大海賊時代に降臨する拳王 我が名はラオウ!!   作:無機名

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 もっと短いまま終わると思ってたのですが、先は長い……。
 筆が乗ったので早く書けました。ところどころに穴が出てきた気がするけど、気にしない。

 書いている最中、リボーン・アシュラマンの
『数字はおなじ1000万パワーかもしれんが、現代の見てくれだけの悪行超人とは違い。わたしたちオリジナル悪魔超人は…鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!』という言葉を思い出してました。



第19話

・闇 対 北斗 の巻

 

 形容しがたいほど剣呑な空気がその一角を包んでいた。

 そんな空気を醸し出しているのは、空いた七武海の補填候補【黒ひげ】ことマーシャル・D・ティーチ。

 そして、七武海勧誘を利用して目的を果たした【拳皇】こと、ラオウ。

 

 その場所が住宅地ではなく、昼間のみ賑わう港の近くであったことは幸運であっただろう。もしも一般人がいたら、原因不明の……ラオウの"闘気"に当てられた昏睡者が山のように折り重なっていたことだろうから。

 

 しかし油断なく"闘気"を纏って居るラオウだが、落胆を覚えていた。

 幾千、幾万の軍勢を率いていた彼にとって、不意打ち、挟撃、謀略など常套手段であり。そんなことをとやかく言うつもりはない。始まりどんな形であろうと、戦う以上どうでもいい。どのみち、戦いは好物である。

 だがしかし、死兆星の気配をまるで感じない。何よりも求める死闘を目の前のモノからは到底望めそうもない。

 

【死兆星】:死期が近いもの、あるいは武人が闘争において敗北の運命を持った時に輝く星とされている。

 

 ただし、ラオウが求めている死兆星は『互角の拳を持つ強者相戦う時、その両者の頭上に死兆星輝く。』

 そんな北斗の言い伝え―――神にすら決着を読むことの出来ない死闘である。

 その究極の死闘と呼べる戦い。頭上に死兆星の気配を感じたのは、かつての世界では実弟:トキ。北斗神拳伝承者:ケンシロウ。今になって思い返せば、師父:リュウケン。彼らとの戦いの時だけであった。

 

 あくまでも稽古の範疇で戦った【英雄ガープ】、【赤髪】はさておき。純粋な勝負として戦った『世界最強』の名を冠したエドワード・ニューゲートのみが死兆星の気配を呼んでいた。

 ―――尤もそれは、ほんのわずかの間であったが……。

 

「……失せろ。貴様程度、不意打ち以外でこの俺と戦うことなどできん。」

 

 目深に被ったマントのため、表情をティーチに察することは出来ないが、ラオウは『興味がない』とばかりに歩を進めようとする。

 そもそも『究極の暗殺拳』北斗神拳を継承しているラオウに、どんな不意打ちも通じるはずも無いが……。

 

「おおっと、ちょっと待てよ。俺は別にお前と戦いに来たわけじゃあないんだぜ?」

「なぁにィ?」

 

 何を言い出すのかと、歩を止め、ラオウは不機嫌な気配を一段と強める。

 そのティーチの態度にどこかで見たような、既視感をラオウは感じていた。

 

「なぁラオウ。お前は『欲望を刺激し、束ね、武力と暴力。そして恐怖で支配・統一』……だったかぁ?

 ―――つまり…だ。野望に走ってたんだろ!?」

「……なるほど、やはりあの時、聞いていたか。それがどうした?」

 

 以前、【白ひげ海賊団】のモビーディック号に乗っていた時、【火拳】と【不死鳥】に自身の過去を多少語った晩酌のことをラオウは思い出す。あの時、たしかに気配を感じてはいたが、別に害が無いと放って置いていた。

 そして世紀末の乱世。どんなに腹立っていても、敵と分かっていても、戦闘に突入しない限り。相手が対話を望むならば、ラオウはとりあえず応じてきていた。

 今回もまた、とりあえずは話を聞くことしていた。

 

「おう、そこだ。俺の仲間にならねぇか!?この前、倒したエースを政府に引き渡した。

 そして俺が七武海になりゃあ、計画の完成まで後少しだ!!」

「……そうか。やはりあれは負けたか。」

 

 予測していたこと故に、大した感慨をもラオウは感じることなく、返答する。

 こうして聞いても、(忠告はしたのだから、聞かない方が悪い。)そんな感想しかラオウは持っていない。

 そんなことはお構いなしにティーチは続ける。

 

