僕のヒーローアカデミア PLUS ウルトラマン 作:リューイ
日本一のヒーロー養成学校、雄英高校ヒーロー科の受験日、信は雄英高校受験するために幼なじみの八百万 百と共に受験会場へ向かうバスの中で二人掛け用の席で隣り合って座ってバスの出発を待っていた。
受験する本人よりともすれば緊張している八百万に信は「百はすでに推薦で雄英入学が決まってるだから何もこの寒い中わざわざ俺の付き添いなんてしなくていいのに」と付き添いなんていらないと言っている。しかし信の顔は言葉とは裏腹に少し嬉しそうな表情ををしている。
そんな様子に八百万は全く気付かず心配そうに「私だけ受かって信さんが落ちてしまっては心苦しいですし」と返した。
信はそんな八百万を安心させるために持っていた金属製の二mぐらいの棍棒を見せながら「筆記試験はいつも一緒に受験勉強していたから大丈夫なのはわかってるだろ。それに実技試験も百がくれたこの棍があれば大丈夫さ。」と言った。
その言葉に安心したのか八百万は少し顔をほころばせ「そうですわね。」と頷く。
その後もたわいもない会話を二人が楽しんでいる内にバスは出発し二月の冷たい風がきり走っていった。
受験会場近くのバス停に着いたときには信も八百万もすっかりリラックスしている様子だった。バス停から受験会場である雄英高校まではまっすぐな並木道が200mほど続いていた。その道の入り口で八百万は信に声援を送り、送り出す。
「信さんなら絶対受かりますわ。頑張ってくださいね。」
信は一言「がんばるよ」と八百万に答えて雄英高校へ続く並木道を歩いて行った。
信が雄英高校のUとAを組み合わせたロゴが真ん中に大きくついている校門までやってくるとすでに到着している受験生が見える。その中にはカエル顔の女の子や緑っぽいモジャモジャ頭も男の子、カラスの様な頭の男の子、前髪で目を隠してる黒髪の女の子など様々なライバルたちがいることを確認し、信は改めて気を引き締め、校門をくぐっていた。
今、信は午前中の筆記試験を終えて、午後のヒーロー実技試験の説明を受けるために雄英高校内の大講堂に来ていた。雄英の受験倍率はおよそ300倍40人の定員に対して優に1000人以上が受験している計算になる。そのすべての受験生を入れてもまだ余裕ある大講堂は想像よりもはるかに巨大で雄英の資金力をまざまざと信に見せつけている様だった。そして国立の学校である雄英の資金力とはすなわち国民の期待を表している。
信が雄英生に、ヒーローの卵に向けられている大きな期待に少し気おされながら席に着き試験の説明が始まりを待っていると壇上に一人の男が現れた。
その男は黒のパンクファションに身を包みサングラスかけている。およそ教師には見えないが、彼の出で立ちで最も目立っている首元にまかれているスピーカー、そのスピーカーだけでも彼が雄英高校の教師であり声を武器とするボイスヒーロープレゼント・マイクであることを如実に示していた。
信はプレゼント・マイクの説明を聞き逃しては大変だと配布されたプリントを見つつ彼の大げさなジェスチャーをともなう説明に耳を傾ける。
プレゼント・マイク曰く実技試験の内容は道具の持ち込みありの10分間の模擬市街地演習を行うというもののようだ。演習場にいる3種の仮想ヴィランロボットにはそれぞれ1~3までのポイントが与えられており、ロボットを行動不能にすればそのロボットに対応したポイントを得られる。それ以外にもゼロポイントの大型ヴィランロボも障害として出てくるらしい。
プレゼント・マイクの説明が終わると受験生は各演習会場にバスに乗り移動することになった。
信は試験のために持ち込んでいた道具を持ち自分に振り当てられた演習場に行くバスに乗りこむ。すると信が最後の一人だったのか信が唯一開いていた最後尾の座席に着くとバスが動き出す。
バスが試験会場に着くとそこにセメントの様な体の人間が待機していた。
彼は自らが雄英の教員でありプロヒーローのセメントスであると名のるものの、バスを降りた受験生はセメントスではなく試験会場に気を取られていた。なぜならばそこにあったのはまるで町の一区画を再現したかのような巨大な演習場だったから。
