個性『桃球』 作:猫好き
今回は最長の3300字に行ってしまいました。流石に疲れたよ。あ、本編どうぞ。
目が覚めると知らない天井だった。だが、特有の消毒臭い匂いでここが病院だという事が分かった。そうか私…
その事に気がついた時病室に併設されているトイレに駆け込み吐いた。それでも益々気分が悪くなるばかりで一向に良くなる事は無い。その時病室を叩く音の後に声が聞こえた。
「桃入るわよ?」
それはお母さんの声だった。でも私は…
「来ないで!今は誰にも会いたく無いの!頼むから…1人にさせてよ…」
「分かったわ。私は桃の味方だからね。」
今誰かに会う気分ではなかった。まったく情けないが、人に会うのが怖いのだ。父を食べた事は言い訳が付くにしても昔は普通に私は…思い出しただけで、また吐いてしまった。
こんな状態で誰かと話すなんて…ん?声?それは病院なのに関わらず走る音が複数聞こえてきた。その音は段々と大きくなり、そして…
「八月!」
「!切島…君…」
「ちょっと君!今彼女は…「会いに来たら駄目だって言うのかよ!」
声の正体は切島君だった。そんな彼を追いかけたのはおそらく病院関係者だろう。彼以外のクラスメートの姿はなく、彼が1人でやって来た事を指していた。
「な、なんでここに…」
「九尾ちゃんに聞いたんだよ!それに友達のお見舞いに来るのに理由なんて必要無いだろう?」
友達…その言葉に私は涙が溢れてきた。少なくとも切島君は私の個性について知っているはずなのに…それでも友達だって言ってくれた。
その事がとても嬉しくて、でもそれがとても悲しくて…
「それにさ。親しい人を亡くす寂しさは知っているつもりでいるぜ?自分の親って訳では無いが、「違うの!切島君!違う…違うんだよ…出てって!頼むから今は1人にさせてよ…」
「八月…」
切島君が私を心配してくれるのはありがたい。でも、こんな化け物みたいな私の事を心配しないでほしい。私の事なんて忘れて…
「分かった。また後で来るからな。」
なんでそんなに優しいのよ!私なんてヴィランよりヴィランらしい個性を持っているのに…その個性で何人もの人を殺して食べているのに…
「いいよ。もう来なくて…断ち切る!」
「‼︎」
だがら断ち切る。私は今は誰とも会いたくない。会いたく無いならどうすればいい?簡単だ入り口を封じてしまえばいい。個性を使って封鎖しても壊されて終わりだが、私がしたこの個性は違う。
入り口とこの部屋を断ち切った。壁を壊してまで彼が来るとは考えにくい。入り口でこちらに体当たりをしている切島君を見て、1つの個性を使う。
その個性は決してコピー能力とかそういうものでは無く『コール』という物。電話番号を知らなくてもその人に掛けられる便利な個性である。短いコール音で出た声は慌てて取ってように息が絶え絶えだった。
「八月どういう事だ!」
「ごめん…切島君。今日はもう誰にも会いたくないの…また明日来て…必ず1人で来てね…来なかったら私は…私じゃなくなる…」
「それって…」
何か言いたそうにしている切島君との電話を切り、ベットに体を沈める。私は何で生きているのだろうと考えた。死にたく無いから?そう言えば私の個性が分かった時からそうだったけ…
あの時は何の個性か分からなかった…それが原因で皆から虐められて…それから……もう考えるのはよそう。私はもう人間では無いのだから…
………
翌日切島君は約束通り1人でやって来た。探索すれば近くにクラスメートがいる事はすぐに分かった。切島君は気付いていないみたいなので中に入れる。
「ごめんね。昨日はあんな感じで追い出して…」
「いや悪ぃ。そうだよな八月だってまだ俺達と同じ高校1年の子供だよな。」
「私を何だと思っていたのよ。私だって落ち込む事はあるのよ。」
私はただ単に嬉しいかった。切島君の直球的な言葉が裏表も無いような言葉が、私には心地よく感じたのだった。
「あ、あのさ。ヴィランに捕まってしまった時助けられなくてごめん。あの後九尾ちゃんから色々聞いたよ。いや、あれは詰め寄ったと言ったほうがいいかな。何やってだろうな俺は…あの時は何としても八月を助けてやらないとって思いしかなかったからな。」
そうか切島君は知ってしまったんだ。私の過去を…その上で私に会いに来てくれた訳か…
