ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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閑話休題:店主として、人として、親として

 

グンジョーの奴の様子がおかしいとは思っていた。

 

いきなりブツブツつぶやき始めたと思ったら俺のこと歳だとか言いやがった。俺はまだまだ現役だこのタヌキ野郎。用心棒だってちょっと疲れたからあいつにやらせてるだけだ。

 

あの日のことを今でも思い出す。

 

俺は元々海賊だったが、怪我がたたって戦闘ができなくなっちまった俺はある街で船を降りた。本当は仲間と一緒に行きたかったが迷惑かけられなかったからな。

それに…偉大なる航路後半の海である新世界…。あそこを乗り切る自信は俺にはなかった。

 

で、流れに流れてこの街で酒場を開くことにしたんだが、偉大なる航路前半の海、それもリヴァースマウンテンの近くにあるにしては、中々危険な街だ。

ま、俺には関係ねえけどな。

 

思えばあいつには初めて会ったときのことは忘れもしねえ。酒場を開いて間もないころだ。

 

まだ小せえガキが道端にぶっ倒れてたから驚いた。まさかこんなガキがこの街にいるなんてな。あのままじゃ危なかった。

 

そんで、起きたら起きたで俺のことこわがりやがる。失礼な。俺はこれでも仲間の間じゃ優しいやつで有名だったんだぜ?見た目が怖いのは否定しないけどな・・・。

 

俺が作ってやった飯をうまそうに食った後に話を聞いてみたが、記憶喪失ってやつでどうやら行くあてがないってんだ。海賊の親にでも捨てられたか?ま、ちょうど従業員雇おうと思ってたから、この店で雇やった。給料もいらないって言うから儲けもんだと思ったんだがな。

 

何日かしたら今度は剣の腕を磨きたいとか言いやがった。なるほど、こんなちんまい奴にとって、この街は危険だから護身術ぐらいできたほうがいいかもしれない。せっかく見つけた労働力がポックリ逝くのはゴメンだからな。暇なときに俺も協力してやるか。

 

で、鍛えてやったんだが初めのうちはだめだった。トレーニングまでは良かったんだが、あいつが木刀をふるとどっか飛んでくんだぜ?当人の顔面に直撃したのも一回じゃなかったな。

コイツ大丈夫か?

青あざ作りながら剣を振り回すコイツを見て、かなり心配になった。

 

だが、1年くらいしたら、いつのまにやら剣術を使えるようになってた。

俺に隠れて練習してたのは知ってたし、まあ当然の結果だろう。しかし、自己流だがら粗削りんおはしかたがないか。だが、中々スジがいい。事実、この頃から街に来る荒くれ者相手に喧嘩をおっぱじめる様になって、討ち取ったソイツらを、小銭を稼いでいたみたいだ。

 

俺が知らないとでも思ってるのかバカめ。

 

だが、野試合での戦闘は、確実にコイツの実力を高めていった。元々剣術はこいつに合った才能だったんだろうな。

 

で、そのあと暇を見つけては街に出かけていくようになった。

さらには、街のゴロツキだけでなく、街にやってくる悪党ども相手にも喧嘩を吹っかけはじめた。店の仕事をさぼるなよ?と忠告したら、何、実地訓練だ?何のだ。

…全く最初の頃のビビリがまるで嘘のようだな。でもこの街は危険だぞ?

 

というか、一方的に喧嘩を売ってそれを買ってもらって一方的にボコボコにしてるって本人が言ってたな。

 

とんでもねえ奴だ。コイツ本当に人間か?グランドラインに来たばかりとはいえ、こいつが仕留めた奴等は、全員海賊だぜ?

 

自分で捕まえた賞金首の話をしながら飯を食ってるこいつを見て俺は一瞬そう思った。

 

そんで10年たったらコイツにかなう奴はこの街にいなくなっちまった。なんてこったグランドラインの危険な街の欠片すらねえや。

 

ま、そりゃそうだな、毎日毎日修行しているこいつに勝てるゴロツキがいるなら見てみてえや。

 

さて、ビビリだったガキもいつのまにか一人前の大人になっちまった。最近ここら辺の敵じゃつまらなそうにしているのが、俺にわからねえと思ってんのか?

 

コイツはこんな場所にいるべきじゃねえ。こいつの腕ならまだまだ上にいける。そう、あの最悪の海、”新世界”でさえもしかしたら通用する実力を持っている。

 

でも、そんな事は俺の口から言うことじゃねえ。こいつがどういってくるかだな。

 

そしたら、決心がついたらこいつのために賭けで海賊から奪ってやった”あれ”をやろう。

 

中々いいもんだそうじゃねえか。

 

こいつが旅するうえで役に立つだろう。

 

お前の活躍はいつでも聞こえるようにしとくからよ。

 

「レッドさん!!グンジョー君が海に出るんで許してくだひゃい!!」

 

最初に合ったころとは想像できないぐらい口調になったなこいつ。まあいいか。

 

「いいぞ。」

 

「え?」

 

なに意外そうな顔をしてやがる。男の旅を止める奴はいねえよ。

 

「お前がどうしようと俺にゃ関係ねえ好きにすりゃいいさ。」

 

何ポカンとしてやがる。言ったからにはさっさと行動しろ!!

 

「ほらいつまでこんなところに座ってるんだ。さっさと荷物まとめて出てけぇ!!」

 

ったく、行動力は人一倍なくせにこんな所は尻つぼみなのかこいつは?

 

「バーカ!!おいぼれジジイ!!ボケがいなくてツッコミ病で死んじまいなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

おうなんだ元気じゃねえか。

 

俺から言うことは何もねえ。

 

 

 

 

 

グランドラインにあるとある街

 

その街は10数年までグランドライン最初の悪夢、”暗黒街”とも呼ばれる程の無法地帯だった。

 

しかし突如現れた謎の人斬りによって海賊といった無法者たちが狩られ続けていくうちにその数は徐々に少なくなり、今では海の住人たちの羽を休める場所として、その平穏を保っている。

 

そして、人斬り事件がなくなった現在でも、その街では有志で募った自警団が守っており、そして自警団の団長はとある酒場の店主が務めている。

 

彼は言う「せがれが笑顔で帰ってこれるような街にしてるだけだ。」

 

氏は老齢だが、まだまだ現役でいくそうだ。

 

なお、この島出身人物の中には、新世界、そして世界中では名を知らぬ者がいない大海賊がいる、という話がある。

 

しかし、その情報は定かではない。

 

 

 

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