夏休み中の魔法を導く奇跡~三期~   作:名無しの権左衛門

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2-1:鈴鳴りの杖

 

2-1:鈴鳴りの杖

 

 

 私は一之瀬正樹。

 

 実は今、上の命令で隣町の小学校に派遣されてる。

理由は以前学校の扉を破壊して、その責任をもって隣町の教師不足として緊急充足されたからだよ。

 

 あーあー、一日で治ったものの、あの後怒ったなのはの父親やきょうだいと決闘したり、アリサのペットにかまれたり、

すずかのきょうだいに刀で斬られたり色々された。

更に学校の水曜日のアレも4時間から二時間に、規模が縮小されたし……。

 

専用顧問も宮本先生が、今一人でやっている状態だ。

 

だいたい、この町でやるのは二週間くらいだ。

なぁに、私がやるのは担任の先生だよ。

 

 それに私は産休関連とその補充の間の補欠みたいなもんだから。

故に二週間くらい。

この学校に来て一週間くらい経過したかな。

 

授業時間や献立はあまり変わらない。

やはり町なだけあって、1クラスの人数もだいぶ少なく組も少ない。

 

 あっちだと1-Aとか色々あったが、こっちでは1-1とかだ。

少ないので他のクラスも受け持ちをしている。

これもまた上からの罰の一端らしい。

 

 まあ、やる気が上がるからいいんだけどもね。

 

 

 

 

 

 

 

 でもさぁ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――なんで私が行くとこ行くとこ問題が発生するんだ?

 

 

 

 

 最近はなのはさんという、普通の教師ができながら若干重い程度の問題だけだった。

それ以外は軒並み普通じゃないが。

今回も非常にパワフルで、異常なかつ魅力的な展開だ畜生。

 

 

 一週間前。

 

 

「えー今まで担任の先生がやってきた社会だけど、どこまでやりました?」

「国会・内閣・裁判の三権分立までです」

「わかりました。では、質問です。

 国が国であるために、一番必要なのはなんですか?」

 

 私は小学4年生に対して投げかけている。

この質問は多分容易だろう。

まあ当然の如く、ちらほらと言葉少なく言う生徒がいる。

 

 

「まあ、領土・領海・領空・憲法とか必要だね」

 

 

 私はこっちの学校は、そんなに敬語にしない。

理由は言葉軽さというよりも、堅苦しさを与えない為だよ。

この二週間はいきなり知らない人によって統治されるんだ。

だからなるべく、ストレスは減らしておきたい。

 

 それにどんなになれたとしても、二週間には去るしね。

だから適当に飄々としておけば、評判は悪くはならないがよくもならない。

 

でも私はこの二週間だけ、特殊な事を行う。

 

 

「さて、皆さん。教科書だけしまってください」

「「「?」」」

 

「私が配属になるのは、二週間だけです。

 最初の十分だけ、ある程度授業をやったらそのあとは漫画でもなんでも読んでてください」

 

 すると生徒達はおしゃべりをし始めた。

 

 

「ですが、授業はやらないとは言っていません。

 勝手に教室外に出たり・おしゃべり・ゲーム・携帯等、関係ない事をすれば授業態度と

 成績が勝手に下がっていくのでお気を付けください。

 それと絵描きや小説を書く・予習復習等は、勿論構いません。

 

 では、どうぞ」

 

 

 私は教卓で教科書を読む。

ただ、教科書は読んでいない。別の何かを読んでいるからだ。

そして5分待つ。

 

5分間何をするのかというと、何故教科書だけ仕舞わせたのかということを考えさせるためだ。

もしただ先生が指示したのなら、という後発的な物事を考える子は私の地獄に付いてこれなく可能性がある。

それを見切るだけだ。

 

 

 もしもこの私の地獄についてこれるならば、二週間後の地獄のテストの結果次第で彼らが得意な分野を見極める事ができる。

それを伝えて、将来に役立ててほしいかな。

 

 

 5分経過。

この教科書だけを仕舞っただけの生徒はほぼすべて。

ノートを仕舞った子は、30人中26人。

 

まあ知ってた。

 

論外は3人。彼らの授業態度は1(最低)だな。

 

 

 私は立ち上がり、チョークを持つ。

そして書き始める。

 

 

「さて、今ノートを机の上に出している子だけ、授業を再開しよう。

 必要なのは、国民が必要。なので、今から基本的人権について学ぼう」

 

 

 急な事態に皆は付いてこれていない。

今からノートを出そうとする生徒がいる。

 

