かんぴょう戦記 ~地球防衛艦隊2200~   作:EF12 1

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またもや間を空けてしまいましてごめんなさいm(__)m



ヤマト帰還作戦 前夜譚

──2200年5月の『第二次トムとジェ○ー作戦』で実戦に初投入されたプランツ(植物)級フリゲートは、参加した第1次竣工艦4隻がガミラス残党艦隊の中核戦力を殲滅させる事に成功。その後も3度出撃し、一連の戦果は駆逐艦10、軽巡6、重巡1、輸送艦1、補給母艦1の撃沈で、かつ喪失(全損)艦なしという好戦績を収めていた。

 

第1次竣工艦は、建造資材の都合で、計画されていた艦首波動砲ではなく、『ヤマト』の主砲と同型の陽電子衝撃砲を艦首軸線上に並列2門搭載して竣工したが、資源還送が進んで波動エネルギー伝導に不可欠なコスモナイト99が必要量確保できた事で、第2次建造の5~8番艦は計画どおり艦首波動砲を搭載し、7~8月に竣工した。

 

5番艦:ダンデライオン(北米管区)

6番艦:コイブ(欧州管区)

7番艦:カトレア(南米管区)

8番艦:マツ(極東管区)

 

また、既存艦の主機換装(波動機関化)と武装整備をセットにした改装のピッチも上がり、巡洋艦2、駆逐艦10隻が再就役。資源還送船団(○ム&ジェリー船団)の護衛についていた。

 

········だが、いいことばかりではない。

遊星爆弾による地中の放射能汚染はより進行。住民の人心荒廃もまた進んでいた。

特に北米内陸~東部沿岸や朝鮮半島、アフリカでは顕著で、通信途絶→全滅/絶滅と判定された地下都市も増え、『ヤマト』の出発から帰還までの間に“絶滅”した部族は10や20ではなかった。

そこまで悪化していない地区でも、人心の不安定に起因した治安の悪化は著しく、日本の各地下都市では一般人の夜間外出を制限しなければならかった。

当然、市民と警察や国連軍との衝突は日常茶飯事。少なくない数の逮捕者や負傷者はもとより、死者も出ていた。

かくのごとき事態に、市民はもちろん、鎮圧にあたる側も疲弊。自ら肉親や家族を拘束したり、遺体を見たらそうだったりで、錯乱したりその場で命を絶ったという悲劇もあちこちであった。

 

そして、ここにも疲弊した者が──。

 

「········」

 

国連軍極東管区日本地区の中央司令部には、今日も沈鬱な空気が漂っていた。

毎日どこかで暴動や小競り合い等の暴力沙汰が起き、死傷者が出ている。

「ヤマト」の出発から8ヶ月余り経つが、イスカンダルから帰還の発表はいまだなされず、絶望のあまり一家無理心中したという報せも散見され始めていたのだ。

そんな空気の中でも、国連宇宙軍唯一の艦隊戦力ともいうべき第二艦隊を預かる土方 竜は、次の出撃に向けた準備に余念がなく、この日も本部に出仕していた。

 

     のだが。

 

「何だお前は!?」

「ここをどこだと─」

「どけ!偉いさんに話があんだよ!!」

「おい、つまみ出せ!」

「やれるもんならやってみやがれ!」

 

出入口の方から数人の怒声が上がった。

司令部要員は眉を潜めるが、土方はなぜか軽く肩を竦めるのみで、その表情は僅かながら緩んでいた。

やんちゃくれが来たか、と言わんばかりに。

そして、

 

「いた····土方さん!」

 

先ほどの男の声──怒号以外の何ものでもないのだが──が真後ろで響いた。

 

「貴様、ここをどこだと思──」

「その男は私に用事があるのだ····聞こう!」

 

つまみ出せとの声に被せるように、土方が門戸を開いた。

傍らの藤堂司令長官も、離してやれと手を振る。

この場のツートップが認めた以上、この男を止める理由はない。無作法な闖入者達は正式な入室者になった。

オリーブドラブを基調とした陸戦服姿の彼らはその場で居住まいを正して一斉に敬礼するや、直後に、ボロボロのぬいぐるみを抱えたリーダー格らしき巨漢が一歩進み出、君は?と問う藤堂に大音声で応える。

