「僕の名前は、ラクーンと言うのれす!!よろしくなのれす大人間!!」
「いや大人間言うなし」
一悶着あった後何故か自己紹介をされた。どうやら彼はラクーン君と言うらしい。
「饅頭はおいしかったのれすよ!!」
「そもそも感謝される覚えは俺にはないというか返せコノヤローあれは元々俺のだコンニャロー!!この口か、食ったのはこのクチなのかンン!?」
「あ、やめるのれす!!判決決定後の裁判は不可能なのれすよ!!」
「何で知ってるんだよそういうことをよォォォォ!!」
2人の喧嘩がまた再燃しかけた時、カウンターの中から絶対零度のお声がかけられた。
「グンジョーちゃん、ラクーンちゃん。お店で暴れないで、これ以上お店を無茶苦茶にされたらさすがの私も…ね?」
「「ハイ!!」
こえー!!ザ、鶴の一声!!
「あ、あの大人間は怒らせてはいけないのれすね…」
「いやァ、さすがの俺もそれにはハゲ同」
とりあえず仲直りすることにしました。え、単純?うっせえ、余計なお世話だ!!
「ウフフフ、そういえば自己紹介を忘れていたわね。私はシャクヤク。よろしくね、ラクーンちゃん?」
「シャクヤク。ではシャクランドを呼ぶのれす!!で、そっちのデカブツは?」
「もはや悪口にしかなってねェじゃねェか!!」
…あーもうでもどうでもいいや。ツッコミつかれた…久々にこんなにツッコミをした気がする。ああ、
「俺はあれだ。グンジョーだよ。よろしくしたくないけど…」
「グンジョー?言いにくい名前なのれすね。じゃあ、僕がいい愛称をつけてあげるのれす。そうだなぁ、ではグンランドなどはいかがでしょう。む、グンランド?いや、やっぱりジョーランド…?むむぅ、やっぱりどれもイマイチなのれすね…」
「うふふ、別にグンジョーって名前で呼べばいいんじゃないの?」
「何を言うのれすかシャクランド!!これは、我らの祖先を救いし大人間の英雄の名に基づく、れっきとした最高の愛称なのれすよ!!中途半端になんかできないのれす!!」
「いや、こっちはそんなこと全く知っこっちゃねェし。というか言いづらいなら…そのあれだ。同じ寒色系列で“アオランド”とかでもいいんじゃないの?」
「それだ!!」
「即決!?」
たたたた単純!!このラクーン君とやら、予想以上に単純すぎだぞ!!
「では、よろしくなのれすアオランド!!」
「うっせえ!!」
そんなアフォなやり取りをしていた時だった。
ドンドンドン!!
Barの外側から大砲を連射する音が木霊した。
「ッ!?」
「な、何事なのれす!?」
「あらあら…」
むむぅ、いつの間にか囲まれていたのか。100…いや、200人近くはいるかな。ここにいる俺に分かるように、しかもBarの目の前で大砲を発射するなんて…成程ねェ、噂のお礼参りってやつ?
中々大勢の人数を引き連れてきたようで…、まぁツブ揃いってわけでもないみたいだけども。
「シャクヤクさん。どうやら俺狙いっぽいですわ。…コイツのお礼も含めてなんですけども、これ迷惑代だと思って受け取ってください」
しかし、懐から出した札束をシャッキーは俺の手元に置いて握らせた。
「いいえ、これは受け取れないわ。さっきから言ってるけど今日は私のおごりよ。分かる?あなたは今日お客様なの。お客様からお金を取るわけにはいかないわ。それに…あかの有名な、辻斬りの実力を最高の場所で見学できるんだもの。むしろお釣りが出るくらいよ」
「アハハハ、そいつは良かった」
「それに、私の事を呼ぶときはシャッキーでいいわよ?グンジョーちゃん」
「あじゃあ勝利のお酒はよろしく。シャッキー…」
俺は笑みを浮かべた後、虎丸に手を添えながら面へと歩き出した。
「あー!!」
Barから出たら出たで、変な男が俺の事を指差しながらバタバタとそこらを走り回っていた。失敬な、人の事を指差すんじゃないよのさ。
おや、あいつは…
「俺にたった一人でボコられた奴の一人ジャン?」
「ッ!!お頭ァァァ!!こいつ、こいつです!!こいつが俺らの事をイジめたんすよ!!」
「なぁるほどなぁ…テメエかぁ、うちの部下達をボッコボコにしてくれたっていう青臭いガキンチョわぁ!!」
「うぉ」
いるわいるわザコ共がァァァァァ!!じゃなくて、今結構俺は驚いている。
覇気の力では、人の気配を感じることはできても、その人物毎の実力を図っていく事は難しい。覇王色の才能がある者はそれを使いさえすれば、簡単に判別できるが、それでは隠密もヘッタクレもない宣戦布告と同等だ。
だから、俺はBarから出て初めてこいつらと対面することになったのだが…どいつもこいつも大砲や銃を筆頭に重火器類で身体中を覆ってオイル。まぁ、よくぞここまでガッチガチの装備で固められたものだと、俺は少し感心している。
そして、目の前で腕を組んでいる口髭ゴーグルの男がこいつらの大将という事だろう。暑苦しいわ!!
うむ、しかし大将…あまり聞きたくない言葉だな。出来ればお会いしたくもない。
「俺が気分よく酒を飲んでいたら可愛い手下が泣きながら飛び込んでくるからヨぉ、聞いてみたら一人にのされたという。で、どんな奴かと期待してきてみたら、何だこのチンチクリンは!!」
「チンチクリンじゃねェよ身長180近くはあるわ!!」
「はっ、俺より身長低い奴は全員チンチクリンだボケが!!」
「なるほど、それは気が付かなかった…ってやらせるなアホが!!」
だーもうここ最近ツッコミ役になっている影響か、無駄に空回りしてしまう!!俺はは本来はボケだ!!ボケてナンボ!!グーグーナンボ!!
「というか…一人でシャボンディの危険地帯に来るとか、お前さんよほどの死にたがりかコラ?」
「ハッ、別に危険地帯をもろともしない実力があるから特に問題はねェ。テメエらみたいに群れなきゃ世知辛い世の中を渡っていけねェザコとは違うんだよ!!」
カチン、と言う音がそこら中から聞こえてきた。
「あ、あのヤロー!!言わせておけば好き勝手言いやがって!!」
「お頭やっちゃってくだせェ!!」
俺の言葉にその低い沸点を刺激されたのか、口々に取り巻き達が騒ぎ始める。
しかし、対照的に頭領は腕を組んだまま微動だにしていなかった。
「…ホゥ、お前この人数を前にしてよくそんなデケェ口叩けるじゃねェか。実力に裏打ちされた真の戦士か、ただのドアホウのブレイブメンかだがな…」
もうゴタゴタ言い合うのはメンドウだ。こちとら口げんかはあまり得意ではないのでね。
「で、あんさん達は俺をどうするつもりなんだ?」
その言葉に頭領は不敵な笑みを浮かべた。
「それを俺に言わせるのか?そんなもん、決闘に決まってんだろうが。こんのバカチンが!!」
「上等!!」
はてさて、知らない人物を相手にした戦闘は本当に久しぶりだ。どうなることやら…