僕のヒーローアカデミア PLUS ウルトラマン   作:リューイ

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 今回は2回目の怪獣登場回です。

 お楽しみいただければ嬉しいです。


第6話 穴から怪獣!? コスモリキッド、ライブキング来襲

 初めての戦闘訓練を終えた週末、信の家で反省会と自主練をするために信と八百万は準備していた。東田家のいくつかある広間の一つに大きな机と人数分の椅子を用意して緑谷達が来るのを待っていた。

 

 準備を終えて信と八百万がリビングのソファーに座り寛いでいる時、信に電話がかかってきた。

 

 信は八百万に飯田からの電話であることを知らせると電話に出て二言三言言葉を交わして電話を切った。

 

 信は電話を終えると八百万の方に向き直り「飯田君たちもう駅で集まったらしくて今からこっちに向かうって言ってたよ」と電話の内容を話す。

 

 「でしたらもう少しいたしましたら門までお迎えに行きましょう。」と八百万が信に言う。

 

 「そうだね。それはいい考えだ。 行こう。」と信は立ち上がり八百万の手を取り引き起こす。

 

 八百万は急に手を取られて驚いた様子で頬が満開の桜の様な薄ピンク色に染めて「信さん!! 迎えに行くにはまだ早いですわ。」と信に言うが、信はそんな八百万に気づかずに「ラピドックとガーディーも皆に紹介したいし、反省会を邪魔されないように今のうちに遊んであげておこうと思ってね。百もつき合ってくれよ。」と八百万の手を引いて外に向かった。

 

 八百万は軽く息を吐き自信を落ち着かせてから「仕方ありませんわね。おつき合いいたしますわ。」と信の手を握ったままついて行った。

 

 庭に出ると外で日向ぼっこをしていたラピドックとガーディーが信と八百万に駆け寄ってくる。

 

 しばらく遊んでいるとラピドックとガーディーが外を気にしてソワソワしだした。

 

 それを見た信はおそらく知らぬ匂いが門の外に近づいてきているからだろうと予測して八百万とラピドックたちを連れて門の方に向かった。

 

 しかし信たちが門に着くとそこにいたのは緑谷達ではなく、透明怪獣サータンが出た時に知り合ってちょくちょく遊びにい来るようになった星野勇気と勇気と同じ年ぐらいの見知らぬ少年がいた。

 

 「勇気君とそれと……」と信が言いよどむと勇気と一緒に来た少年が自己紹介をした。

 

 「はじめまして、勇気の友達の蛙吹五月雨です。」

 

 「はじめまして、俺は東田信だ。」

 

 「はじめまして、八百万百ですわ。」

 

 信と八百万も五月雨に自己紹介を返す。 すると自分たちも忘れるなと言わんばかりにラピドックとガーディーが元気よくワンワンと吠える。

 

 信は分かってるよと二匹を撫でて落ち着かせて五月雨に二匹を紹介した。

 

 その後、信はとりあえず勇気と五月雨を家の中に通すと勇気に何の用件で来たのか聞いた。

 

「今日はどうしたんだい? 友達を連れて遊びに来てくれたのか?」

 

 勇気と五月雨は信の問いに中々答えなかったが八百万に促されて少しずつ話し始めた。

 

「信じてもらえないかもしれないけど僕たち、見たんだ。」

 

「何を見たんだ。」と信が聞くと二人は「怪獣だよ!!」と叫んだ。

 

 信が「どんな怪獣を見たんだ。詳しく教えてくれ。」と言うと五月雨はは驚いた様子で「僕たちの言ってる事、信じてくれるのかい?」と信と勇気の顔を交互に見る。

 

 そんな五月雨に勇気は誇らしげに「だから言っろう、信兄ちゃんなら僕たちの話をちゃんと聞いてくれるって。」と言った。

 

 そんな二人に怪獣の話の続きを話すように促すと二人はこれまでの様子とは打って変わってまくしたてる様に話し出した。

 

「僕たちが怪獣を見たのは河川敷で遊んでた時なんだ。急に怪獣が現れたと思ったら一瞬で近くにいた釣り人を食べちゃったんだ。」

 

「それでその後、怪獣はドロドロに溶けて河川敷最近できて僕たちの間で話題になってたなんでも吸い込んでしまう穴に入っていったんです。」

 

「だから僕たちヒーローに知らせて怪獣を退治してもらおうとしたんだけど怪獣出てきたのが一瞬だったからほかの人は見てなくて、それで信じてもらえなくて。」

 

