夏休み中の魔法を導く奇跡~三期~   作:名無しの権左衛門

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 私は今転勤先の宿泊施設に居る。

いや、まあ、ただの休みなんだけれども、私の目の前にいる人達がなんか暗いんだ。

 

理由はなんとなくわかるけど、来ている人を紹介しよう。

 

 

 一人目は、美咲エリちゃん。

二人と三人目は、ミルクとココアさん。

他のお仲間さんは、此処にはいない。

 

 さあ、聴いてみようか。

 

「えー、粗茶ですが……」

「ありがとうございます」

 

 ミルココはそのお茶を呑むが、美咲さんが動いていない。

俯いており、その表情はまだ何かに憑かれているような感じだ。

 

 

「どういう訳でいらしたのか、大体わかります。

 ですが私ではどうにも……」

「それもそうなんですけどね」

「エリちゃん、先生の所に行くって聞かないんです」

 

どういう事だ?

化学・科学的吸着についての用紙は渡した筈。

 

 ちょいと前の事件やそのあとの対応も、そんなに悪くなかった筈。たぶん。

 

 やっぱりあの時の朝の対応か?いや、別に何も悪くなかったし、うーん。

考えを巡らせても結局分からず仕舞いか。

 

「い、一之瀬先生……」

「どうしましたか?」

 

 美咲さんは身体を震わせナニカをこらえるようにして、言いだしたい事を云えないようなそんな気配を感じる。

実際息が荒く言葉を呟き、本質を私の方に言おうとしない。

そして時偶に歯噛みをし、上手く言葉にできないような印象を受ける。

 

 きっとあの戦闘で、ぼろくそにされたのがなにか心的外傷を負っているんだろう。

 

 なにせ彼女の想いが全て、あのトゲツン頭の青年の右手や白髪の青年に阻まれていた。

 

 

 しっかし、あの二人……どっかで見たことがあるような気がするんだよなあ。

この子らが帰ったら、ちょっと資料を探してみようか。

 

 

「焦らないでください。ゆっくりして、そして言えそうだったら言ってほしいです」

 

 私は席を外させてもらう。

此れでも教師なんだ。カリキュラムというかスケジューリングと、一週間分の準備があるんだ。

あとはあっちの学校の戦闘用地だとかの用意も必要。

 

だからちょっとくらいいいだろう?

 

 

 

「『一方通行[アクセラレータ]』」

 

 

 

「「「え?」」」

 

 私とミルココの聲が重なる。

美咲さんの喉から出てきたのは、ナニカの英単語だ。

 

 

 

 

「私、あの白髪の人知ってるの……!知らないのにっ……!

 あの『幻想殺し[イマジンブレイカー]』に殴られてから、知らない記憶が出てきてっ……。

 頭が割れそうなの!

 

 誰の記憶か分からなくて、昨日からずっと私の頭にこびりついてて離れないの!

 なんでこの記憶の私は、私すらわからない事をしてるの!?

 怖い、怖いよ!」

 

  美咲さんはその直後頭を抑え、そのままうずくまる。

ミルココが美咲さんを介抱しようとしても、頭痛がひどくなるばかりのようでどうしようもないようだ、

私はすぐに美咲さんの後ろに周って、肩に両手を置く。

 

 

「美咲さん!」

「っ!」

「頭痛はどうですか?」

 

 

 すると美咲さんは泣きついてきた。

おーよしよし。頭痛が治ったようで良かった。

 

しかし、どういうことなんだろうか?

 

美咲さんの記憶は以前があり、改竄されてしまった可能性がある。

 

 くっそー、また面倒な事。

 

 

「すぅ……」

「あれ」

「あ、寝ちゃいましたね」

「一之瀬さん、そのままエリちゃんを抱いてあげてください。

 ずっとソレで苦しんでいたので」

 

 

 え、あの日からずっと!?

