まるのだぞ。」
「わかっていますよ!! だけどこの怪獣はヴィランたちによって改造されてしまった俺の友人なんです。 彼をこのまま怪獣として死なせたくないんです!!」
トラストが事情を話すとオールマイトは一旦、拳を収めた。
「だが東田少年、手だてはあるのか? 何もないならこのままと言うわけにもいかないぞ!すぐそばに大勢の救助を待つ者たちがいるのだ。」
そう言ってオールマイトはメモールが尻尾で壊したスタジアムの方を見る。
「わかっています。 確実ではないですが試してみたい方法はあります。 もし失敗したら俺がこの手でマサト君の命を……絶ちます。 だからチャンスをください。」
トラストの願いをオールマイトは静かに頷き、受け入れた、一部を除いて。
「わかった!! やってみたまえ、東田少年!! だがもし失敗したら君はそのまま下がって避難しなさい。 子供に友の命を絶つようなことを私は断じてさせるつもりはない!! その時は彼の命を絶つ役目私が引き受ける。」
トラストの悲壮なまでの覚悟にオールマイトも彼なりの覚悟を示し答えてくれた様だった。
「ありがとうございます。 オールマイト。 ですがまず彼の動きを封じないことにはその方法も試せないんです。」
トラストがオールマイトにそう言うとオールマイトより先にセメントスが返答した。その手にはトーナメント会場設営用に使われていたコンクリートを流すための巨大ホースが抱えられていた。
「その役目、俺が引き受けよう!! 今ならコンクリートはたくさん余っているんでね。」
そう言うとセメントスはホースから大量のコンクリートを出しメモールにまとわせていく。
セメントスはメモールに今あるコンクリートすべてまとわせるとMt.レディとトラストに離れる様に合図する。
「いまだ!! 離れるんだ。」
トラストとMt.レディがメモールから離れるとコンクリートは一瞬で固まりメモールの動きを封じた。
「ありがとうございました、セメントス先生。」
トラストはセメントスに礼を言うと早速メモールをマサトに戻す作戦を開始した。
トラストが考え付いた作戦は至極単純で作戦とも呼べるような代物ではなかった。 それはかつてウルトラマンティガが突然変異で巨大怪獣になってしまったキングモーラットをセルチェンジビームで細胞をすべて同じ比率で縮小し無害な動物にしてしまった様に自分もセルチェンジビームでメモールにされてしまったマサトの細胞を元の人間の細胞に戻そうと言う、できるか如何かも定かではない挑戦だった。
だがトラストは諦める気は毛頭ない様だった。
トラストは額の宝玉の位置でこぶしを握り閉め自分の全エネルギーを集中する。
そしてその集約したエネルギーをセルチェンジビームに変換し優しくメモールに放つ。
そのころメモールも身をよじりコンクリートを砕き何とか外に出てきたところだった。
出会い頭にメモールはトラストのセルチェンジビームを受けて光の繭に包まれる。
だがメモールが光の繭に包まれてもトラストはまだセルチェンジビームを流し続ける。
それはトラストの計画がうまくいってい証拠だった。
最初から無茶な計画だったのだ、あのティガでさえ細胞を縮小するだけで極限まで消耗したのだ、細胞を元の状態に戻すなどどれほどのエネルギーを必要とするか想像も絶する。
それでもトラストは消耗し膝をつきながらもセルチェンジビームを放ち続ける、それこそ己の命すらエネルギーに掛ける勢いで。
そんなトラストに声援が届く「頑張れ!!」とそれは誰からだったのか分からない。 だがその声に続き幾人もの人たちがトラストに声援を送った。
声援を送っている者達もトラストが何をしようとしているのか正確にわかっている者は一人としていないだろう。
それでもトラストの姿を見て声援を送るのは彼がひたむきに頑張っているから、そして此処が雄英高校だからなのかもしれない。
ヒーローになりたい子供たち、すでにヒーローである者達、そしてヒーローを愛する人達が集っているこの場所だからこそ悲劇に見舞われようと誰かを思う気持ちを無くさずにいられるのかもしれない。
そんな声援を受けトラストはセルチェンジビームを放ち続ける。
だがその姿は先ほどまでの苦しそうな姿ではなく力がみなぎっている様な様子だった。
声援がトラストの力と変わったのか、それとも声援を受け眠っていたトラストの力が目覚めたのかそれは定かではない。
しかし今確かなことは、トラストは以前以上の力を込めてセルチェンジビームを放てているということだ。
そのセルチェンジビームを受けているメモールは次第に縮んでいき人の姿を取り戻し始めた。
トラストはもう一息だと言わんばかりにセルチェンジビームへエネルギーを注ぐ。
そしてトラストのエネルギーが途切れたその時、メモールはマサトに戻っていた。
トラストは残るは赤い球体の宇宙船だけだと空を見上げたがいつのまにか宇宙船は跡形もなく消えていた。
心配事がなくなったトラストはメモールがマサトに戻ったことを確認すると信の姿に成る。
信は重たく感じる体を引きずるように歩いてマサトのもとに行く。
信がたどり着くと、そこにはオールマイトを始め大勢の雄英の教師たちがいてマサトを調べている様だった。
「マサト君は、彼は無事ですか?」
信が問うとオールマイトが「彼は無事だ。よくやったな!! 東田少年。」と言って信を労ってくれた。
その言葉を聞いた信は安心して今まで張り詰めていた緊張の糸がほどけたのか仰向けに倒れ気絶してしまった。
しかしその顔は全然苦しそうではなくどこか誇らしげであった。
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トラストがメモールをマサトに戻した後ヒーローたちはスタジアムの瓦礫に埋もれた人の救助や避難するときに怪我をした人の治療で大忙しだった。
オールマイトもその例にもれず自慢のスーパーパワーで瓦礫を撤去し人命救助に貢献している。
そんな時オールマイトに彼の友人でもある警察官、塚内からスマートフォンに電話がかかってきた。
オールマイトは瓦礫撤去の手を休める事無くスマートフォンのハンズフリーモードで電話に出る。
「やぁ、塚内君どうしたんだ。」
挨拶をするオールマイトに対し塚内はいきなり本題に入る。
その声色からも彼がかなり焦っていることがわかる。
「オールマイト、落ち着いて聞いてくれ、オールフォーワンが現れて死柄木を特別拘置所からすれ去られてしまった。」
塚内からの突然の報告にオールマイトは動揺し思わず力が入り持っていた瓦礫を砕いてしまう。
「それは死柄木がオールフォーワンと通じていたと言う事なのか?」
オールマイトの質問に塚内は「恐らくそう言う事なんだと思う。 詳しくはそちらに行って説明させてもらうよ。 準備をしておいてほしい。」と答えてすぐに電話を切った。
「奴が生きていたとはな。」
オールマイトは思わずそう呟き、空を見上げる。
見上げた空は晴れてはいたがオールマイトには嵐の前の様に思えた。
それはきっと、もうその時にはオールマイトには次の大きな戦いの予感が感じられたからなのかもしれない。
読んでいただきありがとうございました。
投稿が遅くなりましてすいませんでした
ですががこれからも書いていくのでこれからもよろしくお願いします。
感想&批評などいただけましたら幸いです。