 話を聞き終えた八百万は信に「どう思われますか?」と問う。

 

 信は少し考え込んだ後「緑谷君たちには申し訳ないが反省会はキャンセルして河川敷の方を見に行った方がいいと思う。」と結論を出した。

 

 そのとき来客を知らせるベルが鳴った。

 

 今度こそ緑谷達だろうと信が門の所まで見に行くと思ったと通り緑谷たりだった。

 

「いらっしゃい。」と信が緑谷達を門で迎えると飯田が緑谷達を代表して「お招きありがとう。東田君」と応じる。

 

 信はとりあえず緑谷達を門前から庭に通す。すると門から家まで歩いて数分はかかりそうな東田家の広さにみんな驚いている様子だ。

 

 そんな緑谷達に信は申し訳なさそうに謝った。

 

「すまない。今日の反省会、俺は参加できないかもしれない。」

 

 信の言葉に「え!! どうして!!」と緑谷が驚いている。

 

「本当にごめん。訳は歩きながら説明するよ。」と緑谷達を促して家へと向かう。

 

 信は勇気と五月雨の話をかいつまんで説明した。

 

 信と緑谷達が勇気達を通した広間に到着した時部屋の中から八百万たちの話声が聞こえた。

 

 ドアを開けると「あっ」と言う声が二つ上がった。その声は蛙吹梅雨と蛙吹五月雨のものだ。

 

 「五月雨!! どうして東田ちゃんの家にいるの?」

 

 「姉さんこそどうしてここにいるんだい?」

 

 二人は驚いたように互いに質問を投げかける。

 

 そんな二人を見て緑谷達も驚いて「どうなってるの?東田君。」と東田に問いかける。

 

 「俺にもよくわからないが、もしかしたら姉弟かなと思ってたけど どうやら当たりだったみたいだ。」

 

 「ならば怪獣の話を持ってきたのは君の友人の勇気君と蛙吹君の弟と言うことなのか?」と飯田が信に確認してくる。

 

 「そうだよ。」と信が頷く。

 

 そんな風にばらばらに騒いでいると麗日が「みんな落ち着いて。」と言い、眼強が「そうね、最初から話をまとめましょう。」と麗日に続いた。

 

 「まずどうして蛙吹さんの弟が東田君の家にいるの?」と眼強は五月雨に聞いた。

 

 「勇気と一緒に河川敷で遊んでいたら怪獣を見たんだ。だけどそれをヒーローに言っても信じてもらえなくて、それでどうしようかって勇気に相談したんだ。」

 

 五月雨の話に続いて勇気も話し出す。

 

 「五月雨と相談してるとき信兄ちゃんならちゃんと話を聞いてくれると思って五月雨と一緒に信兄ちゃんの家に来たんだ。」

 

 そんな二人に蛙吹は「私に相談してくれればよかったのに」と言うが五月雨は「姉さんは高校に入って忙しそうだったから」とすぐ言い返す。

 

 また蛙吹が言いだそうとしたときは麗日が蛙吹に「家族にはそうだんしにくい事もあるよ。」となだめる。

 

 眼強が「話を続けましょう。」と仕切り治すと勇気と五月雨が怪獣を見た時の話をした。

 

 その話を聞くと納得した様子で「なるほど!! だから東田君は反省会をキャンセルして河川敷に怪獣を確かめに行くつもりだったんだね?」と緑谷が信に確認した。

 

 「そうなんだよ。」

 

 「だが東田君、蛙吹君の弟たちが嘘を吐いているとは思わないが何かの見間違いかもしれないじゃないか? 以前出現した怪獣も突然姿を消して以来、現れていないことから幻影を見せる個性と念動力の個性を持った者たちの犯行の可能性が高いとニュースで報道されていた。」と飯田が疑問の声を上げる。

 

 「確かに飯田君の言うことも一理あるけどもしも見間違いだとしても、見間違える何かがあったことは確かだ、それに底が見えない大きな穴もそのままにしておくと危ないだろう。」

 

 「私も気になるから一緒に行くわ。」と眼強が言うと蛙吹も「私も行くわ。 弟のこと信じているもの。」と一緒に行く意思を示す。

 

 「それなら皆で行こうよ。」と麗日が提案する。

 

 その提案に緑谷、飯田、八百万の三人も賛成して全員で河川敷に行くことになった。

 

