受験勉強で次回更新がまた遅くなります。
『先生が、今日はもう帰っていいってさ』
と折木の伝言を一輝が伝えたことで、初日のホームルームはお開きとなった。
(えーっと、一輝はこの後珠雫を探しに行くんだっけ?で、日下部加々美さんに…あ。)
そう考えたその時には黒鉄の腕に日下部が抱き付き、ステラが悲鳴をあげていた。
(そうそうこうなるんだよ。で、2人の決闘がネットに上げられてるってわかって…。)
「なんか気を使わせちゃってごめん。でもクラスメイトなんだから、もっと気軽に声をかけてくれてもいいんだよ?」
「「「本当ですかっ!?」」」
途端、クラスメイトの女の子たちが身を乗り出して一輝に迫る。ああ、羨ま…ゲフンゲフンけしからん。剣の稽古なあ…。俺には必要ないんだよね、残念ながら。
(一輝が女遊びしないのはわかってるんだけど、それとこれとは別問題っていうか…。あ〜、ホント羨ましい。俺、
一輝が散々ミステリアスやら可愛いやら母性本能にクるものがあるやら聴いている間、ステラを見ると目からハイライトが失われていっている気がした。極め付けは次の瞬間の日下部の一言だ。
「私、実は新聞部を作ろうと思ってるんですけど、先輩に記念すべき破軍高校壁新聞第一号を飾って欲しいんです!見出しは・・・そうですねー。『驚異の伏兵!噂の
「ふぅ〜ん。よかったじゃない。モテモテで。取材、受けて上げたら?先輩。」
うわぁ修羅場だ大丈夫かな、とか思うまでもなく一輝は断っているが、それでも日下部は引き下がらず、一輝の腕を自分の胸にあああっ!そういうのもあったな!一輝ホント羨ましい!天然タラシかよ!天然タラシだな!しかしそうは問屋がおろさない。デレかけている一輝にステラが一喝しようとする。
「ちょっとイッキーーーー!」
「おいセンパイ、俺たちともお話しましょうや。」
(あ、身の程知らずのモブが来た。)
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廻兎は結果を知っていた。そしてその後起こることも知っている。
「知ってるって…つまんないな…。」
それに知っていても、何も知らないような言動を取らなければならない。かなり辛い。
そういうわけで、もう解散していいのだし、と思いながら寮に帰る。誰か同居人はいるだろうか、それともしばらくは1人なんだろうか、1人はいやだなあ、とか考えながら。神無月廻兎、15歳(転生前と合計32歳)、寂しがり屋。
鍵を開ける。…手応えがない。誰かいるっ!?やった!あ、でも不良だとやだな…。
扉を開ける。自分のものではない靴が置いてある。どんな人だろうか。おそるおそるリビングに行くと、人影が見えた。
「あの、すいません。えっと…ルームメイトの方…ですよね?」
「ああ、その通りだ。君こそ、私のルームメイトだな?優しそうな人間でよかった。…まあ、男性だとは思わなかったが。」
そこには凛とした軍人のような雰囲気の、いくつか年上なんじゃないかという女性が微笑んでいる姿があった。
「自分も、ルームメイトが女性だとは思いませんでしたよ。えっと、自分…俺は…私は?とにかく、神無月廻兎と言います。これからよろしくお願いします。」
「「俺」で大丈夫だ。タメ口で構わない。私は…この軍人口調をやめられそうにないが、大丈夫だろうか。」
「ああ、いや、大丈夫で…だよ。」
「改めて。私は
そういう白金の顔には陰りが見える。過去に何かあったのだろうか。
「えっと…風呂かシャワーはもう済んだ?」
「いや、まだだが…それがどうかしたか?」
「ほら、女性に先に入って欲しいし。」
というかそれがマナーだろう。家族でもない人間なのだ、男に先に入って欲しい女はあまり多いとは思えない。
「ああ、そういうことか。気が利かなくてすまない。では先に、シャワーを浴びてくる。」
「うん。」
