バカとテストと緋想天   作:coka/

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バカテスト【数学】

問 以下の問いに答えなさい

『(1)4sinX+3cos3X=2の方程式を満たし、かつ第一象限に存在するXの値を
    1つ答えなさい。

 (2)sin(A+B)と等しい式を示すのは次のどれか、①~④の中から選びなさい
    ①sinA+cosB      ②sinA-cosB  
    ③sinAcosB       ④sinAcosB+cosAsinB』



姫路瑞希の答え
『(1)X = π/6
 (2)④    』

教師のコメント
そうですね。角度を『°』ではなく『π』で書いてありますし、完璧です。



比那名居天子の答え
『(1)    (無回答)
 (2)確か④だったはず』

教師のコメント
(2)は正解ですが、前後のコメントは必要ありません。
解答に不安があるのはわかりますが、そのまま解答欄に書かないようにしましょう。
それと、計算が面倒だからといって選択問題だけを答えないでください。



土屋康太の答え
『(1)X = およそ3』

教師のコメント
およそをつけて誤魔化したい気持ちもわかりますが、これでは解答に近くても点数はあげられません。



吉井明久の答え
『(2)およそ③』

教師のコメント
先生は今まで沢山の生徒を見てきましたが、選択問題でおよそをつける生徒は君が初めてです。



第7話

「初日は終わったって言ったわね? あれは嘘よ!」

「え!? 急にどうしたの天子?」

「いえ、何でもないわ」

 

 

中林さんとの交渉も終わり、今は放課後。

Fクラスの生徒は殆んど補習中だし、残ったみんなも鞄を持って帰ろうとしている。

ああ、そういえば学園長先生に呼ばれてたんだったわね。

 

「明久、私先生に呼ばれてるから、先に帰ってていいわよ」

「え、そうなの?」

「そう言えば、色々あって忘れてたが天子はあの後大丈夫だったのか?」

 

雄二が私の話を聞いて言ってくる。

 

「ええ、大丈夫だったわよ? 今回はそれとは別件だし」

 

寧ろそれ以上のことを引き起こしちゃったしね~

私の腕輪も返してもらわないといけないし。

 

「終わるまで待ってようか?」

「時間かかりそうだから別にいいわよ。じゃあ、またね」

 

そう言って私は教室を出たのだった。

 

 

 

 

 

 

所変わって、学園長室前。

 

私は身嗜みを整えて、その扉をノックする。

 

「誰だい?」

「比那名居天子です」

「ああ、来たのかい。入りな」

「失礼します」

 

許可を貰ったので私は中に入る。

中は広くも狭くもなく、普通の校長室といった感じだ。

正面の机には、老いてはいるが整った顔立ちの女性が居る。

彼女がこの学園の学園長、藤堂カヲルだ。

 

「よく来たね。思っていたより早かったじゃないか」

「ええ、早く腕輪を返してもらいたかったので」

「ふん、そうかい」

 

そう言って学園長先生は机の引き出しから、赤い腕輪を取り出した。

腕輪と言っても、ゴツゴツした大きめのものではなく、男性用のシンプルなブレスレットに近いものだ。

学園長はそれを机の上に置きながら、こちらに渡してくる。

 

「ほら、早く付けてテストしな。アタシも暇じゃないんだ」

「わかりました」

 

彼女のこの物言いには、私ももう慣れたものだ。

最初の頃はイライラしまくりだったんだけどね~

 

私は腕輪を受け取り、それを右の手首に付ける。

その間に学園長はフィールドを張ったようだ。

 

「じゃあ、行きますね? ―――試験召喚獣召喚、『試獣召喚(サモン)』!」

 

私が召喚獣を召喚すると、いつも通り私そっくりな召喚獣が現れる。

服装は昼間と変わりはないが、その手にはあの時には無かった剣を持っていた。

 

その剣は、まるで炎の様な赤黄色い刀身が特徴的な細身の剣だ。

持ち手は黒く、下には白い房のような飾り(剣穂って言うんだったかしら?)もある。

私はこの剣を『緋想の剣』と呼んでいる。

正式名称は長かったから忘れちゃったわ。

 

「ふむ、とりあえずは順調のようだね。今度は腕輪の起動をしてみな」

「はい」

 

私は先ほど付けた腕輪に意識を向け、起動用のワードを呟く。

 

「―――『緋想天(スカーレット)』」

 

私がそう言った瞬間、召喚獣の持つ剣が赤く発光する。

そして、それが瘴気や霧のようになり、私の召喚獣の周りに漂う。

 

いつも思うけど、召喚獣がオーラ出してるみたいよねこれ。

実際は剣から出てるんだけど……

 

「見た目的には前と変わりないし、問題はなさそうだねぇ。そっちはどうだい?」

「特に問題ないと思いますよ? 操作に違和感とかもないですし」

 

私は召喚獣に剣を振るわせる。

うん、大丈夫そうね。

 

「そうかいそれじゃあ次は―――――」

 

 

 

とそんな感じで私は戻ってきた腕輪のテストをしていった。

これ、帰りがかなり遅くなりそうね……

 

 

 

 

 

「ふむ、これで終了さね。ご苦労だったね」

 

いくつかの起動テストを終わらせ、私は少しグッタリする。

さ、流石に疲れたわ。この人、私にもフィードバックがあるの忘れてんじゃないのかしら?

