今回の体育祭は、原作と変化がないところは大体端折ると思いますが悪しからず。
なので、描写されてないところは原作通りと考えてもらっていいと思います。
それではどうぞ
「今回の体育祭、『霊』使うの禁止な」
相澤先生の言葉に僕は自身の耳を疑った。
「え、……今何て言いました?」
「だから、今回の体育祭、『霊』使うの禁止な」
——オーケー、落ち着け。まずは情報を整理しよう。
今回の体育祭、相澤先生の言葉を信用するなら、僕は今後の為に、なるべくいい成績を取らなければならない。
……しかしだ。あろうかとか、相澤先生は『霊』を使うなと言ってきた。
つまり、僕は霊を使わず、体育祭に参加することになる。
……うん。無理ゲーだわこれ。
斯くなる上は、こっそりとバレないように使えば……
「あ、使用しているのが見つけたら、『さっきの話』はなかったことにするぞ」
……ですよねー。
「まぁ、落ち着け。何も
そういって相澤先生は打ち拉がれる僕に助言する。
「お前が
そうだ。僕の『個性』にはもう一つの能力がある。
自分に霊を憑依させるのではなく、僕自身が相手に憑依するもの。
確かに相澤先生の言っていることは正しい。
「……だけど、僕。
「……そうなのか?」
「はい。中一に再診断した時に
「……まぁ、もう決まったことだ。諦めて、体育祭に向けて準備するんだな。……それより俺と会った時、急いでいたが、それはいいのか?」
——あ、忘れてた。相澤先生の話が衝撃的すぎて、本来の目的をすっかり忘れていた。
「それでは、僕はこれで!!」
直ぐに相澤先生と別れ、
——待ってろよ。幻の学食!!!
その胸に、期待と不安を込めて走って行く。
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相澤は、飛鷹伊が食堂に脱兎のごとく駆ける姿を後ろから見ながら、彼の焦心ぶりに苦笑を浮かべながら、校長との会話を思い出す。
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「……飛鷹伊の『個性』の制限ですか?」
「うん、そうだよ。その事を飛鷹伊君に伝えてくれないかな」
「……何が目的ですか?」
——『個性』の制限。本来ならば、雄英体育祭という、プロヒーローになる為の大事な足掛かりの一つである行事に、
ましては、それを運営側が勧めるなんて、明らかに異常なことである。
「う〜ん……君は彼の担任として知る必要があるかもしれないね……」
そこで校長先生は一息つき、再び話し始める。
「……これはUSJ襲撃後の話なんだけど、オールマイトが奇妙なハトを目撃した…………」
その後の話に相澤は目を剥いた。
そして、最初の伝言の意味を理解した。
「つまりは、飛鷹伊の『個性』……そのハトと、効果が類似する能力を詳しく調べる為に、もう片方の能力である『霊憑依』を禁止にするんですね」
——確かに理に適っている。……飛鷹伊は普段『霊憑依』の方ばかりしか、使っていない。もし、何も言わずに体育祭に臨んだら、『霊憑依』しか、使わないだろう。だから、
「うん。僕の推理通りだと、『ハト』は飛鷹伊君の母親……もしくはそれに近しい人だから」
「分かりました。……でも、あいつが
「それについては僕に考えがあるから、それを伝えてくれればいいよ」
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根津の考えは零に効果覿面であり、無事誘導することが出来た。
しかし、この選択が果たして良かったのか、それは根津であろうと知るところではない。
「……今年の体育祭は荒れるな」
相澤はそうポツリと言い残し、その場から離れていった。
その胸に、期待と不安が込めて、歩いて行く。
相澤の言葉には根津のような根拠や理屈は存在しない。それは長年の経験による勘のようなものだ。
だが、忘れてはならない。時に現実は予想の斜め上を行くものだということを。
……ちなみにだが、飛鷹伊が幻の学食を食べれず、世界の滅亡を願ったことをここに記しておこう。
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____体育祭本番当日____