 

「第207区警備担当、空間騎兵隊・斎藤 始!!」

 

207区と聞いたその場の要員達の間に、重苦しい沈黙が漂った。

その一帯は昨日、暴徒化した一部市民と斎藤らを含む治安部隊が衝突し、市民側に複数の死者が出た他、双方に100名以上の負傷者が出た。

特に、犠牲者の中に10歳に満たない子供が3名含まれていた事実が一層皆を滅入らせていた。

斎藤は姿勢を正したまま、叫ぶように意見具申!と切り出し、言葉を継ぐ。

 

「同胞に銃を向けるのは、もう真っ平御免であります!!」

「俺達の銃は、同胞を守るためにあるんだ!!」

「子供まで巻き込んで!····こんな地獄みたいな事、いつまで続ければいいんですか!?」

 

小脇に抱えていたぬいぐるみを土方に突きつけた斎藤の声には震えが含まれていた。

司令室を重苦しい沈黙が支配し始めた時、土方は斎藤に向き直り、

 

「私の友は必ずここに還ってくると言った····必ずだ!」

 

迷いや疑いを一片も含んでいない声で言いきり、斎藤は気圧される。

と、その時だ。

 

「長官!」

 

長距離通信担当の女性オペレーターが上ずった声を上げた。

 

「イスカンダル方面からのタキオン通信を受信しました!」

 

総員に緊張が走る。

 

「発信元は『ヤマト』か!?」

「確認しま····っ、ま、間違いありません、『ヤマト』です。『ヤマト』真田副長名で発信されています!」

 

その瞬間、どっと歓声が沸いた。斎藤も含めて。

 

「出よう、映してくれ」

 

土方と、国連軍極東管区司令長官たる藤堂平九郎がスクリーン前に立った。

一瞬の砂嵐の後、ノイズ混じりながら画面に『ヤマト』第1艦橋が映し出され、中央に白を基調とした制服姿の青年2人が立ち、挙手した。

 

『《ヤマト》副長、真田志郎です』

『同じく戦術長兼艦長代理、古代進です』

「ん····」

 

喜びに湧く一同の中、藤堂と土方は微妙な表情になっていた。

何故なら──。

これは太陽系帰還の第一声という重要極まる通信だ。当然、艦長自ら報告するのが当然だ。

にも関わらず、画面には艦長たる沖田十三がいない。

2人とも沖田の人となりは知り抜いている。多少の体調不良で引っ込むような男ではない。

だが、今はもっと大事な確認事項がある。

内心の動揺をおくびにも出さず、藤堂は尋ねる。

 

「早速だが、首尾はどうだね?」

 

一瞬おいて、真田が答えた。

 

『本艦はイスカンダルに到着し、スターシャ女王陛下より半完成状態のコスモクリーナーを受領。昨日、艦内工場で組み立てを終了し、試運転の準備中です』

「そうか····皆、よくやってくれた。ありがとう········疲れがたまっているだろうが、今しばらく頑張ってくれたまえ。地球は君たちの帰りを待っているのだ」

『はっ』

 

次いで──。

 

「········沖田はどうしている?」

『········』

 

画面の中の2人の表情が曇る。

 

『沖田艦長は、往路航海中に体調を崩され、治療を受けながら指揮を執っておられましたが、イスカンダル到着直前に体調が更に悪化され、現在は艦長室にて療養されております』

『コスモクリーナーの組み立てと調整の総指揮を私が執る事になりましたので、艦長と相談の上、古代戦術長を艦長代理に指名。復路における艦の指揮を委任しました』

 

古代と真田の答に藤堂と土方は頷いた。

その後は前回通信から後の出来事がデータと共にもたらされ、一同は驚きの声を上げるばかりだったが、通信の最後に、また驚きの声が上がった。

それは──。

駆逐艦《ユキカゼ》艦長、古代守の生存とイスカンダル残留、並びに石津副長ら、同艦の一部乗組員がイスカンダルに埋葬された事、彼らの遺髪を引き取った事だ。

 

「長官····」

 

通信を終えた後、土方は藤堂に向き直る。

 

「『ヤマト』帰還の支援のため、第2艦隊の出動許可と、全宇宙戦闘部隊の出動待機を発令していただきたい」

 

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