受験生のその反応は、セメントスにとって毎年の見慣れた光景だったので淡々と試験を始めるために演習場の大きな扉を開け試験の始まりを告げるため「スタート」と号令をかける。
その突然の開始の合図に戸惑うも受験生は一斉に演習場に飛び込んでいった。その中には試験のために幼なじみの八百万百の個性、創造で作ってもらった金属製の昆を手に駆けていく信の姿もあった。
信が他の受験生に先んじて演習場の入り口付近を駆けていると早速ヴィランロボが見えてきた。足下が大きなタイヤで細い胴体に外側だけ装甲に覆われた腕が特徴的な1ポイントヴィランロボットだ。
信は勢いのままに1ポイントヴィランロボに向かって行きヴィランロボから振り下ろされた腕を一瞬のダッキンでかわしヴィランロボットの横を走り抜けてかわし背後をとる。信は振り向きざまに両腕で持った棍をヴィランロボの胴体めがけて振りぬく。たっぷりと遠心力を蓄えた棍の先端は一ポイントヴィランの胴体をへし折るのに十分なちからを持っていた。
「よしっ、まずは一ポイント‼」
最初にヴィランロボを倒した信は少し興奮した様子で雄叫びをあげて自らを鼓舞する。
そしてそれは同時にほかの受験生たちにとっても大いに刺激になったようでほかの受験者たちも次々にヴィランロボットに向かって行く。
信は一ポイントヴィランロボットを倒した後も足を止めることなく走り回りヴィランロボットを見つけては巧みに弱点をつき行動不能にしていった。
実技試験が中盤にさしかかってきたころ信は演習場の中央付近で3ポイントヴィランロボットと対峙している。3ポイントヴィランロボットはカメの様な体でその背中に大きなロケットランチャーの様なものを装備している強力なヴィランロボットだ。だかその攻撃力は背中のロケットランチャーに大部分が依存しているので3ポイントヴィランロボットの背中に乗ってしまえば攻撃力の大半が失われる。
このことを見抜いていたのだろう信は棍を棒高跳びの棒のように使い、3ポイントヴィランロボットの背中に飛び乗り棍を容赦なく叩きつけて3ポイントヴィランロボットを行動不能にした。
3ポイントヴィランロボットを倒し次の目標を探すために走り出そうとしたとき、信は後ろから可愛らしい感じの女の子の声を聴いた。
「もぅ そのヴィランロボ私が攻撃しようとしたのに!」
信を非難している様な内容に信は振り向いたが、そこには誰もいない。ただ3ポイントヴィランロボットのロケットランチャーに装填されていたと思しきロケット弾が空中に浮かんでいるだけだった。
信は念動力使いでもいるのかと周囲を見渡しているとまた声をかけられる。
「ここだよ、ここ」と声が聞こえる方に信が目を向けると先ほどのロケット弾が己の存在を示そうとしている様に揺れていた。
信はもう一度注意深くロケット弾のある周囲を見ると、地面に足跡が残っているのを発見した。信は何かに気づいたのか数歩ロケット弾の方に歩み寄り、「君は透明人間なのか?」と声をかける。すると先ほどから聞こえていた可愛らしい女の子の声で返事かきた。
「そうだよ。透明人間の葉隠 透だよ。」
その唐突な透明人間との出会いに戸惑った様子の信だったが最初に声が聞こえた時の言葉を思い出したのか、葉隠に対し挨拶と謝罪を返している。
「俺は東田 信、さっきのヴィランロボットのことは御免。君の事全然見えてなかったよ」
その言葉に対し葉隠は「まぁ私透明人間だしかたないか。」と少し落ち込み気味に言った後、すぐに気分を切り替えたのか朗らかな声で「まだ時間あるしお互いがんばろうね。」とその場を去っていたようだった。
信も葉隠が去った後すぐに次の目標を探し始めたが心なしか先ほどより注意深く周りの状況も確認している。
そんな信が見つけた次の目標は不整地を移動するためなのか四足歩行になっている、首の長い2ポイントヴィランロボットだ。それを見つけた場所は、薄暗い三方を壁に囲まれた路地裏のようになっており、そこでは正面戦闘で2ポイントヴィランロボットを行動不能にしなければいけないので信には少し分が悪い。