さて、ここで問題が発生する。男としての問題である。今、一輝とステラの部屋では風呂場であんなことやこんなことが行われている。それを知っているという事実が、廻兎の思考能力を一瞬麻痺させる。
「…俺もそんな目にあっていいんじゃないか?覗きとか…。」
言いながら頭を振る。これで実行していたら同居人からも友人からも変態扱いされていただろう。いや、最悪の場合…。
「死…か。危なかったな…いろんな意味で。」
数分後、香久夜が出てきたため自身もシャワーを浴び、何も考えないようにして眠った。こうして転生者、神無月廻兎の破軍学園初日は終わった。
(あれ?でも…白金 香久夜なんてキャラ、本編にはいなかったな…。まあいいか。)
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一週間後。廻兎自身は見ていないが、ステラと珠雫が戦い、それによる謹慎が解けた今日。珠雫は一輝をデートに誘い、それにステラが介入し、計画が破綻したからとアリスも付いていく。
廻兎はもちろん誘われないものだと思っていたのだが、一週間、一輝と親しくしていたことが正解だったのだろう。誘われた。
香久夜に話すと「私も連れて行ってくれないだろうか。」と聞かないため、6人の大所帯で映画を見に行くことになった。
…が。
「何着て行こう。俺オシャレわかんないぞ。」
「軍服でいいだろうか?服選びがよくわからん。」
この部屋にはオシャレを理解できる者がいないらしい。
♦︎♦︎
「ごめんごめん、ちょっと遅れちゃった!」
そう言いながら廻兎と香久夜が走って待ち合わせ場所に到着する。どうやら珠雫とアリスはまだ着いていないようだ。
「いいよ、まだ珠雫と有栖院さんが来てないから。ところで、その隣の人が白金さん?」
「そうだ。私が白金 香久夜。昔から軍人口調で、上からの物言いに聞こえるかもしれないが、大丈夫だろうか。」
(まさかこの質問、自分に関係する人全員に言ってるのかな。)
「僕は大丈夫だけど…。ステラは大丈夫?」
「ええ。いくら皇族とはいえ、本人が自覚してるこもに一々口を出したりはしないわ。」
「そうか。ありがたい。ではこの口調のままでいかせてもらおう。」
ちなみに2人の服装は、廻兎はTシャツと長ジーンズ、香久夜は結局軍服である。廻兎はともかく香久夜は浮くだろう。
…と、そこに珠雫とアリスが現れ、4人(内1人は既知)が散々驚いた後、出発した。行き先はショッピングモール!楽しく愉快で、大変な1日がスタートした。
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まずは映画までの時間を潰すため、アリスの勧めで一階のフードコートに来ていた。
「クレープか。実は食べたことがないんだ。これは…そのまま食べられるんだよな?」
「ええ、さすがに包みは食べられませんが。」
「ん〜〜このクレープ美味しい〜っ!」
「でしょう?何せ食べ歩いて調べたからね♪」
女子4人(?)がキャピキャピし始めた。一輝と廻兎は女子特有のこの空気が苦手なため、輪の外から眺めていた。
「先輩は食べないんですか?クレープ。」
「ああ、甘い物はそこまで好きな方じゃなくてね。」
「まあ、俺もクレープ食べるよりコーヒー飲んでる方がいいんですけど。」
と、珠雫の口元にクリームが付いているのを一輝が見つけた。
(ありゃりゃ、折角の化粧が…。)
「珠雫、ちょっと。」
「はい?なんですかお兄様。」
一輝の方を向いた珠雫の口元のクリームを指でぬぐい、そのまま舐めとった。
「ほっぺたについてたよ。折角奇麗な格好してるんだから、気をつけないと。」
その後は珠雫が赤くなったりステラが口元を真っ白にしたりするのだが…。
「なあ、神無月。」
「どうした?白金。」
「私の口元にもクリーム、ついてないか?」
「ついてるけど…。取って欲しいの?…羨ましかった?」
「…。」
小さく頷く香久夜。それも顔を赤くしながら。軍人気質のようでいて、意外と
かいと に おおきな ダメージ !