「そうさ、老いた"白ひげ"の時代はもう終わりだ。そして、俺が海賊王になる!!だが、お前ほどの力は惜しい。その力を俺の野望に貸せ!!」

 

 ティーチが求めるは"海賊王"―――この大海賊時代、誰もが夢見る称号。

 しかし、ラオウはこれを一笑に付す。

 

「過去の者と同じ名を求め、そのために他人から与えられる地位で力を得る……か。

 ……フン、小さいわ。」

 

 全ては己が力で、その生涯のうちで築く―――と、信念にするラオウにとって、過去の人物と同じ名を求める思考。

 まして他人の威を借り、力を求めるなどまるで理解できない。

 

 一方、野望に生きてきたのなら、野心があるのならば、確実に己の計略・計画に乗ってくるだろうと思っていたティーチは絶句する。

 

「―――んな!?」

「……そして、貴様。仮にも"親"と呼んでいた男をそうも言おうか?」

 

 反論を許さず続けたラオウの言葉は怒気をはらんでいた。

 結果が喧嘩別れとは言え、ラオウが認めた者をこうも言うのだから。その者の擁護にいたものが罵詈雑言を吐くのだ……。

 

「ゼハハハハ。……おいおい、『意見を違えた弟達』と闘って負けたんだろ?なあ、ラオウ?

 ……なら聞くけどよぉ。弟でそうならば、他の肉親はどうだったんだ?―――どうだ。俺と共にその弟達に借りを返さねぇか!?」

「・・・・・・っ!」

 

 気を取り直し、ティーチがラオウに持ちだした誘い文句はラオウを絶句させた。そしてラオウは思い至った。

 

(コイツはジャギ、アミバ。その他の下衆どもと同じだ。)……と。

 

 場の空気は完全に変わっていた。ラオウが放つものは怒気ではなく、殺気に変わっていた。

 

 北斗の4兄弟と呼ばれる内の三男:ジャギ。

 実力で遙かに差がある、ラオウと次兄:トキにおもねり諂い。一方で末弟のケンシロウには、訳の分からないプライドを振りかざす。

 そして修行時代から、己の拳を鍛えることなく、極めた北斗の技に比べたら遙かに劣る、銃などとくだらないものを頼りにするばかりだった。

 挙句、伝承者に末弟のケンシロウが指名されれば逆恨みをし、その名を騙り、名声を落としにかかっていた。

 

『漢たらねば、たとえ血を分けようとも兄弟たらず。』

 

 その信条故に、ラオウが弟と認めることはついぞなかった愚劣。

 

 目的が【覇者・拳王】として統一を目的としたラオウと利害が一致した故に遊ばせていたが、次兄:トキに嫉妬し、顔を変え、その名と地位を奪った下衆、アミバ。

 

 かつてのラオウの……【拳王】という名の影に隠れてくだらない我欲に走る小物。媚を売ることで出世を狙うドブネズミ共。

 

 それらと目の前にいるマーシャル・D・ティーチと言うブタは同じ。人を貶め、食いつぶすだけの下衆―――そう、ラオウは確信した。

 

「―――なるほど。貴様が言うように、このラオウ。養父であり、師であったリュウケンを我が拳で屠ったわ。」

「ゼハハハハ、やっぱりそうか。ならば俺達と「―――戯け。」……アァ!?」

「人がドブネズミの下に付くなどありえん。―――往ね。そして二度と俺の前に姿を現すな!!」

 

 親代わりの者と敵対した。―――そう言うならば、それは同じかもしれない。

 

 しかし、ラオウの腸は煮えくり返っていた。

 ラオウの戦いは信条、手段の食い違い。征く道が違ったからこそ起きた骨肉の争い。……だが、すべて拳法家としての死合いだった。すべて真正面からの勝負であった。

 

 それを仲間と呼んだ者を闇討ちし、当人が居ないことをいいことに悪態をつく目の前のドブネズミは、それとラオウの過去を同列扱いをした。

 

 荷物袋を肩がけ持ちのままにラオウは肩幅に足を開き、軽く臨戦態勢を取る。これは最後の警告であった。

 

 ラオウの前にいるゲスはそれを見て、片腕を上げて言う。

 

「ああ、残念だぜ。ラオウ―――」

 

