この世には、様々な『天才』が存在する。神が、そのような天才を死ぬままにしておくことは、勿論なかった。
天界の戦争が激化してしばらくが立った頃、神はある部隊を組織した。戦争も特殊部隊も、初めてではなかった。天使も神も、全能ではない。集まれば、何かしらのいざこざは起きるものだ。しかし、このように、人材を集めるための物は、これまで全くなかったに違いない。その名も「エンジェル・ヘッドハンターズ」。下界に降り、人間の天才たちと契約し、次の輪廻転生を天界に固定する。こうすることで、天界はあふれるほどの人材を手にすることができる。一時的でしかないが、まさしく、天界に必要不可欠な部隊と言えよう。そして、当然といえば当然だが、『エンジェル・ヘッドハンターズ』の中で最も優秀なメンバーは、私の直属の上司であり、天使序列1位であるディージェだった。
ディージェは、天才の中の天才、天使の中の天使だった。地方神を自在に操り、時空の彼方へ飛んでいくディージェは、市民の憧れの象徴だった。部下の私から見ても、なかなか魅力的な上司だったかもしれない。
私が彼についての記録を作ろうと決心したのは、『図書館』の司書になって、少し立った時だった。その日は、美しい、とは言えない曇りの日だったが、雲の間から、ちょうど滝のように光が差し込み、美しい「天使のはしご」を構成していた。重厚でありながら、時に優しい印象を見せる『図書館』は、珍しく私への来客を招いていた。来たのは、モーツァルトだった。彼もまた、私達に引き抜かれたものだった。彼は私に言った。「アイツ」達が、どこかに消えてしまったと。そして、私の上司が、それを追って行ったこと。そういえば、彼はこんなことも言っていた。また、何かのトラブル-天界を揺るがすほどの、大事件が起こるかもしれない、と。
最初は、私も、「ディージェ記」の製作に、あまり乗り気ではなかった。私の意思を決定したのは、ディージェが私に持ち帰ったある記録だった。そして、私は思ったのだ。このくらいなら、私にも書ける、と。自惚れていたわけではない。自分の実力と、記録を書き残すための文章力とを分析し、あの結論にたどり着いたのだ。しかし、あの文章に敬意を払い、一章は加筆だけにとどめることにする。
-そろそろ、物語を始めよう。導入はまだ続くことだし、これ以上ダラダラと伸ばしたところで、百害あって一利なし、だ。
次元は「3」。物語の始動。
正直、ここに戻ってくるのは相当後になるでしょう。次から本番です。