ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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失われし王の威厳

 

 

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

 

 

 

 

 

人が王たりえる所以とは一体何か?

その果てしなき欲望か、想像溢れている源泉たるその頭脳か、そして、それを叶えるための身体、手、脚、そして体か

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

 

彼らの手にかかれば、百獣の王とさえ呼ばれるライオンでさえ檻の中に閉じ込め、使役し、見世物と化すことが出来る。

猛牛も馴鹿も狼も像も河馬も虎も彼らの前ではただの見世物へと成り下がる。

 

 

 

 

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

鉄の巨躯を持つ鋼の化け物を使って木々を倒し、爆発する火薬を使って弾きだした弾丸で動物を、そして同族である人間でさえ撃ち殺す。

 

 

 

 

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

 

 

 

 

 

しかし、その王もある状況では、平民以下、下僕以下、奴隷以下、動物以下、虫以下、いや微生物以下の存在に成り下がる。

 

それは、彼らが何も持たざる時だ

 

何もなければ何も作れない。武器もなければ戦えない。

広大な平原、人も住まぬ山奥、出入りが閉ざされた雪山、島なき大海の中央。

持たざる王は、虐げられてきたものにとって裸の王様だ。彼等はただのエサへと成り下がる。

牙で 爪で 嘴で その全てで引き裂かれ八つ裂きに食われる。

まがい物ではない、強き者、強き者の威厳、強き者の覇気に巻き込まれ、小さな波が大きな波に喰われるように巻き込まれ、その血肉は生物達に味あわれ、そしてかつて統べた世界の一部へと替える。

 

 

 

 

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

 

 

 

 

 

けど、王は自分では何もできない、弱い王だと知っている。

 

だから、憧れる。何ものも頼らない、絶対的な生物に―――

 

体を鍛えた、精神を磨いた、強くなろうとした―――

 

しかし、彼等は知っている。

 

それでもまだ、まだまだまだまだ足りはしない、と。

 

あくなき欲が、知識が、そして体でさえ欲した。もっと、強い身体が欲しいと。しかし、当たり前のことだがそんな事出来ない。それは常識、事実、暗黙の了解。

 

 

 

 

 

ヒトと言う生き物は、迷うことなくこの世界の“王”である。

 

 

 

 

 

本来抑えつけていた平民(野生)に歯向かわれたのであれば、簡単に食い殺されてしまう(奴隷)である。

 

 

 

 

 

だが、仮にもし、その野生を(奴隷)が持つことが出来たらどうなるであろうか。

 

 

 

 

 

優れた頭脳と自我を保持したまま、洗練された牙、爪、そして身体を巧みに使いこす。罠を張り銃器を使い、刀を振り回す。

 

そして、(奴隷)は王に戻る。野生の、威厳を取り戻す。いや、それはすでに王ではなかった。

 

それは神だ。生物を超越した存在だ。

 

人は、すなわち、王は神になる。神に。天界から、誤ってこの大地へ堕ちてきてしまった罪多き神に―――そう、悪神に。

 

 

 

 

 

『オオオオオオオオ!!』

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「な、何ぃ!?」

 

異変を感じ取った、3人の少将達がそれぞれ、思わずといったように俺から距離をとった。

後ろにさがりながらも、臨戦態勢を崩さないことはさすがだが、それでも気圧されたことに変わりはない。しかし、ソレも仕方がないことだろう。

俺が放つ陽炎のような覇気にまるでシャボンディ諸島全体、いやが呼応しているかのようだ。ヤルキマンマングローブの木々や、草が風にあおられたかのようにざわめき、鳥達が翼を広げ、慌てて空へと逃げ出す。大気が震え、シャボンが一斉に湧き立ち、そして一斉に破裂する。

まるで、世界がこれから訪れるであろう嵐に怯え、震えているかのような光景だ。

 

「ヒ、ヒィ!!」

 

「いいいい、一体何が起こっているんだ!?」

 

「おいおい、こりゃあどういうことだ!!あいつの身体から出ている湯気みたいなのは一体なんだ!?」

 

突然の異変に、周囲から事の成り行きを見守っていた海兵達からも悲鳴が漏れる。それほど、今の状態は異常だった。いや、何よりも異常な事がある。

 

「センゴク!?あれは!!」

 

「ああ、間違いない。どうやったかは知らないが…あれは覇気だ!!」

 