 

「疲れているところ悪いが、まだ話は終わってないよ。先に本題を進めたからね」

 

ああ、そう言えばあのクズの件でも呼ばれてたんだったわね。

でも、たしかあの後……

 

「あのクズの件ですね? でもあれって、懲戒免職処分で即日解雇になったって西村先生に聞きましたけど?」

「そうさね。アイツはあんたが暴露した問題の他にも色々やっていたからね。今それが世間に発覚したらウチにとっては大問題だ」

 

まぁ、この学園は世界的に注目を集めてるからね~

そんな教師がいて、今のいままでそれを知らなかったってなるとイロイロ面倒よね。

だからさっさと処分したんだろうし。

 

「だから処分したと。それならもうそれは解決では?」

「アイツに関してはね。問題はあんただよ比那名居」

「私?」

「そうさ。今回あんたが暴露をしたことで、教師の情報や秘密を詳しく知っている可能性が高い生徒として、一部の教師から危険視されかけてるんだよ」

 

ああ、なるほど。

確かに私は噂を集めて真相を探ることがよくある。

まぁ主な理由としては、真実かどうかわからないのにその情報を鵜呑みにはしたくないからなんだけどね。

 

知識は力なり。

 

どっかの豚肉の塩漬け燻製哲学者の言葉だったと思うけど、まさにその通りよね。

 

で、その真相を探る際に、私は直接噂の本人に聞くことが多い。

例えそれが先生でもだ。

でも、今回のようにあからさまにヤバそうな噂の場合は、あまり本人に聞いたりはしない。

あまり関わったことのない教師なら尚更だ。

 

にも関わらず、噂の真相を知り、剰えその教師を退職にまで追い込んだ。

そんな私の行動力と情報網を、私をよく知らない教師陣が危険視してもおかしくはない。

 

 

でも、危険視するってことはなにか後ろめたいことがあるって言っているようなものよね~

それがどんなに小さな物だとしても……

 

「つまり、学園長先生は私にそれを話して忠告と自重をさせたいと言う訳ですね?」

「……あんたは本当に可愛くないねぇ」

 

あら、私に向かって可愛くないだなんて失礼ね!

確かにこの学園は容姿端麗な生徒が多いけれど、私みたいな美少女もそうそういないと思うんだけど?

 

「まぁ、そういうことだ。あんたも気をつけることだね」

「あら、珍しい。心配してくれるんですか?」

「ふん、誰があんたの心配なんかするもんか。アタシは実験台(モルモット)が減ると少し困るってだけだよ」

 

実験台(モルモット)って……

まったく、この人は本当に素直じゃないわよね。

明久の爪の垢でも飲ませてみたいくらいよ。

………それでバカになられても困るからやらないけどね。

 

「なんだい、その顔は?」

「いえ、何でもないですよ? とりあえず忠告は受けます。自重するかはわかりませんが」

「はぁ……。なら、これで話は終わりさね。さっさと出て行っておくれ。アタシはこれからさっきの結果をまとめなきゃいけないんだ」

「わかりました。失礼します」

 

そう言って私は学園長室を出ようとする。

 

「ああ、そう言えば。今日の試召戦争はどうだったんだい? まさか初日からやろうなんて考えるとは思わなかったんだけどねぇ」

「ええ、我がFクラスが勝ちましたよ?」

「ほぅ、そいつは良かったじゃないか。おめでとうと言っておこうかね」

 

あら、本当に珍しい。

学園長先生が褒めてくれるなんてね。

 

「それで? アタシの実験に付き合って、ある程度操作に慣れたあんたからして、他の奴らはどうだった?」

「全然ダメですね。点数もそうですが操作がまだまだでした。あれなら、『観察処分者』の明久にも勝つのは難しいでしょうね」

 

明久が確実に勝てるとも言えないけど。

 

「そうかそうか。まぁ、武器も持っていないあんたに勝てないようじゃ、そんなもんかね。わかった、もう行っていいよ」

「失礼します」

 

そう言って今度こそ私は学園長室を後にした。

 

 

 

 

 

 

あ~あ、もう薄暗くなってるじゃない。

早く帰らないと。

そう思いながら教室に入る。

すると……

 

「……ZZZ」

「………なんでまだいるのよ?」

 

明久が自分の卓袱台で寝ていた。

まさか、こんな時間まで私を待ってたの?

