「よし、お前等よく聞け!!」
奴隷オークションの会場だった会場の椅子に腰かけ、俺は腕を組む。それを真剣に聞いているのは、いずれもこの偉大なる航路の海を度いてきた屈強な海の男達。そして、その周りにいるのは、不安そうにした怪我人や女性たち、所謂非戦闘容認の方々だ。ま、それでも戦闘を希望する人には武器を取っていただいているが。誰しもの目にも殺る気満々と言った意思が見て取れる。ま、不当な理由で拘束されたんだ。当然と言えば当然ともいえるな。
ちなみに、オークションハウスにいたクソ貴族どもは全員拘束して檻にブチ込んである。世界的に禁止されている悪法を実行しようとした罰だ。しばらくそこで大人しくしてやがれ。ついでに言っておくと、鍵はスペアを含めてこの世から滅したが。
「では、これより、さくせんTKGを遂行する!!全員みな心して聞く様に!!」
「な、なぁ旦那。その前に質問だあるんだが…」
何だよもう、人が気分よく話している時に、水を差すなよ!!
「何か用かなモブA!!つまらない内容だった軍法会議ものだぞ!!」
「モ、モブ…。というか、TKGってなんの略だよ」
その言葉に全員が頷いた。全く、この程度理解できないとは、とんだ恥さらしどもめ!!俺は手の焼ける部下に呆れつつ鼻を答えてやることにした。
「そんなもの、TタマゴKカケGゴハンに決まってんだろ!!」
『そのまんまなのかよ!!』
むふー、と鼻息を荒くする俺に滅茶苦茶突っ込んでくる。全くなんなんだコイツ等は。あれほどシンプルでウマイ飯は他にはないのだぞ?
「というのは冗談で、TトツゲキKコウゲキGゴーゴーの略です」
『無理矢理すぎんだろ!!』
うるせいわい。語呂がよかったんだよ!!
「さて、諸君。そんなこんな、あーたらこーたらで作戦を決行する時は来た。全員武器は持っているな?」
『…おう!!』
武装している全員が刀やピストル、そして大砲と言った己のエモノを掲げる。
これらは、俺達が捕えられていた牢屋と同じフロアにあった貯蔵庫と思われる部屋。そこには、いくつもの武器が無造作に置かれたいたものだ。
銃を筆頭として、刀、槍、さらには大砲、火炎瓶まであった。多分、奴隷として連れてこられた人間達から取り上げ、彼らが蜂起した場合の鎮圧用に使うつもりだったのだろう。この分じゃ、武器持ってここに来てもよかったかもしれないな。というか、しっかり管理しとけよ!!無造作すぎてあやうく引き金に足引っ掛けで暴発させかけたんだぞ!!というか、万が一にも爆発物に火をつけでもしたらどうするつもりだ!!
というか、こういう点にしろ警備にしろ、こういう人には見えない場所にしろややずさんさが目立つ。にわかってやつなのだろうか?
こやっさんが言ってた。最悪のケースを予想しろと。そして、事態はその斜め上をいくらしいよ。
そんな馬鹿な事を考えつつ、適当に拾った兜をイジリ、爆発物を詰まったポーチに触れる。
「ラクーンMAXアーマー!!」
『わー!!』
緊張感もない奴らが約10人ほどいるが、俺は気にしない。グンジョーシャボンディアイランドstyleとか乗っかりそうになったけど、それは言わないでおこう!!というか、ラクーン!!お前、武器を着るというか埋もれてんじゃねェーか!!
「おい、ほどほどにしとけよ。お前らの持ち味はその素早さなんだから、重い武装は邪魔だぞ」
『ハーイ!!』
何だろう。遠足の先生になった気分だ。しかし、こいつらどうするんだ?普通の武器じゃ、こいつらには扱えないだろう。
そう思っていたのだが、その考えはすでに杞憂に終わった。
「えいっ!!」
槍の先端を手刀でバキリとへし折り
「とー!!」
それを適当な棒にしゅぱぱぐるぐると巻きつけ
「できましたー!!」
やだ、何この子達怖い!!
