個性『桃球』 作:猫好き
今回でUSJ襲撃事件は終わりましたが、何か無理矢理感が半端ない感じになってます。あ、それと今回八月 桃の母の正体が明らかになります。個性等についてはいつも通り後書きにて…
それでは本編どうぞ…
僕達と偽八月さんの戦いは数ではこっちが有利だった。しかし、
「さて、まだ戦うかいヒーロー?」
偽八月さんの実力はそれより上を行っていた。そこには既に意識のないカッちゃんと轟君。尾白君は今偽八月さんに踏まれ、蛙吹さんは水難ゾーンへと飛ばされた。
残っている上鳴君は個性の使いすぎでアホの顔をしているし、相澤先生は必死で偽八月さんの個性を消しているが、変化がない。八百万さんはカッちゃんと轟君のところに行って応急手当をしている。
だが、それを目の前の偽八月さんは止めようとしない。真っ直ぐ僕だけを見ている。どうする?どうするのが正解なんだ?今の状況考えろ…
「そうね。普通ならば絶望的シチュエーションだけど、あらあら本当に桃にそっくりだ事…」
「‼︎」
それは一瞬の出来事だった。気がついたら偽八月さんが飛んで行ってその場所に1人の女性が立っていた。あ!あの女性は!
「もう大丈夫よ。何故ってこの九尾ちゃんが来たもの。」
NO.3プロヒーロー九尾ちゃん。戦闘でも救出でも治療でも何でも出来るオールランダーヒーロー。遊英で教鞭をとっているのは知っていたけど、改めて見ると男性人気ナンバーワンも頷ける程綺麗な人だった。
「九尾!奴は桃の初期段階級に強い。」
「あらあら、でもそれを聞いて安心したわ。だって娘を止めたのは私ですもの。後は任せておきなさい。」
娘?八月 桃が娘…ま、まさか!
「え?八月さんのお母さん!!」
「そうよ。取り敢えず3人は治しておいたわ。」
「お、お前は!」
いつの間にかカッちゃんが目覚めて、九尾ちゃんに驚いている。そう言えばカッちゃん達は八月道場で八月さんの母にしごかれていたと聞いたけど、九尾ちゃんがその相手だったとは…
「あの人からのメールですもの…早急にケリをつけたいわね。」
九尾の尻尾が何も無いところを殴った。彼女がそんな事をするという事は…
「逃げるつもりかしら?それとも私に攻撃でもしようとしたのかしら?私相手に透明化をしても無駄よ。ふふふ。次は何をするのかしら?」
「チッ!オールマイトより先に厄介なヒーローに出会っちまったか。だがいいのかこんな所にいて?先生はゴエモンを殺す算段がついたと言っていた。…普通は愛する男をとると思うのだが…」
「あらあら、今度は何を言うかと思ったら…あの人が死ぬとでも言いたいのかしら?残念だけど、そんな事とうの昔から理解したわ。」
とうの昔から?その言葉はまるでゴエモンさんが死ぬのを予見していたかのようだった。いや、ヴィランの言葉に対抗しているだけかもしれないが…
「そろそろ終わりしましょうか?でないともう1人の怖いヒーローが…来たみたいね。」
その時入り口の扉が勢いよく開き、気が付いた時には広場にいた全員を偽八月さんから離れた場所に運ばれていた。
そんな事が出来るヒーローは僕の知る中で1人しかいない。そのヒーローは
「妙な胸騒ぎを感じて校長との話を切り上げてやって来てみれば、こんな事になっているなんてね…でももう大丈夫!何故って?私が来た!」
「オールマイト!」
NO.1ヒーローオールマイトしかいないのだから…そして、
「1ーAクラス委員長飯田天哉!只今戻りました!」
少し遅れて飯田君がプロヒーローを引き連れてやって来た。流れは完全にこちら側に傾いていた。だが、目の前の偽八月さんは笑っていた。
何かある。確証はなかったが、そう思える笑顔だった。
「あーあ、これじゃ退却するしか無いかな?」
「させるか!」
オールマイトが偽八月さんを殴り飛ばそうとするが、九尾ちゃんがそれを止めた。
「オールマイト。もう彼女はいませんわよ。上手く逃げられてしまいましたわ。」