 

 

 

 

 河川敷に到着すると早速、五月雨と勇気が駆け出して大穴の所まで行き、信たちを呼ぶ。

 

 信たちが勇気達の所まで行くとそこには勇気達の言う通り大人2人から3人ぐらいが一度に入れるぐらいの大きさの穴があった。

 

 穴の周囲を囲う様に立ち皆で穴の中を見てみるが穴はまるで深淵への道の様に薄暗く、底が見えない。

 

 「何も見えない。 穴の中に入ってみようかな。」

 

 信の不用心な発言に八百万は「穴の深さもわからないのに危ないですわ。」と信を止める。

 

 「でもこのままっていうわけにもいかないよね」と麗日が言うとしばし皆が考え込んだ。

 

 突然飯田が何か思いついたらしく声を上げた。

 

 「そうだ!! 眼強君に個性で調べてもらえばいいじゃないか。」

 

 「それがよさそうね。 お願いできるかしら 瞳ちゃん。」

 

 蛙吹が眼強に頼むと「いいわよ」と返事をした。

 

 眼強は前髪をかき上げ地面を透視しようとするが丁度そのとき地面がちゃんと立てないほど揺れて、穴の中からまるでチューバの様な音が聞こえたと思うとまるで間欠泉の様に穴から液体が噴出し川の方へ液体が流れていった。

 

 流れ出した液体は相当な粘性があり小山の様に盛り上がっていった。やがて液体は二足歩行の怪獣の様な形になった。

 

 怪獣の様になった液体はそのまま固まり怪獣コスモリキッドとなった。その姿は青い体にヒレの様なものと吸盤のついた尻尾が付き、頭には見たものを威圧するように3本の角が生えている。

 

 突然のコスモリキッドの出現に信たちは慌てた。

 

 「なっ!! 本当に怪獣が居たのか!! 疑ってすまなかった。勇気君、五月雨君」と飯田が二人に律儀に頭を下げる。

 

 「そんなことしてる場合じゃないよ。 飯田君!! とりあえず避難してヒーローに連絡しなきゃ」

 

 緑谷が飯田に避難を促すと皆その通りだと行動し始める。

 

 まず八百万が仕切りどう行動するか決めていく。

 「麗日さんと梅雨さんで弟さんを避難させてください。 信さんは勇気君をお願いします。 飯田さん、緑谷さん、眼強さんは避難しながら周辺の人に避難の呼びかけをお願いします。 私はヒーローに通報しながら信さんたちと避難いたしますわ。」

 

 八百万の行動案にみんなが賛成し行動開始しようとしたとき、コスモリキッドも信たちに気づいてしまった。

 

 信たちに気づいたコスモリキッドは彼らを捕食しようと長い舌を信たちに伸ばす。運悪く大穴の傍にいた勇気はコスモリキッドの舌から逃げようとして穴に落ちてしまう。

 

 「うわぁぁぁ!!! 助けて!!」

 

 勇気が穴に落ちたことに気づいた信は勇気へと手を伸ばすが寸前の所で届かず、勇気は信の目の前で穴へと転がり落ちてしまった。

 

 「俺は勇気を助けに行ってくる。みんなは先に避難していてくれ。」

 

 そう言い残すと信は八百万の制止する声も聞かずに躊躇なく穴へと飛び込んでいく。 

 

 それを見た八百万は信のあとを追い飛び込もうとするが飯田に止められる。

 

 「やめたまえ。これ以上は無理だ、怪獣もこちらに向かって来ている。」

 

 八百万は歯噛みして悔しそうに穴を見ていたが中の様子だけでも知りたいと眼強に個性を使う様に頼んだ。

 

 「眼強さん中の様子だけでも分かりませんか?」

 

 「わかったわ。 見てみるわ。」

 

 眼強が髪をかき上げて穴の中を覗き込み個性を使用した。その瞬間、眼強は余の事に思わず息をのんだ。

 

 「皆逃げて!!! 穴の下にもう一体、怪獣がいる。」

 

 眼強は信を残しては避難しそうにない八百万の手を引きその場から退避する。

 眼強の言葉を聞き緑谷達も避難を開始した。

 

 穴の場所から300mぐらい離れたとき凄まじい地響きと共に地面がせり上がり二体目の怪獣が現れた。

 

 その怪獣はライブキング、腹は異常に膨れており、体中に大きなイボがついている。

 

