人の名前を間違う雪ノ下はまちがっている   作:生物産業

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15話 悪の帝王に任せていいのかい?

 秋太が勇者と称した相模南は部室にいたメンバーを見て少なくない困惑をした。

 南に連れられてついてきた友人たちも、想像していたものと違ったのか、困った表情を浮かべている。

 

「あ、あの平塚先生に聞いてここに来たんだけど……」

 

 南たちが困惑した最大の理由、それは八幡――ではなく秋太の存在だ。

 南と八幡は同じクラスだ。それは結衣に対しても同様である。結衣と違ってクラスメイトとあまり関わりを持たない八幡は浮いている。人にちやほやされたいタイプの南にとって、友達のいない比企谷八幡という男は見下す対象であった。自分の方が上なのだと、言葉に出さずとも顔や態度にありありと出ている。

 この場の男子生徒が八幡だけであれば、特に問題はなかった。自分よりも下の存在など脅威になりえないからだ。だが、ここには秋太がいる。さきほどの会議で異彩を放っていた彼の存在は南にとって不気味でしかない。

 

「ここは奉仕部よ。平塚先生に聞いてきたのなら、用件を言ってもらえるかしら?」

 

 部活動が始まる。

 先ほどまで無駄話に興じていたが、部員でも何でもない秋太は、奉仕部の活動を邪魔しないように自分の定位置に移動した。

 それを見て、南とその友達は首を傾げる。

 

「彼はいいのよ。彼は本当に人手が欲しい時だけの、臨時部員だから」

 

 雪乃の説明に秋太は反論したくなったが、部室を借りている以上強くは言わなかった。

 

「へぇー」

 

 苦手にしていた秋太がいなくなった。これは南にとって大変喜ばしいことだ。その思いが漏れてしまったのだろう、南の顔に嫌な笑みが張り付いた。

 人の悪感情を読み取ることには天才的な八幡と、本能的にそういう人間を嫌う結衣はすぐに南の表情に気づく。

 

 秋太の立場からすれば部員でない自分が奉仕部の案件に関わるのはおかしいと考えてのことだが、南には彼の行動が違って見えた。

 先に行われた文実の会議において、秋太は実行委員から煙たがられる存在となったのだ。それとは逆に支持者を得た南は心理的に自分の方が上なのだとそう思い込んでいる。

 そして今、秋太は自分の元から逃げた――そう思える。

 立場が変われば見方も変わる。奉仕部の面々と南では現状の捉え方が全く違うのだが、少なくとも南にとって自分は優位な立場でいることは間違いないと確信していた。

 

「それで用件は? 冷やかしなら帰ってほしいのだけど」

 

 南の心情など知らない雪乃は、当たり前のように言葉を告げる。そして、それはいとも容易く南に現実の立ち位置を理解させた。雪乃の鋭い目つきに、南は少しビビりながら答える。

 

「え、えっと……ほ、ほら、うちって文化祭の実行委員長になったじゃん?」

 

 まさかという思いである。予想はしていたが、最初からはないだろう。相模南に対してかすかに持っていた期待を雪乃はここで失った。雪乃は彼女に呆れた。

 

「それで、それで、実はちょっと、自信がないというか、初めてのことだから心配なんだ。それで平塚先生に相談したらここを紹介されて……」

 

 用件を言わない。面倒な人間ほど、話の内容に入るまでの前振りが長く、そしてその意味のない前段階に気づかない。

 

「要は、お前の仕事に協力しろってことか?」

 

 なんとなく言いたいことが分かった八幡がそう尋ねると、一瞬嫌そうな顔をしながらも、「う、うん」と短く答えた。

 露骨な態度に、結衣は怒りを感じた。それを表に出すようなことはしなかったが。

 

「貴方の掲げた自分の成長という目標から大きく外れると思うのだけど?」

「ま、まあ、そうなんだけど――ほ、ほら! やっぱり失敗して皆に迷惑かけるのが一番悪いじゃん! それに、皆協力するってことも大事だと思うし、ね?」

 