「そこの国岡、ノートは仕舞え。しまった奴は、授業に参加するな。

 二度も言わせるな。

 授業はやらないとは言っていない。

 なのに先生である私の指示もなく、ノートもしまいました。

 貴様等には、授業を受ける資格等ない。

 

 異論があるならいい給え」

「差別だ!」

「授業とは関係ない趣旨の質問は度外視させてもらう。

 では、ノートを出している、やるきのある生徒の皆さんはついてきてください」

 

 

 格差勉強とはこういうことだ。

これで私が引き継がれるとき、生徒の皆さんは次の人を快く迎えるだろう。

 

 

私は大学レベルの速度で、勉学を進めていく。

 

 色付きチョークは使わない。

大切な所は、自分で見極めるように。そう言い聞かせながら、黒板に書いていく。

 

 

 自由と平等の思想・市民の権利と市民の自由・国家権力の制限・私人間への効力という基本を書く。

次に種類を書き、説明を書いていく。

 

社会権・体系・自由権・請求権・生存権・参政権・人権の保障。

 

 更にこれらの歴史と主にこれらの発足と影響を及ぼした条約を書く。

少数民族保護条約・奴隷売買禁止条約・婦女、児童売買禁止条約・亡命者、難民保護条約・

アヘン、麻薬禁止条約・衛生条約・国際労働条約・世界人権宣言・国際人権規約・ジェノサイド条約・

人間差別撤廃条約・民族自決。

 

 

 これらを即行で書いて、30分で授業を終わらせた。

ちなみに男女平等や男女共同参画社会基本法とかは、国内で影響されたもの。

応用は中学生でやってくれ。こっちは世界で影響されたものだけだからさ。

 

 さあ、次の授業も地獄の勉強に取り掛かろうか。

 

 

 っとその前に、教室にボイスレコーダーを仕掛けておこう。

今回の愚痴や文句が聞けたら最高だね。

 

「くそっ、なんなんだよあの先生」

「しょーがないよ、僕らの深読みがなかったんだ」

「あー、まだ黒板消さないで!」

「だまれ!二週間しかいない先公の授業なんて、消してやる!」

 

 

 

 退室間近でも、普通に聞こえた。

うんうん、最高だね!

 

 

 私はこの後、理科で逆転層・数学で幾何学・国語で狂言を教えた。

それから一週間、ずっと大学生もびっくりな授業をしているとさ、苦情が来るわけなんだわ。

でも授業だからということで、苦情をはねのけた。

 

まあ教育心理学的に、やっちゃいけないんだよね。

だって生徒の心を傷つけるし、やる気をなくす行いなんだ。

 

このおかげで、起立と礼を私の授業の時だけやらなくなった。

他の先生だと喜々としてやるからね。

計画通り!

 

 

 

 ただ……ただ一人だけ喜々として、私の授業を受けている生徒がいる。

その子がまた、とんでもない子だった。

 

……

 

「先生!今回の理科の物理的・科学的吸着についてもっと教えて!」

「構わないけど、仕事を終えてからでいいかな?

 時間外授業は賃金が発生しないから、結果的にサビ残になって叱られるんだ」

「うん……よし、じゃあ、先生が終わるまで待つね!」

「ええ!?いや、早く帰らないと……」

「だいじょーぶ!明日休みだから、遅れても何ら問題ない!」

「OK分かった。じゃあ、教室か応接室にいるか?なんなら、ビデオでも」

「ビデオ!」

 

 

 と云う訳で、彼女にビデオを見てもらう事になった。

ああ、彼女というのは私が担当している、小学4年生の子なんだ。

 

確か名前が、美咲エリ。

非常に勤勉で、私が行う授業についてくる非常に珍しい子だ。

 

 あれ、嫌ってもらうためなのに、何でこんなに懐かれてるんだろ。

やっぱ、例外はいるもんだなぁ。

しかも美咲さんは、私を本能的に拒否する人に対してなんか色々言って言い争いになることが多い。

 

「ちょっと、先生の事をボロクソに言ったの誰!?」

「俺だ!なんだ言って悪いのか!」

「馬鹿じゃないの!?もっと深くまで読み込みなよ!」

「はあ!?賢いからって調子にのんな!」

「うっわ、美咲の奴。可愛いからって、三尾君にしっぽ振ってるきっも」

 

 

 とまあ、非常に携帯による俗世に染まっている子が多い。

おかげで私はともかく、美咲さんがたった一人で反対派に周っている為存在が滑稽になっている。

 

