大海賊時代に降臨する拳王 我が名はラオウ!!   作:無機名

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 Warning!! Warning!!
 以後、強烈なアンチ・ヘイト、蹂躙が入ります。ご注意ください。




第24話

 場所は24番グローブ。億超えの海賊を死体とした男は、調度良く通りすがり海兵を見つける。その海兵がつける階級章は准将。

 

「ちょうどええ。報告せい。【拳皇】はどこじゃ?」

「ひっ、サカズキ大将!?」

 

 海軍大将サカズキは怯える姿に自身の派閥ではない事を確信すると共に、普段の己に怯えたのだろうと溜息をつく。

 その無様な有り様から察するに、おそらく将校は無法者の前から逃げ出したのだろう。

 普段のサカズキならば"即殺"であるが、今回は仕方がない。相手は世界政府の役人がバスターコールで葬り去ろうとした上、つい先日には海軍の上層部複数人とまとめて渡り合った【拳皇】なのだ。相手が悪すぎる。仕方がない。そう己に言い聞かせ、自重する。

 とりあえずは海軍に階級がある以上、質問に答えるだろうと思い回答を待った。

 

「!?何じゃい。その顔は・・・」

 

 しかし、准将は顔が歪むとともに、訳の分からない悲鳴を上げはじめる。

 

「あわ、あう……わ、あが、がばば……ぼぉおっ!!……けん……おう…………」

 

 そして肉体から血煙を吹き出し爆散。最期の一言を遺し、事切れた。

 その准将の遺した言葉は、返り血を浴びながらもサカズキの耳に届いく。漠然と理解した。これは――挑戦状。自分たち海軍、世界政府を【拳皇】があざ笑ったと。

 

「―――っ、おのれ拳皇!貴様だけは生かしちゃぁおかん!!」

 

 そのエリア、グローブ全てに海軍大将:サカズキの怒号が響き渡った。

 

 

・その報に激震する者達 の巻

 

 

 時をその怒号から多少、遡る。

 

「ふん、甘いことをぬかすから、バカどもがつけ上がる。・・・それで貴様は北斗の何を知っている?」

 

 隙を見たとばかりに襲ってきた衛兵たちを血風と肉片に変えて葬ったラオウは、甘いことを言った乱入者の老人【冥王】シルバーズ・レイリーを推し量る。

 北斗の名を呟いたレイリーにラオウの興味が向いたため、オークション会場の者達は天竜人とその衛兵のみならず、その場にいる海賊たちもまた開放される。そして彼らは各々に惨劇を引き起こした【拳皇】の技を考察する。

 

「―――なんだ。今のは……?」「悪魔の実か!?」「あ、あ、あいつ、ヤバイ……」

 

 その中で1人、ラオウの頭上に落下した長鼻はあからさまに怯えを見せる。

 また、威圧から開放されたのは観客達も同じだった。感情と恐怖のタガが外れた彼らは、各々思う限りに叫びながら会場から逃げ出す。

 

「て、天竜人を殺した~~~!」「海軍本部から"大将"と"軍艦"が来るぞ~~~!!」

「海賊が天竜人を手にかけた~~~!!」「にげろ~~~!」

 

「……このラオウをザコ共と、海賊と一緒くたにするな。」

 

 不機嫌なため息を吐きながら、ラオウは肩がけにした荷物の紐を持ち直す。

 

 周囲の者が【悪魔の実】と勘違いした技は、ラオウが左腕のみで放った北斗劉家拳―――北斗琉拳とも呼ばれる拳法の奥義。疾風の如き速さを持つ拳で秘孔を突く【魔舞紅躁〈まぶこうそう〉】。

 

 場にいる殆どの者には、突風とともに人が消し飛んだようにしか見えていないかった。悪魔の実と勘違いするのも無理は無い。――尤も、それをラオウ本人に言ったら、血の滲むような修練で身につけた業を手品扱いされた。と、怒り狂うことだろうが・・・。