 雪乃や八幡ではなく、南は結衣に尋ねる。押しの弱い彼女なら、この場で否定してくることはないと分かっているからだ。

 結衣は小さく頷く。そして自分の意見がはっきり言えないことに、情けなさを感じた。

 

 ここで八幡は思った。

 目の前の女子生徒を助けるべきなのかと。

 彼女は無理やり実行委員長に祭り上げられたわけではない。自分から望んでその立場に就いたのだ。

 だというのに、まだ始まってもいない段階から協力を求めてくるなど、彼女の思惑が簡単に読み取れてしまった。

 

(つまりはちやほやされたいだけで、面倒はごめんってことだな)

 

 八幡は相模南のことをよく知らない。クラスメイトではあるが、会話などほとんどしたこともない。

 だが、相模南を知らずとも彼女に似たような人間は何度も見てきている。小学校でも中学校でも、そういう人間は少なからずいたのだ。

 

(調子に乗った結果がこれか)

 

 ちらりと秋太の方を見た。秋太は少しだけ目を輝かせてキーボードを叩いて仕事をしている。予想とは違う反応に疑念が八幡の中に生まれる。

 

「で、どうかな?」

 

 心配そうに南は雪乃を見る。ここまで彼女は一度たりともお願いをしていない。協力を求める人間の最低限すら守っていない彼女に、雪乃の返答は至ってシンプルだった。

 

「お断りよ。貴女の自業自得でしかないもの」

「え?」

「自分で能力が足りないと分かっているのに、どうして立候補なんてしたの? 別に能力の有無を言っているんじゃないの。分かっていたのなら、委員長を決める前に協力を要請するべきだったのよ」

 

 雪乃は正論を告げる。

 自分が劣っていると理解し、それでも文化祭で目立ちたい。そう思うのは勝手だし、そのことに関して文句を言うこともない。

 ただ雪乃が許せないのは、そう言った自分への理解がありながら、なぜ事前段階で準備を怠ったのか。目立ちたいなら、ちやほやされたいなら、根回しをしていなかったのか。雪乃は彼女の怠慢に怒っているのだ。

 そして突き刺すように秋太の方を指さしながら、続ける。

 

「貴女があの男を利用し、実行委員長に就いた流れは見事だったわ。ただそれはあの場限りのことだったのが残念ね。はっきり言うけど、やめておきなさい。貴女では人の上には立てないわ」

「な、なにを言って――」

「注目を浴びたかったのでしょう? 実行委員長なんて、その注目を簡単に集められる美味しいポジションだもの。でもね、貴女は見通しが甘すぎるの。甘い汁だけすすれる現実なんてないのよ」

 

 南は顔を強張らせる。雪乃に的確に自分の内面を見抜かれてしまい、動揺を隠すことができない。身体が半歩後退した。

 

「そ、そんなつもりは――」

 

 なかった、そう言えれば一番良いのだが、ここに来て彼女の本質が顔を出す。惨めな自分は嫌なのだ。

 

「で、でも、あの場合は誰かが貧乏くじを引くしかなかった。だからうちが引いたんじゃん!」

「違うだろ」

 

 八幡がここに来て割って入る。

 

「あの時、秋田は自分がやっても良いと言っていた。まあ、条件を提示していたけどな。もしあのまま、誰も何も言わなければ秋田が委員長になっていたはずだ」

「何よ、アンタには関係ないでしょ」

 

 自分より下だと思った人間に反論されるのは納得いかない。そんな彼女の悪い部分がどうしても出てしまう。

 

「比企谷君を関係ないというのなら、奉仕部も関係ないわね。一応、彼も部員だもの。部員がいらないと言われれば、私たちの出る幕はないわ」

 

 雪乃はそういうと、南から視線を外した。用件は終わった、どうぞ帰ってくれと言わんばかりに、手に持っていた本に視線を移した。

 

「あ、あんたは良いの? もし私が委員長を下りたら、あんたに回ってくるよ?」

 

 雪乃には勝てないと思った南は、逆転の一手として教室の片隅にいた秋太に話を持っていく。

 