一度私の事は気にしなくてもいい事を、個人面談を利用して話した。

 

すると……

 

 

「皆先生の授業の面白さを知らないだけだよ。

 勿論私は面白いし、楽しいと思ってる。

 もしかして、嫌ってもらうためにわざとやってるの?」

 

 まあ簡単に突かれた。

なので興味を持ってもらっている事の感謝と日頃の労いとして、美咲さんに本当の狙いを話した。

教育的心理学の欠如を以って、次期担任への引き渡しと心の受け入れと印象を良くするため、と。

 

 

「大丈夫!先生を悪くいう奴は、私が説得するから!」

「そういう問題じゃないから」

「えーなんで?」

「美咲さんが私の事をかばう度に、皆の風当たりが強くなるよ?」

「うーん……じゃあ、何かあったら助けてね!」

「それなら任せろ、大得意だ!」

 

 と豪語したおかげか、まあおもむろに美咲さんの態度が凄くなってしまって、

彼女の友人一人以外彼女に近づかなくなった。

口すら利かなくなった。

 

此れがこっちに入ってきて、6日目。

つまり昨日だ。

 

「み、美咲さん?私がいなくなったらどうする気ですか?」

「先生が来たところ、隣町の学園特区に転校する!」

 

 学術中毒にでもなったかな?

とにかく私は彼女の言い分は、冗談として受け止めながらやるなよ?本当にやるなよ?、と念を押しといた。

 

まあいいか。彼女のような特例は、ギフテッドのようなもんだろう。

だから飛び級なんてせずに、ゆっくりと自己の確立・鍛練を行い何をしたいのか見極めればいいさ。

 

 

 

「一之瀬先生、お疲れさまです」

「お疲れ様です、中田先生」

 

 さーて、夜何時だ?

21時?やっべ、さすがに帰っているだろ。

 

 

 私は校舎を全て周って扉の施錠をしていった。

そして教務員室も閉めて、最後に応接室に来る。

 

「入るぞー」

 

 

 入ると、応接室のソファーで夢見心地に寝入っている。

まあ小学生なら、これくらい当然だろうな。

一応連絡しておこうか。

 

 私は美咲さんの親御さんに連絡を取った。

理由は体育中に捻挫をしたので、安静にしていたけれどちっとも治らなかったので病院へ。

戻ってきて授業を行ってから、下校時間に帰らせようとしたが他の先生方の手が空いていなかったので、

私がおんぶして帰る事を告げた。

 

 まあそのあとの叱咤はきつかったね。

 なれたもんだけどさ。

 

 私は美咲さんのランドセルを背負って、手提げかばんを彼女に持たせてお嬢様だっこをして帰路につく。

しかしまあ、色々非効率で重い。ランドセルと私の荷物と美咲さんで、40キロはあるのか。

あーお米の袋一つ分に匹敵するな。

 

 私は美咲さんを送り届けて、科学的・化学的吸着に関するプリントを彼女のポケットに忍ばせて置いた。

これで朝起きたら読んでくれるだろう。

さあ後は帰るだけだ。

 

適当に公園で新月の中、くつろいで帰ろう。

 

 

 

 午後22時10分ごろ。

なんか、やばい雰囲気を感じ取る。

 

 

 私は身体能力を使って、高層ビルをよじ登ってその雰囲気の場所を感じ取る。

その方向を見ると、何故か地面が歪んだりしていた。

更に他の所を見ると、なにやらおかしなものが蠢いていた。

 

 これは、私の非現実的現象専用顧問が動かなくてはならない事態かもしれない。

よし、行かなければ。

 

私は高層マンションを飛び移って行って、その歪んだ場所へ行く。

 

 

その場所は非常に広大でありながら、その場所は多くの得体のしれない者が大勢いた。

 

 

 

 あれは非常にまずい。

 

更に集団の中に、少数精鋭で戦う婦女子が居た。

非常に劣勢のようだ。いや、なんとかなっている?

だったら別に大丈夫か。

 

 私は此処で観察をし続けた。

観察を続けていると、何者かが高速でこの戦闘区域に来た。

何者か確認する。

なんだ、ただの少女か。

 

って、子供!?

 

 あかんあかん、そんなことした親御さんが悲しむぞ!