彼等はすでに槍を模した武器(自作)を振り回し、座席の間を高速で駆け回っている。何これ、何かのスポーツ?というか、手先器用なんてレベルじゃないぞこいつら!!
ポジション的には、こいつらが銃弾や砲撃による牽制、ラクーン達が斥候ポジション、そして俺が広域破壊…と。中々いい感じじゃないのか?
「あー、何だかもうおかしなテンションになって来た…。で、本題に戻すけど、事態は刻一刻を争う。ぶっちゃけ、ボヤボヤしている時間はない。ハッキリ言ってヤヴァイ」
天竜人に手を出しちゃったしねー。と付け加えると、盛り上がった一同のテンションが一気に低下する。そうなのだ。おそらく、近いうちこの島に海軍大将がやってくるだろう。ONE PIECEを知っている方はご存じであろうが、天竜人に手を出す=死の由縁がここにある。
今の大将はあまり知らないが、おそらく原作時代の自然系三人衆に匹敵する奴が来るとみて間違いない。今の実力で、どこまでやあれるかどうか。無双ヒャッハーはまだまだ遠いぜ。…あ、ちょっとトラウマ思い出した。
「だってよーありえないじゃんかよー未来の英雄2人に大将とか何のコンボだよムリゲーすぎんだろーがよー」
「おいおい旦那大丈夫か?」
「ウン、だいじょぶ。がんばゆ」
そう、俺は過去を振り返らない男だぜ!!哀しみの過去に背を向け…俺は明日に向かって走り出すぜ!!
「さて、というわけで時間はありません。すでに色々な下準備は整えているし、外にはま今は少ないですが一応の味方はいる。あとは、海兵どもを制しつつタイムリミットである大将襲来まで全員気張って気張って走り抜いて船を奪って逃げろ!?」
『イエー!!』
「やる気十分、気合十分!!OK!!テンションアゲテケ、レッツパーリィィィィ!!」
『イ、イエー?』
「レッツパーリィィィィィィ!?」
『イエー!!』
扉が開け放たれ、外の光がこぼれる。ああ、久々のシャバの空気だぜ。俺は感動のあまり腕を交差させた。ラーメン。
「覇気“手合い”旋風スクランブル!!」
『ギャアアアアアアア!!』
『…』
覇気を纏った手刀を高速で交差させ、扉に向かって飛ぶ斬撃を飛ばす。本来ならば虎丸を使って初めてできるこの技も流石に、剣を使った時よりは威力は落ちているが、それでも銃を持った下級海兵の集団程度ならこのままで十分だろう。
というか、案の定この一撃で前衛の兵士達を一掃できた。
「よし、一撃必殺。やっぱり不意打ちは闘いの基本だよねー。シチュエーションにもよるけど、ま多勢に無勢だし、大丈夫でしょ」
『何さらしてくれ飛んじゃワレー!!』
ええっ!?何でここでユニゾンツッコミ!?俺何か悪いことしてくれたかしらン!?
「何突然攻撃してるんですか!?何かする前にちゃんと言っていただかないと!!いきなりにも程があるでしょう!!」
「引き金ひかせてよ!!ここは、突撃、そして弾幕の展開でしょうが!?この熱く滾りきったリビトーを鎮めさせてくれ!!」
分かった分かった!!何か赤穂浪士的な討ち入りっぽいのがやりたかったのね!?了解したから、その銃口をこっちに向けるのやめてくれ!!痛いから!!生身だとそれシャレにならないから!!
「大丈夫大丈夫だよ。それに…ホラ見てみなよ」
『え?』
旋風スクランブルで舞い上がった土煙が晴れると、そこには斬撃が直撃したと思われる海兵達がバタバタと倒れていた。しかし、その遠くにはそれを超える数の海兵達が鋭い眼孔のまま直立している。その姿は、こちらの出方をうかがっているように見えた。
部下がよく鍛えられているのか、それとも上司が優秀なのか。もしくはその両方ってところか?ふむ、さすがは海軍本部の海兵…ってところか?