「別段問題ないよ。独裁が行えるわけだしね。ある意味君のおかげ」

 

 秋太が事実を告げる。南が委員長を下りてしまえば、候補に挙がっていた秋太にもう一度お鉢が回ってくる。だが、そうなった場合、宣言通りのトップダウン制が敷かれるため、環境としては非常にやりやすい。

 

 南は青ざめる。後ろに控えていた友人たちに視線を持って行っても逸らされるばかりだ。彼女たちは、南が委員長に立候補する際に、手伝うと発言しているのだが、その言葉も女子特有のものでしかなかったのだろう。本当に面倒なことになったら、責任を負う気はない。彼女たちの今示している態度が、そう言っているようなものだった。

 

「ちなみにゆっきーに頼っても結果は変わらないと思うよ」

「ど、どういう意味よ?」

「わかんない? 仮にゆっきーの協力を得られたとして、君はどうする気だったの?」

 

 南は考えていた。学年一の天才の力を借りれば、色んなことが上手くいくのではないかと。それが最初の段階で拒否されてしまって、困っているわけだが、とにかく雪乃の力さえ貸してもらえれば何も問題はないと思っていた。

 

「……雪ノ下さんの協力があれば上手く――」

「やれるわけないじゃん。ゆっきーだよ? おそらく副委員長の立場で実権を握るんだろうけど、本当にいいの? 君は皆から、お飾りか、無能として見られることになるよ?」

「何か他意があるように聞こえるのだけど?」

 

 南が何かを言う前に、雪乃が秋太をにらみつける。

 

「もうしわけ。言い直すよ。悪の帝王とも呼ばれるゆっきーに権力なんて渡したら、大変になることが分からないの?」

「より悪くなってどうするのよ」

 

 雪乃はため息をついた。

 

「で、話を戻すけど、制御できない武器は身を滅ぼすことにしかならないよ。きっと文化祭後に聞こえてくるのは、ああ、やっぱり雪ノ下雪乃は凄いな、みたいな言葉だよ。誰も君を褒めないし、労わない。だって、君は何もできないから」

 

 女子であっても容赦はしない。秋太の予想した未来は雪乃が了承した時点で、実現する。そう確信させるだけの能力を雪乃は持っているし、南が持っていないことも事実なのだ。

 

「…………」

 

 南も、そして友人たちも押し黙ってしまう。南に至っては目に涙がたまっていた。

 

「八幡、ここでぐっと来る一言を」

「そういう空気じゃないから」

「さ、さがみん、大丈夫?」

 

 さすがに泣くとは思っていなかったのか、八幡は何とも言えず、結衣は心配した。

 

「まあ、俺としては奉仕部に手伝ってもらうって考えは賛成かな」

「え?」

 

 反対じゃないの? 南は当然であるが、この場にいる他の面々もそう思った。

 

「いや別に反対じゃないよ?」

「意外だな。お前は雪ノ下と似たような考えだと思っていたんだが」

 

 八幡が怪訝そうに秋太を見る。

 

「八幡のあんぽんたん」

「この流れで俺が罵倒されるのっておかしくね?」

「全く、八幡は分かってない。よく状況を考えて。ゆっきーがそこの委員長さんに協力した時の状況を」

「……さっきお前が言った通りじゃねえのか?」

「正解。ゆっきーの株だけ上がるわけだ。さてそこで彼女の掲げた目標を考えてみよう」

「自分の成長だっけか?」

「皆と協力するというのもあるわね」

 

 八幡と雪乃の答えに、秋太はとても嬉しそうに笑う。その笑顔に南はとてつもない嫌悪感を抱いた。

 

「な、なにを企んでいるのよ!」

 

 不安でいっぱいになった南はたまらず叫ぶ。

 

「企むとは失敬な。俺は別に何もしないよ。ただ、君にとってはさぞ辛い文化祭になるだろうなって思ってね」

「つ、辛い?」

 

 南の額に汗がたまる。

 

