…はぁ、リュウヤと付き合うなんて夢にも思わなかったわ…
せめてこの付き合った事を高校の友達だけには言わないでおこう…
だって女子校に通ってる人が他の高校の人と付き合うなんて言ったら皆にイジられるし羨ましがられて自分も嫌になってくるだろうし…
あぁその面では困ったなぁ…。
そう思いながら自転車に乗って学校へ向かった。
今日もいつもの様な学校の風景。
女子校独特の甲高い声の皆の騒ぎ具合。
女子校で恋愛話なんてほとんど無い。
しかし本当に恋愛話なんてすると皆からの注目度が凄い。
私は今日もいつもの様に教室に入り自分の席に着き、友達と雑談をした。
すると、向こうの方からカオルがやって来た。
しかも何か私に言いたげな顔をしてやってきた。
…まずい、付き合ったのがバレたか?
と思っていたら、私の目の前にカオルが座った。
「…何?」
と私が言うと、何か心に決めた様にカオルは口を開いた。
「私、好きな人ができた」
「うおまじか、カオルってそんな好きな人できるキャラだったのか」
「それ酷いな?」
私の付き合った事を言われるのかと思っていたから、別の話題だった事に凄く安心した。
…それよりもカオルに好きな人ができた事に驚いた。
気になったのでカオルの話を聞くことにした。
「…で?どんな人?」
「別の高校に通ってるんだけど…」
「いやそうじゃないと先生好きになったのかと思うじゃんビビるわ」
「先生は絶対無い(笑)」
「だろうな(笑)」
それはそれで先生に失礼だと思うが。
カオルは、話を続ける。
「コウキっていう名前なんだけど、隣の共学の高校に通ってる人で…。」
「…おぉぅそりゃあ大変だ、共学って事はその高校に女子居るじゃん」
「そう、それ。だから困ってるっていうのもあるんだけど…」
「え?それだけじゃないのか?」
「そう、もう1人、ヒロヤっていう中学の時の友達が居るんだけど、そのヒロヤがどうも私の事を好きみたいでさ…。」
「うおー!ラッキーじゃんカップルなれよー(おい)」
「いや、私ヒロヤ嫌いなんだよ」
「まじか、そりゃあ大変だ」
「そう、それ。」
そんな話をしていると授業が始まるチャイムが鳴り、また次の休み時間にその話をする事になった。
私はいつの間にか自分の付き合った話の事よりカオルの好きな人の話で頭がいっぱいになり、胸の高まりが治まっていた。
授業が終わり、またカオルが私の席にやって来る。
「なーどうすればいいかなぁ?」
「…コウキに告っちゃえば?」
「いやそう簡単に言われてもさぁ、心の準備が全然出来てない」
「うーん、私だったら心の準備も無いまま告白するけどねぇ…」
その言葉にカオルは何かを察した様で、私の顔を目を丸くしながら見た。
そして少し間が空いてからカオルが口を開いた。
「…え、もしかしてユキって誰かと付き合っ」
「ぎゃぁぁぁその話は止めろおぉぉぉ!!!」
「あああユキが誰かと付き合ってるうぅぅぅ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
ついに…ついにバレてしまった、油断してしまった…
というか私が叫んだのが悪いのだが。
運が良かった事に教室内は私達以上に騒がしい人が多かったため、他の人にはバレていないようだ。
…あくまでも予想だが。
「…絶対他の人に内緒だぞ?絶対言うなよ?」
「うーん絶対言うわ」
「やめなさい(笑)」
「大丈夫だって、私意外と口硬いから。」
「そういうこと自分で言う人って大体口ゆるいわ」
「ああぁひどい信頼を失った」
「いや多分違うよ、多分。(笑)
カオルの事信じてるからね??」
「あ、はい(棒読み)」
「棒読みやめてぇぇ」
「大丈夫大丈夫(笑)」
…という事でなんとか約束は守ってくれそうだ。
まぁバレた所でどうって事も無いと思うのだが。
それよりもカオルの話を聞きたくなってきた。
「…で、カオルの好きな人の話は?」
「…あー、告白してくる」
「いや心の準備大丈夫か」
「まあ大丈夫でしょ」
「うおぉまじか、頑張れ(笑)」
意外とすんなり話が解決したと思い、ほっとした。
しかし本当にカオルは告白するのだろうか。
なぜか私の方が緊張してきてしまった。
次回もお楽しみに!