信はしばしヴィランロボットとにらみ合っていたが意を決した様子で2ポイントヴィランロボットとの間合いをつめていく。信が攻撃をするべく棍を振り上げた瞬間、突然壁の向こう側から一瞬、光が真の前を横切った。恐らくは高出力のレーザーかなにかっだったのだろう壁をたやすく貫通しヴィランロボットの中枢を正確に狙いすましたかのように溶かしてしまっている。
信はその光景に目を丸くしていたがすぐに光が来た方に目を向けた。そこには信が今朝見かけた前髪で目を隠していた少女がいたが信は今朝見た少女と同一人物だと気づかない。
だがそれも仕方のないことだろう。今の彼女はその長かった前髪が脇に寄せられヘアピンで留められ、隠れていた顔があらわになり大分印象が変わっていた。朝見た時の印象が地味目の少女とするならば、今は美の黄金比をすべて詰め込んだような美少女だろうか、それこそ口元の黒子さえ彼女の若い妖艶さを引き立てるアクセサリーにおもえるほどの。
「ごめんなさい。動かないから戦意がないのかと思っていたわ。」
彼女に見とれている信にそう伝えて彼女はさっそうとその場を後にした。
信が去っていく少女に気を取られていたとき突然に爆音が当たりに響いた。信がその音の正体を確かめるために路地裏から出ると、そこには倒してもポイントにもならないゼロポイントヴィランロボットが周囲ビルを破壊している信のいる方向に向かって来ている所だった。
「でかすきだろ」
信の口から不意に出たその言葉がゼロポイントヴィランロボットのことを如実にあらわしている。その巨体とその巨体から振るわれる破壊の権化の様な超パワーに信は己の不利を悟ったの一時撤退することを選択したときゼロポイントヴィランロボットが信の近くのビルを攻撃しビルの一部が倒壊した。信はその時に倒壊したビルの方から悲鳴が上がったことに気が付く。
その瞬間、信は躊躇なく巨大ヴィランロボットの足下を悲鳴の聞こえたビルまで最短距離を駆け抜ける。信はすぐに悲鳴の主を探すが一向に見つからない。
「誰かいないか! 大丈夫か!」と信は呼びかけるが返答はない。逃げ遅れた人はいなかったのかと判断しようとした信だが、どうしても先ほどの声が気にかかっていた信は悲鳴の声の主を何とか思い出す。
「そうだあの声は、さっき会った葉隠さんだ。」
「だとするとまずいな、彼女は透明人間だ。この瓦礫と粉塵の充満する状況では俺には見つけられないかも。」
信がネガティブな感情にさいなまれ俯いていたが次の瞬間何かを思いついたのかふと顔を上げその場を離れ、あたりを見回し誰かを探し始めた。
「いた!」
信は目的の人物を見つけた。その人物は先ほどの口元に黒子がある黒髪に美少女だった。信は「助けてくれ、知り合いが瓦礫に埋まっているかもしれないんだ。」といってその少女の手を取り走り出した。
彼女はすぐに信の頼みを了承し、自ら走り出した。その道すがら彼女は信に「どうして私に声をかけたの? 他にも手伝ってくれそうな人はいたでしょう。」と問う。
信は倒壊したビルに急ぎながら彼女の問いに答える。
「さっき会った時、君は壁越しに正確にヴィランロボの位置を把握していただけじゃなく俺の動きまで見抜いていたから高度な探索能力を持っていると思ったんだ。」
「瓦礫に埋もれているかもしれない知り合いは透明人間で俺には見つけることが困難だから君に頼むしかないと考えた。」
その答えに満足したのか彼女はしきりに頷き自らの個性の能力の一端をあかす。
「なるほどね。確かに私の個性を使えば透明人間も見つけられるし、もし瓦礫に埋まってても瓦礫を透視して内部も見ることができるからその子を見つけられると思うわ。安心して。」
その言葉に少しだけ元気をもらった信は彼女に「ありがとう」と感謝をのべ、ビルへと急ぐ。
信の感謝の言葉に「ありがとうはその子を助けてからでしょう」と返し彼女も信に合わせ速度を上げる。
信たちがビルに戻ってきたのは葉隠 透が瓦礫に埋もれてから3分後、試験終了のおよそ1分前だ。
黒髪の少女は素早くあたりを見回すやいなや、葉隠を見つけ信に指示を出す。
「見つけた。あなたから見て2時の方向、前方10mのあたりの瓦礫に埋まってる。動きはないけど心臓も肺もちゃんと動いてるから気絶しているだけだと思う。」
