「おい、エールとツマミできだぞ。さっさと行け。」
「ハーイ。」
というわけで恩人の酒場で数日間働かせてもらっているグンジョーです。
我が救世主の名はレッドさんというらしい。自己紹介をして知った。その時俺に自己の名前なんぞなかったが。
聞いたところによるとここは酒場のようだ。前世では、何のアルバイトもしたことはなかったが、まぁ、人並みには健康的な肉体をしているから、それなりには動けるし仕事の面ではおそらく大丈夫だろう。
ああ、そういえば一つ報告しなければならないことがある。
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!!
俺は今10歳前後の身長だ。
な…何を言っているのか分からねーと思うが(ポル略)
まぁ、説明のしようがない事実そういうわけだ。
目覚めた時から気になってはいたが、敢えて気にしないようにしていた。
俺の手はこんなに柔らかそうな手をしていたのだろうかと。
目測180cmあたりのレッドさんが見上げるようだったと。
その答えは簡単俺の身長が縮んでいたからだ。
レッドさんに言われて気付いた俺は、鏡の前で愕然とした反面少しうれしくもあった。
まるで人生そのものがリセットをしたみたいだ。まぁ、その通りなのだけど。
さて、
さっそくですが、拝啓クソ神様感謝しますこの野郎よくもやってくれやがりましたありがとうございますでございますですゴラァ。
…俺がここまで機嫌が悪いのには少し理由がある。
先日俺はとんでもないものを見てしまった。
それは、レッドさんの酒屋でアルバイト中、お客さんの読んでいた新聞のとある記事が目に入ったことがキッカケだった。
丁度頼まれていたエールとそのツマミをそのお客さんに届けた後、俺はそのお客さんに話しかけた。
『お客さん。ちょっと、その新聞見せてもらっていいですか?』
『あん?』
赤ら顔なそのお客さんは一瞬俺の顔を不快気に見た後、「すぐに返せよ」という発言付きでその新聞を渡してくれた。
その新聞の表一面に記載されていたものを俺はまさしく目を皿にするようにして一言一句逃さないように見続けた。
『世界政府、加盟国への外遊訪問中 ドラム王国にて国王と面会』
う そ だ ろ お い
『レッドさんレッドさーん!!』
すぐさま厨房に駆けこむと、丁度厨房から出ようとしているレッドさんと鉢あった。
『どうしたグンジョー。注文取り終わったんなら、新しい料理持って行けよ。あと、俺の事は店長とよべ』
『あ、分かりました店長。…じゃ、ないんですよレッドさん!!これは一体どういうことですか!?』
新聞(借りてきた。後ろで何か聞こえるが気にしない)の一面をレッドさんの顔の前に見せると、レッドさんはそれを払いのけながら、新聞に目を落とす。
『あ?こりゃあ、今日の新聞じゃいないか。これがどうかしたか?』
冗談じゃない!!
レッドさんは事も無げに言っているが、俺にとっては死活問題だ!!
『ここここここの世界政府ってのはどういうこと何ですか!?』
『あ?…あー、お前は記憶喪失らしいから言っても意味がないのかもしれないが、つまり世界を取り仕切っている奴らの事だ。普通に生きていたらまず関わることはねぇと思うから気にすんな。』
違う、今気にしていることはそう言う事じゃないんだ。
それよりももっと重要な事なんですよ。
『レッドさん、もしかして世界政府の下部組織に海軍っていらっしゃいます?』
『…お前、どうしてそんなことを知ってんだ?』
『えっ!!…いや、その!!人づてに聞いたんですよ!!』
一瞬心がドキリとしたら、適当に見寛う。
『ふーん、まぁいい。確かにあるぜ。けったいな政府の下っ端だがな。』
俺に注文の料理を渡した後レッドさんはケッ、と毒づきながら手元の焼き鳥の串を回す。
『あと、政府の戌と言ったら“王下七武海”ってやつらもいるぞ。あいつらは、海賊のプライドを捨て去った奴らで…ほとんどが名のある連中か、“悪魔の実”を食っているらしいが、俺は何も知らん。で、それがどうしたのか?』
『…ハハハハ。』
あるんだ“世界政府”、そして、やっぱあるのか“悪魔の実”!!
間違いない!!何という事だ。そううことだったのか。神の野郎分かっててやりやがったんだな!!
「ここは!!
『うるせぇ馬鹿野郎!!さっさと仕事しろ!!』
店にいる全員のツッコミが入った。華麗なるユニゾンツッコミでした。
それが数日前のこと
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「何か武術を教えてほしいだと?」
仕事終わりの早朝。
店じまいをしてから、貸し与えられている寝床である屋根裏にレッドさんを呼んだ俺は、思い切ってレッドさんに打ち明けてみた。
「ハイ、そうなんです。是非とも教えてほしいんです!!」
「お前、この前ドアホゥみたいに叫んでから妙だぞ?どこかそわそわして落ち着きがないというか、何かにおびえているみてぇだ。」
「いいえ、これからは護身術が必須ですよ!!この街を見てください。どう見ても何か技術がなければ生き残れないっすよ!!」
ここ数日だけだが、この街の特色はハッキリと分かった。
この街はヤヴァイ。
はじめてこの街に来た時に感じたあのまるで殺意そのものような雰囲気は実はあの場所だけではなく、この街全体を包んでいたことが分かった。
少し歩けば、喧嘩に始まり、追剥、強盗、スリ、殺しの現場何でも見つかった。そもそもそれがこの街の気質らしく、一言でいえば本編に出てきたジャヤそのものだった。
何かしら生き残るすべでもなきゃ、こんな街で生きていけるわけねぇだろ!!
「というわけなんですよ。お願いします!!」
「あ、うーん、でもなぁー…」
「うるせぇごちゃごちゃ言い訳してんじゃねぇ馬鹿野郎!!こちとらとんでもない場所に叩き込まれたと知ってから毎日気kが気でならねぇんだよッ!!どこから変な奴が襲い掛かってくるか分からないのに、こんな呑気にチンタラしてられるかい!!分かったらさっさと俺に戦闘技術を教えんかいデクノボー!!
とは言わない。怖いし、雇い主だし。…ちょっと思ったけどサ。
「あー、理由は知らねぇが、そういう経験なら、一応ある。」
「あるんですか!?」
「おう。といっても、心得程度だがな。」
「ぜひお願いします!!」
そう言ってレッドさんに土下座!!
待っていろルフィ!!
俺はお前に会いに行く!!
そして、お前のゴムゴムの頬をさんざんビヨビヨして遊んでやる!!
あ、ついでに出来れば仲間にして欲しいなぁ…。
と思っていたら手から棒がすっぽ抜けた。
「あ。」
ガシャンという悲しい音を立てて窓から棒がフライアウェイ。
「…給料から引いとくぞ。」
「…そうしてください。」
とりあえずは目の前の事をコツコツとしていこうか…
ワンピの本質はユニゾンに見つけたり。