[ドパパパァアアァン]―――銃声が響き渡る。

 

「ゼハハハハ、不意打ちでしか戦えない?―――なら、そうするまでさ!!」

 

 音を置き去りに弾が着弾するという、超遠距離からの狙撃であった。被ったマントで血は見えないが、マントに空いた穴から弾丸が眉間、喉、心臓とラオウの正中線を綺麗に穿ったことがうかがえた。

 ティーチが上げた手は狙撃の合図。撃ったのは狙撃手:ヴァン・オーガー。まさに神業の狙撃であった。

 ロギアの"悪魔の実"の能力者、あるいは特殊な超人系の能力者でない限り、即死。

 立っているが、ラオウの命はあと僅かであろうとティーチは思っていた。

 

[キン、キン、キン]

 

 下卑た笑みを浮かべながら、息絶え、倒れるラオウの姿を待っているティーチのその顔が、ラオウのかぶるマントから落ちる銃弾を見て引きつる。

 

 それをよそに、ラオウは語りながら北の空を指差す。

 

「………いずれ【白ひげ】が誅すと思っていたが、気が変わった。

 お前、北の空に連なる7つの星。北斗七星の脇に輝く蒼星。―――それが見えるか?」

「お、お前、死んでねぇのか!?なにをやった!!?」

 

 ラオウは無言のままである。

 

 使った奥義は【北斗神拳:操気術】"気"を自在に操れるという北斗の業。

 

 白ひげに撃ち込んだ【天破活殺】を始めとする、"気"の奥義の基礎とも言える。

 以前アルコル島で海賊に囲まれて、四方八方からの攻撃を受けた時に、それをいなしたのもこの奥義。その応用。

 ラオウはこの奥義を用いれば"闘気"の壁で弾丸はもとより、10トン単位を超える巨大鉄球でさえ手を触れずに押し返すことが出来る。

 たかだか銃の弾ごとき、ラオウには風に混じった砂粒程度のものでしかない。

 

「ウィ~~~ハ――――!!!」

 

 ラオウがティーチに注目している。油断しているのだろうと、ジーザス・バージェスが近くの建物を投げつける。

 

「フンッ!!」

 

 ラオウは持ち前の剛拳で一撃のもとに粉砕する。投げつけた大質量があっさりと砕かれたことに驚きながらも、バージェスはオーガーの狙撃を盾にラオウから一気に離れる。

 傷を与えることが出来ずとも、狙撃はやはり煩わしい。

 

「……まぁ、死兆星が見えていようがいまいが、お前らが死ぬことに変わりはない。」

 

 問いに対する回答は無い。そう考え、ラオウは辺りを見回す。その目線は他の黒ひげ海賊団が隠れている位置を正確に追っていた。

 ラオウが目の前に視線を戻すと、ティーチを中心に漆黒が、ヤミヤミの実の能力が発動していた。

 

「"闇穴道"!!……ここで使う気はなかったがなぁ、ラオウ。おれァ"闇人間"!!」

「…ほぅ…闇。」

「―――そうだ!!お前ほどの"覇気"を纏ってるヤツを飲み込むのは骨だがなぁ。このままお前を、この無限の重力で押しつぶしてやるぜ!!」

 

 それに対し、無言のままラオウは闘気弾の"北斗剛掌波"を放つ。だがそれは、再び現れたバージェスが投げ込んだ建物で防がれた。

 また、剛掌波によって建物が崩れる間に、ラオウにまとわり付いた闇は膝に近い所まで来ていた。

 

「ゼハハハハ!!お前がやれることは、もう分ってんだよ!!確かに"覇気"を撃ち出せるのはすげぇ。……けどな、それは直接のパンチにゃ及ばねぇ。

 そしてオヤジの体調を回復させたり、俺が雇った賞金稼ぎを殺したのは、ワの国にある針治療のようなものだろ?―――なら、近づかなけりゃあいいだけだ。

 ラオウ、お前ぇはこのまま何も出来ずに死ねよ!!!」

 

 白ひげとの戦い。自身がけしかけた賞金稼ぎの話と、その死体を見て情報を得たティーチは、ラオウの……北斗神拳の本質を荒削りながら把握していた。

 故にここで【黒ひげ海賊団】が取った戦術は『直接の接触は避ける。』そして、『"覇気"の弾丸などは周囲にあるモノを使って防ぐ。』というもの。

 

