個性『桃球』 作:猫好き
つまり、USJ編が終わると鬱な展開が続くかも…って事でよろしく!
私が移動した場所は八月道場の闘技場だった。他の場所も考えたが、その多くがあの男が作った施設だ。もしかすると機能出来ない可能性があった為、あの男が作っていないここにやってきた。
「ぐっ!」
「お父さんしっかり!今個性で…「いいんだ…もう…いいんだ…」
私はオール・フォー・ワンを治した『ドクター』で治そうとしたが、父が私の手を握り止めた。
「何言ってるの!お父さんこのままじゃ本当に…」
「俺にもう寿命がもう殆ど無いことは知っている…寿命を
「寿命を断ち切る?そんな事!」
「出来るさ。この個性ならね。元々は葵と結婚する為に…葵を悲しませないようにする為に…断ち切ったのが最初だった…それでも結局は自分の方が先にあっちに行ってしまうなんてな…ほんと情けないよ。」
お母さんと結婚する為に父は自ら人間をやめたのか…あれ?寿命を断ち切る?父は何を言って…
「俺はこの時代では無い過去から生き続けている。…おそらく俺が最初の個性の発動者なんだろうね…」
「じゃあお母さんは!」
「葵は九尾と呼ばれる昔から生きている大妖怪さ。詳しい事は母に聞けばいいだろう…それから…お前を断ち切っていた物を今全て解放した。すまない…こんな形で解放する事はしたくはなかった…」
思い出した…そうか私も昔人間をやめていたのか…でもそんな事より今は…
「待っててお父さん!私が治してあげるから!私のお父さんは…八月 桃のお父さんは八月 勉しかいない!だから死なせない!」
今にも消えそうな命の蝋燭を消させない為に私の個性が発動する。轟君に見せたように少し前から2つの個性をコピーする技を開発し、組み合わせで何百通りの個性を生み出す事に成功していた。
その中でも今から使うのは死人すら治してしまう危険な個性。勿論そんな事は悪い事だって分かっている。でも…目の前で大切な人が死にそうなのに使わないなんて間違っている!
私にとってのお父さんは…八月 桃にとってのお父さんは八月 勉しかいないのだから…
「個性発動!『エンジェルドクター』。お父さん今助けるからね!」
コピーしたのは『エンジェル』と『ドクター』のコピーミックス能力。1つ1つでは父を治す事は出来ないだろう。しかし2つが交わり、融合する事でその力は数倍にも膨れ上がる。
だがそれだけの強い個性がタダで出来る程甘くはない。両方の制御が均等ではないと正しく力を出す事が出来ないし、技を行う代わりに大幅に体力を持って行かれる。
それは他の融合個性にも言える事で、この数ヶ月は体力の増加をメインにしていたつもりだった。しかし、
「思っているより体力を持って行かれる。」
私はこの個性を甘く見ていた。人を1人を生き返ささる事はどれ程難しいか…分かっていた筈だった。だけど、父を治療して分かった。
もう父は何十回も…いや、何百回も寿命が断ち切り続けたのだ。もう私の力ではほんの少し時間を延ばす事しか出来なかった。
「最後に俺のわがままを聞いてくれないか?」
「最後だって言わないで!何回でも聞いてあげるから!だから帰って来て!」
再度力を行使して体力を持って行かれたが、私には蝋燭が線香花火に変わったようにように感じた。これが人の死という奴なのだろう。
まだ私には関係の無い事だと勝手に思っていた。毎日何処かで誰かが死んでいるのは分かっていた。世界規模で言えば毎秒何処かで死んでいてもおかしくない。
それでも私には関係の無い…あっても大人になってからだと決めつけていた。じゃあ私の目の前の光景はなんだ?父が最後の力を振り絞って私に伝えようとしているこの状況はなんだ!
「俺の…力を…桃に…渡したい。」
「‼︎」
お父さん…まさか…
「出来るな?」
「無理だよお父さん!私はお父さんを食べたくない!そんなわがまま言わないでよ!」
「桃は強い子だ…多分葵に…似たんだろうな…俺達は本当の親じゃないが…そういう所は似るものなんだな…」
父は私に自分を食べろと言ってきた。それはまるでオール・フォー・ワンが言った『人を食べる事で個性が増える個性』のようだが、記憶を取り戻した今なら分かる。
私の個性は『桃球』。昔…いや、父が断ち切らなければ今でも人気があったであろうゲームの主人公カービィの個性。
カービィのように吸い込む必要がない代わりに新たな個性を生み出すには人を食べる必要がある個性。つまり、今使える数々の個性は昔私がその個性を持つ人間を食べた事を指していた。
今になって吐き気がしてきたが、そんな事を考えている場合じゃない。
「…出来ないよ…私には出来ないよ…」
「そうか…なら仕方あるまい…断ち切る!」
それは線香花火の最後の輝きのような綺麗で何処か儚い光だった。そして、その光が私を包んだ時異変は起きた。なんだか目の前の物が美味しそうに見え…まさか!
「これが俺の…最後の仕事さ。桃…さあ俺をお食べ…」
やはり父は私に自分を食べさせる為に思考回路を断ち切ったんだ。実際に私の目の前には横たわる父の姿ではなく、美味しそうな肉しか見えて無い。
「お父さんのバカ…食えるわけ無いでしょう。」
嘘だ。今すぐにも目の前の肉を食べたいと思っている。それでも食べないのは目の前の物が父だと分かっているから…
「しょうがない…奴だな…これでいいんだろ?早く楽にさせてくれよ…断ち…切る。」
そして、その父と私という関係を今断ち切られた。分かっていたよ。父は最初からこうするつもりだったんだって…だって私は八月 勉の娘だもん。
でも最後に言っておくね…『美味しかったよ…お父さん』
その日、1人のヒーローがこの世を去った。そのヒーローの最後は愛する娘に見守られ、最後は愛する娘の力となり長い長い人生に幕を閉じたのだった。
はい。今回でようやくタイトルの回収が出来ましたね。そして、八月家は3人とも人間ではありませんでした。
これを予測出来た人はいるんですかね?(作者も最初はそんなつもりなかった)次回USJ完結回(予定)次回も見てくれよな?