チトセ「この夫妻怪しい。ゼファー、御曹司殿、アヤ!お前達でジェットストリーム調査をかけるぞ!」
ナギサ「アッシュ好きー大好きー♪」
ゼファー「ただのバカップルじゃねぇかああああああああああああああ」
アッシュ「ナギサが居てくれる今が幸せだから正直復讐とかどうでもいい」
ルシード「惚気じゃないかああああああああああ」
「凄く綺麗だよナギサ……」
「ありがとう……アッシュも凄くカッコいい」
その幸せ一杯の笑顔を見せる純白の花嫁衣裳に身を包んだ
「あなた方は……もしやアッシュ様とナギサ様ではございませんか!?」
我ながらなんと白々しい、もしや等ではない。自分は彼ら二人があの二人なのだと事前に教えられている
「アヤ……アヤなのか!?」
「アヤ……良かった……やっぱり貴方も生きていたんだ!」
だから、心からの笑みで自分の生存を喜んでくれている二人を見てチクリと胸の痛みを覚えながらも切に願うのだ。
(ああ、どうか、どうか杞憂であって欲しい)
目の前の大切な人達が祖国に仇成そうとしている、そんな事がどうかないようにとアヤ・キリガクレは強く祈るのであった。
「それじゃあ、アヤはあの時部隊にたまたまいた親戚に拾われたのか」
生きていて本当に良かったと心からの笑みをずっと再会を夢見ていた初恋の人が言う
「はい、そうして今はアリエスに所属して要人の給仕や護衛と言った任についております」
「そっか、アヤなら確かにピッタリだよな」
わたしも小さい頃はずっとアヤに助けられたしとどうか生きていて欲しいと願っていた大切な主である初めての友達が答える
所属部隊以外は嘘ではない。しかし
目の前の二人をそうして騙している行為にアヤは少なくない痛みを覚えたが……
(それでも、チトセ様は私に任せてくださいました)
本来ならば外すのが妥当な判断であろうに自分の我儘を聞いてくれた。例え黒であったとしても粛清を行なう前に自分に思いとどまるように説得するという機会をくれた。その信頼に応えたいと、アヤは思う。目の前の二人は無論アヤにとって何者にも変えがたい
(チトセ様に私が命じられたのは友人としての立場から怪しいか否かを見極めること)
ルシード・グランセニックは帝国に悪意を抱く
「あの、それだけなのですか?お二方とも」
そう告げた自分の言葉に何のことだかさっぱりわからないといった様子で二人がきょとんとした顔を浮かべる
「私はナギサ様とアッシュ様、そしてミステル様のご家族の仇であるこの国の軍人となりました。いわばあの日の友情を私だけが裏切ったのです。ナギサ様とアッシュ様が親の庇護も得られずに傭兵として辛酸を味わっている頃に一人だけ庇護を受けて不自由なく過ごしていました。裏切り者、そう罵倒される覚悟もしていたのですが……」
それは要注意人物の事情を探るための帝国軍人としてではない、私人としての紛れもないアヤ・キリガクレの本音であった。チトセ・朧・アマツは素晴らしい主だ、彼女に抱く恩義の気持ちと忠誠に偽りはない。だが同時に彼女がアッシュとナギサの両親の仇であるというのもまた事実なのだ。だからこそアヤ・キリガクレは柔和な笑顔の影でずっとそんな思いを抱えていた、これは我が身可愛さによる裏切りなのではないか?仇を討とうとするのが忠臣として自分が本来なすべきことだったのではないか、と。そんな自分の従者の言葉を受けてナギサ・奏・アマツは柔和な笑顔を浮かべて
「馬鹿だなアヤは、そんな事をずっと悩んでいたりしたの?」
慈愛の篭った言葉で己の友人の抱いていた悩みを否定した
「裏切り者だなんて思うはずないじゃない。会えて良かった、生きていてくれて良かった。私が今思っているのはそれだけだよ」
「俺もナギサと同じ気持ちだよ。もしもアヤがそんな風に思い悩んだ挙句に俺達の仇を討とうとして死んだなんてなっていたら、それこそ後悔してもしきれないところだった」
そこにこめられたのは偽りのない自分を心の底から慮っていてくれているとわかる言葉。だからこそアヤ・キリガクレはその言葉に救われて
(ああ、良かった。お二人は変わられてなどいなかった)