よし、私が解決のカギになったのなら、最高に僥倖といえるだろう。

誰にでもできないのであれば、私がやってみせる。

 

 私は美咲さんを脚に乗せて、椅子に座る。

そしてミルココさんと対面して、今の状況を教えてもらった。

 

いまの状況は少々まずいらしい。

 

 まずは美咲さんが変身および召喚ができない事、魔王軍と限定軍事同盟と不可侵を結んだが決戦兵器が使えない。

美咲さんが私の傍から、離れて生活ができなくなってしまう可能性大。

 

 

「……え、あまりまずくないんじゃ?」

「あのですね、プリティ・ベルが出現する時、世界規模で未曾有の危機が訪れるって言い伝えがあるんです」

 

 ココアさんが近くにあるホワイトボードで、マジックを使って説明してくれる。

非常にわかりやすく、どんな状況に置かれているかわかった。

 

 端的に言えば、今襲われると一般人な美咲さんは、死んでしまうという事が分かった。

だから今生活圏や職業柄、同棲が不可能な現状……美咲さんの命は私の手腕にかかっているのだ。

 

非常に扱いにくいこの状況だが、本当のプリティ・ベルがどんな人物かどうかわからなければ、

美咲さんが攻撃される可能性が低い。

ただ私がここに居られるのは、3日ほどだけどな!

 

 

 さて、私は行くとしようか。

 

 

「どこへ行かれるんですか?」

「何って、臨時出勤だよこん畜生」

「た、大変ですね……」

「君たちも来てみるかい?」

「いいんですか?」

「大歓迎ですよ」

 

 

 私は自家用車に美咲さん・ミルココさんを乗せて、私が本来勤めている学校に来る。

此処に来るまでに美咲さんは起床して、軽い食事を取ってもらった。

こうしないと今日の授業と終わりまでに、何もできない可能性があるからね。

 

ミルココには、レーダになってもらう。

そうじゃないと、何時敵が来るか分からないじゃないか。

 

 

 

 45分程で隣町の学園特区、初等区である小学校に来た。

相も変わらず、美咲さんが通っている学校よりも金かかってんなぁ。

若干酸性と化してきた雨にも負けない真っ白な校舎。

非常に美しい。

 

 私は駐車場に入るために、この学校の教員であることを示すカードキーをかざして中に入る。

入り口付近には、警察官も居て厳戒態勢となっている。

 

 

「すご……」

「あっちとは違う世界ね……」

「まあ、あっちは住宅地と商業系が主だよ。

 というか、更に隣に特別行政区があるじゃないか。

 こっちは教育機関が集まっているだけだよ」

「つまり私らの街は、普通だってことよね?」

「そういうこった」

 

 

 私は手提げかばんを持って、三人と一緒に職員室へ向かう。

教務員室ともいう。

丁度二時限目の休み時間なので、お目通りが可能というわけだ。

 

「失礼します」

「おお、一之瀬先生!復帰したんですね!?」

「稗田先生、ご無沙汰しております。まだ復帰ではありませんよ。

 ただ上から私のクラスを臨時担当している先生が、教員適性試験に向かうと聞いたので来ただけです」

「なんだ。まだか」

 

 私は落胆している稗田先生と少し話してから教務員室に居る教頭や校長と話して、

向こうの生徒と共に勉強できるような態勢を取らせてもらった。せっかく美咲さんも来たんだし、こっちの授業を体験してみてほしい。

ミルココも一味違う世界を、屋上でなく実際の授業風景を見ていってほしい。

 そしてよければ皆と友達になってもらいたいな。

美咲さんも中学校からなら、こっちにこれるかな?

 

 あ、いや……。なのはさんと是非友人関係になってほしいからなぁ……。

それと非現実的現象専用顧問としては、彼女を護衛しなければならない。

しかし残念ながら、少々住む場所が遠い。

まあ出張という意味で、派遣されるのも悪くはない。

 

「よろしいですね?」

「構わんよ。それに、閉鎖気味な当学校も、他校の者との交流をすべきとの考えがある。

 まさか行動前に行うとは、さすがは稀代の先生ですな」

「……それをいうのはちょっと駄目じゃね?」

「……駄目だな」

 

 親父ぃ、さすがにそれはあかんよ……。

 

 

「さあ行け、若人よ!」

「かしこ」

 

 

(あれ、校長と末端教員なのに、なんなのこの空気)

 

 ん?ミルココが固まってる。どうしたんだろう?

