ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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また更新遅れちゃってスイマセンね!!


おしい、ここまで出てる!!

桜吹雪の舞い散る中、一人の男の前に短刀が差し出される。男はそれを見つめると、潔くシャツをめくりあげ、自分の腹を外気へとさらした。

 

「人間五十年~~~…以下略」

 

男は短刀を手に取ると、鞘から刀身を引き出す。そう、男の決意は最初から決まっていた。戦闘による敗北は死。…だが、それも名誉の戦死だ。

 

「オイ兄ちゃん!!この勝負、俺の負けだァァァァァァ!!新世界は、ワの国のやり方に乗っ取り俺は腹ァを切る!!お前らァ、今まで世話になったなァ…だが、それもここまでだ。達者でな、アバヨ!!」

 

『お、お頭ァァァァァ~~~~!!』

 

「やめんか、バカタレ!!」

 

『お頭ァァァァァ~~~~!?』

 

何なんだこの流れは。思わずして展開された空気をぶち壊すために、俺はドヘムの頭を思いきりはたいた(覇気付き)。

 

「イデェェェェ!!」

 

なっ、軽くとはいえ、覇気付きのビンタを耐えやがった!!

オツムのほうはともかく、タフさは中々のようだな…とか、考える前に俺は事態を収拾することにした。

 

「バカかお前は!!お前はバカか!!」

 

「お、おいあんちゃんこれから潔く散ろうとしている男に向かって、その態度はあんまりってもんだゼ!!」

 

「知るかそんなこと!!こっちは急な超展開についていけずに、取り残されとるんじゃ!!少しは事態の説明をせんかいワレェ!!」

 

キレて怒鳴りつけると、ドヘムはその大きな口を三日月形にひん曲げて

 

「お、おいあんた!!組織の者でもない人間にとやかく言われたんじゃあこっちも面目ってもんが」「アアン!?何かいったか!?」ヒッ、分かりました。分かりましたよー!!」

 

余計な話をグチグチ言おうとしたヤツを一睨みで黙らせた。これ以上謎展開に翻弄されてたまるか!!

 

「何て慈悲深いお方だァァァ~~~~!!この弾丸エレファントの頭領(ヘッド)、ドヘム!!旦那の雄々しいお姿に感服いたしやしたぜ!!あんちゃん、いやさ、旦那と呼ばせておくんなせい!!」

 

「あ~、あ、そう」

 

面倒な奴に目を付けられちまったな~。何か目がキラキラしてるし。何なんだコイツは。

 

「で、願わくば旦那の名前をお聞きしてェんですがよろしいですかい?」

 

「え、何で俺の名前を?」

 

「何をおっしゃりますかい旦那!!俺のハートにビンビンひびかせいぇくれちゃった男の名前を是非ともお聞きしたいんで!!ヘイ!!」

 

「え、そう言われても困ったな…」

 

この、時代劇から抜け出してきたかのようなドヘムのテンションもわずらわしいことこの上ないが、それ以上に名前について答えてしまっていいのだろうか。はて、困ったさてどうしよう。

ここで辻斬りである俺の名前を出したら、こいつらの事だ。この諸島中に俺の生存の話が伝わっていくに違いない。人の口に戸はたてられぬ、とはよく言ったものだ。

結果的に、海軍の奴等にも聞かれたらそれこそたまったもんじゃない…。それで、中将、いやさ大将まで連れてこられたら…。

ブルルルル、何か今から寒気がしてきたッ!!

 

「お~い、アオランド~~!!」

 

未来に対する恐怖におびえていた時、Barの方から魔の抜けた声が聞こえてきた。

 

「お、ラクーン…」

 

「おぅ、こいつは珍しい。小人族とは、おりゃあ初めて見ましたぜ。確か新世界のどこかの島で隠れ住んでいる、っつー話を聞いたんだけどな。何でこんな場所にいるんだ?」

 

人にとっては登っていくのも一苦労な階段でも、中々の機動力を持っている彼にとっては楽勝だろう。

しかし、地面に降り立ったラクーンはその大きな目をいっぱいに開いてガクガクと震えはじめた。

 

「ッ!?ななな、何か大人間がいっぱいいるんれすけど!?」

 

ラクーンはあまりに大勢の人間を見たからだろう。俺のコートの裾から俺の服の中に入り込んでしまった。

 

「おい、勝手に入ってくんなよ…くすぐったいなオイ」

 

「…で?旦那の名前は何とおっしゃるんで?」

 

あ、もしかしたら使えるかもしれない。

 

「お、俺の名前は…そうだ。“アオランド”だ」

 

「アオランド?…そうですか!!では、アオランドの旦那!!もし何か困りごとがあったらいつでも俺を訪ねてくだせェ!!あ、これ俺の電伝虫の番号でッス」

 

無理矢理右手を開かれて電伝虫の番号を無理矢理握らされた。

 

「不肖このドヘム!!いつでもお助けしやすぜ!!じゃあ、旦那いつか近いうちに!!…オイオマエラさっさと帰るぞ!!」

 

『ヘ~イ』

 

「頭ァ、次はちゃんと前もって武器の説明してくださいよ!!」

 

「あ?そんなこと言ったらオメエ、浪漫がねェじゃねェかよ!!ここぞって、時に俺様の必殺兵器がだなァ…」

 

そう言いながら、ドヘム率いる弾丸エレファントはゾロゾロと列をなして帰って行ってしまった。

全く、面倒な奴らとかかわりを持っちまったものなのれすねェ…。

 

 

 

 

「あれ?」

 

帰り際、ドヘムの部下である一人の男が何かを思い出したかのように呟いた。

 

「どうした?」

 

「そういや~アオランドの旦那の顔ってどこかでみたよ~~~な気がするんスよねェ~~」

 

「アオランドの旦那がァ?」

 

それを聞いてドヘムもグンz、ゲフンゲフンいや、アオランドの顔を思い出してみる。一見、ある程度整った顔をしていた。が、あの程度の男なら、探せばどこにでもいそうな気がする。

 

「ブァカかオメェ!!そんなもん、気のせいに決まってんだろ!!それに、どこかの貴族なのか、ビッグネーム賞金首がこの島に入って来たのなら、すでに噂になっているだろうがィ!!」

 

「あ?あ~、そう言われてみればそうっすねェ。う~ん、やっぱ俺の気のせいっすネ」

 

「ガハハハハ!!そんなツマンネェこと考える前に酒だ酒、また飲むぞォい!!」

 

「お頭勘弁してくださいよ、後始末するの結局俺達なんすから!!」

 

一同の笑いの渦によって、アオランドへの疑問は、霞みの彼方へと消え去っていった。

 

 


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