「おい、月浦。お前今日暇か?」
同級生でクラスメイトの上条当麻の誘いに月浦は首を振った。
「済まないが知り合いから
「……お互い苦労するよな」
「だな」
帰り際、突然白井に呼び出された月浦は
「貴方にご協力いただきたいんですの」
渡された資料は最近巷を有名な凶悪犯罪のものだった。
「だがこれは御坂の方が良いんじゃないか?」
「それも充分考えましたわ。でもお姉さまはどうしても一人で行ってしまいますから……」
「なるほどな。それで俺に白羽の矢が立った、と」
月浦の能力は御坂の能力と違い、氷系統の能力である。レベル5とは言え、正直、協力してもあまり力になってやれるような事件ではない。
「貴方は過去に
「あんなのただの気まぐれだろう」
「あら、月浦は気まぐれで手を貸すようなタイプだったかしら?」
眼鏡をかけた黒髪の女子高校生が見ていたパソコンから目を離し、こちらへやって来た。白井の所属する第一七七支部の固法美偉である。
「げっ」
「げっ、てなによ。げって。中学まで一緒だった仲でしょ?」
話の通り、月浦と固法は何の縁か小、中学校はずっと同じクラスであった。勿論、我が道を突き進む月浦と学級委員長であり、しっかり者の固法では性格が合わなかった。だが、彼女が所属しているからと何度か協力したのは事実である。
「本当に中学まで同じ学校でしたの……?」
会話からあまり仲が良くなかったことが察せられたらしく、白井は気まずそうであった。
「残念ながら、な」
「それ、どういうことよ」
「そのままの意味で受け取ってもらって構わない」
「とにかく協力しなさい。一般人にはまだ被害者は出ていないけど、同僚はもう九人負傷してるのよ」
「九人、だと……?」
「おい。あまり言いたくはないが、これは
「……確かに。無差別なら一般人も巻き込まれておかしくないですわ。でしたら、「白井さん。今、衛星が重力子の急激な増大を確認したわ! 場所は第七学区のセブンスミスト! そのまま
場所を聞いて顔色を真っ青にした白井。事情を聴くに、あそこには今、御坂、初春、佐天が居るらしい。つまり、今回の
「……先に行く!」
「あ、ちょっと! 月浦っ!」
普通に歩いていては間に合わない。そう判断した月浦は自らの能力を発動させた。空気中にある水分を凍結させ、足場を作る。これを使うと、普通に見た限りでは宙を歩いて見えるのだ。普段は気にする通行人の目など気にせず、セブンスミストまで駆ける。
知っている人間が危ないのに、ほって置けるほど月浦は冷たい人間ではなかった。むしろ、無邪気に懐いてくる一年二人と素直じゃない御坂を好ましく思っている。それを口出さない彼も大概素直じゃない。
セブンスミストの向かいのビルに到達した月浦は、屋上から屋上へ渡ってセンブンスミストへ到着した。下には初春たちが避難させたのであろう人びとが心配そうにビルを見つめていた。
「くそっ! アイツらは何処にいる!」
上から順々に見て回っているが、中々初春たちの姿は見つからない。このままでは本当に犠牲者が出る。内心焦りながら、一つ下の階に降りると、人が居ないか確認している初春の姿があった。
「おまっ、月浦!?」
「何であんたがここに……」
同じ高校に通う上条当麻と第三位、御坂美琴が揃って階段を上ってきた。
「話は後だ。早くしないと爆弾が……」
「おねーちゃん。メガネかけたおにーちゃんがこれ渡してって」
携帯を耳に当てたまま、呆然とした様子だった初春の目がカエルのぬいぐるみを捉えた。
次の瞬間、女の子の持っていたぬいぐるみがメキメキと音を立てて縮小を始める。すぐさま、ぬいぐるみを遠くに捨てるとその場から飛びのいて叫ぶ。
「逃げてください! あれが爆弾ですっ!」
第三位が何もしない訳がない。爆弾ごと吹き飛ばそうと、彼女は自身の最大の武器で通り名の
瞬間、人形が極限まで収縮され、爆発した。
月浦は風紀委員(ジャッジメント)ではない