無機質な床を駆ける足音をあちらこちらからのモーターや機械の音がかき消す。幸いにも奴らには気づかれていないようだ。周囲の哨戒を怠らず確実に素早く歩みを進めることが必要な場所。
そう、そこは戦場であった。
「ザザッ--あー聞こえる?3号 こちら1号」
3号、正式名称 newカラストンビ部隊隊員3号、少年はそう呼ばれていた。
無線付きの耳当てから聞こえる音声に少年は耳を傾ける。
「次の十字路右ねー広場に敵が3匹 向かって右 右奥 左奥にいるからやっちゃってー」
オペレータの指示と言うにはあまりにもおおざっぱな指示だったが少年は意に介さなかった。
彼女からの指示はいつもこんな調子である。
それに、わかりやすくはあった。
少年は町の地下にあるタコツボバレーに潜むタコ軍団、オクタリアンのアジトに居た。当然少年はよそ者、むしろ敵対勢力のアジトである。
単独での潜入任務、デンチナマズという敵の動力源の回収、敵アジトの破壊、それが少年に与えられた任務であった。
敵哨戒兵の補足情報を1号から伝えられた少年は角を曲がり駆けた。
少年は走りながら特製のカスタムベルトから”ボム”を取り出す。少年の持つボムはスプラッシュボムと呼ばれるタイプのものである。タイマーで広範囲に爆発するものだ。部屋に突入する直前、少年は左奥にボムを投げ込んだ。
カランッコロンッ.... ピッ...ピッ..ピッ.ピッ..
突然の敵襲に敵の陣形が乱れる、少年の狙いどうり視線の誘導は成功し、背後からの急襲で瞬く間に右翼2匹を撃退、続く3匹目も少年の敵ではなかった。
「おっけぇーい! デンチナマズ近いよー!」
「タコゾネスいるよ 気ー付けて」
1号とは対照的にあまり抑揚のない声が無線から聞こえる。2号である。2号からの指示に銃を持つ手に力が入る。
”タコゾネス”自分たちと同じように人型化できるオクタリアンの精鋭である。戦闘能力は高く、先制攻撃による速攻が決まらなければ面倒なことになるだろう。
---”決まらなければ”の話ではあるのだが。
純粋な運動能力、射撃能力、判断力あらゆる面において少年は天才であった。
反撃の隙を与えず一方的に蹂躙する。それこそ相手が女形であるということなど一切意に介さず確実に仕留める。やられる前にやる、それが戦闘における少年の信条である。少年が通った後の廊下にはぐったりと横たわるタコゾネスの姿があった。
「うんうん 3号イカしてるねー」
「デンチナマズ回収よろ~」
---これはヒーローを夢見た少年の物語である---
イカした勇者の奮闘記