「だってそうでしょ? 君は俺の掲げた完全制御システムを否定して委員長に就任したわけだ。つまり誰に対しても強制はできないわけ。元々やる気のないメンバーがいるわけだから完全に烏合の衆ができあがる。そして彼らは素晴らしい権利を持ったわけだよ、君のおかげでね」

「う、うちのおかげ……」

「「委員長の方針」、これは魔法の言葉だよ。どんな仕事でも拒否できる。働かないことを周りに非難されてもこの言葉でうやむやにできる」

「働かない人が怒られるのは当然でしょっ! うちはそんな方針じゃない!」

 

 南は秋太の言葉を否定する。

 

「まあね。でもそうなった場合、君があのタイミングで立候補してしまったことが彼らの頭によぎるわけだ。怠けたい人間の思考は大抵、楽はしたいけど怒られたくない。周りがちゃんとやっている場では、そこそこ働くんだけど、大義名分を得ると怠惰そのものに成り下がる。委員長の方針、君が意図したものではないだろうけど、曲解できる考え方だ。たぶん使われると思うよ。そして、怠け者が出来上がると後は泥沼。仕事をやる人間とやらない人間で二分される。そしてやる側の負担は大きくなり、不満は募る。その不満はもちろん、委員長である君に向かう」

 

 極論すぎる。だけどないとは言えない。南は会議に出席していたメンバーを思い出しながらそう思った。なぜそんな思考が生まれたかといえば、自分が一役員であった場合、確実にそっち側に回ると思っているからである。楽をすることは悪くない。そう思える状況であるなら、誰しもがそうすると南は思っている。誰もが自分に甘いのだと。

 

「ここでゆっきーの登場だ。ゆっきーなら多少の反論はゴリ押しできる。たとえ非難されるようなことがあっても、あくまで補佐。委員長から頼まれているからの一言ですべて解決。不満を持つ人間はすべて委員長を睨むわけだ」

 

 ここに来て、南は理解した。自分が想像していた以上に状況がやばいのではないかと。

 

「高校の文化祭とはいえ、一応は名門校の行事。学外から人を招くわけだから失敗なんてできない。もし失敗した場合、ずっと言われるわけだ。あの時の文化祭は酷かった。委員長の相模南がダメだったんだってね。ゆっきーあたりは孤軍奮闘しているだろうから教師の受けも生徒の受けもきっと良いだろうね。人は自分以上に働いている人間に文句は言わないから」

 

 つまり、南は完全に詰んでいるということだ。

 奉仕部の協力を得ようと得なかろうと、評価が下がることに変わりはない。残された可能性として圧倒的リーダーシップを発揮して、南が率いていくという未来もあるが、それが現実に起こらないことは本人が一番理解している。

 

「奉仕部の力を借りれば評価は最悪。自分の力で頑張れば、まだ頑張っているという免罪符を得られるから最悪の評価にはならない。一生懸命な人間を非難する人は少ないからね。で、そうなると君が奉仕部に依頼をするのは破滅願望があるとしか思えないんだけど、そういう趣味の人ならおススメ。そしてこれが君の掲げた自分の成長の第一歩。凄いね、どん底から這い上がるとか、なかなかできることじゃないよ。頑張って」

 

 秋太はにっこりと笑う。

 八幡と結衣はそんな秋太に陽乃並みの恐怖を感じた。本人が聞けば、確実に怒るところだが。

 

「成長率は半端じゃないね。将来有望だ」

 

 南は全身を震わせて、しゃがみ込む。嫌な未来を想像してもう足に踏ん張りがきかないみたいだ。傍に控えていた友人たちは今すぐにでもこの場から逃げたい思いだった。

 

「……貴方、あまり女性を追い込むのは良くないわ。冗談にしてもやりすぎよ」

「……じょ、冗談?」

 

 南がゆっくりと伏せていた顔を上げる。

 

「別に冗談ってわけでもないんだけどね。それに追い込む云々で君に言われたくはない」

「う、うるさいわよ。実際に起こらないのだから冗談でしょう?」

 

 二人のやり取りに南の力が戻ってくる。

 