更に何かが超上空から飛来。

戦闘域に入った。

 

 あんまり近くに行くと、接敵してしまうので遠くから見守る。

 

 あー敵の首謀者が、子供を捕えて戦闘域に入る。

そしたらなんか、天使っぽいのが子供を解放したなー。

 

 

 

 で、こっからが問題だ。

 

 

 

 なんと、その子供は純白の光を発生し、周辺を呑みこんだ。

光が晴れるとそこには、変身した少女がいた。

あれー?その髪型と容姿、見たことあるぞー?

 

 

……どうみても美咲さんだ、これ!

 

 

 でも近づくとやばいしな……。

あ、やっぱりそうだ。

 

雑魚一匹が攻撃したら、なんか反射された。

すると首謀者の後ろにいる大男が、大量の剣を出して攻撃したけど吹っ飛んだ。

で多くの人が逃げてたけど、二人の人間が歩み進んで一人が彼女を殴った。

 

 

普通なら吹っ飛ばされるはずなのに、吹っ飛ばされたのは美咲さんの方だった。

 

 

 

 私は教師として、彼等の断罪を明確に発表した。

では、殲滅を始めよう。

 

 

 

 一気にマンションやアパートを飛び越える。

近づくたびに得体のしれない者に阻まれるが、全て感覚麻痺のツボをついて行動不可能にさせる。

そして少数精鋭な美咲さん側の勢力は、もう一人の白髪の少年に謎の力で攻撃され撃墜されていった。

また、角刈りの大男も何かを叫んでいるが、白髪少年に全身から血液を噴出させられて吹き飛ばされた。

 

 

「ヒャハハハハハハ!いい気味だ!流石だな、さすが俺の仲間だ!」

「ア?誰が”俺の仲間”だァ?俺は一度もテメェらの仲間とは、言ってねェぞ?」

「ああ、俺達は、つぶされた学生寮の弁償の為にここにきている。

 それにこいつらはもともと、つぶす予定だったんだよ」

 

 

 白髪の人物と頭髪トゲトゲの人物は、首謀者を張り倒して実効支配されない勢力として頭を出す。

私はこの意味不明な言動を見て、怒りに燃えるがまずは美咲さんの所に行って無事を確認しないといけない。

 

 

「美咲さん!」

「せ……んせ……?」

 

 

 私は瓦礫を吹っ飛ばしたり、一つ一つの物質の脆弱な所を強打して岩石を砂に変化させた。

私は美咲さんを助けた後、持っている鞄から応急処置の薬や湿布等を張って怪我を何とかする。

 

なにせ今の彼女は、変身したあの姿が解かれている状態なんだから。

一応杖はあるから大丈夫だ。

 

 

「皆は……?」

 

「大分やられてしまっているよ。大丈夫、直ぐに助けるから」

 

 私は美咲さんのいう、仲間の皆さんを救出するために立ち上がる。

 

 

「英雄気取りは楽しいかァ?」

「すまないが、一片黙っててくれ」

 

 

 私は近づいてきた白髪の子を、殴り飛ばした。

するともう一人追撃で白髪少年をやろうとしたが、なにかの方向を変化させられたのか吹っ飛んだ。

 

私はどうやってやったのか、なんとなくわかっていた。

彼の一定範囲に入れば、力の方向を真逆にされる。

だからその範囲の中に、彼の方向に向かわないベクトルを持つ拳を握っていれば、

勝手に彼の肉体に拳が入っていくんだ。

 

 その一定範囲内にいれるのは簡単だ。

彼の範囲がこっちに来ればいい。引かれると困るが、押し込んで来れば簡単に攻撃できる。

 

 私は一瞬、後方で何かひかるのを確認する。

 

 

 それは美咲さんがもう一度変身して、槍っぽいものを構えて放とうとしていた。

私は即座に回避。光の槍は、白髪の少年が反射して美咲さんに行った。

途中黒い人が割り込んで防御したけど、全く意味がなく難なく貫通された。

 

 わたしはその槍を構成する魔力素の結合を見抜いて、その点を殴ってやる。

すると槍は粒子と化して、その場で消える。

槍の切っ先は美咲さんの鼻先に来ており、ぎりぎりで消滅で来た。

 

 

「手も足もでないってかア!?」

 

 

 

 白髪の少年は周辺のビルやアパートを、ベクトル変換で投げつけてくる。

その途中、頭が尖っている少年から肩を叩かれて、瓦礫に混じって去っていった。

 

私は美咲さんの近くに行って、瓦礫を壊す。

 

「美咲さん、防御結界は張れますか?」

「……」

 

