コメディ要素はアッシュの内部でせめぎあうヘリオス(っぽい理性)とケルベロス(っぽい本能)位でそれ以外はひたすらに二人がイチャイチャしています。
多分今までで屈指の糖度ではないかと思います。
「えへへへ……アッシュの身体……暖かいね」
アリスが去り、二人きりとなった部屋の中でそんな風に自分にすりすりと身体を擦り付けてくれる愛しい恋人の姿を視界の端に収めながら、アッシュはどこか遠い目をしながら必死に自分を抑えようとしていた。このままでは不味い、もはや股間のハイペリオンは
(そうだ、流されるな俺。こんな無垢な信頼を寄せるナギサに手を出すなんてケダモノのする事だ!やるんだったらきちんと正面から告白してOKを貰ってから。ナギサにとってだって一生の思い出になるんだから!)
そう気合を入れなおす。決して欲求に流されるのではなく男としてきちんと愛する人へとその想いを伝えたうえでなければならないと男の意地を奮い立たせる。その瞬間劣勢に陥った理性がまだだ!という気合の大喝破と共に本能を押し返す。本能が忌々しげに「これだからうんざりなんだよ、正攻法の化け物が!」などと叫び、状況は再び拮抗へと持ち直し……
「ギューギュー……ん~ねぇ、アッシュも服脱がない?」
かけたところでまたもや理性に痛恨の一撃が加えられる。目の前の少女はさも良いこと考えたーみたいな無垢な様子で提案している
「……一応理由は聞いても良いかな?」
本能が「馬鹿野郎そんなものナニするために決まって居るだろうが。野暮なこと言ってんじゃねぇよ」などと囁くが気力でそれをねじ伏せる
「だって~せっかくアッシュの温もりを感じられるのに服越しなんてもったいないもん」
ぷくーと頬を可愛らしく膨らませてナギサはそんな風に告げるとあっと何かに気がついたような表情をして
「でもそれだったら私がこうやって下着つけた状態だったら駄目だよね。私も下着脱がなくちゃ」
うんしょっとなどと言いながら下着を脱ごうとするナギサをアッシュは慌てて止める……本能が「馬鹿野郎!!!何止めてやがる!ふざけるなーーーー!!!」などと怒りの咆哮をあげているが理性でそれをねじ伏せる。不味いさすがにそれは不味い、そんな事をされた日にはいよいよもって自分を抑えられる自信がなくなるとアッシュは気力を振り絞る
「ま、待ったナギサ。わかった!ナギサが望むように俺も服を脱ぐからさ、ナギサはそのままでいてくれよ!」
「でも、私アッシュの温もりをもっとしっかり感じたいよ……」
だから駄目かな?と潤んだ瞳でこちらを見つめてくる恋人相手にアシュレイ・ホライゾンは気合を入れる。踏みとどまれ、踏みとどまれ。ここで流されてしまえばいよいよもって終わりだと
「その下着さっき俺のために買ってくれたって言っていただろ?だからせっかくだからもっと目に焼き付けておきたいんだ。俺のワガママでごめんな」
そんな事を口走る。どうやらアッシュの理性はもはや瀕死のようである。本能が徐々に表に出始めているような事を言っている
「アッシュ……」
ジーンという擬音語が聞こえるかのように感動したレインはそんなアッシュの言葉へと涙ぐむ。君の下着姿をもっと見ておきたいなどというそこらの男が言えば確実に変態扱いされる台詞も彼女に対してアッシュが言うと、どうやら喜びを通り越して感動さえするようである。あばたもえくぼとはこのことか。
「えへへそっか……それじゃあじっくり見てね。アッシュに見て貰う為に買ったんだから!」
そんなことを嬉しそうに告げながらナギサはまたもや色っぽく身を捩る。堪らずアッシュが目を逸らすと
「何で見てくれないの……さっきちゃんと見ておきたいって言っていたけどアレは嘘だったの……」
などとまるでこの世が終わったかのように沈みきった声を出して今にも泣き出しそうな様子になる始末。当然そんな事を言われればアッシュは慌ててナギサのほうを見つめるしかなく、その美麗な天女のような姿を見ているだけでさながら星辰体の反粒子を浴びたかのようなダメージを理性が負い、逆に本能は水を得た魚のように生き生きとしてくる始末。出来るだけ身体の方を見ないように相手の顔を見つめるだけでも、その美しさに見惚れてしまいボーっとして来てしまい八方ふさがりとなるのであった。
そうして互いにしばらく見つめあっていると……
「えへへ……こうしてアッシュを見ているだけでも幸せだけど、やっぱり折角だから身体の温もりを感じたいな。また……抱きしめてくれないかな?」
などと可愛らしくおねだりしてくるものだからアッシュはその願いに答えて強く抱きしめる。ムニュリと先ほどは服越しだった柔らかな感触が今度は相手の薄布しか隔てるものがない状態で伝わってくるがアッシュは必死に耐える。よく見ると徐々に目が虚ろに成り始めて、ぶつぶつと祈りの言葉を捧げ始めている辺り彼はもはや限界寸前というか限界などとうに超えた状態であろう。
そうしていると感極まったようにレインはアッシュの名前を呼び出してスリスリとまた自らの身体を擦り付け始め、かくして(上)冒頭の状況へと至ったのであった。
(あ、ヤバイ。本当にヤバイ)
ムニュリムニュリとナギサがその身体を擦り付けるたびに柔らかな感触がして、それがボロボロ状態の理性をどんどん追い込んでいく。今すぐにそのたわわに実ったふくらみをもみしだきたい、その唇に口付けをしたい、彼女に自分のものだという証をつけたいという欲求を必死に抑えこむ。