思い出すのは従者である自分などと友達になってくれた優しい女の子と男の子。人の幸せを心の底から願えるそんな自分が大好きだった人達の姿。だからアヤ・キリガクレは確信を持って断言する。この二人が野望や復讐そんなものに囚われることなどあり得ないと。今ならばそう告げる事が出来る。
「それに……」
そんな風に感慨に浸っていると目の前の優しい少女は昔は見たことのなかったどこか悪戯っぽい笑みを浮かべて
「裏切ったっていうのならむしろ私の方かもしれないよ。抜け駆けなしで正々堂々勝負しようっていう三人での約束を破って二人が会っていない間にアッシュにプロポーズされちゃったんだから」
だからごめんねアヤ、アッシュは私の旦那様なんだとはにかみながら告げる主にアヤは一瞬呆気に取られて
「ふふ、そうでしたね。裏切ったのはナギサ様もお相子でした」
やはり女の友情など恋が絡むと脆いものですねなどと笑いながら告げて
「ですが、そのように幸せそのものな様子を見せられては私としては何も言えません。こうして幸せそうなお二方と巡り会えたこと、それだけで私は救われました」
ああ、本当に本当に良かったとアヤ・キリガクレは万感の思いを込めて告げる。そんな女の友情を見て少しだけ蚊帳の外に置かれていたアッシュは
「……そんな約束していたんだな三人とも」
全く気づかなかったよとどこまでも天然な事を呟くのであった。そうしてそんなアッシュの言葉を聞いて火がついた二人はどこか居た堪れない思いをするアッシュを他所に青年が如何にして天然スケコマシだったかで盛り上がり始めるのであった……
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「結論から言うと完全な白だね。彼の所属しているプーフホルツ商会は善良かつ健全な商会そのもの。もっと悪辣にやればうちの国でも上流いけるだろうにそれをやらないために中堅位のポジで留まっている、そんなところだよ。本人に関して言えば独り身なのにバカップルを屋敷に住まわせて盛大に惚気られたこっちの身にもなってほしいね。後、奥さんが旦那大好きすぎてあまりにわかりやすすぎる、とてもじゃないけど企みとかそういう事出来るタイプじゃないよアレは」
ルシード・グランセニックはどこか疲れた様子で
「うん、ただのバカップルだわアレ。企みとかそんな様子一切なし。正直見ているだけ、聞いているだけで口の中が砂糖塗れにされるような気分でした。俺、一体何やっているんだろう……ずっとそんな気分にさせられました。疲れました。甘えさせてくださいチトセさん」
ゼファー・コールレインは遠い目をしながら
「お二方はお優しいあの頃のままでした。あの方達が謀に手を染めることなどあり得ない、そう私は断言させていただきます」
アヤ・キリガクレは真剣そのものの様子でチトセへとホライゾン夫妻に対する調査結果を報告していた。そうして各々の報告に対してチトセは
「そうか、ご協力感謝するよ御曹司殿。このお礼はいずれ必ずさせてもらおう」
外部協力者であるルシードへとそんな風に感謝の言葉を告げて
「ご苦労だったな我が狼。よしわかった、今日は思う存分たっぷりと私が可愛がってやろうじゃないか」
最も信頼している最愛の相手に対してはそんなあの夫婦に負けてたまるかと燃え盛り
「良くわかった、任務と友情で板挟みになったと思うが良くぞ果たしてくれたな」
アヤ・キリガクレをそんな風に労いつつ判断を下した。すなわち白と。これ以上の警戒は人員と時間の無駄である、それが帝国上層部のホライゾン夫妻に対する判断であった。
そうして下された結論に対してアヤ・キリガクレはホッと胸を撫で下ろして、上官に対してある事を願い出ていた
「チトセ様、ぶしつけなお願いで恐縮なのですがしばらくしたら纏まった休暇を頂きたいのです」
「うん?珍しいこともあるな、一体どうしたんだ?」
そんなチトセの問いかけに対してアヤ・キリガクレは
「とある方々のご結婚式へと出席するために少々国外へと行く事になりそうなのです」
そんな事を笑って告げるのであった。