「う、うちは……」

「あ、希望的な観測はしないように。君がダメだと思われるのはたぶん確定。ただ文化祭が失敗に終わるってことはないよ、あくまで最悪にはならないってだけ」

「ど、どうしてよ!?」

「だってゆっきーと俺と八幡が居て、さらには生徒会メンバーがいるんだからどうとでもなる。ゆっきーは言わずもがなだけど、八幡はこう見えて、なかなか有能だ。仕事を押し付けても、文句を言いながら結局はやるというまさに社畜体質。不満を言うから周りからの評価は上がらない。まさに完璧な雑用」

「褒めてるの!? 貶してるの!?」

 

 八幡の悲痛な叫びが部室に響く。

 

「後は貴女の問題よ、相模さん。自分が何をするべきかきちんと考えなさい」

 

 雪乃がそう言うと、しばらく無言になった。そして南は友人に引っ張られるようにして部室を後にした。

 

「うぅ~なんかゆきのんもアッキーも凄かった。ちょっと怖かったし」

 

 緊張で、黙りこくっていた結衣がはあーと息を吐いた。

 

「貴方の追い込み方って姉さんそっくりよね。こう精神的に潰しに行くところが」

「なんて失礼な。俺の心は深く傷ついた」

「雪ノ下が言うのか」

「あら、比企谷君、何か言いたいことでもあるのかしら?」

「いえ、なんでもないです」

 

 雪乃の天使の微笑みに、邪悪な存在である八幡は敗北した。怖かったのだ。

 

「それにしてもお前ら結構ビシビシ行くのな」

「人生を舐めてる感じだったから」

「昔の私の熱狂的なファンと似たような感じだったから。私、ファンは大切にするの。私の物を勝手に持って行ったり、素敵な噂を流したりしてくれるファンには熱烈なファンサービスをしたものよ」

 

 要約すると、イラついたからということらしい。

 

「お前ら怖いわ。本当に高校生か?」

「あら、貴方こそ高校生なのかしら? その目の腐り方とか、魚が死んだときにそっくりよ」

「高校生どころか、人間にもカテゴリーされてないんですけど」

「ゆっきーのお馬鹿さん。八幡の人生を舐めてる感じは、あの委員長以上だから。つまりもう手遅れ。高校生とか魚とかじゃなく、残念な存在」

「そうね。反論ができないわ」

 

 二人の仲良しっぷりに八幡はあきらめた。

 そんな八幡を見て、結衣は話を変える。

 

「ねえ、もしさがみんが本当に何もしなかったらどうする気なの?」

「どうもしないわね」

「そうそう。楽な方に逃げるもよし。その場合はガハマちゃんでも代役に立てれば、文化祭当日はなんとかなる」

「わ、私!?」

「俺の47特技の一つ、圧倒的メイク術を用いてガハマちゃんを、あの委員長風に変身させる。あとは俺が裏からマイクでしゃべれば問題なし」

「そう言えば、お前には声真似があったな。つうかメイク術ってなんだよ」

「こんなこともあろうかと覚えたシリーズの一つ。一家に一台、秋田秋太とは俺のこと」

「お前はどこのネコ型ロボットだ」

 

 翌日、相模南が文実委員全員に頭を下げて、委員長職を辞退した。不満の声も上がったが、そんな彼らに南は何度も「うちには荷が重すぎた。ごめん」と謝って許しをもらった。

 秋太の言ったような未来にはならなかったかもしれない。ただ南は怖かった。だから、最悪にならないように立ち回った。調子にのったバカな生徒、そのレッテルを受け入れても学校で孤立するのだけは避けたかった。

 そして、秋太が委員長に就任。

 反論したそうな人間もいたが、「じゃあ、君がやる?」と一言。それだけで話は終わった。

 

 出だしから躓きはしたが、文化祭実行委員会活動開始だ。




相模さんご退場です。委員長のままにしても原作通り、もしくは意味ない存在としてしか話が進まないと思い、思い切ってご退場願いました。相模さんを待っていた方はすみません。

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