 不気味な笑い声の様な鳴き声をあげてコスモリキッドや八百万たちには目もくれず自分のいた周辺で暴れている。

 

 それを幸いと八百万たちは全力で逃げていった。

 

「通報できた?」と電話をかける八百万に眼強は問いかけた。

 

「できましたわ。 警察に通報して避難誘導と各ヒーロー事務所への連絡をお願いしました。」

 

 さらに怪獣との距離を取るためにみんなが走っているとライブキングが気づいたのか追いかけてきた。怪獣はその巨体の大きさゆえに一歩が大きく容易く距離をつめてきた。

 

 そんな時ライブキングの横合いから巨大な女が飛び蹴りをくらわせる。

 

「キャニオンカノン!!」

 

 その飛び蹴りはわずかにライフキングを怯ませる。

 

 彼女がいかに巨大でもライフキングはその倍以上大きいのであまり堪えてはいない様子だった。

 

 だがヒーローが来てくれたという事実だけでも緑谷たちは少し安心したようだ。

 

 「Mt.レディだ!! Mt.レディが来てくれた。これで大丈夫だ!!」と緑谷が皆を勇気づける。

 

 「今のうちに麗日さんと蛙吹さんで五月雨君を避難させてください。私はヒーローに怪獣の中に信さんと勇気君がいることを知らせますわ。」と八百万は麗日たちと別れてMt.レディの所に向かう。そんな八百万に緑谷と眼強もついていき、麗日、蛙吹姉弟、飯田と八百万、眼強、緑谷に別れた。

 

 Mt.レディの近くに着くと八百万は信たちの事を伝える。

 

 「Mt.レディ‼ その怪獣の中には生存者が二人います。」

 

 Mt.レディは八百万の言葉を聞き彼女たちから見えないように少し舌打ちをした。

 

 「ただでさえ強いのに人質がいるなんて」

 

 Mt.レディはライブキングに組み付き抑えようとするが大人と子供ぐらいの体格差と怪獣のパワーに容易く吹き飛ばされてしまう。

 

 倒されたMt.レディに気づいたコスモリキッドがライブキングに続き追い打ちをかける。

 

 Mt.レディはすぐに立上がり反撃に出るが一体だけでも手に余る怪獣が二体に増えなすすべなくたたき伏せられる。

 

「いくらなんでも強すぎる。」

 

 その絶体絶命の窮地にもう一人ヒーローが駆け付けた。

 

「もう大丈夫だ!!」

 

「DETROIT SMASH!!!」

 

 一発のパンチがライブキングに炸裂し、コスモリキッドごとまとめて数歩後退させた。

 

「私が来た!!!」

 

 オールマイトの登場に八百万たちは安堵していたがさすがのオールマイトの一撃でも二匹同時とはいえ怪獣を数歩後退させるにとどまった。

 

 オールマイトは一度、怪獣と距離を取り八百万たちの所までやってきた。

 

「緑谷少年、眼強少女、八百万少女 なぜここに!! 」

 

「早く避難するんだ!」

 

「オールマイト先生、あの大きなお腹の怪獣に信さんと小学生が飲み込まれているんです。」と八百万はオールマイトに説明する。

 

「わかった。二人は私が助け出そう。だから君たちは避難するんだ!」

 

 そう言い残すとオールマイトは怪獣へと向かって行く。

 

 オールマイトは二匹の怪獣に対して何発もパンチを浴びせかける。しかしコスモリキッドもライブキングもあまり効果が無い。

 

 オールマイトが闘っている間少し休んで体力を回復させていたMt.レディも怪獣への攻撃に加わるが焼け石に水だった。

 

 オールマイトがライブキングに信たちを吐き出させようと渾身の一撃を腹に打ち込む。

 

「怪獣よ!! 東田少年たちを吐き出してもらうぞ!!  TEXAS SMASH!!!!」

 

 流石のライブキングもオールマイトの渾身の一撃に後ろに倒れこむが信たちを吐きだすことはなかった。

 

 反対にライフキングに攻撃して空中で無防備になったオールマイトはその隙をコスモリキッドにつかれ、その尻尾で地面へと打ち付けられた。

 

 その衝撃はすさまじくオールマイトが打ち付けられた地面はクレーターの様に大きく陥没していた。

 

 その光景を見た八百万たちはオールマイトへ駆け寄り彼の無事を確認しにいく。

 

「オールマイト先生!! ご無事ですか?」

 