「馬鹿な、体外で可視化できる覇気など聞いたこともないぞ!!」

 

「あの男!!一体何者なんだ!?オイ、センゴク、ガープ!!お前達はアイツと戦ったんだよな!?」

 

ゼファーの問いかけに、ガープとセンゴクは沈黙で答えた。

 

「…いや、分からん。私の知る限り、こんなことができる男ではなかった!!」

 

「一体アイツ、三年で何をしやがった!?」

 

中将が、海兵が、誰もが固唾をのんで見守る中

 

「…皆様大変お待たせいたしました」

 

先程とはうって変わり、晴れ晴れとした口調のまま、俺は笑った。

虎を背後に従えた狐は、普段以上に増長するというが、今はまさにそれだろう。何せ、俺の背後には魔神がいるのだから。

 

「いやー、ネ。さすがに3年間はキツかったー、あーしんどかった。何度死にかけたか分からんもん。何度天に召されたか分からんもん」

 

そのまま、剣を握ったまま両手を開閉する。海兵たちには、その態度だけで、彼の身に何があったのかを理解することはできない。だが、その一挙手が、一投足が、まるで力を溜め込んでいるかのような所作に見えた。

 

「…“覇気”は誰しもに備わっている力だ」

 

お前らもそれは知ってるだろ?そう、ニヤリと三日月上に笑みながら俺は海兵たちに向かって歩き出した。

 

『ッ!?』

 

その姿に海兵たちは一斉に後ろへと後退し始める。

 

「だが、その力を人は知らない。例え、知っていても、その力を引き出せずに一生を終える…と。だけど、それは当たり前の話としておく。本題はここからだ」

 

片目を閉じ、小指を使って耳をほじり始める。戦闘の最中に何をやっているんだと思われつつ、気だるげに片目を開いた瞬間、

 

グオッ!!

 

一陣の風が彼らの間を通り抜けた。

 

「うっ!?」

 

「あっ!?」

 

「お前ら、一体どうした!?」

 

一般海兵達には何が起こったのかは理解できない。しかし、一定以上の地位を持つ者ならば、この現象を容易に理解することが出来た。

 

「今のは、覇王色の覇気!!数百万人に一人しか使う事が出来ぬ“王”の覇気だ」

 

「やはり持っていたのか」

 

 俺はその反応を満足げに見つめると、ゆっくりと頷いた。

 

「その通り。これは、武装とも見て聞く者とは違う、王の覇気だ」

 

そして…そう話を続ける。

 

「王の威厳、いやこの場合は威圧なのか?確かに便利だけど、同時に俺はこう思った。覇気ってこんなものなのか、ってね」

 

俺はゆっくりと頭上の鬼神を指差した。

 

「そこにあるのに、誰も気づかない覇気。もしかしたら、大昔の人はそれに最初から気付いていたんじゃないか?で、時代が経るごとに世界が平和になり、こんな戦闘以外に利用法のない力は廃れていく。まるで、野生のイノシシが牙を抜かれ、豚になるようにな。…だが、つまり、そこに真理があった」

 

双眸で海兵達を射抜く。

 

「人が忘れてしまった力、それを今一度、自分の身に宿す、復活させる。覇気と威厳と野生と人が元々持っていたもの全部ひっくるめてな。そうすれば、人間は今一度取り戻す。不要として捨てたものを、王の威厳を、恐怖を…。そして、そうなった人間はどうなるのか?」

 

そう言い終わった後、グンジョーは未だゴウゴウと燃え盛る炎のような鬼神を見上げた。

 

「そして、これは“天”を“覇”した“神”を模した力、そう、まるで“神”その猛威を振るうかのような、王を超えた、名付けて神域の覇気、俺の捨てる前の牙を抜かれる前の本来の姿、故に俺はこう名付けた」

 

 

 

 

 

神覇天王色の覇気!!

 

 

 

 

 

失われし、王の威厳そのもの!!

