「あ~、これも可愛いなぁ……。零哉はどう思う?」
よくは分からないが、御坂妹改め9985号を可愛くコーディネートすると燃え始めた美月に連れられて来たのはセブンスミスト。
「……どうしてこうなった」
「お兄様は女子力が高いのですか? とミサカは貴方に問いかけます」
「高い。無駄にっ!?」
ハームリムの赤眼鏡にピンクのリボン付きカチューシャ。シャツに赤いタイ、水色のノースリーブパーカー。チェックのプリーツスカートにスニーカー。月浦が見たのは夏らしい、そして常盤台の制服とはまた違った9985号の姿だった。
パーカーを勧めた月浦が言うのもなんだが、よくそこから可愛らしいこのコーディネートを作り上げたな、と半ば感心してしまった。
「美琴だと分からないように髪の毛もいじって可愛くしてみたんだけどこれが一番かな」
「妹にその女子力を分けてやれ」
「えー、美琴は美琴でセンスあると思うけど……」
ちょっと金銭感覚がおかしいんだよね、あの子。と苦笑いする美月。
同じ家庭で育ったはずなのにおっとりとした女子力の高い美月と活発で曲がったことが嫌いな美琴。この兄妹、色んな意味ですごいな、と思っても口にはしない。
「……良いんですか? とミサカはお兄様をで上目遣いで見ます」
「うん、良いよ。美琴のクローンも俺の妹でしょ? 妹にやることだから変わんないよね」
妹に甘すぎる兄の解答にちょっと嬉しそうな9985号。彼女の話を総合するに、美月の事はレベル5の能力者でオリジナルの兄と言う情報しか貰っていなかったらしい。そのため妹に優しく、コーディネートまでしてくれる美月を見て嬉しいようだ。
月浦にも弟分である海斗が居るが、彼とは血がつながっていない。遠いイギリスの住む従兄の妻の忘れ形見である。あの従兄がどういう経緯で海斗を預けたか理解しているが未だ解せないところもたくさんある。その分、クローンとはいえ血が繋がっている二人は羨ましかった。
「ところで零哉。カードの合計金額はどれくらいだった?」
「27万8000円だ。まぁまぁと言った所か」
「その二割を涼風に渡さないとねー」
涼風、とは月浦と同じくとある高校に通う涼風葉《すすかぜよう》の事だ。御坂母の友人の息子と言う関係である彼の能力は、原石能力者の中でも際立って特異な能力である。その能力で御坂に危険がないか常に探らせているのがこの兄、美月だ。
「いい加減お前は自腹を切れ」
27万8000円の二割は5万5600円。そして服代は大凡5万。つまりこれで十万は消えた訳だ。解せぬ。非常に解せぬ。
「まぁまぁ。あの葉があだ名で遊びまわってるって言うし、お金払った方が真面目にやるじゃん」
「そもそもアイツを選んだことが人選ミスだろ……」
青髪ピアスと言うニックネームでちゃらちゃらした格好をするクラスメイトを思い浮かべ、何でコイツなんだと思ったのは今日だけではない。四月から八月までの四か月で既に四十件近い職質を掛けられている人間だ。それなのに何故友人を続けているのか月浦自身不思議だ。だが、悪い奴じゃないのは分かっている。
「その方は、お兄様達のご友人ですか? とミサカは疑問を口にします」
不思議そうに首を傾げた9985号に美月はにっこり笑って、
「そうだね。どっちかと言うと悪友かなぁ」
「そうだな」
一方二人に噂されている青髪ピアス、改め本名、
何時もの彼ならば土御門や上条に絡んで行くところだが、生憎上条はまだ補修。何だかんだでいち早く補修を抜けてしまった彼は下宿先でバイトをするか、友人の妹の監視に勤めていた。しかし、それもすぐ飽きる。
「流石に半日は飽きるわ……」
オレンジ色に変わっていく空を見ながら一人ごと。
『暇そうだね~、涼風』
頭に響いた声は学園都市に来る前からの友人、御坂美月の声。彼の能力、
「僕ぁ、眠そうじゃないよ? 落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持っている僕がどうやって女の子とのフラグを立てるか考えてるんや!」
『おい! 一人女じゃないのが混じってるぞ!?』
「月浦は細かすぎるんや。それじゃあ、カミやんと一緒やで?」
クラスメイトの月浦のツッコミにすかさず返す。だが彼も深くは言わない。本名を名乗らず、あだ名で済ませる彼の能力名を知っているからだ。
『俺はどうでも良いんだけど、美琴の方はどう?』
「あの子ならクローン? と仲良くケーキとか紅茶飲んだ後、いきなり公衆電話に駆け込んだけど?」
『……え?』