 「ノープロブレム!! 問題ないよ。」とオールマイトは言うがその姿はまさに満身創痍と言うべきものだった。

 

 その姿を見た緑谷は斜面を転がり落ちる様にかけ下りる。

 

 「オールマイト!!!」

 

 「心配ないよ、緑谷少年!! 、ヒーローはこんなピンチすぐ超えていくものだ!!」

 

 オールマイトは心配そうな緑谷にそう宣言するとまた怪獣に向かい攻撃する。

 

 緑谷はオールナイトの後を追おうとするが眼強がそれを止めた。

 

 「今はヒーローたちと東田君を信じて待ちましょう。」

 

 それは自らも含めその場の全員に言い聞かせるようだった。

 

 

 

 

 

 オールマイトたちが怪獣と闘っている時、信は勇気を探して怪獣の体内を探し回っていた。

 

 「勇気君 大丈夫か? いたら返事をしてくれ。」

 

 信は勇気を呼びあたりを手当たり次第に探っているが見つからない。

 

 そんな時ひときわ大きな衝撃が起こった。 怪獣が倒れたのか、信はまるでカクテルのシェイカーの中で振りまわされたかのように怪獣の体内を転げまわったが幸い怪獣の体内は柔らかく怪我を負うことはなかった。

 

 信が起き上がり周囲を見渡すと先ほどまでいなかった勇気の姿が見えた。どうやら先ほどの衝撃でどこかに挟まって隠れていたのが取れて出てきたのだろう。

 

 「勇気君!!」

 

 信が勇気に呼びかけながら地下づくが返事がない。

 

 首と口元に手をやり脈と呼吸の有無を確認する。

 

「よかった気絶しているだけだ。」

 

 信は安堵の表情で勇気を抱きかかえる。するとまた大きな揺れが起こり先ほどまで立っていたところが傾き立っていられなくなった。

 

 信は意を決して来た道を戻ろうと勇気を抱えたまま上に登っていこうとするが怪獣の消化液が滑り思う様に戻れなかった。

 

「このままじゃ勇気君も溶かされてしまうか。」

 

「今はほかに仕方がないか」と何か己に言い訳するようにつぶやくと信はウルトラマントラストへと変身した。

 

 変身したトラストは勇気を抱え怪獣の中を口に向かって飛行してく。

 

 ライブキングの口から外に出てるとトラストの目に真っ先に飛び込んできたのはMt.レディとオールマイトが闘ってる姿である。しかし2人ともかなり傷ついていてMt.レディの方はもはや戦える状態ではなさそうだった。

 

 Mt.レディに襲い掛かろうとしているコスモリキッドにトラストは巨大化すると同時に飛び蹴りを放った。その蹴りはMt.レディの眼前まで迫っていたコスモリキッドを吹き飛ばし彼女の窮地を救った。

 

 トラストは飛び蹴りの反発を利用してそのまま後方に宙返りして着地しその足でMt.レディに近づくと大事に手に守っていた勇気を彼女に渡した。

 

「この子をお願いします。 安全な場所まで連れて行ってあげてください」

 

 Mt.レディは最初、訳が分からなそうだったが、その手のあたたかな人のぬくもりにその命の尊さを思い出したのだろう力強く頷き勇気を手に守りながら後退していった。

 

 Mt.レディが後退していくのを見届けると丁度コスモリキッドも起き上がりトラストのもとへ戻ってこようとしていた。その姿は心なしか怒りに燃えているようにも見える。

 

 

 

 

 

 Mt.レディが後退するとそこには八百万たちがいた。

 

 「あんたたちが言ってた要救助者ってこの子のこと?」そう言って八百万たちに勇気を見せる。

 

 「そうですわ。ありがとうございます。」と勇気を受け取る。

 

 「もう一人いたはずなのですが」

 

 「あたしが預かったのはその子一人よ」

 

 Mt.レディのその答えに八百万は青くなり勇気を抱えたままひざをつく。

 

 そんな八百万に眼強は個性を使い怪獣を透視しつつ「怪獣の中にはもう誰もいないわ。きっと他の所に避難しているだけよ。」と八百万の肩に手を置き希望を持たせる。

 

 「それにしてもあの巨人一体どこからでてきたのかしら……」と眼強は一人ウルトラマントラストを見つめた。

 

 

 

 

 

 トラストは向かってくるコスモリキッドにパンチやキックなどの打撃で応戦していた。だがそれがあまり意味のないことだと知ってる。

 