「なら聞いたんでしょう?私の過去の事。私の個性の事…笑ってもいいんだよ。私だってお父さんに死ぬ前に断ち切りを解除されるまでは、忘れていたんだし…今も恐ろしく感じている。それでも来てくれたのはありがとう。でも、私はもうヒーローになってはいけない人間…いや、人間でも無い
その時切島君が私の顔を平手で殴った。切島君の顔は怒りの顔をしており、私の肩を掴んで真っ直ぐ私を見た。
「ああ、九尾ちゃんに全て聞いたよ!過去の事も個性の事も!でもそれはそれこれはこれだろ!八月が遊英に入ったのは何でだ!ヒーローになりたかったんだろ!九尾ちゃんみたいに皆から愛されるヒーローに!ゴエモンさんみたいな皆を引っ張れるヒーローになりたかったんだろ!個性が何だ!過去が何だ!そんなもん気にするなよ!そんな事で八月を傷付ける奴は俺が殴ってやる!俺だけじゃねぇ!A組が味方になって八月を守ってやる!だから戻ってこい!」
切島君の直球すぎる言葉に顔を下に背ける。
「ありがとう切島君。でも、ならなおさら分かるでしょう。昨日の事…私は………私がお父さんを殺したんだって…私の個性『人を食べて個性が増える個性』で死んだんだって…どうする?多分警察に差し出せば私は捕まるんじゃ無いかな?」
そんな事はしないとは思っていても、心が弱気になっている今は何もかもが敵に見えてしまう。
「それがどうした!確かにその個性だけ見たらヴィラン向きな個性だろう。けど!それはどんな人が持つかにもよるだろ!俺だって好んで人を食べている奴の所には行きたくねぇよ!ゴエモンさんからの最後のお願いだったんだろ?八月はそれを実行した。それでいいじゃないか!」
やはり切島君は直球な言葉だった。その言葉に裏も表もない。もし、他の人だとどうしても裏が見え隠れしているのが見えてしまう。
「切島君…私怖いの…私のこの個性が暴走して親しい人を食べてしまうかもしれない。それがクラスメートかもしれないし、誰かの親族かもしれない…そう考えると私は生きていていいのかななんて思ってしまうの…もし、切島君の親族を食べても私を守ってくれる?」
「……」
「そうだよね。自分の親族を食べたら…「守るさ。」え?」
「守ってやるって言ったんだよ!今回は好きになった女を守れない男かもしれないが、今度は必ず守ってやるから!だからいつもの八月に戻れよ!」
「え、え?そ、それって…どういう…」
まさかの告白だった。突然の事に私は顔が熱くなっていくのを感じた。それは切島君も同じだった。髪の色並みに赤くしながら私を見つめていた。
いつの間にか私はベットに押し倒されている形になっていた。お互い顔を合わせているのが恥ずかしく顔をそらして視界を外す。
「………」
「………」
気まずい空気が流れていた。何か話さないと…そう思うが私は直球すぎる告白にどう答えればいいか分からず、切島君は言ってしまった事を後悔しているのかもしれない。
「あ、あのね切島君。こんな私なんかでいいの?クラスにはもっと素敵な女性がいるのに…」
「実は俺入試の時に0pロボを倒すのを間近で見ていたんだよ。あの時からもしかしたら八月に恋をしていたのかもしれないな。遊英に入って…八月と一緒なクラスになって…クラスメートの弱点見抜いて、それを補うような強化方法を教えて、轟や爆豪に勝ててしまう戦闘センスもあって本当に雲の上の存在だった。…でもあの時俺は悔しかった八月を守れなかったことが…俺だけ生かされたことが…だから今度は!俺が守ってみせる!」
どこかで紫チビ君がすごい顔で睨んでいる気がしたが、ここには切島君以外入ってこれないよう断ち切った訳だから、そんな事はないのだが…
あまりに直球すぎるので私は切島君をからかうことにした。
「…それで?今から私に何をするつもりかしら?私をベットに倒すなんて…」
「あ、ご、ごめん。」
「でも…ありがとう。」
過去の事はあるし、正直まだ人に会うのが怖い。それでも…乗り越えなければならない。遊英の教訓だってそうじゃないか。私だって
あまりシリアスは好きじゃないけど、次回もシリアスになるかな…もしかしたら数話続くかも…
この話を投稿してからタグを追加しておきます。追加タグはこちら
オリ主×切島
他作品ネタ(名前や技名)
では次回をお楽しみに…