『雄英体育祭‼︎ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る、年に一度の大バトル‼︎』
マイク先生の声が、会場を突き抜け、廊下を歩いている僕の耳まで届く。
『どうせ、てめーらこいつらだろ‼︎⁉︎——ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!——ヒーロー科!!1年!!!」
マイク先生はそこで一区切りつけ、今まで以上の声量で大きく叫ぶ。
『A組だろぉぉ!!?』
マイク先生の声が会場全体に響き渡り、僕たちはその言葉を合図に会場に入場していく。
「わあああ…人がすんごい……」
僕の前を歩いていた緑谷君が僕の気持ちを代弁していってくれた。
——いや、本当に多くないですか……何万人いるんだろう?……というか、何故そんな人数が入る会場を雄英は所有していることもおかしいと思う。この規模の会場が二年生と三年生の会場として後二つは確実にあるっていうことでしょ。……今更か。よく考えると、入試の時は、町規模の舞台を使っていたわけだし。
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか……!これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな」
飯田君が、相変わらずポジティブシンキングをしているが、僕には到底真似できない。……その才能、僕にも少しぐらい分けて欲しい。
そんなことを考えていると、他のクラスも入場し終わったのか、周りは静かになる。
「選手宣誓!!」
朝礼台では、ミッドナイト先生が形式的な言葉を高らかに放つ。
「選手代表1—A爆豪勝己!!」
——爆豪君が選手代表なんだ。彼あまり、ヒーローらしくないよね。……僕が言える事じゃないけど。てっきり、飯田君とか八百万さんとかが代表だと思っていたんだけどな。
爆豪君は、両手をポケットに突っ込んだまま、壇上に上がり、気怠そうに宣言する。
「俺が一位になる」
爆豪君の爆弾発言に会場が騒然とし、選手達から顰蹙をかう。
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
そして、何を思ったか、反発する選手達に追い打ちをかけるように放った言葉は、会場は悪い意味でヒートアップしていく。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!!」
——え、もうですか……普通あるでしょ。こういう行事だったら色々……
僕の心の叫びは、当然誰にも届かず、無慈悲に進行していく。
「いわゆる予選よ!毎年多くの者が
——楽な種目来い!楽な種目来い!楽な種目来い!楽な種目来い!楽な種目来い!
「コレ!!!」
ミッドナイト先生の奥のモニターには【障害物競走】の文字があった。
僕はそれを確認すると、胸を撫で下ろした。
——一番嫌いな【長距離走】とかじゃなくてよかったー。……障害物競走ならば、そこまでの距離走らないし、大丈夫だよね。
僕は最悪の予想が外れた事に安堵を覚えるが、次のミッドナイト先生のルール説明により、それは、消え失せる。
「計11クラスでの総当たりレースや!コースはこのスタジアムの外周
——いや、長いわ!!何その障害物競走。長距離でもそんな走らないぞ!!
そんな僕の絶望を知ってかどうか、ミッドナイト先生は更に説明を続けた。
「我が校は自由さが売り文句!ウフフフ……コースさえ守れば
—— うん?……『今なんでもしていいって』言ったよね、……言ったよね!!……だったら、策はある。
「さあさあ、位置につきまくりなさい……」
その言葉を契機に生徒達は我先へとスタート位置に集まる。
少し出遅れた僕はあまり、前に行く事が出来ず、だいぶ後ろの方に来てしまった。
僕が先頭を見上げると同時に、スタート位置の前の門がカウントダウンを開始する。
一秒一秒と秒が進むと同時に、選手達の緊張も、会場のボールテージも上がって行く。
そして遂にその時はきた。
『スターーーーーーート!!』
今、雄英体育祭が始まった。
今作の体育祭を一言で表すと『類は友を呼ぶ』です。
もし、よかったら誤字・脱字の報告、アドバイスなどドシドシ送って下さい。