そんなアッシュの様子に気づかずにナギサはただただ幸せそうにその身体をアッシュへと擦り付けくーんくーんとまるで子犬のように甘えながら時折その頬や身体をぺロリと舐めたりしていたが、ふとしたタイミングで姉に言われていたことを思い出す。すなわちアッシュを篭絡するための方法、それをまだ半分までしかやっていなかったことに気づいたのだ。
そうしてそっと優しくその手をアッシュの頬へと当てて潤んだ瞳で上目遣いでアッシュを見つめながら
「私を貴方のものにしてください……その証をどうか私の身体に刻み込んで……」
そう告げて、何かを期待するかのようにそっと目を閉じて唇を差し出す愛する女の様子を見てプツリとアシュレイ・ホライゾンの中で何かが切れる音がした。瀕死になりながら持ち堪えていた理性が粉々に砕け散る、本能が勝利の咆哮を行なう。そうしてアッシュの中に溢れ出すのは目の前の少女を自分の物にしたいという思い。自分と言う存在を刻み付けるかのようにアッシュは濃厚な口付けを行なう。うっとりとした様子でレインもそれを受け入れてまるで貪りあうかのようにキスを交わして……
「えへへ……キス……しちゃったね」
これまで幾度も行なったというのにまるで初めてかのような初々しさではにかみながらそんな事を告げるナギサ。もう辛抱たまらんとばかりにアッシュが少女の両肩へと手をかけて押し倒そうとしたところで、ナギサは輝く笑顔を浮かべて
「これで……私はアッシュのものだね。だって王子様にキスされたんだもん。ずっと……ずっと一緒だよ。浮気……したら嫌だからね」
えへへと恥ずかしげはにかみながらそんな事をナギサは告げる。そう今の彼女にとっては王子様のものになるというのはすなわちキスをされるという事。何故ならば子ども用の童話でおしべとめしべがどうのこうのなどという具体的な話をする事はなく、男女が結ばれたことを示すのは口づけなのだから。そう理解した瞬間に粉々に砕けたはずのアッシュの理性が復活する。
このキャベツ畑やコウノトリを信じている無垢な少女に己が獣欲を叩きつけるなど男のする事に非ず!そう決意した瞬間に先ほどまで瀕死にあった理性はまるで傷そのものがなかったかのように復活を遂げて、本能は「ば、馬鹿な!何なんだこの光は!?」等と主人公達の絆の力に敗北するラスボスのような断末魔を挙げている。
「ああ、ずっと一緒だよ……君は俺のものだし、俺は君のものだ。浮気なんてするものか。だって俺は君にとことん夢中なんだから」
さきほどまでのどこか目が据わった状態は消え去り、普段の穏やかな何もかもを包み込むような笑顔を浮かべて
「うん……もういなくなったりしたら嫌だからね。アッシュが傍にいないときはとっても苦しくて、もう一度会いたいって……大和様にもそれが叶うんだったらなんでもしますってお願いしたりして……」
切なげにそんな事をナギサは告げて
「だからこうしてアッシュが傍に居てくれるなんて本当に夢でも見ているんじゃないかって不安になるの。ねぇ、アッシュ……今日は一緒に寝よう。貴方が幻じゃないって確かめて貴方の温もりを感じて眠りたいの」
そんな愛しい少女のおねだりにアッシュは微笑みながら
「うん、わかった。大丈夫、俺は幻なんかじゃないよ。こうすれば、それがわかるだろ」
そうして同じベッドへと寝て、横にいる少女を愛し気に見つめながら自分はここにいるんだと示すようにアッシュはナギサを強く抱きしめる。
「うん……アッシュの身体とても暖かい……」
そうしてナギサもまた愛おしくアッシュを見つめながら自分の想いを伝えるかのように強く抱きしめ返す。そうして愛し気に互いに見つめあっているとアッシュが一つ言わなければいけないことがあったと言葉を発する
「そういえば、ナギサみたいな可愛い子がなんでもしますなんて言ったら駄目だぞ。神様って奴は結構スケベだったりするんだからな」
美しい人間の女を見初めた神がその女を浚ってなどという伝承は枚挙に暇がない。神が人間に恋をするような事が有り得ないというのならば半神の英雄など誕生したりしないだろう。そんな少しだけ独占欲を覗かせた愛する男の言葉にナギサはクスリと笑って
「はーい、ごめんなさい。私はアッシュのものだもんね。気をつけます」
そんな事を笑って告げた後にどこかうっとりとした表情でアッシュを見つめて
「でもね……私アッシュにだったら何されても良いよ……」
ギュと抱きつきながらそんな事を告げてくるものだから、ナギサを守るという思いに昇華され基準値へと戻っていた股間のセイファートが再びハイペリオンして、「ククク、何度だって俺は蘇る。そう!この世に可愛い子ちゃんが居る限りなぁ!」などと本能が復活の雄叫びをあげる。まあ完全に滅んでしまったらそれはつまり子作りできなくなるという事で、ナギサが「私って魅力ないのかな……」などと落ち込む事になるだろうから結構な事だろう。少なくとも今こうしてこと愛する少女を守ろうとする時に、アッシュの持つ鋼の理性が敗北を喫することはないのだから。
「愛しているよ、ナギサ」
「うん、私もアッシュの事愛している」
そんな風に抱きしめ合いながらお互いの顔を愛し気に見つめながらナギサ・奏・アマツとアシュレイ・ホライゾンは穏やかに寝息を立て始めるのであった。
アリス「アッシュ君結局行ったきり帰って来なかったわね」
ティナ「ですね」
ティセ「アッシュ君の寝室は確か一階のはずだったんだけどにゃ~」
三人「……(察し)」
次回後日談的なものをやってこの短編は完結です。