僕のヒーローアカデミア PLUS ウルトラマン   作:リューイ

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今回の話は職場体験の前の幕間的話しです。
これまでは笑いが少ない感じ?だったのと次から少し信に色々ストレスかけて行こうと思ってるので今回はコメディよりのつもりで書きました。
あとこの僕のヒーローアカデミアPLUSウルトラマンではヒーロー科だけじゃなく他の科も職場体験に行ってる設定にしました。
読んでいただければ嬉しいです。



第13話 信の受難

 職場体験の初日、信は受け入れ先のヒーロー事務所に向かっている。

 その傍らにいるのは八百万……ではなく、なんとサポート科の発目明だ。

 目立つピンク色の髪にゴーグルがトレードマークの中々の美少女である。

 

 信がなぜ発目と一緒に職場体験に向かっているかと言うと、そのヒーロー事務所がサポート会社も兼ねている事務所で、サポート会社としての方からも発目に職場体験のオファーが来ているからだ。

 そしてなんと信にその事務所から職場体験のオファーが来たのは発目のおかげであったのである。

 先に発目の所にサポート会社として職場体験のオファーが来て、その彼女がヒーロー事務所に信を推薦したというわけなのである。

 

 なぜ基本自分本位の発目がそんなことをしたかと言うと、まぁ信を自分の発明品のモニターにしようとでも思っている事もあるだろうが、信と発目二人が比較的仲がいい事も関係しているだろう。

 

 では二人がなぜ仲良くなったのか、それは大分以前にさかのぼる。

 信が自分の装備を開発しようと学校の工房に通っていたとき、同じように発目もまた工房に入りびたりになっていたのだ。

 

 

 

 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 雄英高校に入学し学校生活にも慣れてきたころ信は自分の装備を開発するために学校の工房によく来ていた。

 今日も信は一人で工房を訪れている。

 

 工房のドアを開けた信はまずショベルカーのショベルみたいな被り物を被っている雄英の教員、パワーローダーに挨拶し、工房の使用許可をもらう。

 

 「こんにちは、パワーローダー先生、 今日も工房を利用させてもらってもいいですか。」

 

 パワーローダーは一旦作業の手を止め振り返り誰が来たのかを確認すると「かまわないよ。」と許可を出しまた自分の作業に戻る。

 

 許可をもらった信は空いている作業台を探し工房内を見渡す。

 工房内にはパワーローダーと幾人かの生徒がそれぞれ思い思いに作業をしていた。

 丁度、工房で度々顔を合わせる発目の隣の作業台が空いていたので信はそこに必要な道具をもって向かう。

 

 「こんにちは、発目さん、隣の作業台使わせてもらうね。」

 

 発目に断りを入れ隣の作業台で道具を広げだす信に自分の発明品以外にあまり興味を示さない発目にしては珍しく信に顔を向け話しかける。

 

 「おや、あなたは確かA組の人ではないですか。」

 

 「そうだよ、A組の東田信だよ。」

 

 信が自己紹介すると発目も普通に自己紹介を返す。

 

 「私は発目明です。 明と呼んでもらってかまいません。」

 

 「じゃぁ、僕は信で、ってこのやり取り前にもした覚えがあるんだけど……」

 

 信が暗に自己紹介はもうしたよと示すが発目にはそんなことは関係ない様子だった。

 

 「そうでしたか。 ですが私の頭は私のドッ可愛いベイビーたちで一杯なのでもう忘れました。」

 

 発目は悪びれもせずそう言ったがその後に「ただ」と続けた。

 

 「ただ、あなたのベイビーの事は覚えています。ワイヤーアンカーでしたか? 圧搾空気でワイヤー付きのアンカーを発射して、強力なモーターでワイヤーを巻き取る、ベイビーでしたね。」

 

 信は発目が覚えていたことに思わず驚いてしまう。

 

 「うっうん。 そうだよ。よく覚えていたね。」

 

 「よくある発想の物でしたが基本を押さえたしっかりとした堅実な作りの中々可愛いベイビーだったのと後は……色々とありますがそれはまぁいいです!! とりあえずそう言うわけで覚えていました!!」

 

 彼女の発明品をベイビーと呼ぶ口癖が出たと言う事は信の開発した装備を一定の評価をしてくれていると言う事なのだろうと信は感じた。

 そしてそれが嬉しかった信は感謝を述べようとしたが途中で彼女に遮られてしまう。

 

