ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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俺はどちらかというと犬派

 

刀を取り戻して大分いつもの調子が戻ってきた。

観衆を一瞥するが、今だポカーン、という顔をしている。

ONE PIECE世界の皆さんは顔芸が得意でいらっしゃる。

さて、そろそろ脱出方法を探さなければな・・・、と思っていると、不意に背後に気配を感じた。

 

「…何だ?」

 

そこには先程俺を蹴ってきたお姉さんがいた。いや、気配を気づかせないまま後ろから現れるとは、結構な実力者のようだな。

 

「アヤメ様よ!!」

 

「アヤメ様か男の相手をなさるわ!!」

 

途端にお姉さんの存在に気付いたギャラリーが騒ぎ始める。

よく分からんが、やはりこのお姉さん強いらしい。とりあえず挨拶。

 

「どうも、さっきぶりだね。」

 

「…」

 

答えない、そりゃそうか。

 

「まさか、バジリスクが倒されるとはね。珍しい生物だから強いとは言えないのかしら?」

 

「お?」

 

と思ったら急にしゃべり出した。

なんだ、噂に聞くツンデレか?

 

「だけど、私は感謝してるの」

 

「何?」

 

「これで、思う存分あなたを蹴り飛ばせる!!」(ビュン!)

 

「アブねっ!?」

 

何となく危険を感じてバックステップで咄嗟に下がる。

 

〈バゴン!!〉

 

気付いた時には、闘技場の床が砕け散っただと!?

というか、かかと落としでクレーターができるってどんな威力だよ!?

これも覇気の力なのかー!?

 

「この島では、私は蛇姫様の次に強い。しかし、私は、遠征には参加できないの」

 

それはね、と続けるお姉さん。

 

「少し…、やりすぎてしまうからよ!!」

 

「!?」

 

再び足技の攻撃が繰り出される。一発一発が重く、それだけではなく、速い!!

 

「ぼさっとしてるんじゃない!!」

 

「のっ!?」

 

回し蹴り、回転回し蹴り、正面蹴り、次々と俺に攻撃が叩き込まれる。

・・・というか、今すごく困ってる。いや、なんというか、・・・ちょっ、見え・・・る、いや、見えない!!

簡単に言えば、お姉さんが蹴りを放つ度に何かが、見えそうになるんだが、見えない。見えないんだよー!!

何だ、男心をくすぐるような攻撃は!?

でも、見に行ったら確実に刈り取られる!!

ジ、ジレンマ!!

 

「ふん、見聞色でも使えるのかしら?でも、動きが悪いわね。やはり男はその程度ってこと?」

 

不満そうにため息をつきながら彼女は一時的に距離をとる。

 

「イヤードウデショウネ。」

 

ゼーゼー言いながらなんとか答えるが、うまく答えられない。

色々と葛藤していたからです、とは死んでもいえないからな!

一方、お姉さんはその反応にニコリと笑いながら手を握り、開いた。殺る気満々ですね!!

 

「まぁ、いいわ。本気を見せてあげる。」

 

ん?何すんの?いや、待てよ?

この展開、…まさか。

しかし、その悪い予想は当たる。

突如、彼女の体がザワザワと騒ぎ始める。

 

「出たわ!!悪魔の力!!」

 

「これで男なんか楽勝ね!!」

 

「…あー、なるほど。」

 

「そうよ。私は海の悪魔が入った果実を食べたの。」

 

次の瞬間、黒い影が俺の前を通り過ぎたような気がした。

 

「え、なっ、ガハッ!!」

 

突如背後から襲いかかる衝撃。攻撃された、と判別する暇もなく、そのまま吹き飛ぶ。

しかし、眼下には剣山!!マズイ!!

 

「っづあっ!!あぶね!!」

 

柵に捕まり勢いを殺す。

 

「ふー。アブねー。」

 

「余所見していいのか?」

 

「えっ、グガッ!!」

 

腹に蹴りが叩き込まれる!!

 

「あっ」

 

マズイ、意識が飛びかける……。仕方ない、オラッ!!

 

「いってぇぇぇぇぇ!!」

 

「!?」

 

刀の柄で思い切り自分を殴る!!

俺の奇行に彼女が一瞬にして飛び退く。おかげで意識も戻ったし、間合いもとれた。

で、最初は視認できなかったその姿も確認できたんだけど、喜ぶべきか、どうするべきか…。

 

「あー、なるほどね。見たことある。ネコネコの実?ってところか?」

 

言葉の通り、目の前には黒猫人間がいた。今までまぁ、少ないとはいえ、色々な能力者を見てきたが、動物系は初めてみたな。

 

…かわいいじねぇかチクショウめ。

 

「そうよ?ネコネコの実、モデル“黒猫”。機動性においてはこの国で敵う者はいない!!」

 

再度跳躍!!動きは素早いがその動き見切った!!だが、

 

 

「ハッ!!」〈ビュン!〉

 

「んなっ!?」

 

空中で加速だと!?おい、マジかよ!?

 

「ちょ、お前それ!!」

 

「あぁ、中枢の海に行った時に覚えた。知っているのか?」

 

「…」

 

何も言えねぇ!!俺何も言えねぇぞ!!それ、思いっきしCP9の剃じゃねぇか!!九蛇海賊団一体何と戦ってるんだよ!!…は、ともかく。

 

〈ビュンビュンビュンビュン!!〉

 

動物系は身体能力と言う点では最強とは良くいったものだ。動きが目で追えん・・・。

これは、少しやる気を出さなきゃいけないね。

 

「おい、九蛇皇帝さんよ!!」

 

あらん限りの大声で叫ぶと、背後でビクリと反応が返ってくる。

 

「な、な、な、なんじゃ?」

 

いや、そんな驚かなくてもいいじゃないですか。

 

「さっき、言ったよな?俺を処刑するって。だが、俺がこいつに勝ったらどうするつもりだ?」

 

「っ!?それは…」

 

よしよし、勝つなんて想定外だったろうからここで一気に丸め込む!!

 

「じゃあ…、もし、勝ったら俺をこの島から解放するってのはどうだ?あ、もちろん旅の足つきで。」

 

『!?』

 

闘技場に衝撃が走る。

これには、俺を再度攻撃しようとしていたお姉さんも動きを止めざるをえなかったようだ。

 

「何と愚かな事を!!蛇姫様、男の言うことを聞いてはなりませぬ!!」

 

ええい、余計なことを言うな!!いや、でもそんなの関係ねぇ、一気に畳み掛けてやる!!

 

 

「おやぁ?この国は強い者の言うことは絶対何じゃないんですかぁ?あれですか、俺が男だからダメってことですかぁ?それは、この国の根本的なルールを破っちゃうことになひますなぁ!!」

 

「っ!!」

 

 

ギリリと歯をかみしめながら、皇帝が悔しそうにしているのがわかる。

よし、乗っかってきたー!!

 

 

「もう一度言うぜ・・・。俺がこいつを倒したら俺を自由にしろ。」

 

 

さぁ、どう来る?

 

 

「・・・いいじゃろう。ただし、貴様が負けたら即刻その首斬りおとしてくれる!!」

 

 

オッケ!!その言葉を待っておりました!!

 

 

「さぁて、じゃあ一丁頑張りますか。」

 

 

子猫ちゃん、俺と遊ぼうぜってな?あ、ついキャラ間違えた。いや、でも安定なのだろうかどうなのだろう?

 

 

まァ、いいか!!

 




オダッチ、マーガレットさんの原案である黒猫をモデルにしました。
猫可愛いよ猫。
最近猫カフェを体験しましたが、中々どうしてプロ意識の高いネコちゃんたちでした。

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