 

 

 

 

 

数の上で葉圧倒的に有利なはずの海兵達。しかし何故だ?目の前で、たった一人でいるだけの海賊が、まるで偉くおそろしい怪物に見える。全身を震わせながらガタガタと膝が笑っていた。

その光景をしばらく眺めた後、グンジョーは剣を高く掲げ、そして素早く振り下ろした。

ヒィィィィィン…、という甲高い金属音が辺りに響き渡る。

 

「最初に言っておく。今、俺を見て恐怖の感情しかないヤツは覇王色で気絶した奴を連れてこの場を去れ。悪いことは言わない。軍規だとか、プライドだとか、そんなみみっちいもんにすがりついても、ポッキリ無残に折れるだけだぜ」

 

グンジョーは、鋭い眼、そう猛禽類のような目で集団を睨んだ。

 

「ここからは人間上位者同士の戦いだ」

 

撃ち、貫く弾丸のようなその言葉。その言葉によって、位の低い海兵たちは完全に飲まれた。

 

一瞬の静寂の後、海兵達の一部がバタバタと地面に武器を落としていく。次第に、彼等は気絶した仲間達を担ぎ、船へと帰っていった。

 

「少将殿…すいません」

 

そう兵士に語りかけられたセンゴクには、彼等を責めることはできなかった。彼の知る限り、グンジョーはやり通すべきところをやり通す男だ。おそらく、背後を見せた相手に剣を振り下ろす男ではない。しかし、ここは激戦になるのもまた事実だ。

 

「…お前達も先に帰っておけ」

 

そう、最後まで残っていた最初の10分の1にも満たない数の海兵達に語りかける。

すると、彼等は一瞬驚いたような顔をした後、ニコリと笑い返した。

 

「何を言っているんですか!!あなた方が倒れてしまったら、誰が奴を船まで連行するのですか?」

 

「左様左様。中将殿は、ただその正義の拳を振っていただければいいのですよ。その後の事は我らにお任せください!!」

 

「…我々の事は心配ご無用にて」

 

その言葉に、センゴクは僅かに笑んだ。彼らが将来大物になってくれるような予感をさせながら。

 

「…そうか」

 

 数瞬思考した後、センゴクは首を縦に振り、今共に戦う仲間達の元へ、そして敵の元へと戻った。

 

「一応、さァ」

 

その瞬間を待っていたかのようにグンジョーがしゃべり出す。

 

「まだ未完成で手加減できないから、気を付けろよ」

 

 本来のバトルスタイルである二刀流、居合の方を捨て、両手で剣の鞘を持ち、相手に構える姿はまさに荒武者そのもの。そして、先程までの人を小ばかにしたような笑みをけし、まるで震える獲物を前に勝利を確信する肉食獣のような獰猛な笑みに、この場を率いる将校たちは、身震いさえ感じた。

 

「ッ!!ガープ、ゼファー!!あの男はここで殺して構わん、責任は私が取る!!一切手を抜くな!!このまま中途半端に逃しでもしたら、奴は必ず再び私たちの前に現れ、海軍…いや世界政府だろう!!」

 

もはや、逮捕をするとか、選択を選んでいる暇はなかった。確実に士気が衰えつつある海兵たちを叱咤激励し、こちらに向かって跳躍する人、いや鬼神を見上げながら、センゴクは拳へと力を込めていた。

 

「私は、最初からそのつもりだ!!」

 

「ハッ、久々に楽しい戦いになりそうだな!!」

 

ここで、いつかあの人が言った事と同じことを言わせてもらおう。グンジョーは大きく息を吸い込み、言い放つ。

 

「苦難上等」

 

 いつか、自分の前にやって来るであろう“世界最強”に向けて。

 

「好むものなり修羅の道!!」

 

 空中に漂う青色の覇気が渦巻き、鬼の頭部を形成し、吼える。

 

『オオオオオオオオオ!!』

 

背後に大きく振りかぶったグンジョーは、加速と重力と本能の導きのまま、剣を大地に振り下ろした。

 




新技命名経緯

じんの字 「さてどうするべかー、イタすぎるのもなんだしなー」

中学二年生「無双だ無双だ!!カッコイイ名前を付けよう!!」

師匠   「そんな事よりオサレしようぜ」

じんの字 「えーでも、流石に本能の赴くままに描くのツライわー」

中学二年生「堕、とか、魔、とか、天の文字は外せないな!!」(hshs)

師匠   「そんな事よりオサレしようぜ」

じんの字 「いや、ダークサイド系は恥ずいわ…」

中学二年生「厨二厨二!!厨二こそ」

師匠   「オサレーーーーーーーッ!!」

てな事がありまして、こんな形になりました。正直今見返しても手もかなり恥ずかスぃ…
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