 「ありが……」

 

 「そしてこれがあなたのワイヤーアンカーからイマジネーションを受け私が開発したベイビー、ザ・ワイヤーアロウです。 私のベイビーは体に装着するタイプで本体を直接保持しなくても済むように改良しました。 どうですか? ドッ可愛いでしょう!」

 

 「えっと、そうだね。すごくいいと思うよ。」

 

 自分の発明品を自慢する発目をみて、自分の装備を褒めてくれたのは彼女の発明品を出すための伏線だったのかと、信は少し残念に思ったが、それでも発目の事を悪くは思わなかった。

 それどころか信は、発目の事を人として好ましく思っている様ですらあった。

 それは彼女のひたすらに自分の好きなことに全身全霊で揺ぎ無く邁進していく姿に、信が人の輝きを見出したからだろう。

 

 そんな発目もひとしきり発明品を自慢すると満足したのか自分の作業に戻っていった。

 信もそんな発目の行動に慣れ始めているのか何事もなかった様に自分の作業に戻る。

 

 信が今回作ろうとしている装備は携帯型のエアバックのようなものだ。

 だがそれは難航している様で信は設計図とにらめっこしながらうなり声を上げている。

 どうしても信が求める性能に達しないのだ。

 

 信も何時もならばいくら失敗してガラクタお積み上げようと発明を楽しみ続ける発目を見習い、努力を続け完成させるのだが今回は手詰まり感が強い様子だった。

 

 そんな時、先ほどまで自分の発明品をいじっていた発目が珍しく信に声をかけてきた。

 めったにない珍事に思わず信は不躾に発目の顔を凝視してしまうが彼女自身は全然気にしていないようだ。

 発目は体が触れ合うほどの距離まで信に接近すると設計図を覗き込む。

 

 「これは携帯用のエアバック……ですか? 縦横最大5メートル幅2.5mこの大きさだとエアバックと言うよりエアーマットですね。 しかもそれをベルト状にして携帯できるようにするんですか!?」

 

 信は発目が余にも無防備に接近するので狼狽し顔を赤くするが、発目自体が恥かしがっていないので信は自分だけ狼狽えているのも馬鹿らしくなったのか気にせず普通に話すようになる。

 

 「たしかに難しいとはわかっているんだけど。 おおきいと高所からの落下する人の救助用だけじゃなくて追われている時、路地なんかで膨らませれば障害物になるし、災害現場とかでもガス圧を高められればジャッキ代わりに使えるかもしれない。 他にも色々使い道はあるだろうからできれば完成させたいんだ。」

 

 信の言葉に発目も少し興味を持ったのか色々信に質問を投げかけてくる。

 

 「インフレーターはどうするつもりですか?」

 

 「一応小型の高圧ガスタンクを何本か使おうかと思っているのだけれどこの大きさだととても賄いきれないしそれにガスをマットに充填するのに時間がかかってしまうからどうしようか悩んでいるんだ。」

 

 「この大きさのものをどうやってベルトの大きさにするつもりなんです?」

 

 「それは今、何か薄くて伸縮性に優れた素材がないか探している所。」

 

 話を聞き終えた発目はしきりに頷き何かを考えている様子だった。

 

 「フムフム、面白そうですね! A組の人そのベイビー、私と共同で開発しませんか?」

 

 信にとっては行き詰っていたので渡りに舟だったが名前を呼ばれなかったことが気になったのか「名前、もう忘れちゃったの?」と少しあきれ気味に言うと流石に発目も心外だと言う表情をする。

 

 「冗談ですよ! いくら何でもさっき聞いたことぐらいは覚えてますよ。信くん!! あ‼! 共同開発は冗談じゃないですよ!!」

 

 信も本当は冗談だと分かっていたのか握手しようと手を差し出す。

 

 「もちろんそれは分かってるよ。共同開発はこっちから頼みたいぐらいだよ。」

 

 そして発目は差し出された手をしっかりと取り二人の共同開発が始まった。

 

 

 こうして二人は仲良くなった……がしかしこの話には続きがあった。

 

 それこそ信の雄英での高校生活で一番の大変な事件だったのかもしれない。

 

 

 

 信と発目の共同開発が始まっていくらかの時が過ぎた頃その重大事件は起こった。

 その日、発目は信の名を呼びながら急いでホームルームが終わったばかりの1-Aの教室に入っていった。

 

