ただの青年(?)がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか。〜うん、間違っているだろうね〜 作:霧辻
「......あ?」
転移だとか、転生だとか、過程は違うが結局、本質としては同じだ。
今まで居た世界や場所から全く違う所に飛ばされるという意味としては。
それは異端な事で異質な事であってはならないようなものだと思う。
けれど別に俺は歓迎してます。
だから...この状況は......
「喜ばしいですね......はっはっはっ...」
この状況は、望んでいた事なんですよね......。
「いや!突然過ぎるわー!!?」
このあり得ない状況に大声を出す自分。
小説みたいに妙な浮遊感もなく、違和感もなく、
周りに変な空間が広がっていたわけではない。
突然前触れもなく、まるでそこに元々からいた様な感覚があった。
今のこの状況に適応出来ないからか、微かに頭が痛くなる。
笑える状況でもないし、かといって直ぐ諦めれるほどそこまで根性なしでもない。
とりあえずと、自分は気持ちを落ち着かせる為に深呼吸をする。
......空気が美味い...という感想しか頭に出ない自分は馬鹿なんだなと思いました。
大きな溜息をつき、しばらく立ち尽くしながら、ふと周りをみて見ると、
辺りには大剣やら何やら物騒な獲物を携える男性や女性が。
その屈強な人達は次々にあの馬鹿でかい塔へと足を進めている。
その塔には何となく異様な雰囲気を感じ取っていた。
「ともかく...だ、さっさとここの事を知らないとな...」
まずは情報収集。
ゲームやら本やらそんなもんは初めから事前的に情報が出入りしていつの間にか知るから初めてでもあらかた楽しめる。
しかし、こんな擬似ラノベ的展開が実際起こってしまえば、事前情報などは皆無に等しい。
だからゲームでは酒場やら情報屋から聞き出すのが当たり前だが......
「そうだ、金無いし...」
だがこういう現実では、一番の問題が金銭問題だ。
今手持ちの金が別世界で使えるとも限らない。
たまに日本金でも使える異世界モノはあるが、生憎とそこまでご都合主義な世界でも無いのだろう。
屋台の様な店の言葉を聞くと“ヴァリス”というのがこの世界での通貨の名称らしい。
おおよそ、1円が1ヴァリスとの換算で良いみたいだ。
その仕組みが同じなのはとても安心したと言わざるを得ない。
「......やはり足で集めるしか無いよな...」
コミュ障だから見知らぬ人とは話せません...。
そんな事も言ってはいられない状況なのだが、それを思うと自分はまだこのありのままの世界を楽しんでいたのかもしれない。
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「とは言え、何もないんだなー!これが」
今の時刻はこの世界の時計にあたる機械がわからないため分からないのだが。
日が下がっているのを見るとおおよそ午後6時から7時ぐらいだと思われる。
別にこれぐらい予想をしていなかった訳ではないのだが。
「......無理矢理元気出しても虚しいだけだった...」
誰か人手が欲しいのが本音。
せめてこの町の事を教えてくれる人がとても個人的には良いと思うのだが...どうだろう...?
あれ、誰に話しかけてんだ?
「ここもよく分からないし...廃墟か何かか?」
人気のない路地裏を抜けると、辺りには石で出来た建造物が崩れ落ち、放置されている謂わば廃墟が並ぶ場所であった。
カラスや鳥などの動物は滅多におらず、その崩れた建物の残骸には苔やツルがこれでもかと無尽蔵に四方八方に巻き付いていた。
今までの場所とこの場所に来た際に感じた共通点から見ると、
ほとんどの人工物は石に近しいもので出来ている事からこの世界はそこまで技術や経済に発達しているところでもない様だ。
そこはとても私的にして助かっている。
確かに今までいた世界では楽ではあるが、皆、何もかもを失っている様にしか見えなかった。
楽、は悪ではないのだが、しかし善だとも思わない。
技術の発達は人にとって、様々なものを向上させる一歩だがそれが自分にとっては破滅の道にしか思えないのだ。
「.........教会...?」
しばらく歩くとそこには比較的に周りとはまだ形がある教会らしきものがあった。
普通ならば目に留まらないそこら辺のものにしか感じないはずなのだが、
今だけは、凄く興味が惹かれた。
「.........」
そうして目を奪われていると
「.........あの...どうかなされたんですか...?」
背後に見知らぬ少年が立っていた。