「やっぱり一筋縄じゃいかないってところだネ」
「へェ、向こうもやるじゃねェか…」
「ヘヘヘ、腕が鳴るぜィ!!」
おやおや、テンションが上がっているようですねェ。おっちゃんも嬉しいよ。さて、次にどう出るかなぁ…と思案に暮れていると、向こうから海兵のトップと思われるイカつい顔をした海兵が進み出てきた。トボけた顔をしている電伝虫のマイクを取ると、顔に似合ったドラ声を飛ばしてきた。
『自分は海軍本部中佐リーメン中佐であーる!!さぁ、反乱を起こした奴隷ども!!大人しく罪もなき民間人を解放し、天駆ける竜、大人しく天竜人の方々を引き渡せ!!大人しくしていれば危害は加えん!!大人しく投降せよ!!』
思わず鼻で笑った。というか大人しく多いなオイ。
こいつらが罪もなき民間人だと?バカいっちゃいけねェ。こいつらは世界政府と言う裏側でアクドい事をし続けた筋金入りのカスどもだぞ?
「民間人は全員牢屋にブチ込んであるよ~!!鍵はオークションハウスの中に置いてあるから(嘘)、勝手にとれ!!ついでに、俺達急いでるからさぁ。早くどけやゴラぁ!!」
そう大声を張り上げると、中佐さんはここからでもわかるほど露骨に顔をしかめ、再び電伝虫のマイクをとった。
『そういう問題ではなーい!!貴様らは罪を犯した大罪人であーる!!よって逮捕、拘束すーる!!』
うん、まぁこういう反応はある程度予想通りだった。
ま、一応保険もかけておきましょうか。
「ちなみに、奴隷だった人は今解放したらちゃんと保護して元の場所に戻してくれるー!?」
『…』
中佐はここで電伝虫を切った。そして、片手を振り上げると、後ろで控えていた海兵達が銃器を一斉に構えた。
「成程。やるんなら徹底的にやるってわけか?いいじゃん、そのほうがこっちもスーッとする」
後ろでおびえている女性の奴隷たちをかばい、他の奴らに指示を出す。こちらもバズーカやら銃器を海兵達にロックオンさせる。
やってやろうじゃん、正義の戌ども。
「総員前へ。作戦はナシ。撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃ち飛ばせ!!活路は開くもの、運命は掴み取る者。そして、左手は添えるだけ!!ファイヤー!!」
どちらの集団が最初であっただろうか。撃鉄が弾かれ、火薬が爆発し、凶弾が放たれる。一瞬にして、その場は激戦と化した。
「小人軍団は俺に続いて銃弾を避けつつ海兵に接近!!オメエラは、そのまま弾幕はって俺らを援護してくれ!!間違っても俺達の背中に当てるんじゃないぞ!!」
『ハイ!!』
「それから…」
俺は今まで黙ってついて着ていた魚人さんを視線を送る。すると、魚人さんはそれに気づいたのか、俺の顔を見返してくる。
「あんたも、こっち側に来てくれるとうれしいんだけど?」
そう希望を伝えると、彼は黙って長袖をめくりゴキゴキと両手を鳴らした。よし、どうやらやってくれるらしい。もしかしたら、初めて魚人と共闘するかもしれない。
「頼りにしてるよん」
「…ん」
よし、じゃあ作戦決行と行くか。
「行くのれすよーみんなー!!」
『おー!!』
「よっしゃ、一発オトしてやっか!!」
「…むぅ」
覇気で硬化させた両腕を振り回し、銃弾の雨の中を閃かせる。覇気で鋭くなった俺の手刀は、そんじょそこらの刀では太刀打ちできないほどの鋭さを誇る。ただの鉛の弾丸程度ならなおさらだ。一歩進むたび、俺の歩いた後には切り裂かれた弾丸の小川が形成されていく。
「何だあの男!?」
「両手が黒く変色してる!!」
「間違いない…あの男、覇気使いだ!!」
おっと、その程度分かったところで俺の進撃は止まらないぜ!?