 そんな中、おぼろげながらもラオウが何をしたか、数えきれぬ拳の弾幕を放ったと冥王:シルバーズ・レイリーだけは感じとっていた。

 

(…………これが、伝説の……)

「にゅ~、レイリー……」

 

 シルバーズ・レイリーが、ラオウの凄まじき技と覇気に唸っているところ、彼の記憶にある声がした。

 

「おお、ハチじゃないか!久しぶりだ―――その傷はどうした!?……ああ、言わんでいい…………成る程、ひどい目にあったな、ハチ。」

 

 警戒をしているが、今のところ敵意は持っている様子はない北斗の使い手のことはひとまず置いておいて、レイリーはその場を探り状況を把握した後、場を鎮めるために覇気を飛ばし威嚇する。

 それによって足がすくんで残っていた観客、ラオウに対する恐怖に竦み上がり最後まで戦いに参加できなかった衛兵が倒れた。

 

「会いたかったぞ、モンキー・D・ルフィ!」

 

(広く、薄く、弱く、ただ当てるのみ。"心の一方"に似た"気"の扱いか。

 しかし、モンキー・Dだと?……まぁ、いい。)

 

 老兵が発した技を考察しながら、ラオウは一つ疑念と嫌悪感を混じったモノを抱く。

 そして、レイリーが敵意を向けてはいないと判断を下し、蚊帳の外に置かれた事に多少の不満はあるが、少々気になった会話が聞こえる奥の部屋に踏み込んで行った。

 

 

 ・・・・・・

 

 

 聖地:マリージョア 海軍:元帥センゴク執務室

 

「「「「………………」」」」

 

 元帥:センゴク、海軍大将:青キジと黄猿、大参謀:つる。彼らは一様に黙りこんでいた。

 

『北斗……それは―――』

 

 先程、五老星から語られた伝説を改めて噛み締めていた。

 

「……あの話、信じられるか?」

「アレだけの事をやらかせるのだから、きっと事実だろうね」

 

 センゴクが思わず吐いた問いに、つるは先日の闘いを指し、冷静に返す。

 拳皇はゴールド・ロジャーの時代トップを張った二人と戦い、悪魔の実の力を借りずに"覇気"を打ち出すという超絶技巧を見せつけ、己の不利が決定的になった時点で見事に撤退を果たした。

 

 しかし、それでも、あの話はあまりにも衝撃だった。

 仮にその話を認めるならば、近いうちに起こるだろう【白ひげ海賊団】との戦争に用いるだろう海軍の戦力。その全てをぶつけないでもしない限り、たった一人であるはずの【拳皇】を打倒することは不可能なのではないか。そう、参謀:つると元帥:センゴクは見込んでしまっていた。

 そんな仮定を時間をかけて噛みしめる間もなく、彼らには新たな情報が飛び込む。

 

「センゴク元帥、大変です!!"麦わら一味"が天竜人を―――」

「……"麦わら"。また、あの小僧か……」

 

 グランドライン前半部でとんでも無い暴れ方をして来た海賊一味。それを率いる、腐れ縁の孫を思い出し、センゴクは額に手をあてる。

 情報を持ってきた将校は、続けて同じ場所に海賊;ユースタス・キッド、海賊:トラファルガー・ロー、加えて彼らの部下たちが居合わせた事。その場にいる賞金首の人数を報告。その後、現場と連絡が取れないことから、人間オークションハウスの者は全てやられた可能性を伝えた。

 

「何がどうであれ、世界貴族に手を出されて、我々が動かんわけにはいかんでしょう。わっしが出ましょう。すぐ戻ります」

 

 その報告に対し、黄猿が出撃すると言いだした。

 普段からこの男もまた、青キジに劣らずの、のらりくらりとだらけきったものだが、やる時はやるのだ。こいつが出向くならばなんとかなるだろう。そんな安堵の空気が生まれる。

 しかし、そこにまた別の情報官が駆け込んできた。その報告は緩んだ空気をあっさりと吹き飛ばした。

 