 なぜならばトラストは何故か記憶がないにも関わらず怪獣とその怪獣と戦ったウルトラの戦士たちの知識があったからだ。

 

 それによればコスモリキッドは液体怪獣で単なる打撃ではたおせない。

 

 なのでかつてウルトラマンタロウがやったように冷凍光線、ウルトラフリーザーで凍らせて粉々に砕けばいいのだがもう一体のライブキングもまた強力な再生能力を持つためかなりのエネルギーを使わなければ勝てない。その二体を同時にたおせるほどのエネルギーがないトラストはどうすべきか思案しながら戦っていた。

 

 そんな風に気を散らせていたトラストはコスモリキッドの尻尾攻撃を脛にまともにくらってしまった。

 

 「っぐわ。」

 

 トラストが痛みのあまり膝をつくとコスモリキッドは容赦なく上から爪を何度もトラストの背中に叩きつける。

 

 「OKLAHOMA SMASH!!!!」

 

 そんなトラストを救ったのはライブキングと闘っていたオールマイトの拳の一撃だっただった。

 

 「もう大丈夫!! 私が来た!!」

 

 全然大丈夫そうじゃない姿で笑ってそう言うオールマイトにトラストは自分一人で戦っているのではないことを思い知った。

 

 「そうですね。そして俺もいる。 二人でならあの怪獣たちを倒せる。」

 

 そう言って立ち上がるトラストの肩にのるオールマイトは彼に問いかける。

 

 「何か考えがあるのか? ところで君はだれなんだ。新人かい?」

 

 オールマイトの問いに内心ドキッとするが彼の問いはスルーして作戦を説明した。

 

 「二体の怪獣はかなりの再生能力と液状化能力をそれぞれ持っていて生半可な攻撃はきかない、そこで俺が二体を凍らせます。その後ライブキング、イボのついた方を俺が倒します。オールマイトはコスモリキッド、角の生えた方の怪獣を倒してください。」

 

 「了解だ!! それじゃあ、怪獣退治といこうか。」

 

 「ハイ!!!」

 

 一番最初に動き始めたのはオールマイトだ。

 

 「TEXAS SMASH!!!!」

 

 彼は自らの必殺ブローをライブキングに叩き込んだ。ライブキングはたたらを踏んで後ずさる。

 

 オールマイトがライブキングを攻撃したことに気づいたコスモリキッドは彼めがけ鋭い角を向け突進していく。

 

 しかしトラストがオールマイトとコスモリキッドの間に素早く移動してコスモリキッドの頭を掴み受け止めた。トラストはここぞとばかりにコスモリキットを振り回し遠心力がたっぷり乗ったところでライブキングへと投げつけた。

 

 これには投げられたコスモリキットも投げつけられたライブキングも相応のダメージを受けたのか大きな鳴き声をあげる。

 

 二体の怪獣は怒りに燃え報復を目論み立ち上がろうとするがすでに手遅れだった。

 

 なぜならばすでにトラストが怪獣たちの方へ腕をのばしてウルトラフリーザーの構えを取っているからだ。

 

「ウルトラフリーザー!!!!!」

 

 二体の怪獣が立ち上がった丁度その時トラストは冷凍光線を二体に浴びせかける。

 

 怪獣たちは液体窒素に浸された薔薇の様に見る見るうちに凍り漬けになっていった。

 

 二体が完全に凍り漬けになったことを確認したトラストはライブキングを宇宙で再生不能にするためにライブキングを抱えて飛び立つ。

 

「オールマイト そちらの怪獣の破壊を頼みます。 俺は宇宙でこいつを倒します。」

 

 トラストが飛び立つのを見届けたオールマイトはコスモリキッドに向き直る。

 

 オールマイトはいままで以上に力を込めて一撃を放つ。

 

「TEXAS SMASH!!!!!!」

 

 まるで大型トラック同士が猛スピードで正面衝突したような凄まじい轟音が辺りを埋め尽くす。

 

 しかしコスモリキットは砕ける事無く罅ができたのみでその姿をまだ保っている。

 

「ぐっ 流石に硬いな!! だが私は〝平和の象徴″」

 

「街を破壊し人を殺す、平和を脅かすモノを私が放っておくわけにはいかない!!」

 

