電の日記帳《完結》   作:室賀小史郎

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前に言っていた艦これSSの後日談です!

最初はプロローグですので、甘さ無し!


末っ子の日記帳

 

 あの日の提督のお見合い、そして提督の意中の相手である電との逃避行騒動から暫く経った。

 鎮守府では概ね前のような穏やかさが戻ってきた。

 

 提督は電とケッコンカッコカリを果たし、ケッコンカッコカリ式もシンコンカッコカリ旅行も済ませた。

 癖の強いLOVE勢達だが、ちゃんと二人のケッコンカッコカリを素直に祝福している。

 

 何故素直に祝福出来るのか……それはカッコカリだから。

 

 LOVE勢が次に狙うはカッコガチ。即ち正式な結婚。

 だからこそ、カッコカリなら逆転するチャンスはあると思っているし、掴もうとしている。

 

 そのことは電も重々承知しており、電は提督が今後誰とケッコンカッコカリをしてもいいとまで公言しているくらい。

 艦娘とケッコンカッコカリをすれば多くの利点があり、艦隊運用もこれまで以上に幅が出る……が、提督としては電以外とケッコンカッコカリをするつもりは毛頭ない。

 ただ、深海棲艦の脅威が増す中で戦力増強として考える時が来るかもしれない……とは心の隅には置いている次第だ。

 

 しかし、現段階でそのようなことを考える必要はない。

 

 だから今暫くは、電だけが提督とより深い絆で結ばれているだろうーー

 

 

 ○○鎮守府、一九〇〇過ぎーー

 

 駆逐艦寮、暁型姉妹部屋ーー

 

「遅いわね〜、電〜」

 

 本日のお勤め、そして夕飯、お風呂等を済ませた電を除く暁型姉妹。

 その長女で()()()の暁は長座布団の上にうつ伏せで寝そべりつつ、壁掛け時計を見ながらぼやく。

 

「今は『フウフカッコカリの時間』というやつだからね……まだ帰ってはこないさ」

「そうそう……それにいつも消灯時間までには戻ってくるじゃない♪」

 

 そんな暁のぼやきに次女の響と三女の雷が紅茶をすすりながら返す。

 

「むぅ……私も司令官とイチャイチャしたいわ」

「それは私だってそうさ……そして雷も私達以外のLOVE勢のみんなも、ね」

「ま、チャンスは平等にくるんだから、その時に司令官を落とせばいいのよ♪ もう変に気を遣う必要ないんだからね♪」

 

 雷の言葉に響はうんうんと頷き、また紅茶をすする。

 

 今の鎮守府はあのLOVE勢の掟が無くなり、全員が猛アピールをしている状態。

 しかし提督に迷惑に掛けないよう、夜這い等は()()()()()()している。

ただその中でも、ストレートにしか物事が言えないガングートや利根といった者達は執務中であろうと『ケッコンしよう』と提督に迫り、ツンd……素直になれない者達は提督を前にすると顔を真っ赤にして逃げてしまうなど、それぞれで色々と苦労しているんだとか……。

 

 少しして暁は「んにゃっ」と掛け声をあげて起き上がると、響達と同じく紅茶を口に含む。

 

「ごくっ……それにしても、電がいないってなんだか不思議ね」

「電は初期艦だからね。私達の誰よりものこの鎮守府に居て、私達を迎えてくれたから、暁姉さんの言葉も何となく理解出来るよ」

「私は姉妹の中で一番最後の着任だったから、誰が欠けても落ち着かないわね〜」

 

 姉妹が揃ってからいつも姉妹一緒だった暁達としては、電がこの場にいないというのは複雑な様子。

 すると、

 

「じゃあ、電がいないからこそ出来ることをしようか」

 

 響がフフリと不敵な笑みを浮かべて言った。

 暁と雷はどういう意味か分からずに小首を傾げていると、響は電の机へ向かい、二番目の引き出しを開け、そこに入っている一冊の白いノートを持ってきた。

 

「それ電のノート?」

「電のノートで何する気なの、響姉?」

「そう急くものじゃない。電が帰ってくるまで時間はあるんだからね」

 

 そう言って響は一息吐くと、

 

「これは()()()()だ。しかもつい最近の、ね」

 

 響の言葉に暁達に電撃が走った。

 暁達だけは『イナの書』と呼ぶこのノートは電の日記帳なのだ。

 これには提督の趣味や最近の趣向が記されており、暁達は前に一度だけ見せてもらったことがある。

 そのお陰で暁達は提督と同じ趣味の時間(その時は散歩)を過ごせたので、ある意味で崇め奉られている書物なのだ。

 

「電は司令官に選ばれて慢心したんだろう。この日記帳が入っている箱の鍵の在処を私に悟られたくらいだからね」

「響姉が夜更かししてたのってこういう理由だったのね……」

 

 雷がそう言うと、響は「照れるな」と頭を掻く。しかしすぐに雷から「いや、別に褒めてないし」と言われ、ちょっとだけふてくされた。

 

「ね、ねぇ……いくら姉妹でも妹のプライバシーを覗くのはレディのすることじゃないわ」

 

 日記帳を読む気満々の響と雷に暁は止めに入るが、

 

「そうかいそうかい。なら私と雷だけで読むね」

「暁姉は司令官のこと知りたくないんだ〜、へ〜そっかそっか〜」

 

 どこか含みある言葉を返されてしまった。

 こうなると暁はもう二人の術中にハマらざるをえない。

 

「い、いいわよ! なら見てやろうじゃない! 私だって司令官のことなら何でも知りたいんだからねっ!」

 

 暁の言葉に響と雷は『計画通り♪』と暁に見えないように、ニヤリと笑う。

 

「それじゃ、開くよ?」

「ドンといらっしゃい♪」

「い、いつでもいいわよ……」

 

 こうして暁達は『イナの書』をゆっくりと開くのだったーー。




一先ず、プロローグって感じです!
次回から電ちゃんと提督さんのあんなことやこんなことを書いていく……かも!
それと鎮守府発足当時のことも少し書けたらなと思ってます。

よろしくお願い致します。
ともあれ、読んで頂き本当にありがとうございました!
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