批判をつけられないような作品にできたらいいなあ…。
「あれ?お前今日チャリなの?じゃ、一緒に帰れないな。」
「あ、マジ?お前今日バス?」
「バス。今朝雨降ったし。」
「あ、そっか。俺が出るとき降ってなかったからな。それじゃあ、また明日な〜。」
「おー、それじゃ。」
ある高校の帰り際。駐輪場で二人の男子が喋っている。焦点を当てるのは、自転車で帰る方の男子だ。
彼の名前は
話は逸れるがーーヒトというのは往々にして危機回避能力が低い、というのが作者の自論だ。想像してみてほしい。例えば、目の前に殺されたナニカと、血の付着したナイフを持った狂人がいる。そんな状況で、果たして正常な判断ができるだろうか?どんなにいきっていても、きっとできなくなると思う。
それゆえ、目の前に広がった光景を前に、彼ーー神無月廻兎は、自分がどうすべきか、決めきれずにいた。…いや、もう遅いのだ。先ほど例に挙げた光景そのものが、彼の目に映っている。より具体的に言うならば、原型がわからなくなった母親と思しき物体が転がり、目の前にはナイフを突きつける謎の人物がいた。
「お、お前…誰だよ…?なんで…なんで母さんが殺されてるんだよ…?」
神無月の声が恐怖に震える。その問いに、謎の人物は答えない。代わりにナイフを突き出す。
神無月の人生は終了した。駐輪場で友人と交わした約束は果たされないままに。
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神無月が
「ここ…どこだ?俺はなんでこんなところに…?」
その時、扉が開くような音がした。どうやらここは一つの部屋のようだが、音の方向を向いても誰か人物がいるだけで、扉が見えたり、外が見えたりすることはなかった。
「あ、起きましたか?良かった〜。」
その人物は、ホワンとした雰囲気の羽の生えた女性だった。
「えーっと…ここは…?どこですか?」
「ここですか?ここはつまるところ死後の世界です〜。」
「死後の世界?俺は…死んだの?」
「はい〜。残念ながら、快楽殺人者に殺されたみたいです〜。」
とてもえげつないことをさらっと言っているのだが、神無月の頭はうまく働かず、さしたる驚きも見せない。
「じゃあ、俺は天国か地獄に行くの?」
「いいえ〜。予定外の死であったため、神無月さんにはもう一度最初から、今度は別の世界で人生を謳歌していただきます〜。」
要するに、よくある転生ですね〜。と、気の抜けた声で言う。ここにきてようやく、神無月の記憶と気持ちが追いついてきたようだ。
「そっか…俺…死んだんだ。ああ…確か…ナイフで刺されて…!ぅ、あ、あああああああああああああああぁぁぁぁああぁぁぁあ!」
ナイフを向けられた恐怖が今頃押し寄せてきて、神無月は絶叫し、号泣する。しかし…。
女性が神無月を優しく抱きしめる。
「大丈夫です〜。怖くなったらしばらくは、私が近くにいますからね〜。」
「え…?あ…ありがとう…ございます…。ウッ…クッ…。」
神無月の目には未だに涙が浮かんでいる。よほど怖かったのだろう。しかしそれも少しすれば治まる。やがて神無月は落ち着きを取り戻し、話の続きを促した。
「もう、大丈夫、です。それで、なんでしたっけ…?転生…ですか?あの、二次創作でよく見る…?」
「はい〜、その転生です〜。あなたには少しばかりの特典を付与した上で、好きな世界に行っていただきます〜。」
「その…特典とか世界とかっていうのは、自分で選べるんですか?」
「選べますよ〜。好きな特典、好きな世界です〜。」
そういうことなら。と、神無月は前々から決めていたように言う。
「その…別にチートキャラとかにはなりたくないので…落第騎士の英雄譚の世界に、Cランクくらいで、回転能力でお願いできますか?」
「構いませんけど…回転能力っていうのは、どういう感じのですか〜?」
「あらゆるものを回転させることができる感じで。」
「わかりました〜。それにしても決めるのが速かったですね〜。普段から考えてたんですか〜?」
「・・・。」
図星である。
「まあ、それはどうでもいいですが〜。それでは、行ってらっしゃ〜い。あ、私の名前を言い忘れてましたね〜。私はサリエルです〜。死を司る大天使とか言われてますけど…別に殺すなんてことしないので安心してくださいね〜。いつになるかわかりませんが、次に会える時を楽しみにしていますよ〜。それでは、別の世界へ、ごあんな〜い。」
次の瞬間、空間にブラックホールのようなものが現れ、神無月は吸い込まれ、意識を失った。これから彼がどのような物語を展開して行くのか。それは、転生し記憶を持ったまま赤ん坊になった彼の頑張り次第である。
こういうタグがいるのではないか、誤字脱字報告等、よろしくおねがいします。
それではまた次作でお会いしましょう。