先に帰っていいって言ったのに。

このお人好しは……

 

「バカねほんと」

 

そう言って私は明久の頭をワシャワシャと少し乱暴に撫でる。

 

「……んあ? 天子?」

「あら、起きたの?」

「ああ、うん。寝ちゃってたみたいだね――って暗っ! もうそんな時間!?」

 

現在時刻は18時半。

この時期ならあと一時間もすれば、完全に日が落ちて真っ暗になるだろう。

 

「まったく、時間かかりそうだから先に帰って良いって言ったのに」

「いや、まぁそうなんだけどね……」

 

明久は少し気まずそうにしている。

 

「はぁ。とにかく、もう帰りましょ?」

「あ、うん」

 

私と明久は鞄を持って教室を出た。

 

 

 

 

 

「そう言えば天子。かなり遅かったみたいけど、何やってたの?」

 

帰り道、明久がそんな事を聞いてくる。

 

「ん? 気になるの?」

「いや、そりゃまぁね?」

 

………ああ! つまり明久は自分のせいなんじゃないかと思ってるわけね。

それも違うって言ったのに。

 

「だから違うって言ったでしょ? 私が呼ばれたのはコレのことでよ!」

 

そう言って私は腕輪を見せる。

 

「ブレスレット? ……ああ、召喚者用の腕輪だっけ?」

「そうそう。二年生になるからって、点検と調整をしてもらってたのを今日返してもらったのよ」

「ふ~ん。あれ? でもそれ昼休みの方が良かったんじゃない? そしたら、わざわざ武器無しで戦わなくてもすんだだろうし」

 

明久は、この腕輪が私の召喚獣の武器になっているのを知っている。

初めてこれを貰った時とかに、色々と付き合ってもらったしね~

 

「まぁ、試運転のテストとかもあったからね。だからこんなに時間かかったんだし」

「へぇ~」

 

それっきり明久はこの話に興味を無くしたようだ。

 

あ、そうだわ!

 

「ねぇ、明久」

「うん? どうかした天子?」

「私って可愛くない?」

「はい!? え、いや、ど、どうしたの急に!?」

「いえ、学園長先生にちょっとね」

 

実は意外と気にしてたのよね。

高校に入ってから告白とかもされなくなったし。

私、魅力なくなったのかしら?

 

「え、えっとあのババアに何を言われたか知らないけどさ。僕は天子のことすっごく可愛いと思うよ?」

「本当に? お世辞とかじゃないわよね?」

「本当だよ」

「そう、良かったわ」

 

明久が言うなら多分大丈夫ね。

一応美的センスだけは良い方だし。

 

「それにしても珍しいね。天子がそんなんこと気にするなんて」

「だって、ウチの学校美男美女が多いじゃない。そりゃちょっと自信もなくなってくるわよ」

「確かにね~。でも天子は心配することないって」

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。これ以上煽てても何も出ないわよ?」

 

出るとしたら次のお弁当が少しだけ豪華になる程度よ。

 

「いや、そんなつもりで言ったんじゃないんだけど……」

「冗談よ。………ふむ。明久、スーパー寄りたいから付き合いなさい」

「え? あ、うんわかった」

「じゃ、行きましょ!」

 

そう言って私は少し足取りを軽しながら、明久と共に買い物に向かい、帰路についたのだった。

 




はい、今度こそ初日が終わりを告げました。

さてさて、いかがだったでしょうか?
今回出てきたオリジナルの腕輪。
詳しい設定は、Aクラス戦や後日談が終わった後に出すつもりです。

一応軽く説明をすると、
・腕輪はブレスレット型で、黒金の腕輪みたいに大きくはない。
・腕輪を付けていると武器に『緋想の剣』が追加される。
・起動キーを言うと剣が発光し、赤い《気》の様な物が剣や召喚獣の周りを漂う。
・起動キーは『緋想天(スカーレット)

となっています。
まぁ、残りは追々話すとして、
起動キーはこれでよかったのだろうか?

いや、当て字を緋想天にするのは決まっていたのですが、なんて呼ぶかずっと悩んでました。

だって、スカーレットだとどうしてもあのカリスマ(かりちゅま?)吸血鬼とその妹様を連想するんですよね。
まぁ、今のところ彼女達は出てこない予定なので別にいいんですが……
(出てきたとしても従姉妹や親戚の子供とかそういうチョイ役だろうし)
結局、色々悩んだ末に違和感も無さそうなのでこれになりました。
ウェザーとかラプソディーとかレッドとかよりは断然マシでしょう。
因みに当て字は、緋色とか非想天、有頂天なんかがありました。
天人ではないので、後ろの二つはすぐに候補から消えましたがね。

と言ったところで、今回はここまでです。
次回からAクラス戦なんですが、その前に色々とあるので一回戦まで行けないかもです。

それでは、またお会いしましょう。
待て、次回!(今時このネタ分かる人いるんだろうか?)
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