「元帥!!職業安定所の天竜人3名、うち2名が死亡!!犯人の容貌を推察するに、賞金額7億7千万ベリー【拳皇】です!!」

「「「!?」」」

「なん……だと……」

 

 全員が絶句し、センゴクでさえ信じられない。という表情を浮かべていた。そして、その後に続く報告で一同は愕然とする。

 

「――なお、同様の報告を聞いたサカズキ大将は、既にマリンフォードから出撃されました!!」

 

 その言葉に面々の気色は青くなる。相手が並みならば、これまで敵を文字通り灰塵に化して来たサカズキが出撃したのならば、この時点で皆、安心して茶でも飲み始めていただろう。だが、今回は相手の凄まじさ、危険性が度を超えている。むしろ、先ほど聞いた話から推察すれば、ガープとセンゴクの二人と渡り合ったことを考えれば、大将一人で戦えば返り討ちにされるだろう。

 背筋に冷たいものが走ったセンゴクは慌てて黄猿に命令を下す。

 

「黄猿、急げ!!【拳皇】とサカズキが戦うことをなんとしても避けろ。今の時点で我々は戦力を消耗することは出来ん。現場にもそう伝達するのを忘れるな!!」

「わかりました。行ってきましょう!」

 

 その伝説を五老星から聞かされてしまったからには仕方がない。だが、天竜人に対する役目・義務が海兵上層部にある以上、どうしようもないことも確かだ。

 彼らに出来る事は投入できる戦力を以って【拳皇】から受ける被害を何としてでも減らし、同時に体目だけでも何とか役目を果たさなくてはならない。そう動くしかなかった。

 

 

 聖地:マリージョア 五老星 執務室

 

 同様の衝撃を受けていたのは、海軍上層部のみではなかった。

 それは世界政府の頭脳、五老星たちも同様だった。それぞれが皆、暗い表情を浮かべていた。

 

「見誤ったな……」

「……ああ」

 

 思い出すのは先日のこと。あの時の一言を肝に銘じておけばこんな事にはならなかっただろう。

 しかし、彼らは死神の気配に圧倒されながらも気丈に立ち向かったのだ。その後に瑣末な手抜かりがあっても、それを誰が責められようか。

 

『北斗の拳は天帝の守護拳。英雄を密かに守護し、平和を祈る拳だ。―――天命に生きるものを殺しはしない』

 

 先日、現れた死神。ラオウはたしかにそう言った。

 ならば、世界政府創設者その英雄の血筋。それだけで【天】を名乗り、文字通りの傍若無人を通す世界貴族を―――天竜人をあの死神が前にすればどうなるか。

 

 あの時、ラオウは搦め手を使って己を手駒にしようとしたスパンダインの行動に怒り、わざわざ出向いてそれを始末し、報復のついでに世界政府最高責任者:五老星に釘を刺しに来たのだ。

 それらの行動を鑑みれば簡単に予想が付くことだった。【拳皇】がいる場所に天竜人が出向く事は何としてでも止めなければならなかった。

 

「……今、ヤツと戦えば、たとえ倒すことが出来ても、戦力を食いつぶすことになるな」

「前提が違う。それは『うまく行けば』という話だ。多分に我々は大将を失い。そのまま奴が再びこの地に踏み込んで来ることが考えられる。そうなれば……」

「世界政府は終わりだな。だが、悔やんでも仕方ない。そして、海軍のみではどうにもなるまい。―――どうする?」

「……それは、何とかして追い払うしかあるまい」

「何をバカな……追い払う?ふむ、そうか、なるほど……電伝虫を―――」

 

 北斗神拳の使い手とは過去、世界政府が相手取った、いかなる敵よりも絶望的な相手。それを理解していても世界政府の頭脳であり、最高責任者である彼らに退路はない。やることはただ知恵を絞ることのみだった。

 

 

 

 




とりあえず投稿……長くお待たせしました。
次は……未定。
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