 離れた距離へのラオウの持つ攻撃手段はおおまかに"闘気"を撃ち出す"北斗剛掌波"と"天破活殺"。

 それを投げ込む障害物で防がれ、しかも闇に取り込まれる中では移動もままならない。傍目から見れば追い込まれているように見えるだろう。

 

 もっとも、ラオウにはティーチがまだ知らない。―――目の前の敵、全てを消し飛ばす秘奥義がある。

 しかし、この周りを囲まれた状況で大量の"闘気"を消費するそれを使えば、ほんの数秒ほどの間であるが、"闘気"による防御が弱まってしまい。その隙に先程から続く狙撃などによって大怪我を負うことが予測できた。

 ラオウにそんな相打ちなどを選ぶつもりなど毛頭無い。それを覚悟したのは過去に一度、その未知の拳に恐怖を覚えた末弟との戦いの時のみ。

 

 こうして、黒ひげ海賊団に意図していない部分が多々あるが、彼らの戦術は確かにラオウを追い詰めていた。

 ―――だが、この程度で屈するならば、北斗神拳は約2000年もの長きに渡って『地上最強の拳法』とは呼ばれてはいない。

 

「フン、『貴様の体に取り込む能力』と言ったところか……。

 "闇"などと大層な名。どんなものかと思えば、我が北斗神拳の敵ではない。」

 

 言いながら、ラオウは拳を闇の中に入れる。ティーチ達、黒ひげ一団には跪いた様に見えた。

 

「ん、ん~?跪いて俺に忠誠でも誓うか?ラオウ~~。」

「……"闘気"で……貴様の心臓を撃つ!―――どおりゃあ――っ!!」

「?……ぬぐ、がぁああぁ!!」

 

 ラオウの気合を込めて数秒、衝撃がティーチの胸を襲った。その一撃でティーチから出ている辺りの闇は霧散する。

 ラオウは致命傷を狙った。が、あるいは距離があったためか、大打撃を与えるまでにとどまった。それを察し、痛みでのた打ち回るティーチにトドメを刺すために、ラオウは一歩一歩近づく。

 

「例え秘孔を突けずとも、体に取り込まれるならばそれを伝って闘気を叩き込むまで。

 貴様の"闇"如きに、天空に輝く北斗の星を飲むことなど出来はせんわ!!」

「ぐ、グゥが……」

 

 後、数歩で必殺の間合いというところだった。

 

「―――船長、遅くなりました。」

 

 細身の男、ラフィットがティーチの傍らに着地する。

 それに遅れて、黒ひげ海賊団よりも遙かに強烈な二つの気配が来るのをラオウは感じ取った。

 

「…………。」

「よくも……よくもこの【聖地】を荒らしてくれたな。―――【拳皇】!!」

 

 無言のまま構える【英雄】モンキー・D・ガープ。【仏】の称号を冠する元帥:センゴク。

 海軍の生きた伝説と言える、二人の古強者がラオウの後方に立っていた。

 




 ラスボス候補vsかつてのラスボスでした。

 書いて改めて思ったけど、黒ひげと拳王様とでは格が違いすぎる。
 ティーチは幕間にあった。孤独な過去。などの理由があるのだろうけど、やってることは強者から逃げて陰口。"悪魔の実"と元から強いヤツなどの武器を手に入れる。手に入れた武器に頼って、自分を鍛えている描写がない。ただコスい。

 北斗の拳のキャラに当てはめれば、小ボスのジャッカル、ジャギ、アミバ。
 アレがラスボスってなら……やっぱり不満。

 一応、ラオウと双璧を成す。もう一人の北斗のラスボス:カイオウもティーチと似たような邪道を行ったが、黒ひげは拳法家として己を鍛えてるわけでなく、その脅威は"悪魔の実"という武器を持っているだけ。同じラスボスとしてはやはり小物と再認識。

 まぁ、何が言いたいかというと、ティーチは信条はさておき、手段が余りにも下劣かつ中途半端に過ぎるってことです。もっと壮大な野望をもった貫き通した悪ならばよかったのに……。

 連戦で海軍伝説の最強タッグチーム。……流石にヤバイかも。
 だがしかし、レイ、ケンシロウ、トキ、ケンシロウの4連戦を乗り切っている拳王様ならば…拳王様ならばなんとかしてくれる。
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