「ヘタに崩すと危険だから私の言うとおりに瓦礫をどかしていって」
信は彼女の言葉に瞬時に反応し彼女の指示どおりに瓦礫をどかしていく。
十個ほどの瓦礫をどかした時、「もう大丈夫、その子を引張り出せるわ」と彼女からストップの合図があった。すぐに信の近くまで来た黒髪の少女は信にとっては何もない空間に手を伸ばし何かをつかんだ。
恐らくそれが葉隠なのだろうと信も同じ場所を持つと確かに人の肌の感触があった。
それから二人は素早く安全なところまで葉隠を運ぶ。
ちょうどそのころ試験の終わりの合図なのだろう大きなサイレンが響いていた。
安全な場所まで移動した信は改めてお礼を言おうとし、黒髪の少女の方を見ると彼女は何かを背負うようなしぐさをしていた。その動きで信は彼女が葉隠を背負い救護所まで行くつもりなのを察したのだろう信は「救護所に行くなら俺が葉隠さんを背負うよ」と彼女に伝えたがきっぱりと断られた。
信は断られるとは思っていなかったのだろう面食らっていたが訳を聴きすぐに納得した。
「私が背負っていくから心配しないでいいわ。透明人間で見えないとはいえ裸の女の子を男子に背負わせるわけにはいかないもの。」
「それに近くの救護所に運ぶぐらいなら一人で大丈夫だから貴方は来なくていいわ」そういうと黒髪の少女は葉隠を背負い救護所に向かって行く。
そんな彼女たちを見送ると信は深いため息をついて人心地ついたている様だった。
信たち受験生の長いようで短かかった実技試験はようやく終わった。
試験も終わり実技試験を受けていた受験生たちもそれぞれに帰っていく中、信は黒髪の少女を校門で待っている。そこには目元を前髪で隠している少女がもう帰るのだろうか校門を通り過ぎていった。
彼女とすれ違った瞬間、信は彼女の口元の黒子に気づくと彼女を追いかけた。ようやく目元を前髪で隠した少女と黒髪の美少女が同一人物であると分かったのだろう。
信は彼女に追いつき感謝の言葉を言うために声をかけた。
「さっきは本当にありがとう、ヒーロー」
「君がいてくれて本当に助かったよ。 それと試験の途中だったのにすまなかった。」
信の言葉に彼女は立ち止まり振り返った。その時前髪の隙間から見えた顔はやはりあの美しい少女のものだった。
「どういたしまして。試験のことは気にしなくていいわ。」
「私もあの子を助けられてよかったって思っているし、何より私も自分で考えて決めたことだから貴方に責任はないよ。」
彼女はそういうとまた歩きだした。信が彼女を追いかけようと歩き出そうとすると何か言い残しがあったのか急に振り返り「あぁ、あと私はまだヒーロー免許持ってないから」というとすぐにまた歩き出す。
そのあとを信が追ってまた彼女に話しかける。
「まぁ、そうだよね。けど今日の君は俺にとっては間違いなくヒーローだったよ。」
「俺は東田 信、君の名前教えてもらっていい?」
信の問いに彼女は少しだけ逡巡したが信に自己紹介をした。
「私は
それに信も追いすがって「これからハンバーガーでも食べに行かない。お礼におごるからさ」と声をかける。
しかし瞳は「ナンパならお断りよ」とすげなく信をあしらうが彼はは全く気にしてない様子で「ナンパじゃないよ。今日は人助けができてとても気持ちが晴れやかなだからさ、お祝いしたい気分なんだよ。」と言葉をかさねる。
それには瞳ももう降参とばかりに軽いため息をつき「はぁ、わかったわ。つき合うわよ。けれどこの辺りには詳しくないからちゃんとエスコートしてよね」といって信の隣に立つ。
信は「もちろん、任せてくれ」と言ってバス停へと瞳を案内する。
するとそこには思いがけない人物が信を待っていた。その人物とは信の幼なじみの八百万百だった。試験終わりで信が疲れていると思い彼をを気遣ったのだろう。その証拠に彼女の脇には八百万家所有の高級外車が止まっている。恐らく八百万家の執事、内村さんが運転してきたのだろう。
八百万は信を見つけると笑顔で大きく手を振り、信のことを呼んだ。
「信さーん こちらですわー」
その声は信の横の少女に気づくと次第に小さくなっていったが八百万は笑顔だけは絶やさなかった。
しかしその笑顔が少し引きつっていたのはだれの目から見ても明らかだった。