ほな、いこか。

 

 

……

 

 

 さて、今は三年生の教室前に来ている。

既に予鈴が鳴ったが気にしない。

 

私は美咲さんとミルココさんに、用意はいいかどうか聞く。

 

「ここの生徒って、制服なんだよね?」

「だから、一応貸したじゃないか」

 

 

 詳しい採寸をしていないから、若干だぶだぶだけどそれしかないんだよ。

受注作成は、初期段階しか作ってくれないからさ。

ミルココもそのままの服装で大丈夫だ。

一応授業を見に来たという名目だから。

 

さあ、約一週間と4日ぶりの皆との邂逅だ!

 

やばい雰囲気でなければいいな。

 

 

 そうそう中の雰囲気だが、非常に静かだ。

私の場合は授業中喋りまくる議論だったり、意見だしまくりのブレーンストーミングが多いからおしゃべりが多いはずだけど。

あ、でも……大学生レベルの勉強になると、喋りは禁止にしているからその影響かな。

 

 教務員室でも、私のクラスの快進撃はものすごいらしい。

何がとは言わないが、やる気や目の色が違うんだと。

 

それは重畳。皆が皆その道を目指そうと躍起になっているんだ。

ならば教師がその道を、実体化させなければならない。

そしてその道をまっすぐ通りながら、紆余曲折し自分の成りたいものになっていく。

 

これを実現させれば、教師としてありがたいことはない。

 

 

さあ、いくぞ。

 

 

 ガラッと扉を開けて、中へ入る。

入ると生徒は皆私の方へ、一気に視線を向けてくる。

そのまま教卓へ進む。

 昔はこの学校の机や椅子は、扇形に広がり見下ろし式となっていた。

だが今はそこらへんの学校と同じように、一人一つの机と椅子・ロッカーが与えられている。

理由の一つは、共同体としての意識をして自己意識の薄弱化を推進するより、

小さくしてでも自己管理を徹底させることにより、自己管理と共にプライバシープライベートの確立を促す事に注目した。

 

 ちなみに黒板は二枚。上下スライド可能だ。

これは一々取り壊すのが面倒だからやっていないだけ。

それにこれはこれで利用価値があるので、そのまま残しているとのこと。

 

 まあ、この小学校はどこかの私立を取り込んでできたものらしいし、名残があるのは当然だよな。

改築も行われて、一階にはごはんを作るところがある。

これも共同作業の一つにしている。

皆が力を合わせなければ、誰も飯にありつけない。

 

 理にかなっているから、大学方式より旧来の体制にしている。

まあ効力を発揮しすぎているのか、発足一年後の今まで私立に慣れている子と新入生の子との間に、

運動会での規律が圧倒的な差を生み出したとかもあったなぁ。

 

 大学方式に慣れている子程、新体制になれず取り残された。

だから幼い子程、行進が軒並み揃っていたりするんだよ。

 

 

 教卓に位置取り、皆を一度見渡す。

なのはさん、元帥(三年クラス委員長)、バニングスさん、月村さん。

彼ら4人だけ、私に対して圧倒的な信頼の表情を見せてきた。

 

 嬉しいんだけど、皆の眼が怖いよ。

 

「お久しぶりです、皆さん。

 学校の教員が試験へ向かったので、臨時に入ることになりました」

 

「実務顧問殿!早急に戻ってきてください!我々の技術の粋を、見て頂きたいのです!」

「主任!戦争を!一心不乱の大戦争を!」

「パリを燃やせ!血が我らを燃やすのだあ!!」

「一之瀬先生、ケインズ経済学史についてっ!」

「馬鹿野郎っ、金本位制が先だ!」

「たかが資本主義野郎は、楽市楽座からやりなおせ!」

 

 あれ、これ、私が抜けていた分、皆さんの知識欲によりオーバーフローが発生しているみたいだ。

今日は死ぬかもしれないなぁ。

まあマップはもう完成しているに近いから、試用運転もかねて放課後やるか。

 

