もしもボスが大きかったら(たいたんてき)   作:青川トーン

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信じて

 巨人型セルリアンの一体が文字通りに地に沈む。

 

「足元注意であります!」

「まんぞく……」

「さっきの゛おかえし゛だよ~」

 

 フェネックとプレーリーとスナネコが掘ったトラップに見事に引っ掛かって身動きが取れなくなったセルリアン、そこへカバとシロサイが突進。

 

「いきますわよ!」

 

「おまかせください!」

 

 巨人型セルリアンは内側の空間に『石』を持つ為、特殊な武器でも使わなければまともに倒すのは苦労だ。

 

 だが苦労するだけで倒せない訳でもないし、まともにやらなければいい。

 

 カバがその凄まじいパワーでシロサイを押し、勢いを増したシロサイが角(ランスチャージ)でセルリアンの一体を粉砕する。

 

 

 残る二体のセルリアンは仲間をやられた事に気付き、すかさず『砲』を手にするが、遅い。

 

「こう『忍び』っぽい事で皆の助けになれるのは、やはりいいでござる」

 

 景色に紛れていたパンサーカメレオンが既に『包み』をセルリアンの『砲』に詰め込んでいた。

 

 

「それは使わせないのです」

「危ないものは『ただしく』対処するのです」

 

「我々は賢いので」

「我々は賢いので」

 

 耳栓をした博士と助手が『ボタン』を押すとセルリアンの砲を壊すには十分な威力の爆発が起きた。

 

「数に限りのある貴重な『遺物』ですが、パークの危機に使わずしていつ使う……という事です」

 

「そういう事なのです、しかし博士……耳栓をつけていてもこれは……」

 

「つらいのです」

「つらいのです」

 

 このパークで『ヒトの道具』を正しく取り扱いできる者は仕事を果たし、次へと繋ぐ。

 

「こう強いだけがリーダーじゃないんだけどさ~……強さの証明もしなきゃダメなんだよね~」

 

「うむ!」

 

「……ヘラジカはさ~……まあいっか……」

 

「まあリーダーは大変という事だな、いくぞ!」

 

 ライオンとヘラジカが飛びかかり力任せに一体のセルリアンを引き倒す。

 

 引き倒された味方もろとも叩き潰そうと腕を振り上げるセルリアン。

 

「いまです、ラッキーさん!」

 

『了解、プロトコル2-任務の執行』

 

 だがその腕が降り下ろされるより早く、セルリアンの背後からLBが『丸太』を突き刺して石を破壊。

 

 

 

「今だよサーバル!」

「石を砕くんだ!」

 

 ライオンとヘラジカが引き倒し、他のフレンズ達が群としての力で地面に押さえつけたセルリアンの『装甲』を、ジャガーとオオカミ抉じ開ける。

 

「みゃみゃみゃみゃ……みゃあああ!」

 

 サーバルはハシビロコウの持っていた『槍』を借り、大ジャンプからの落下の勢いを乗せてセルリアンの石を貫く。

 

 これで三体の巨人セルリアンは全て倒された。

 

 

 

「やったのか?」

 

『ヤッタネ。』

 

 作戦を立案していつでもカバーできるように待機ヒグマと作戦の為にフレンズ達に呼び掛けたラッキービーストが茂みから現れる。

 

『セルリアンの反応、消失』

 

「こっちも見当たらないのだ!」

 

 

 LBはレーダーで周囲を探るが地上にセルリアンはもう居ない、と判断してハッチを開く。

 

「……」

 

 そしてLBから降りるかばんの表情には安堵と、少しばかりの寂しさが混じっていた。

 

「かばんちゃん……!」

 

「大丈夫だよ、サーバルちゃん……僕は……」

 

 

 ハッチの上で向き合うサーバルとかばん。

 

 かばんの心にはこれでパークの危機は去ったという安心と、しかしサーバルと別れて海の向こうへヒトを探しに行かなければという寂しさ、それでも行こうと決めたその時だった。

 

 

『警告、警告、セルリア――』

 

 空から凄まじい速度で巨大な影が近付いてくる。

 

 それは『ノーススター』と呼ばれる飛行型タイタンを模したセルリアン。

 

「かばんちゃっ……」

 

 『フレンズ』としての目のよさでそれに気づいた時にはもう遅かった、避ける間もない、かばんはそう判断するとサーバルを力の限り、突き飛ばした。

 

「ありがとう、サーバルちゃん」

 

 衝突の直前にかろうじてLBのハッチが閉じる。

 

「ーッ!?」

 

『%#*@警告…けいこ…重大な…そんしょ…損傷……パイロットに危機』

 

 もしLBのシールドがなければ、もしかばんがフレンズでなければ今の一撃は防げなかった。

 

 それでも危機には変わりなく、かばんとLBは大きなダメージを負い、セルリアンに拘束されて凄まじい速度で地面を引き摺られているのにも変わりはない。

 

「らっキーさ……ん、れ…レーザー…を!」

 

「りりr了解」

 

 背部のレーザーでセルリアンの目を撃ち抜いた事で拘束が緩み、投げ出されて地面に叩きつけられるLB。

 

 

『多数の深刻なダメージを検知…検知……戦闘ぞっこ続行に支障、プロトコル…エラー…脱出を』

 

「ラッキーさん……今まで……色々助けてくれてありがとう…でも…僕は……まだ戦うよ」

 

 少しマシになってきた痛みを堪えて、かばんはLBのコックピットにある一つの『武器』を手にする。

 

 『スマートピストル』と呼ばれる銃を手に、かばんはLBのハッチに手を掛ける。

 

『……非常用プログラムを起動……プロトコル3-パイロットの保護。かばん、私はもうパイロットを失いたくはありません』

 

「ラッキーさん……」

 

『信じて』

 

 非常用プログラムに切り替え、再び立ち上がるLB、しかしダメージは消える事なく、左腕はひしゃげ、各部からスパークの走る痛々しい姿だ。

 

 対するセルリアンも先程の一撃でダメージを受けており、空には飛べない状態だ。

 

 

 

「レーザーコアは……使えますか?」

 

『1秒の間、使用可能です』

 

「わかりました……準備して下さい」

 

『了解』

 

 

 そして、最後の戦い。

 向かってくるセルリアンを見据えるかばんとLB。

 

 取るのは迎え撃つ為の構え。

 

 タイタンとパイロットの強みはパイロットの考えをそのままタイタンが実行に移せる事。

 

『かばん、三人での旅、楽しかったです』

 

「……ラッキーさん!何を!?」

 

 そして、絆。

 

『プロトコル3、パイロットの保護』

 

「ラッキーさん!!」

 

『信じて!』

 

 脱出装置を起動、上部ハッチを強制排除し、シート諸ともにかばんを上空へと飛ばすとLBはセルリアンに組み付き。

 

『レーザーコア・オンライン』

 

 密着したままで胸部から最大出力のレーザーを放つ。

 

 光はセルリアンの表面を焼き尽くして沸騰させて石を露出させ。

 限界を越えたLBのリアクターは大爆発を起こし、セルリアンを吹き飛ばした。

 

「ラッキーさん……」

 

 ジャンプキットにより、着地したかばんが見たのは燃える残骸。

 

「かばんちゃああああん!ボスうううう!!」

 

 そして走ってくるサーバルの姿。

 

 そこでかばんは気を失った。




後エピローグが残っています(タイタン特有のエピローグ)
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