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時々自分は夢を見ているのではないか、そんな不安に私は襲われるのだ。だって、あまりにもあの日アッシュと再会してからというもの夢みたいに幸せな日々が続くものだから。彼が生きていてくれてまた巡り会えたそれだけで夢のようだったというのに、彼からプロポーズされてずっと一緒に居ようと告げられて、ミステルとアヤにまで再会する事が出来た。そうしてそんな不安に襲われるたびについつい私は彼に甘えてしまって、彼はそんな私の様子を見て自分が幻ではないと証明するかのように優しく抱きしめてくれるのだ。
そんな風にずっと夢を見ているのではないかと時折思っていた私だが、今日はもう言葉に表せない幸福に包まれている。
「綺麗よーレインちゃん、旦那様と末永くお幸せにねー。甥っ子や姪っ子が出来たら必ず知らせてよねー」
どこにいようと必ず駆けつけるからーと満面の笑顔で祝福してくれる私を拾って育ててくれた大事な義姉の声が聞こえる
「おめでとう、アッシュ君。ナギサちゃん。私、今心から大和様に感謝しているわ。こうしてまたみんなとめぐり合わせてくれてありがとうって」
そしてこれからもどうかあの二人を見守って下さいってお祈りするわーとお姉さんのように思っていた幼馴染が祝福してくれている
「アッシュ様、ナギサ様、どうかお幸せに」
それこそが私の願いですと自分にとっての初めての友達が笑みを浮かべながら告げてくれた。その他にも「そんな美人の嫁さん見つけてこの果報者ー」「見ているかロディ、君の息子の晴れ姿だ」「おお、ハレルヤ!」などとたくさんの人達が、私たちの幸せを祝福してくれている。そうして隣を歩く最愛の人をふと見ると、彼も私のほうを見つめ返してこう告げてくるのだった
「愛しているよ、ナギサ」
とそんな彼の言葉に私も心からの笑みを浮かべて答えるのだ
「私もよ、アッシュ」
と
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「綺麗だったわね、ナギサちゃん」
「ええ、本当に。お美しくなられました」
隣のミステルの言葉にアヤは心からの賛同でもって返す
「カッコよかったわね、アッシュ君」
「ええ、凛々しくなられました」
思い出すのは子どものころの姿。初恋の少年は立派な男へと成長していた
「やっぱり……ほんの少しだけ悔しいわね」
「はい、なんと言っても初恋でしたから」
少しだけ、本当に少しだけ悲しい思いを抱えながらアヤはまたもや返答する。だって初恋であり、正真正銘本気の恋であり愛だったのだから。それが破れた以上どうしたって胸を刺す痛みがある
「ですが……」
そう、だけど
「お二方はとても幸せそうでした。ええ、私はそれだけで良いのです」
もう二度と会えない、死んでしまったと思っていた大切な人達が生きていて幸せになってくれた。それだけで十分に自分は救われたのだと悲しみを振り払ってアヤ・キリガクレは笑う
「うん、私も全く同じ気持ちよアヤちゃん」
そんなアヤの言葉に頷いて、ミステル・バレンタインも同じく笑う。二人の晴れの舞台に必要なのは涙ではなく祝福の笑顔、そう信じているから。そうしてミステルは自らの初恋を吹っ切るかのように朗らかに笑って
「さてと、それじゃあここは一つ、仲良く振られた者同士、思い出話に華を咲かせながら自棄酒と行きましょうか、アヤちゃん」
「ええ、お供させていただきます。私エスペラントでございますから、こう見えてもお酒にはかなり強いのですよ」
「お、言ったわね~後で「もう勘弁してくださいミステル様」とか言っても聞かないわよ~」
そんな風に盛り上がりながら、幸せそうに笑う一組の夫婦を見つめて二人は同時に呟くのだった
どうか、幸せに。
と。10年越しに引き裂かれた四人の幼馴染達は同じ時間を共有しながらかつてのように笑顔を浮かべていた……
コレにて長かったフォーリンラヴシリーズは終りになります。
今後はまた思いついたネタを描いていくことになります。
ロートスとアンナちゃんの記念ムービーみたいに花婿衣装きたアッシュと花嫁衣裳着たナギサちゃんのカップル絵描いて下さい、light様。お願いします。諭吉だって捧げますから!