かんぴょう戦記 ~地球防衛艦隊2200~   作:EF12 1

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かなーり間を開けた上に駈け足展開になります。
申し訳ありません。


9.任務遂行

   ――駆逐艦『カミカゼ』艦橋――

 

 

「『ナルト』から、目標地点の画像データが届きました。映します!」

 

通信士の声とともに、メインモニターに火星の表面が映し出された。

 

「ん‥‥」

「‥‥‥‥」

 

荒涼とした火星の大地に、地球・ガミラスいずれの意匠でもない宇宙船が、突き刺さるような姿勢で擱座している。

 

「原型を保ってますね」

「そうだな‥‥銀河間航行をこなすならば、あの位の強度があって当然なんだろうなぁ」

 

大村の感想に嶋津が返す。

 

「技術本部が目の色を変えるのもわかりますね」

「ん‥‥」

 

イスカンダルが地球に提供した波動機関=タキオン推進機関は、恐らくは地球の技術レベルに合わせた、イスカンダルでは熟成どころか枯れたレベルのものだろう。

しかし、あの船の主“サーシャ”は、イスカンダルの元首であろうスターシャの妹だという。

それだけのVIPならば、座乗船は船体・機関・居住性等、極めて優秀なはずだ。

 

「手を差しのべてくれたとこの技術を覗くのは気が咎めるがね。我々は悪魔と契ってでも生き延びにゃいかんのだ。

‥‥当座の詫びは“彼女”の遺髪と爪で勘弁してもらうしかないな」

「そうですね‥‥」

 

“彼女”――サーシャ・イスカンダル――の遺体は、あの時現場に急行した古代弟と島大介が仮埋葬したが、その際に遺髪と手指の爪が切り取られた。

それらは波動機関のデータと共に地球に持ち帰られ、今は彼らと共にイスカンダルに向かっている。

『ヤマト』の航海が終わり、地球が復興すれば、遺体を返還する事もできるだろう。

そのサーシャの仮墓は不時着現場から南東約20キロの所にある。

 

「‥‥‥‥」

 

遠き異郷の星で果てた救いの使者に、嶋津はそっと瞑目した。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「『ナルト』降下開始!」

「ん‥‥」

 

低軌道で待機していた工作艦『ナルト』が不時着地点への降下を開始した。

『ナルト』はこれより不時着宇宙船『仮称・サーシャシップ』の船体と脱出カプセルを回収するのだ。

 

「今回はサーシャ氏の遺体は収容しないんですか?」

「収容したいのはやまやまだけど、今回はそこまでのスタッフが集められなかった‥‥今は生きてる人間が優先さ」

「ですよね‥‥」

「それに、今の地球に彼女を連れていったら、“行方不明”にされかねんよ」

 

 

『ヤマト』発進後の地球は、比較的政情が安定している日本ですら、各地で治安部隊と市民の衝突が起き、死傷者が出ている有り様だ。

そんな所に異星人の遺体を持ち帰ったら、最悪、混乱に巻き込まれて所在不明になりかねない。

それはサーシャを冒涜する事とイコールである。

 

「残念ながら、そうなるでしょうね」

「‥‥‥‥」

 

二人の会話はそこで終わり、『カミカゼ』は宙域警戒を続けた。

 

ガミラス残党の襲撃が予想されたため、『ナルト』は調査後直ちにサーシャシップを吊り上げて艦体に固定。到着から35時間後には火星を離れた。

サーシャシップを艦外に固定した『ナルト』だが、そのままでは地球の大気圏に入れないため、月軌道上でドック艦『シリヤ(尻屋)』にサーシャシップを移し、新横須賀基地に到着した時、火星出発から4日が経過していた。

 

また、『カミカゼ』を含む護衛艦も任務を終え、帰還。

嶋津冴子は僚艦艦長と共に艦隊司令部に出頭し、土方に任務報告を行った。

 

「――嶋津」

「はい」

 

嶋津が司令官執務室を退出した時、土方に呼び止められた。

怪訝な表情で振り返った嶋津に、土方が続ける。

 

「“翠屋”の女将が亡くなった。‥‥詳しくは中島から聞け」

「‥‥わかりました」

 

即答する嶋津にしては珍しく、返答まで一呼吸を要した。

 

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