「怯むなー!!あの男に攻撃を集中させよ!!さすれば、隙が出来る!!」
すると、慌てた兵士を一括するように先程の中佐とは違う男が一般兵達に指示を飛ばす。彼も覇気の脅威は知っているのであろう。しかし、それでもまだ経験浅はかという事だろうか。自らの足元で蠢く影に気付けなかった。
「アオランドばっかりに気を取られてはダメなのれすよ!!」
「何っ!?」
彼が慌てて足元を見ると、自身を見上げているいくつもの目があった。
「な、誰だお前達は!?」
「僕らは愉快な小人族!!いくぞみんな!!」
『おーう!!』
次の瞬間、シュバババッ!!と凄まじいスピードでラクーン達の姿が掻き消えた。いや、消えたんじゃない。言うなればマッハ反復横跳び。彼らは高速で一定位置を往復しているだけなのに、それだけで残像が見えるほどのスピードだ!!
「故郷で鍛え上げた“イタズラ”を甘く見ないでほしいのれすね!!」
「こ、この!!…あれ?」
ラクーンが立ち止まったのを見て捕まえようとする海兵。…あー、本人は気づいていあんだろうけど遠くからだと丸見えだ。
ま、一応言っておいてやるか。
「おい志村―。下、下」
「ほへ?」
ゆっくりと自らの姿を見おろした彼は驚愕の表情を浮かべる。それはそうだろう、そこにあったのは、海軍制服の上にマントを羽織ったいつもの姿ではなく、パンツ一丁のスッパンポン姿だったのだ。
「あ、なな、ななな~~!?」
では、彼の服は何処に消えたのか?それは、勿論ラクーン達の手に渡っていた。ズボンやネクタイ、そしてマントを握りしめたラクーン達がニヤニヤと笑ってエモノを見せびらかしていた。
「ほーれほれほれ取り返せるかなー?取り返せますかなー?」
「このっ、小人ごときが!!」
海兵が激昂してパンツのままラクーンに襲い掛かるが、甘い。すでに決着はついたであろう。
「「「“尻尾ハンマー”!!」」」
「うげろ!?」
小人たちの尻尾が男の顎を打ち据えた。あの、一見モフモフに見えるあの尻尾は予想に反してメチャクチャに硬いうえ、当たると物凄く痛い。成人男性なら、尻尾一発でK.O.だろう経験者は語る。
「もう一撃!!」
「っ!?」
しかし、それだけでは小人達の怒りは収まらなかったらしい。尻尾を使って空中に打ち上げた海兵の頭上には、すでに数人の小人たちが槍の柄を振り下ろしていた。
「「「えいっ!!」」」
「ぐがぼっ!!」
下と上からの攻撃になすすべもなく海兵は意識を手放した。
『やったー!!わーい!!』
確かに、身体は小さいが彼らにはそれを容易に補えるほどのスピードと見かけに反し常人以上の腕力を持ち、さらにはチームプレイを得意としている。ある意味、普通の人間よりも遥かに強いかもしれない。
「貴様達、何て事を!!」
すると、その光景を見ていた海兵達が武器を構えてワラワラと集まってくる。おいおい、小人相手に大人間がそんなに大人げない対応していいのか?まぁ、彼らだけでも問題ないとは思うが、一応フォロー出しておくか?
ラクーン達の方へ向かおうとするが、小人たちの方へと走っていた海兵が突然宙に吹き飛んだ。
言わずもがな、その犯人は、誰であろう魚人さんである。
「…」
無言の魚人さんはさらに両腕を振り回し、周囲にいた海兵さんを打ち据える。拳が一陣の風を作り出すたび、数人の海兵達が四方八方へと吹き飛ぶ姿はある意味圧巻だ。その様は、鉄球を振り回すムロ〇シそのものである。
「貴様魚人!!」
味方が一方的にボコられる様が気に入らなかったのか、激昂した海兵が刀を振り下ろす。その様をまねて他の海兵も同時にカタンを振り下ろすが、魚人さんはそれに対して慌てるどころか、巨大な口を大きく開けて、複数の刀に食いついた!!
