ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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弱いやつの戦い方

「人参ピーマン鶏肉ごぼうにトメィトォ、竹串ついでに時短でチョチョイのチョイと~~~。」

 

フンフンと鼻歌を歌いながら、街を練り歩く。

ここは、街の中でも比較的治安のいい地域にいる。

今は

 

「オッチャン。野菜おくれ。」

 

「お、レッドさんとこの小間使い君じゃないか。今日は何を買ってくんだ?」

 

目の前にいるのは八百屋のオッチャン。俺の働き始めにはすでに常連になっていた気のいいオッチャンだ。

 

「割引してくれたらレッドさんに頼んで酒代まけてもらえますけど?」

 

「カーッ!!嬉しいことを言ってくれるね。だが、今月は無理だ。うちのカカアが毎晩家の戸口で見張ってるから夜は家から一歩もでれねぇんだよ。」

 

「あら、それは災難ですね。」

 

と、世間話しながら買い物を済ませる。

 

うん、でもまぁ、あくまでもこの通りは他に比べて治安がいいというわけだから、他の街と比べたら最悪なわけで。

 

「おい、ちょっと待てそこの八百屋にいるガキ。」

 

ほら来たやっぱりこうなるんだ…

 

 

振り返ると、そこには明らかに悪いことが大好きですよ、という顔をした三人組がニヤ桁顔でこちらを見下ろしていた。

 

「お前、結構金持ってんだろ?よければ、貧乏なお兄さんたちに寄付してくれないかな~?腹減って死んじゃいそうなんだ。」

 

嘘つけ、テメエら明らかに健康的な体してるじゃねえぇかよ。

俺みたいな10代前後のだって働いてるんだ、オマエ達みたいなやつらはより働かないといけないだろうが!!

 

「いやですよ。自分達で金稼げばいいじゃないですか。」

 

というわけで俺は正論を言うことにした。

しかし、どうやらその言葉は彼らの逆鱗(と呼んでいいのかもわからない幼稚なものだが)に触れてしまったらしい。

 

「あ?テメエ、自分の立場分かってんのかゴラ!?」

 

「あ~、もういいじゃん、手っ取り早くやっちゃおうぜ。」

 

…こいつらメンドくさっ。

八百屋の主人に目配せするが、とっくに他の客の接待を始めていた。

 

コノヤロウ

 

来月店に来たら料金倍額にしてやる。

 

「ああ、そうかじゃあこっちもやるしかないよなぁ…。」

 

俺は決心すると、腰に下げていた木刀を引き抜いた。

 

「アン?」

 

それを見たチンピラ達が目に見えて俺を警戒し始める。

 

「ハッ、テメエ一人で俺達全員相手に出来ると思ってんのかよ?」

 

「へぇ…?逆にあんたらは、俺が何の対策も講じずにこの場に建っているとでも思っているわけ?そりゃ全く心外だな」

 

俺の挑発に乗ったのか、相手も俄然やる気になったようで懐からメリケンサックを取り出して、構えた。

 

「上等だぜ。その喧嘩買ったぜ。代金はお前の命だ。」

 

「ほう。」

 

そうなったのなら話は早い。

俺は木刀を天高く掲げそして

 

「せりゃあ!!」

 

思い切り相手にブン投げた。

 

「「「ハアッ!?」」」

 

俺は走るぜ!!脱兎のごとく!!

 

急に回れ右をして駆け出した俺を呆気にとられたように見ていたチンピラ達だったが、すぐに俺を追いかけ始めた。

 

「「「ちょ、ちょっと待てやクソガキィ!!」」」

 

俺の方が幼く、そして脚が遅いことは分かっている。

だから、すでにトラップを撒かせてもらったぜ!!

 

「そら、くらえ!!」

 

チンピラ達の進行方向には、レッドさんに頼まれていた買い物袋をグチャグチャにしたものサ!!

 

「ギャ!?」

 

「グエッ!?」

 

「グボッ!?」

 

ある者は食用油に滑り、ある者は思い切り踏んづけたトマトに滑って転がり、ある者は前を走る2人に足を引っ掛けて地面に転がった。

 

「ハッ、ざまあねぇぜ。」

 

しかし、この行為はチンピラの腐った頭に怒りの火を注いでしまったようだ。

 

「「「クソガキ殺す!!」」」

 

キャアア、殺すですって奥さん。なんてバイオレンスな!!

 

…だがこれいいいのだ。

 

この場所だからこそ意味がある!!

 

「ハハーン!!頭がアホな奴はどうやら視界までアホになるらしいな!!よく周りを見てみろ!!」

 

そう、

 

 

この場所は、海軍派出所の真ん前なのさ!!

 

 

 

「「「な、何ィ~~~~!?」」」

 

こうなってしまった時のために、街の地形図を頭に叩き込んでおいたのサ。

びっちゃけ、全部を覚えたわけじゃないけど、街の使えそうな機関を覚えておいて正解だった!!

 

「助けてください!!変な人たちに追いかけられているんです!!」

 

俺は迷わず派出所の中に飛び込むと、中で勤務をしていたと思われる海兵さんが飛び出してきた。

 

「「「テメエ、小坊主汚ぇぞ!!」」」

 

汚い?実に結構!!使えるるものなら俺は何でも使ってやるぜ!!

 

自分に助けを求めてくる少年と、明らかに風貌の悪い(それにて汚れている)三人組を見比べて、その人はどうやら事態を察してくれたようだ。

 

「よし、どちらが悪いのかはよく分かった…。お前達!!ちょっと中まで来てもらおうか!!」

 

「チッ!!だが、数の上なら俺達の方が有利だ!!おい、ついでにあの海兵の野郎もついでに畳んじまえ!!」

 

ここまで来て往生際が悪い!!

 

しかし、やはり神は俺にスマイルどころか、ウィンクを送ってくれているようだ。

 

「おい、署の前で何を叫んでいるんだ?」

 

「何があったのか?」

 

チンピラ達にとって悪いことに、休憩を取っていたと思われる海軍の兵士達が中から出てきた。

その数約10名。

 

「「「…ドチクショゥめがぁ~~~~!!」」」

 

「あ、コラ、待て!!」

 

圧倒的に不利な事をようやく悟ったのか、今度はチンピラ三人の方が回れ右をして逃げ出した。それを見て追いかける海軍の軍人達。

トムとジェリー方式ここに再現されり。

 

いつの時代もお上とおかっつぁんには勝てないという事ですな。

 

一しきりその姿を見て笑った後、俺はレッドさんの家に戻ることにした。

 

「あ、買ったもの全部犠牲にしたんだった…。」

 

前門の虎後門の狼

 

帰ったら帰ったでレッドさんにドヤされそうだ…。

 

 




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