「では今日はあまり時間もありませんし、今後の自己確立により引きおこる中二病について学んでいきましょう」

 

 

 中二病。英語やドイツ語を使い、日常会話では使わない言葉を使う事で赤裸々な事をする一種の精神的な病だ。

病気ではないけれども、思春期の子に非常に多い。

実際私もこのころは、非常に荒れていた。

 

まあ実際は第二次性徴期によるホルモンバランスが云々の問題であって、なんら悪影響もないから安心するといい。

むしろ色々知識欲が湧いてくる、常時発情期であるのでやれることはやっといた方が良い時期だ。

この時に逃せば、後々響くことがある。恋人とか……。

感情の移り変わりが激しいので、中学教員は小学教員より肉体的な強度が必要だ。

 小学教員はただ単に、精神的なものが必要だね。

主に幼い子供達を相手取る場合だ。

やはりやらかすんだよね。それを庇いつつ、今後良くなるように導ける人物が良い。

 

 私のクラス?

彼等は特別性だから……。

だって小学三年生でこれだぜ?

 

 

「……と中二病の主な説明はここまで。

 次は英語に行きましょう。

 大層な名詞や動詞を書いていきますので、好きに書いちゃってください」

 

 

 ミルココさんや美咲さんの紹介は終わらせた。

普通に大歓声で受け入れられた。三人共年上なのにな!

 

一応机・椅子・勉強道具一式を、美咲さんに渡しているから大丈夫だろう。

 

 ブレイク・ジェノサイド・バースト・パージ・クエーサー・パルス・カラミティ・アビス・アース

ガイア・ブレス・ブレイブ・ブレード・ドライブ・アクセル・ファイア・エターナル・フェイト・ディスティニー・

フレア・ブラックホール・アルティメット・バイオ・ファイナル・フィン・ファンタジー・デス・ダーク・

ディバイン・ジャッジメント・フォース・セイクリッド・クロス・ロード・マスター・ウルトラ・ハイパー・スーパーセル・

スーパープルーム・サンダー・ライトニング・ブライトニング・ハウル・ロア・ノア・ルール・ドミネイター

・フォールアパート・ブレイクダウン・デストロイ・イマジン・ラヴェージ・パスト・フューチャー・フュージョン

・ディザスター・フォーチュン・ルーン・ルイン・ライン・オメガ・シグマ・オメガ・テラ・ラッシュ・ヴィヴィド

・ラディカル・アサルト・インヴィンシブル・アンリヴェイルドゥ等。

 

「次は中二病に欠かせないのは、伝説の武器です。一応列挙していくますので、書いてもいいですよ?」

 

 草薙の剣・妖刀正宗・村正・聖水・エクスカリバー・カリバーン・レヴァンティン・八咫鏡・八尺瓊勾玉

・仏の御石の八・蓬莱の玉の枝・火鼠の皮衣・竜の首の珠・燕の産んだ子安貝・オルナ・カラドボルグ・

クラウ、ソラス・フラガラッハ・ベガルタ・グラム・フロッティ・ハルペー・アロンダイト・

ジョワユーズ・デュランダル・ブルドガング・ネグリング・アスカロン・奉天画戟・青虹の剣・倚天の剣

グングニル・ゲイジャルグ・ゲイボルグ・ブリューナク・ルーン・トリアイナ・

トリシューラ・アラドヴァル・天沼矛・蛇矛・オリディンクス・ミストルティン・ガーンディーヴァ・

ピナカ・ニョルニル・アイシール・カトヤンガ・ウコンバサラ・如意棒・降妖宝杖・タスラム・ヴァジュラ・

天叢雲剣・十束剣・雷切・村雨・今剣・物干竿・青龍偃月刀・七星剣・干将・莫耶・宝貝・

パイルバンカー・アスカロン・AK-47・カーテナ・種子島・バムルンク・童子切・鬼丸・三日月・大典太

・数珠丸・蜻蛉切等。

 