 「信くん!」

 

 信は一度も1-Aの教室を訪れたことのない発目がいきなり息を切らせてやって来たものだから何かあったのかと立ち上がり何があったのかを発目に尋ねる。

 しかし彼女をよく見れば頬は桃色に上気し潤んだ瞳がキラキラしている、そして今にも跳び上がらんばかりにそわそわしていた。

 その姿は慌てていると言うよりもどちらかと言うと、浮かれているとか喜びで感極まっていると表現した方がよっぽどあっていそうな感じである。

 

 「何があったかなんて、決まっているじゃないですか!!」

 

 そう言いながら発目は信のもとまで歩みを進めると己の下腹部に手を当て潤んだ瞳で信を見上げるとメガトン級の爆弾発言を落とす。

 

 「やっとてきたんですよ!! 私とあなたのドッ可愛いベイビーがついにできたんですよ!!」

 

 

 

 発目の下腹部、彼女の手が添えられた部分には信と発目が共同で開発していたベルト状に収納したエアーマットがあった。

 だがそんなことは信と発目にしかわからなかったし、A組の者たちは発目が発明品をベイビーと呼んでいると知る者は誰も居なかった。

 故に彼女の言葉はそのままの意味として受け取られてしまった。

 誤ったかたちで。

 

 そのあまりにもセンセーショナルな発言にクラスメイト達の反応はさまざまで、羨むもの、興味津々なもの、信に軽蔑の視線を向けるもの、はたまた驚きのあまり声も出ないものなどさまざまである。

 中でも八百万などは怒りで頭に血が上りすぎたのか目眩を起こしふら付き倒れてしまう始末だ。

 

 そんな状況に陥った信の気持ちはたった一つに集約されていた。

 

『終わった。』ただそれだけだ。

 

 何が終わったかは言わずもがなと言う所だろう。

 

 

 

 その後、信と発目はホームルーム終わりでまだ教室にいたイレイザーヘッドの拘束帯で簀巻きにされ生徒指導室に連れていかれた。

 幸い誤解はパワーローダーが解いて、退学や停学にならず事なきを得たが騒ぎを起こしたと言う事で長々とイレイザーヘッドから説教を受けることになった。

 だがその所為でクラスメイト達の誤解を解く事が出来たのが翌日になってしまい、結局噂はほぼ全校生徒に広がることになってしまたのだ。

 

 

 

 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 信は職業体験をさせてもらうヒーロー事務所に発目と向かいながら彼女と起こしてしまった騒動の事を考え、ため息を吐く。

 あの騒動のあと信は事情を説明して回ったがそれがむしろ軽薄な感じを醸し出し噂の払拭に一苦労したことを思いだす。

 

 そんな信に発目はあまり興味なさげに何かあったのか聞く。

 

 「どうかしたんですか?」

 

 すると信は腰のベルトに手を当て、苦笑しながら答えた。

 

 「このベルト型エアーマットを明さんと完成させた時の事考えていたんだよ。 騒動を起こしてしまっただろう。」

 

 だが当の発目は少し考えるが全く覚えていないようだった。

 

 「もちろん、そのベイビーの事は覚えていますよ、信くんと私が共に協力しこの世に生み出したドッ可愛いベイビーですからね。 ですが騒動、……何かありましたか?」

 

 「そう! まさにその言い方だよ。 その言い方は絶対に誤解を招くから!!」

 

 しかし信の忠告も発目の心には全く届いていなかった。

 何故ならば彼女の心はこれから向かう所への興味で一杯だったのだから。

 

 「そんな事より早く行きましょう!! ヒーロー事務所でありながら超一流のサポートアイテムの開発会社でもある〝あの事務所″の工房、私、とっても興味があります。」

 そう言いながら信をおいて走って行く。

 

 そんな風にいつも通り自分の好きなことに一直線な発目をまぶしく思いながらも、信もこれから行く事務所に思いをはせながら発目に追いつくために走る。

 すると丁度これから行く事務所が見えてきた。

 台形を半分にわってさかさまして平行四辺形の建物とくっつけた様な個性的な建物で、シンボルマークである流星マーク中央部分に大きく掲げられている。

 

 そうここが信と発目が職場体験をさせてもらう事務所、科学特捜隊だ。

 




読んでいただきありがとうございました。


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