『なっ!?』
「おやおや」
人の口とはいわば急所の一つである。生命の維持に必要な呼吸器官が通っていると同時に、生物が生物たる由縁である脳がすぐに近くにあるのだ。仮に、普通の人間があんなことすればただじゃすまない。まぁ、ただの人間であればだが。
「…ガッ!!グシャグシャ!!」
「馬鹿なっ!?」
魚人さんが口を開閉させると、口の中にいくつもの鋭く尖った歯が見て取れた。彼が咀嚼すると、それに応じて口に突っ込まれた刀が悲鳴を上げて粉々に粉砕される。おそらく、歯の強度が刃の強度よりも格段に上という事なのだろう。そのまま口から刃のカスを吐き出すと、彼らも同じように拳を叩き込んだ。
「歯の強度が強い魚…。鮫さんの魚人か?」
「…ワニザメだ」
「成程。合点がいった」
「死ね奴隷!!」
そんな軽口をたたいていると、近くにいた海兵達が同時に攻撃してきた。久々の戦場で勘が鈍ったか?少しナマクラが入っているようだな。
「ま、俺のは磨くと輝きますけどね!!」
「ぎゃあ!!」
手近の海兵に拳を叩き込む。ソイツを踏み台に一気に上空に飛び上がる。
「馬鹿め!!格好の的だ、ハチの巣にしてやる!!」
ガシャガシャと銃口を上に構える海兵達。
ハン、逆なんだな。俺にとっちゃただ攻撃しやすくなったのだよ。
「覇気“手合い”爆風ウォークダウン!!」
宙で体を回転させ、刃を交差させると、刃の竜巻が発生した。
『ギャアアアアアア!?』
吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ、まるでダイ〇ン吸い込まれるゴミのように空中に吹き飛ばされていく。サイクロンなんたらー。人がゴミのようだー?
「キエエエエエエ!!」
地面に着地した俺に突撃してくる海兵の一団。チッ、ワラワラいるからメンドウくせえ。もう一撃食らわせてやるかともう一度刃を振り上げたその時、海兵達が何故か爆発した。
『ぐわっぷ!?』
衝撃と火炎と共に吹き飛ぶ海兵を見送りつつ、後ろに目を向けると、奴隷の一人が手を振っているのが見えた。何だよアイツら。中々やるじゃん。
軽くサムズアップして感謝しておく。
「さて、次の敵は…と」
「ふむ…」
視線を横にずらすと、そこには腕を組んで感慨深げにこちらを見ている中佐が目に入った。
「奇妙だ…。これ程の実力があるのであればある程度名が知られているハズだ。しかし、全くその実力を知られることなく偉大なる航路、前半の海の最後の島であるこのシャボンディ諸島に辿り着いた…。仮に厄介ごとを起こさずとも、我ら海軍が人相名前も知らぬという事はおかしい」
「…ほ~う」
中々の分析力と言った所だろうか。
こっちは、特に騒がず魚人島入りする予定だったんだけど、持病のシャクがね…。感知は難しいかもしれない。
「まぁよい。どちらにしろ、貴様はここで倒す。奴隷たちも元の持ち主たちの元に戻す。それが政府のルールであるからにして。大人しくするがよい。それが海軍の大義、そして正義」
「はぁ?何言ってやがんだテメエ。御託抜かしてねェでさっさとかかってきやがれ。時間の無駄だ」
「それもそうだな…」
後ろにいた部下達がガタガタと巨大な2本の棒を運んでくる。どうやら、あれが奴の武器なのだろう。
中佐は、その二本の棒の端から突き出た持ち手を掴みを持つと、棒をグルグルと回転させ始めた。成程トンファーって奴。性能上、クセは強いが、その分防御にも攻撃にも使えるので、慣れれば中々使い勝手がいいと聞く。
「海軍本部中佐“剛鉄”のゴーケツ!!名も知らぬ悪党よ、ここで鎮める!!大人しくせよ!!」
「ほう、そうか。果たして大人しくなるのはどっちになるかなァァァァ!!」
剛鉄か関鉄かはしらないが、ある程度の実力はあると見た。成程、新世界へのウォーミングアップには丁度いいかもな!!