 オールマイトは力を振り絞り先ほど以上の力でコスモリキッドに拳を叩きつける。彼の流した血は霧となり赤黒く彼を覆っている。一見恐怖を連想させそうなものだが彼を見る者達にはその姿はとても気高く映った。まるで〝限界など等の昔に置き去りにしてきた。絶対に勝つ。絶対に守る″そう語りかけている様だった。

 

 オールマイトが拳を叩きつけるたびコスモリキッドの罅が広がっていく。

 

 十分に罅が入ったところでオールマイトは一旦、離を取りまるで自らの体ごと叩きつけるかのように最後の一撃を放ちコスモリキッドを粉々に砕いた。

 

「流石、巨大怪獣だな 砕くのに300発以上撃ってしまった。」

 

 怪獣を倒し満身創痍ながら雄々しく立つオールマイトに離れて見ていた緑谷たちが泣き笑いしながら駆け寄っていった。

 

 

 

 

 

 オールマイトがコスモリキッドを倒したころトラストもライブキングを宇宙まで運び決着をつけようとしていた。

 

 凍り漬けのライブキングを周囲に何もない宇宙空間まで運んだトラストはそこから少し離れる。

 

 ライブキングの爆発に撒きこまれない置まで下がるとトラストは胸の前で腕をXの形に組んで力を貯めこむ。

 

 貯めこんだ力を一気にエネルギーを放出できるようにクロスした腕を左右に広げてからT字に組み直す。

 

 ライブキングに狙いを定めトラストは地球に帰るためのエネルギー以外すべて込めた必殺の光線を放つ。

 

「エクストラストリウム光線!!!!」

 

 瞬く間に光線はライブキングに命中した、エクストラストリウム光線は宇宙の静寂を乱すこともなく静かに、だが星を揺らすほどの衝撃を周囲に伝えながらライブキングを骨も残さず蒸発させた。

 

 それを見届けたあとエネルギー消費を抑えるため赤い球体となり地球への帰路に着いた。

 

 トラストは地球に近づくにつれ宇宙から見る地球の美しさに見とれる。そしてその姿はまるで青い宝石の中に白い魂が溶け出して優しく守っている様だと彼は思った。だが同時にトラストは、初めて宇宙に来たはずなのに以前にもそう思ったんじゃないかとデジャヴュを感じる。

 

 そんな気持ちを振り切り八百万たちがいる河川敷に戻る。信へと変身する姿を見られるわけにはいかないトラストは少し離れた八百万たちから見えない死角で信へと変身すると皆のもとへ帰った。

 

 「おーい」と信は八百万たちのもとに駆け寄る。

 

 そんな信を真っ先に見つけたのは八百万だった。

 

 「信さん!」

 

 信に駆け寄り彼を抱きしめた八百万の目にははっきりと涙の後があった。

 

 「心配しましたわ。」

 

 信は八百万を抱きしめ返し謝る。

 

 「うん。 ごめん」

 

 「もうあんな無茶はしないでくださいね。」

 

 「ごめん。」

 

 抱きしめあう二人に呆れた眼強が「ずいぶん仲がいいのね。」と茶化すと八百万は顔を真赤にして信を突き飛ばす。

 

 「これは幼なじみとしてとても心配していたというだけで他意はありませんのよ。」と誰に向けてだか分からない言い訳をし始める。

 

 そんな時オールマイトが信たちのもとにやってきた。

 

 信はオールマイトの傷に驚いた演技をしてから心配する。

 

 「オールマイト先生その傷は!!どうしたんですか。 大丈夫なんですか?」

 

 するとオールマイトは信にサムズアップして見せにかっと笑い「こんな傷大したことないよ。」と言った。

 

 「私はこれから警察が来るまで残って事の顛末を説明するが、君たちはケガも無いようだし今日の所は一旦帰りなさい。」

 

 「関係各所からの事情聴取は後日にしてもらうからさ!!」

 

 オールマイトの気遣いに感謝して信たちは、今日は帰ることにした。

 

 「ありがとうございました。 お言葉に甘えて今日は帰ることにします。」と皆を代表して感謝を述べる。

 

 信は飯田たちと別れたことを八百万から聞くと飯田たちの安否確認もかねて携帯で連絡した。

 

 飯田はすぐに携帯にでてみんなが無事に安全な場所に避難していることを聞いたあと信は事情聴取が後日あることを伝え今日は解散して帰り休むよう提案する。すると飯田たちも相当疲れていたのかすぐに了承して解散することになった。

 





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