「他にも、掛け声の中に、ウラーとかパンツァーフォーとかありますね。

 ロシア語・ドイツ語。共に習うのもいいかもしれません」

 

 私は皆さんにとって有意義なものにしたいと思って、色々考えてきて書いた。

だがしかし……つまらない。

国語の授業だから、古代学とかやりたかったんだけど、こっちの方が建設的に思えたんだよな。

 

まあいいさ。

私はこの中二病に関して、いろんな諸説やこの間に起こる自己意識の変化についても語っておいた。

 

 そうこうしていると、予鈴がなる。

この瞬間に皆が起立・礼・解散する。

授業評価は最初っから滑ってしまったが、次の授業でどうにかするさ。

 

 

「一之瀬先生、小学校でこんな授業を受けさせていいの?」

 

 

 教卓にある椅子に座る私は、隣に来た美咲さんに身体ごとそちらへ向けて話を聴く。

 

「先程のは少々特殊な奴だよ。ふむ……そろそろやるべきかな」

「何を?」

 

 私は次の授業で渡すプリントの中の一枚を渡す。

美咲さんはこれを見て、頭を捻る。

なにを示し、何を行い、何を計算しているのか。

まだ彼女にはわからないかもしれない。

 

何せこれは、戦争への布石なのだから。

 

「一之瀬先生っ!」

「うおっと。どうかしましたか、高町さん?」

 

 なのはさんが私の後ろから抱き付いてくる。

そして顔を私の頭の横に置くような感じで、腕を私の首に回してくる。

 

「昼休み、理科準備室に皆集まるんですけど、来ますか?」

 

 彼女は他の人に聞こえない様に、耳元で囁きかけてくる。

私はそれに頷く。

 

「やったあ!アリサちゃんとすずかちゃんにも伝えてくるね!」

「はい、御願いします」

 

 私は一週間と4日ぶりに、三人と顔合わせになる。

生徒という意味で対等で平等な付き合いをするのは勿論だが、非現実的現象専用顧問としては彼女達に意識を傾注しないといけない。

今回昼休みに、美咲さんとミルココさんを連れて理科準備室に行こう。

 

 なのはさんが教室外に走っていくのと同時に、ミルココさんがにやけて私に近づいてくる。

 

「禁断の生徒に手を出す先生ね~?」

「しかも三人に気に居られている。やはり、ハーレムは素晴らしいっ!」

 

 ミルクさん、手を出してはいません。

護るための身体は、差し出していますが。

 

 ココアさん、親父みたいに興奮しないでください。

後ハーレムじゃありません。懇親会です。

 

「ミルココさん、美咲さん、昼休み私と理科準備室に行きましょう」

 

 私はにこやかに三人に言うと、美咲さんは純粋に頷いてくれた。

しかしミルココさんは、逆に自身の身体に腕を抱かせて”一之瀬先生は誰も彼もハーレムに入れる凄腕!見境ない!”、と

暴走していたので普通に無視した。

これは酔っ払いと同じく、こういう輩は相手にしちゃいけないな。うん。

 

 

 さ、予鈴が鳴った。

予鈴が鳴る前に、生徒は此処に戻ってきた。

 

私はプリントを配る。一番前の人に、その列の人数分をまとめて渡して、後ろへ回して行ってもらう。

 

そしてそれが一定の人に渡ると、絶叫を発する。

 

 

「研究がっ、これでっ、捗る!」

「来た!これであいつらに勝てる!」

 

 美咲さんやミルココさんは、一番後ろになのでまだ分からない。

 

 遂に彼女達にそれが配られると、三人共ポカンとする。

美咲さんはすぐに眉間を皺立たせ、その内容を解読しようと試みている。

 

「今日は模擬戦まで半分を過ぎたので、詳しい計算式を行います。

 そう、開発に於いて大事な、『航空学』を学んでいきます」

 

 デルタ翼とかカナード翼とか、航空機に働く力を導き出す翼の形を見出すことができる計算方法。

また性能や構造、風洞実験に関しても記している。

 

さあ、始めよう。

 

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