ポケットモンスター紫   作:鯖風味鯵

6 / 24
技6

 

 失敗しました。くっそおおおおおお!

 発想からして出落ち感やばかったし、仕方ないっちゃ仕方ないが。

 

 やった事は、そう難しいもんじゃない。「てだすけ」を活用するのだ。

 パンチ力が足りないなら、こっちから威力を上げてやればいい。技を使ってくる相手に「てだすけ」をして、破壊力を上乗せしてやろうと思った訳。

 

 で、1.5倍になった攻撃を喰らう…って。

 

 はあ、ばっかじゃねえの俺。

 

 相手の技威力はこれっぽっちも変わらなかった。仲間じゃないんだから当然やね。

 それ以前に、こんなゾクゾクマゾ実験が正しいのかどうかも確定してないってぇのに。

 

 攻撃受けすぎて頭パ~になっちゃったのか。深夜のテンション染みた閃きなんざこんなものよな。ほんと冷静になってみりゃ、なにをトチ狂ってたんだ俺は。

 

 ダメだ、さすがに今回は心も体も疲れた。神は残酷だ。神といってもポケモンの神はアルセウスだけど。

 

 ちょっと休むか。息抜きも必要だよ。亀仙人の修行を見習って、リフレッシュしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 起きた。

 

 どうやら、丸一日以上は眠ってしまったみたいだ。

 

 んんん、気分爽快お通じ快調! 腐った自分にさよならして、新たな俺の船出が始まるぜ。

 

 とにもかくにも技チェック。朝起きた時の習慣にしてる。

 ニドランは「いびき」と「ねごと」を覚えられるから、寝てりゃ都合良く覚えるんじゃね、と。どちらも睡眠に関係する技だし、もしかしたらって期待している。まあ、この二つは教え技なんだけどもね。

 

 予め土に埋めておいた木の実を掘り返し、もちゃもちゃ食べながら自身の習得技を思い浮かべる。

 

 

 「にらみつける」「つつく」「きあいだめ」「にどげり」

 「つのでつく」「てだすけ」「どくびし」

 

 

 お、おおお? レベル技が増えた! 

 

 覚えたのは「どくびし」か。「てだすけ」よりかは断然、役に立つな。

 ある意味じゃ、飛び道具より重要だぞ。行動範囲の阻害、牽制、持久戦。様々な面で使い所はある。

 注意すべき点は、特性「ポイズンヒール」「こんじょう」持ちか。「からげんき」もあったな。後は、対毒タイプでは無意味ってとこか。

 

 逆に言えば、制限はそれだけ。いやー、良い技頂いちゃったぜ。

 

 …ちょいと、マジなバトルがしたいな。昨日までのサンドバッグ君みたいなおふざけではない、まともなバトルが。

 「どくびし」の使用感も確かめたい。どっかに手ごろな相手はおらんかね。

 

 あ。一応言っておくけど、無理矢理バトル仕掛けたりとかはしてないよ、俺。

 

 基本は『買い』だよ。先方の都合ってものがあるし、元人間として、ポケモンに一方的な乱暴は働きたくないんでね。

 

 とりあえず、森の中を散歩してみるか。

 

 バトル、仕掛けてきてほしいなあ。このところみんなに避けられてるからな。

 

 

 

 

 

 

 またスリープかよ。

 

 あいつだけは苦手意識が拭えん。あの変態的な顔も、恐怖を煽ってくる。全世界のスリープファンには悪いがな。

 

 ん? バトル? 勝ったよ。相変わらず「ねんりき」がいってぇ。

 

 てか「どくびし」が大活躍。戦闘開始と同時にばら撒いたんだが、それだけで一気に有利になった。あいつ、「ねんりき」の固定砲台にならざるをえなかったもんな。

 

 それにしてもあのスリープ、かなりの強さだった。

 「どくびし」を撒いた途端「かなしばり」で封印してきたし、「ねんりき」の威力もやたら高かった。さらには、土壇場で「サイケこうせん」までぶちかましてきやがったからな。肝が冷えたぜ。

  

 あいつめ、結構な場数を踏んでやがったか。

 最後の最後、「サイケこうせん」の直撃を受ければ俺の負けだった。

 あのスリープより強いポケモンとも戦った事はあるが、「さいみんじゅつ」の有無もあって最も危険な相手だったかもしれん。

 

 

 やー、それはともかくとして。

 俺もちぃぃっとは強くなったもんだ。前までは、スリープにボコボコされてたんだが。

 

 強くなった実感もあるが、うん。そろそろ時期がきたかね。

 

 

 ここら近辺のポケモンとはだいたい戦った。

 もっと色んな種類のポケモンとバトルして、経験を積んでみたいと思う。飛び道具を習得するっていう願望も捨てていないし、ニドキングに進化するために月の石も探さなきゃならん。あと、ついでの世界観光。

 

 このままこの森に居座って一生を過ごすってのは、あまりに勿体無い。

 せっかくポケモンの姿になってポケモンワールドに居るんだぜ? あれやこれやと体験してみなきゃ損でしょーがよ。 

 

 故に、旅に出なければ。

 

 非接触技の一つでも覚えてから…と考えていたが、しゃーない。

 

 それこそバトルと特訓しまくって、何が何でも身に着けてやるぜ。

 

 

 つっても、何処に行く?

 

 まずは、この森を抜けないとな。その先に海があるのか山があるのか、それこそ自分の目で確かめなけりゃ分んねえ。

 くそ、飛行タイプだったらなあ。ピューっと飛んで一発なのによ。手先が器用な体って訳でもないから、我らが木の実様を持っていく事も許されない。

 

 角に刺していくか、木の実。それなら一つくらいは。

 

 あかんあかん、バトルの時に邪魔にしかならねえじゃん! 

 「つのでつく」しながら敵に木の実プレゼントするニドランとか、意味不明だろが。

 

 ちっ。しゃーない、木の実は諦める。手ぶらでGO! だ。

 まあ木の実含め、食糧問題はあまり気にしなくても大丈夫だろ。あまりに過酷な環境とかじゃなければ何とかなるべ。

 

 

 さて、行くか。ひとまず森を抜ける。

 

 心配事は山盛りだが、いちいち気にしてられん。いつもいつでも上手くいくなんて、保証はどこにも無いものさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フィジカル面が既にかなり鍛えられてる主人公。いつになったら進化できるのか

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。