「…はい。取れたよ。(落ち着け俺…!彼女はクレープを食べるのが初めてだと言っていた。この口ぶりからするとクリームが口元に付いたことも初めてなのではないか。この中で彼女が一番親しいのは俺だ!だから俺にこれを頼んだ!それだけだ!勘違いするな、俺!)」
「ありがとう。」
(メチャメチャかわいい。)
こっちはこっちで色々あったようだ。
♦︎♦︎
クレープを食べ終え、雑談をしているといつの間にか時間は過ぎ、予定の時刻となった。
「そろそろ時間ですし、四階に移動しましょう。」
珠雫がそう切り出して、一同フードコートに並べられたテーブルの席を立ち、
ちなみに珠雫が見ようと思っていた映画は兄妹のラブストーリー(ステラが却下)、ステラが見たいと言ったのはラブロマンスアニメ(珠雫が却下)、アリスが挙げたのは性別の間を取った映画(ステラ・珠雫が却下)だったため、残りは一つだった。
「ワガママねぇ。でもそうなるのは残ってるのは一つ。アクション映画だけね。」
「上演作品少ないね。」
「小さな映画館だから仕方ないわ。」
「でもアクションならジャンル的にも男も女も楽しめそうだし、良いんじゃないかな?4人はどう?」
「むー。極めて残念ですが、お兄様がそれが良いというのなら…。」
「仕方ないわね。まあアタシはアクションも好きだから別に良いわよ。」
「俺はラブストーリー見るよりはアクションの方がいいな。」
「私も同意だ。というより、アクションの方が好きなんだが。」
「じゃあこれで決定ね。ちょうど上映開始ももうすぐだから都合がいいわ。」
「アリス。ちなみにそのアクション映画のタイトルはなんて言うんだい?」
「『ガンジー 怒りの解脱』」
「「「「「なにそれすんごい気になる」」」」」
というわけで見る映画はアクション映画に決まった。その後一輝とアリスが離脱したが、このあと発生することを考えれば、俺は行かない方がいいだろうと考え、チケットを買って、2人を待つ。
結局、6人は映画を見ることができなかった。
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「これが
「神無月はあいつらを知っているのか?
「まあ知らないわけじゃないけど、詳しいわけじゃないよ」
「そうなのか。
そう、彼ら2人は…いや、珠雫とステラ含め4人は突如現れた解放軍の人質になっていた。
…と、小学生くらいの少年が解放軍の1人におそいかかった。
「ヤバいな。このままじゃあの親子がうたれる。」
「同意する。このままではいけない。私が出よう。幻想形態ならば大丈夫だろうか?」
「いいと思う。いざとなったら俺も出るから。」
「じゃ、じゃあアタシも…!どうせ正体はそのうちバレるし!」
「待って!…ここは彼女に任せてみよう。能力も知りたいし。」
そうこうしている間になんの躊躇もなく絞られる引き金。瞬きのうちに襲いかかる鉛弾。
しかし、それが到達することはなかった。親子と銃弾の間に割り込んだ香久夜が、塵一つ残さず消しとばしたからだ。
♦︎♦︎
「それ以上の狼藉は、この私が許ない。」
解放軍の前に立ちはだかるのは、およそ持ち上げるタイプではないだろうライフルを持った、香久夜だった。
「
「こんのぉ!」
彼らはほぼ反射的に、香久夜に向かって一斉に銃弾を放った。
乱れ飛ぶ鉛の
「
香久夜の後ろから現れた複数のレーザーに消しとばされる。無論、香久夜の
怪我した者はいない。全員無事だ。しかし、人質たちにとっては別だ。
「「「きゃあああああああああああ!」」」
突然吹き上がるガンファイアに、人質たちはパニックに陥る。そこで香久夜は。
「落ち着け!ここは私がなんとかして見せる。あまりここから動かないでくれ。」
そう、人質たちに声をかけた。その声に安堵した人質たちは落ち着きを取り戻す。
「それから、別にお前たちと戦闘するつもりはない。私の話を聞いてくれないだろうか。」
そう言って交渉を持ちかける香久夜。
「お前たちが何者なのか。これは聞かない。しかし、私たちに危害を加えるというのなら、戦わざるを得なくなる。あまり荒事にはしたくない。人質を代表し、そちらの
「な、なに言ってんだこの女。テメェに何の権利があるってんだ!仲間をここまで気絶させやがって!」
「それはお前たちが撃ってきたからだろう。」
「おやおやおや〜?まさか一般人の中に伐刀者がまぎれこんでいたとはぁ。」
言い争う両者の間に、顔に入れ墨の入った男が割って入った。
香久夜がボソリと、誰にも聞こえない声で呟いた。
「お前が…ビショウか。」
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