 彼女は茫然としており、過呼吸のなか汗を掻いて身体を震わせている。

私は美咲さんに目くばせしながら、周囲を見てみると美咲さん勢力は息を吹き返している。

しかし相次ぐ瓦礫と砂や石の攻撃で、全てのマンションやアパートを防ぐことはできていないようだ。

 

 そして私もスーツに汚れがついてしまった。

あークリーニング代、要請してぇ。

 

 

「『神宮流秘術:蜘蛛糸』」

 

 

 私はがれきの中、この聲だけが鮮明に聞こえた。

この聲を聴いて、あの時の事を思い出す。

 

 

 

 死闘なのに、彼等にとっては狩でしかない。

私はたった一人の生徒すら救えない。

 

 

 

 あんな事、二度とさせない。しない。

そういうことを再認識した重要な戦の中で聞こえた、とある人物の聲。

 

 

 その秘術らしい蜘蛛糸は、此方に向かってくるマンションやアパート等の瓦礫全てを白い糸で空中で固定した。

固定した少しあと、それら瓦礫は白い粒子として消えていった。

 

私は放心する。

しかし私はこの広い戦場の中央に立つ、和服姿のその者に目を奪われる。

 

 刀を帯剣し、その場に静かに佇む背の小さい子。

どう見ても子供だ。

なのにどうしてだろうか、戦おうとする気すら起きない。

 

どうみても、戦う前から戦闘が終わっている。

 

 

「くそ!弱っている今がチャンスだ、かかれ!」

 

 首謀者がそういうのと同時に、魚や蛸の群れが彼に向かう。

駄目だ。しかけちゃ、終わるぞ。

 

 

そう思うと少年はなにかを取り出し、地面に何かを描いて”コンッ”と音を出して終わらせる。

 

 

「済まないが、時間もないのでね。終わらせてもらう。

 

『第二型:三角方陣四重複合魔法布陣』」

 

 

 叫んでいないのに、この喧噪な空気をものともせずはっきりと耳に聞こえるその聲。

そしてその聲を出すと、彼の足元に幾何学模様が光り出して、閃光を放ち始める。

閃光が放たれると、敵の魚群が肉片を弾け飛ばす。

そして魔法陣から直接紫電が出現し、周囲に這っていく。

 

 その這う紫電をあびた者は、落雷をどこから浴び真っ黒に肉体を焦がす。

 

 

「さて、貴様等。首謀者はだれだ?」

 

 

 魚群を全て掃討した彼は、戦意喪失した得体のしれない者達に語り掛けその者をあぶりだす。

彼が戦後処理をしている最中、私は美咲さんを背負って仲間の人と合流を果たす。

 

「生きてますか?」

「ええ、生きてるわよっ」

「ありがとう、正直助かったわ」

 

 天使らしきお二人さんは、無傷だが行動が制限されるほどだったらしい。

 

 

「ふんぬっ! っと、大丈夫ですか、お二人さん」

「ありがとな。死ぬかと思ったぜ」

「助かったよ」

 

 大量の砂に埋まっていたお二人組を救助した。

 

 

「美咲さん、ペガサスとか飛行できるの出せない?」

「ご、ごめんなさい、う、腕が震えて……出せないの……。うぅ、ペガサス……召喚!」

 

 不発だ。全くでない。出るのは、グングニールだけ。

 

「大丈夫だ、厚志さんは俺が連れていく。どうやら終わったらしいしな」

 

 あ、ベクトル変換で吹っ飛ばされ、槍で貫通された人だ。

 

「桜、そっちは頼んだわ」

 

 天使が指示して、戦闘の収束と事後処理が行われていく。

そして私は美咲さんと共にこの場に残り、悪魔・天使という存在を初めて知らされた。

 

また彼の方も、今後悪いことはしない事を確約させた後、首謀者のみ拉致されていった。

無念だね。

 

 

 さて、私はうとうとと眠りながら、悪夢を見ているのか魘される彼女の手を握りながら、

お嬢様だっこをして彼女の家の部屋まで静かにたどり着いた。

そして服を脱がして、濡らした布で彼女の身体をぬぐってから、新たな寝間着に着替えさせて布団で寝させた。

 

脱いだ寝間着は綺麗にたたんで、端っこに置いておく。

 

介護みたいで楽しかったかな。

 

「お休みなさい、美咲さん」

「ぅ……」

 

 帰ろうと思ったら、彼女は私の手を放さないでいたので、私は此処で正座して仮眠をとることにした。

まあ手を握っていると、安眠するようになったのでこのままでもいいかな、なんて思った。

そういえば明日は休みか。

 

ならば、大丈夫かな?

 

 

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