「!!」
真っ先に異変に気付いたのは“白ひげ”エドワード・ニューゲートだった。
振りぬき様に手から振動を放出する。
フルパワーとまではいかにいものの、衝撃が2人に向かって放たれる。
しかし、
「おう、“グラグラの実”中々じゃあねえか。だが・・・まだまだじゃい!!」
ガープが突き出した正拳突きが振動にぶち当たり、そして
「ヌウイ!!」
振動の方向をずらしてしまった。
「何?」
「受け切らなくてもこうしてしまえばいまないぜ!!」
ガッハッハ、と爆笑するガープ。
しかし、そこに1人の海賊が現れた。
「ガープ!!」
「お!?」
<ドン!!>
ぶつかり合う拳と拳。
「うわぁぁぁぁ!!」
「船長から離れろ!!危険だ!!」
海賊団が避難する中で、
「久しぶりだなガープ。元気してたか!?」
「おおロジャー!!お前こそ最近暴れとるようじゃあないか!!」
この伝説コンビはガハハハハと笑っていた。
・・・うん、あそこはロジャーだけでいいな。
「おい!!“辻斬り”!!お前とも戦いたいが、生憎先客がいてな!!他の奴と適当に戦っていてくれ!!」
「言われなくてもそうするつもりだよ!!」
全く!!あいつと戦っていると、一瞬ここがどこだが忘れちまう!!
「・・・そろそろ私も動こうか。」
状況を冷観していたセンゴクが行動を起こした。
センゴクの体が巨大化をはじめ、そして体が黄金色の光を帯び始める。
「何だありゃあ!?」
海賊の1人が悲鳴を上げる。
しかし、それも無理はないだろう。
人を超えたその姿は、動物系とは全く違った・・・そう、神といっても差し支えないほどの存在だった。
ヒトヒトの実モデル“大仏”。
自然系以上に希少な幻獣種!!
「ヌン!!」
センゴクの手のひらからの衝撃波が放たれる。
「ぎゃあああああああ!!」
「お頭!!」
海賊達がそれに巻き込まれてゆく。
手下達が吹き飛ばされてゆく中、それをほくそ笑みながら見ていたシキも動き出した。
「ジハハハハハ!!中々面白くなってきたじゃねえか!!あいつは俺のエモノだ、“シシオドシ”!!」
獅子の顔を持つ土の波がセンゴクに襲いかかる
〈ゴガアアアアア!!〉
「ヌン!!」
しかし、それは衝撃波によって根こそぎ削り取られてしまう。
「チッ!!」
空に浮かびながら舌打ちをするシキ。
「あいつはヤベエな。真っ向からの攻撃じゃ俺の振動も効くかどうか・・・。」
「そこでなんだが、ついでにロジャー海賊団のみなさんもチョッち内緒話、コショコショ。」
「!?お、お前そんな簡単に言うができるのか?」
「まかせてー。」
「・・・まあ、やってみるか。」
よしっ!!決定。
ついでに、手すきなようなので、レイリーさんには港で船を用意してもらうように言っておいた。
「私も加わりたいが、うちの船長とお前らだけで十分だろう・・・。」
適材適所ってやつです。はい。
「中々の技だが、私には相性が悪い!!」
再度衝撃波を放とうとするセンゴク。
「じゃあ、こういうのはどうだ?」
「!?」
目の前の攻撃ばかりに気を取られてたらいけませんぜ!?
高速移動、高速接近、高速斬撃三拍子そろった俺を忘れちゃあかんで!!
「“爆風ナヴァスクランブル”!!」
「グッ!!」
至近距離で放つ大規模破壊技!!
しかし、その一撃もセンゴクは完全に防ぎきった。
「甘いな“辻斬り”。この程度で私に傷を負わせることができるとでも?」
「いやー、そんなこと思ってないよ。ね?みなさん?」
「ああ、その通りだな。」
「グンジョーさん準備オーケーっす!!」
センゴクが慌てて視線を目の前に戻すと、そこには振動を手に再度帯びさせた白ひげと、どこからか持ってきた大砲やらバズーカ砲をセンゴクに向けているロジャー海賊団の面々がいた。
「貴様等!?」
「いいけいけいけ!!」
「ウェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
<ドンドンドンドン!!>
<ズドドドドドドドドドドドド!!>
次々に着弾し、または振動の破壊力がセンゴクに叩きつける。
「・・・そろそろいいかなー?」
攻撃の影響でモウモウと上がる土煙。
いやー、よくしらんけどいくら大仏でもひとたまりもないはず。うん。
「そうだな。今度はこちらからいかせてもらおう。」
「!?」
馬鹿な!?
後ろに飛ぶ俺に向かって今度は衝撃波が襲いかかった!!
「グハッ!!」
衝撃波をもろに食らってしまった俺は吹き飛び、家屋に激突する。
「グンジョー!?」
「グンジョーさん!?」
「うおおお、油断してたぶんエドワードの時以上の痛みが・・・。」
うっすら目をあけると、慌ててこちらに走り寄ってくる白ひげと、向こうで未だにピカピカ輝いているセンゴクが目に入った。
「マジで何なの?あんだけ食らってほぼ無傷とかおかしくない?」
「動物<ゾオン>系をなめるなよ?身体能力という面なら悪魔の実の中で最強だ。」
それに、と手のひらを握りながらセンゴクが付け足す
「私はすでに覇気を使うこともできる。・・・言っておくが、私とガープは貴様等が倒した中将以上の力だ。舐めてかかるとそうなるぞ?」
「…なーるほどね」
フラフラに成りながら立ち上がる。
我ながら恥ずかしいね。最近あまり攻撃を食らってないもんだからなめてかかっちまった。
攻撃をあてさせないことは戦闘の基本だが、防御もうまくなくちゃだめじゃん。
今後の課題が増えたな
「さてと、それじゃもう一回戦いくか!!」
「すまないが、それは無理だ。」
センゴクがそれを手で制した。
「?どうした?俺を逮捕するんじゃないのか?」
「・・・我々もそうしたいのだがね、すまない上司が来てしまった。」
センゴクの目線につられ、振り向いたその後ろには
ボロボロになり、全身血だらけのレイリーとそれを引きずる“大将”コングがいた。