よくよく見ると目の前の偽八月さんが徐々に崩れ始めていた。ついの間にそんな事をしていたのだろう?少なくとも僕にはさっきまで普通の人に見えたそれは紙を細かく破るような感じで消えていった。
「じゃあまた会いましょう?」
そんな言葉を残して…
………
「USJをくまなく探しましたが、これで全員です。」
「ご苦労だったね。」
オールマイトやプロヒーローが来てからはすごくあっという間に物事が進んだ。駆け付けたプロヒーロー達が生徒達を保護すると同時に数十人に及ぶヴィラン(チンピラ)を捕まえ、警察も通報を受け駆けつけていた。
その中で主軸と思われる人は捕まえる前に逃げており、プロヒーローにとって苦い勝利となった。今ここにカッちゃんと轟君、尾白君、内藤君の姿はない。
九尾ちゃんが治したと言っても限度がある為病院に運ばれている。特に内藤君の傷は酷く、浅いが全身に切り傷があった。致命傷は無いものの血を多く失っている状態だという。
他に変わった事と言えば口田君がクマみたいな動物を引き連れていたり、峰田君がガタガタと震えている。切島君は疲れておるのか障子君に支えられながら立っていた。
そして…
「あ、あの!桃ちゃん…八月 桃は大丈夫なんですか?」
USJには八月さんの姿を見つけられなかった。捜索に協力していた障子君を見るとゆっくりと首を振ってから話始めた。
「あの黒い霧の奴に切島と一緒に何処か別の場所に飛ばされ、そして切島だけ戻ってきた。ヴィランが八月 桃を狙っていた事を考えれば…」
「八月は…」
それは小さく震えた声だった。声の出所は切島君からだった。
「八月はヴィランの親玉と取引をした。第2陣の襲撃と新たなる脳無の阻止をする代わりに自分の身を差し出して…」
「うそ!桃ちゃんがそんな事を?」
「くそ!あの時俺が捕まりさえしなければ!俺にもっと守れる力があれば!八月を守れた筈なのに!」
切島君が地面を叩く姿を僕は止めることは出来なかった。つまり、僕達はまんまとヴィランの思い通りに八月さんを渡してしまったという事になる。
目の前でそれを経験した切島君にかける言葉を僕は持っていなかった。
「切島君と言ったからしら?」
そんな時に声をかけたのは九尾ちゃんだった。そうか!彼女もまた娘を連れ去られた身の筈。でもその顔には悲しみのか顔は見えない。
「八月 桃なら既に逃げているわ。あの子からメールが来て、ここに来たんですもの。」
「ちょっと待って!じゃあヴィランの第2陣が…」
確かにそうなるかもしれないが今の所来る気配は無い。と言ってもこれ程プロヒーローの居る場所を狙おうとは思わないだろうが…
「いや、来ないと思うよ。多分それが分かっていたから九尾ちゃんに連絡したんだと思うし…」
「そういう事?」
「切島君。八月さんがヴィランと取引した内容覚えている?」
「お、おう。確か『第2陣による遊英高校襲撃の禁止と更なる脳無の追加禁止、私達の安全の確保の代わりに八月自身。』だぜ?それがどうしたんだ?」
僕は分からなかったが、切島君の言葉を聞いて八百万さんが何か気付いたみたいた。
「これには穴がありますわ。八月さんを使える回数がありませんわ。つまり、ヴィランによる依頼を1つでもクリアしてしまえば逃げても問題ありませんわ。」
「そういう事よ。でも、今は別の意味でこっちには来れないでしょうね…」
「別の意味?」
別の意味で来られない?まさか八月もまた大怪我をしているとかそういう事なのだろうか?
「ええ。実は…
断ち切りヒーロー『ゴエモン』が死んだのよ。」
その言葉は1人のプロヒーローであり、八月さんの父が死んだ事を伝える言葉だった。
次回から数話はシリアス展開になります。それでは本編に出てきた主人公の母の紹介です。
○八月 葵 ヒーロー名『九尾ちゃん』 個性『九尾』
日本の昔からいる九尾という大妖怪の個性。戦闘は勿論捜索や救助、治療と言ったヒーローに求められる事は大抵できる。なお、そんな大妖怪の個性を持っているからか歳を取りにくいぞ!(プレゼントマイク風紹介)