破軍学園ではついに六つの『七星剣武祭出場枠』を巡る『選抜戦』が始まった。
『さあ始まりました!選抜戦初日の注目カード!またもや黒鉄珠雫選手に続くBランク!とは言いますが限りなくAランクに近い彼は、いったいどんな戦いを見せてくれるのかぁ!神無月廻兎選手の第一戦ですッ!』
ちなみに彼は新入生ナンバー3。珠雫に少し劣っている程度。観客席はそんな彼の偵察に来た生徒たちで溢れていた。
『相手をするのは二年生、入学以降その能力と共に学園に名前を響かせてきたCランク騎士・
「ごめんね、でも今年こそは出場したいんだ。だから僕は君を倒し、先に進む。」
そう言って石山は自らの
「僕の能力は石化!足を止めたところを一撃で仕留める!」
『序盤から出たぁぁ!石山選手の
「確かに動けないですけど、この能力ならもっと上まで石化させた方が良かったですね。…第1回転、
廻兎の周囲から風が吹き始める。俗に言う旋風だ。風力としてはあまり強くはない。
「それが君の伐刀絶技かい?Bランクだというのに、あまり強い能力じゃないんだね。それならやはりこちらのものだよ!」
「何言ってるんですか、まだまだ行きますよ!第2回転、
最初は旋風であったそれは、さらなる強風を経て、天井を突き破らんばかりの勢力を誇る竜巻へと進化した。
『おおっとぉ!石山選手の足が、まるで自分の能力をかけられたように停止したぁ!まさかこんな能力を有していたとは、噂にたがわぬBランク!会場も騒然としています!解説の折木先生、彼の能力とはどのようなものなのでしょうか!?
『んー。私もよく知ってるわけじゃないんなけどね?入学試験の時からよく竜巻起こしたー、とか、攻撃が弾かれるー、とかっていう噂を聞いてるわ。でも本人は別に風の能力じゃないって否定しているし…。真相はまだ謎のままなのよ。』
『ありがとうございます!そして吐血しませんでしたね!調子いいですね、先生!』
『私としてはお薬打てないから残念なんだけどね…。』
ちなみに一つ前の珠雫選では三回目の吐血をし、注射を打っていた。…あの先生はいったいどうやって生きているのだろう、といつも廻兎は思っている。
「そのまま薙ぎ払う!風の竜よ!呑み込め!《
石山の体は竜巻に巻き込まれ、飛んで行き、そのまま地面に落ちた。そしてーーー
「雑賀石山、戦闘不能ッ!勝者、神無月廻兎!」
気絶した。
『試合終了ーーーーッ!勝ったのは1年、神無月廻兎選手!石化能力を歯牙にも掛けず、初戦を白星で飾りましたぁ!!』
「よし、とりあえず一戦は突破した、っと。」
そうして微笑みながら訓練場を後にした。
(そういえば、あっちはどうなったかな。)
♦︎♦︎
ステラの試合が終わった後の、第七訓練場。
そこにはステラの時のような騒がしさはなく、静寂が訪れていた。
当然と言えば当然。
ステラはそのくらい人が集まる人気者だが、ここに立っているのはそんな人気者ではない。
「ここまで人が減るのか…。人に見られるのは苦手だが、ここまで人がいないとなると…それはそれで悲しいな。」
そこに立つのは廻兎のルームメイト、白金香久夜だった。
『新入生主席の戦いが終わり、観客は少なくなりましたが!まもなく次の試合が始まろうとしています!そこにいるのは新入生、白金香久夜選手!まだ誰とも戦ったことがないという彼女ですが、いったいどんな戦いを見せてくれるのかぁ!それに対するは3年生、《
「先に謝っておきますね。私の能力は、相手に傷をつけることを最も得意とします。ですからズタズタになるかもしれませんが…泣かないでくださいねぇ。」
邪悪な笑みをこぼす妖艶な美女、鳩里に対し、香久夜も謝る。
「こちらこそすまないな。例え相手が目上の人でも、この口調は直せないんだ。そこだけ了承してほしい。それから…そちらこそ、泣くなよ。」
『両者共に固有霊装を構える!鳩里選手は禍々しき杖を!白金選手は
「後ろだよ。武器を捨てて手を上げろ。さもなくば…撃つぞ?」
言いながら鳩里の頭に照準を当て引き金を引く。射出されるのは当たり前のごとくレーザー。
「ああ、それから…私の銃は少しばかり強力すぎるんだ。幻想形態だが、勘弁してほしい。」
『そのライフルから撃ち出されるは弾ではなくレーザー!しかし直前に幻想形態に変えたようです!人を傷つけたくないのでしょうか?何はともあれ試合終了ォ!経験差をものともせず、わずか数秒で勝利を収めましたぁ!』
彼女は知っている。いかにIPS
(よし、1回戦は突破した。神無月は勝っただろうか?)
そう思いながらリングを後にする。その途中、
『えーたった今、第十五訓練場で試合を行なっていた新入生、神無月廻兎選手も、二年・雑賀石山選手を相手に勝利を収めたと連絡がありました!』
廻兎の勝利を知った。
それを聞き小さくガッツポーズをしたのは、自分だけの秘密だ。
♦︎♦︎
「お疲れ様、白金さん。」
寮室に入った香久夜がまず最初に聞いたのは、廻兎からの労いだった。
「神無月こそ、お疲れ。」
「とりあえず一回戦が終わったね。これからも、がんばろう。」
「ああ、七星剣武祭には出場してみたいからな。ステラや黒鉄とは当たりたくないものだ。」
「明日は一輝さんの初戦があるけど…見に行く?多分不快な思いをすると思うけど。」
その戦いは《狩人》、
「行くさ。友の初舞台だろう?」
「白金さんならそう言ってくれると思ったよ。明日は精一杯応援しよう。」
「「俺(私)たちの友のために。」」
雑賀さんと鳩里さんの出番はこれで終了です。所詮モブ…。
それと廻兎の能力詳細を明かす時がいつになるか、自分でもわからない…。
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