ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

28 / 69
柳木のマツ

 

ギィン!!

 

甲高い音を立ててマツと俺の剣が衝突した。

 

「…!!」

 

「どうしたどうしたそんなんじゃエースは狙えねえぞ!!」

 

確かにマツは強いと思う。

 

構え方といい、その所作と言い、武人としての強さが伝わってくる。

 

だが、力比べならば負ける気がしない。

 

そもそも、マツは明らかに細腕なので力なんぞ出るはずがない。

 

故につばせり合いならこちらは負ける気がしない!!

 

「そうらよ!!」

 

「…クッ」

 

力で押し切った後、マツに高速で接近!!

 

ヒュロリ

 

「!?」

 

俺の刀はマツを斬る、というあと一歩のところで空を斬ってしまった。

 

…今のは何だったんだ?

 

まるで、斬られるのが分かっていたかのような動きだった・・・。

 

「…もう終わりか?それではエースは狙えんぞ。」

 

(カチン)

 

意趣返しってわけですか?

 

上等ですなぁ!?

 

「テメエヌッ殺すぞゴラア!!“旋風スクランブル”!!」

 

さっきの准将を一撃で倒した“旋風スクランブル”を放つ。例え、少し身のこなしがよかろうと、この距離なら反応できまい!!

 

ヌルリ

 

しかし、それもかわされてしまう。

 

「チクショー!!何だテメエ、さっきからヌルヌル動きやがって!!ウナギかお前は!?俺の相手がそんなに避けるのが上手いわけねえだろゴラア!?」

 

「…先程から何を言ってるかは分からないが、お望み通りずっと避け続けてやろうか?ウナギのように。」

 

(カチン)

 

「テメエ絶対に斬る!!」

 

「…できるものならな。」

 

接近して斬りかかるが、それもかわされてしまう。

 

「…弱い。非常に弱い。噂の“辻斬り”も所詮この程度か?」

 

「ふざけんな!!ヌルヌルしてないでかかってこいオラ!!」

 

「…フム、ならばいかせてもらう。“柳下”」

 

「あ?」

 

すると、マツの身体がぼやけ、最終的には俺の視界から忽然と消えた。

 

(!?)

 

慌ててあたりを見回すが、マツの姿はない。心なしか生ぬる〜い風が吹いているような気がする。

 

「何だってんだ?」

 

「…“御岩”」

 

「え!?」

 

いつのまにか、マツは俺の後ろに立っていて、すでに大きく刀をふりかぶっていた。

 

「…フン!!」

 

「やべ!!」

 

ガン!!

 

刀と刀がぶつかり合う。

 

しかし驚くのはまだはやかった。

 

(押されている!?)

 

その一撃は、先程のマツの一撃はとは比べ物にならないほど重い一撃だった。

 

というか、このままだと押し負ける!?

 

(一体コイツのどこにこんな力があるってんだ!?)

 

「…不思議でたまらないようだな。おそらく、一体コイツのどこにこんな力があるってんだ。とか、考えているのであろうな。」

 

「テメエ!!」

 

そっくりそのまま心の中よみやがってこのサイコメトラーが!!

 

「…そっくりそのまま心の中よみやがってこのサイコメトラーが。フム、なるほどな。確かに、この力は読心術と言えばそうだな。」

 

「な!?」

 

こいつマジで心の中を読んでやがるのか!?

 

「…こいつマジで心の中を読んでやがるのか。まあ、半分正解半分不正解と言ったところか。この力はそんなものじゃない。」

 

「クッ!!オラア!!」

 

必死にその一撃を押し返し、刀を使って体勢を立て直す。

 

「…よく耐えきったな。普通の海賊ならば、私の細腕をなめてかかり、ここで斬り殺されるのだが、立て直すあたり、さすがは噂の海賊の1人と言ったところか。」

 

「それはどうも」

 

ふう、クールに、クールになるんだ。

 

何も考えずにに斬りかかったらおそらく俺は殺される。何か策を練らなければ!!しかし、今の一連の流れどこかで見たことがある気がするんだよな。

 

「…気を抜くと殺すぞ?」

 

「おわ!?」

 

いつのまにか接近していたマツにあやうく斬られかける!!というか、髪ちょっと斬れた!!

 

「テメエ、容赦ないな!?」

 

「…これでも、殺す気でかかっているのでね。もう少し警戒を出してもらえないかな?」

 

「ウ○トラマンと仮○ライダーの敵だってもう少しは待つ余裕あるよ!?」

 

「…やはり何を言っているのか分からないのだが」

 

「そうは言って、っと!?オッ、アブね!?」

 

情け容赦なくマツの斬撃が続く。そして、その一撃一撃はとてつもなく重い。

 

てか、ちょ、ちょっとたんま!!

 

「…させると思うか?」

 

「すいません、俺が言えなかったっす!!」

 

「…しかし、力を使えないお前がまさかここまで逃げるとはな。もしかしてすでに目覚めているのか?」

 

「一体何の話ですか!?」

 

くそう、相手の手が読めねえ!!よし、ここは一か八か!!

 

「もう一度!!“旋風スクランブル”!!」

 

不安定な態勢の中、どうにか“旋風スクランブル”を放つ。しかし、その一撃も簡単にヌラリとかわされてしまう。

 

まるで、本当に俺の手の内が分かっているみたいに。

 

攻撃の来る場所が最初から分かっているみたいに。

 

(…)

 

もし、

 

細腕から考えられないほどの力と、俺の攻撃をよけきる力が、同じものだとしたら。

 

1つだけ。

 

1つだけこんなことをできる力を俺は知っている。

 

「…ああ、それで正解だ。」

 

「え!?」

 

まさか、本当に!?

 

少将でも“アレ”使うことができるのか!?

 

「…改めて名乗らせていただこう。」

 

俺から少し距離をとり、マツは自分という存在を改めて名乗り出した。

 

「私はあらゆる攻撃を柳の如く受け流し、一方私が振るう剣撃は一瞬であらゆるものを一刀両断する!!この力は悪魔の実にあらず!!これは“覇気”!!私は“覇気使い”海軍少将“柳木”のマツだ!!」

 

さて、とマツがもう一度刀を構えなおす。

 

「これは、私が認めた相手しか名乗らない名乗り方だ。お前は私が名乗るにふさわしい相手だとみなした。ありがたく思え。しかし、それでも運命は変わらない。では、海賊。その運命にあらがってみせよ!!」

 

言葉をはくやいなや、今度はマツが突進してくる!!

 

「そうか」

 

未だ自分が未到達での領域“覇気”

 

そして、敵はそれを使う“覇気使い”

 

おそらくは勝てないかもしれない相手

 

だがそれがいい!!

 

強くなるために、少しは格上の相手とも戦わないとなぁ!!

 

「こい!!“柳木”のマツ!!」

 

俺はマツを再度迎え撃った。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。