シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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グレイってアッシュと同じモルモットで本人曰く普通に傭兵やっていたみたいなんですよね。
そんで傭兵は基本昨日の敵は今日の味方が日常茶飯事っぽいんですよね。
まあそうなると所属する団が変わったりとかもレインちゃんみたいな
団長に個人的な恩義にあるみたいなケースじゃない限り当然あると思うわけですよ。
まあ何が言いたいかというと、グレイが暁の海洋に入団しています。


風邪と共に去りぬ 後日談(前)

「アッシュは……その、私と……したい?」

 

頬を赤らめながらどこまでも可愛らしい様子でのその愛しい恋人からの問いかけを受けてアシュレイ・ホライゾンは意を決したような瞳で相手を見据えて……

 

「俺は……」

 

その答えを告げるのであった。

 

 

 

「レインちゃーん、入るわよー」

 

コンコンとドアを軽く叩いた後にアリス・L・ミラーが己の妹の部屋へと入る。入ってみると彼女を出迎えたのはベッドの上でシーツに包まり丸くなりながら、時折「うう……」などとうめき声を上げている妹の姿だった。そんな妹の姿を見てため息をつきながらアリスはシーツをひったくりながら告げる

 

「こーら、風邪はもう治ったんでしょ?なのに何時まで寝ている気?あなたの愛しい旦那様はとっくの昔に仕事に行ったわよ」

 

ティナ、ティセ、アリスの三人からニヤケ顔で昨夜はお楽しみでしたねのトリニティを喰らったアッシュは朝食を済ませると逃げるように今日も今日とて取引先への交渉と営業へと旅立った。そうしてレインを待っていたのだがいつまでたっても起きてこないためにこうして仕方がなく自ら起こしに赴いたというわけだ。そんなアリスの言葉に対してレインは

 

「うう……だって……だって~~~~~!!!」

 

相も変わらず真っ赤にした顔をべそをかいてしまっている、そこには暁の海洋の団長の片腕とも称される腕利き傭兵レイン・ミラーの姿はなかった。

 

「だ、大体姉さんも私があ、あんな状態だって知っていてどうして止めてくれなかったのさー!わ、私こ、こんな姿の状態でアッシュに抱きついたり、キスをねだったりしちゃった上にアッシュの為に買ったんだからじっくり見てね♪なんて、まるっきり痴女みたいな事言っちゃったりして……!」

 

動揺したレインは細かい事情を知らなかったはずの姉に対して哀れ、そんな後々嬉々として弄られることになるであろうネタを提供してしまう。そんな情報を聞いたアリスはしばらくしたらこのネタで盛大に妹とその恋人を弄ることを決めて、ニヤリと笑みを浮かべた後に、冷静に諭すような声色で

 

「だって貴方あそこで私が止めていたら絶対駄々捏ねていたでしょ?さながら愛しい王子様との仲を裂こうとするシンデレラの意地悪な義姉扱いになっていたんじゃないかしら?」

 

そんなぐぅの音も出ないことを言われレインは押し黙る。全くもってぐうの音も出ない、入ろうとしたアッシュを下着姿のまま笑顔で出迎えたのは彼女自身だ。仮にアリスが止めたら、それこそ「なんで姉さん、アッシュが入ろうとするのを邪魔しようとするの~~~~」などと駄々を捏ねたことだろう。どう考えても面白がっていたアリスが止めたかどうかは別として。

 

「で、でも私にキスをしろとか抱きつけとか煽ったのは姉さんじゃないか……」

 

なおもレインはそんな風に言い募るが

 

「あら?風邪を引いている妹にいい機会だから思う存分彼氏に甘えなさいなんて言ったのがそんなに変?これがそこらの馬の骨ならそりゃおねえちゃんも可愛い妹を頑張って守ったけど、なんといっても未来の義弟君だもの。そんな必要ないでしょ、それにレインちゃん色々言っているけど貴方そんなに昨晩の事が嫌だったの?なかった事にしたいと思っている?」

 

子どもの駄々をあやすようにどこか真面目な表情でアリスはそんな風に答える。それを聞いてレインは

 

「そ、そりゃあ嬉しくなかったって言ったら嘘にはなるけど……」

 

愛する男の腕に抱かれた温もりと口付けの感触を思い出して、頬を赤らめながらレインはそんな風に答える。そんな妹の様子を見てアリスはにんまりと笑みを浮かべて

 

「なら問題ないじゃない。むしろ正式な恋人同士だって言うのに何時までもぐずぐずしすぎていたのよ。アッシュ君が娼館に誘われただけでプリプリ嫉妬して、私に相談してきたのは誰だったかしら?」

 

「うう……私です……」

 

そんな姉の言葉にレインはうな垂れながら答える。今身に纏っている下着を買うことになった経緯を思い出してしまっているのだろう。外見だけ見るとクールな印象を受けるが、アッシュが絡むとどこまでもポンコツ化して平時ならば乗らない姉の口車に乗ってしまうのがレイン・ミラーもといナギサ・奏・アマツという少女である。

 

「まあまあ、良いじゃない。そりゃ初めてがある意味では酔った弾みでみたいな事になってショック受ける気持ちはわからないでもないけど、下着姿で恋人に迫られたらそりゃしょうがないわよ。ようやく貴方達もまた一歩大人の階段を登ったって事で良いじゃない」

 

こういう機会でもなければ下手したら何時までもお子ちゃまな恋愛を続ける事になりそうだし貴方達、等と笑顔で告げる姉に対してレインはきょとんとした顔を浮かべて

 

「え?」

 

「え?」

 

姉が何を言っているのかわからないと行った様子のレインとそんなレインの様子を見て困惑するアリス。そうして沈黙が降りた場で、再起動を果たしたアリスがまさかそんなはずはと有り得ないものを見たように問いかける

 

「………女になったんでしょ?流石に辛抱たまらなくて、本能を解き放って野獣と化したアッシュ君にその育った身体を貪られたのよね?」

 

そんな姉の問いかけに対してレインは顔を真っ赤にして

 

「む、貪られるって何言っているんだよ姉さん!だ、抱き合ってキスをしたりはしたけど……」

 

最後の方は恥ずかしげにゴニョゴニョと聞き取りづらくなったがそんな否定の言葉を口にする。それを受けてアリスはあまりの驚愕に身体をよろめかせて

 

「こ、恋人同士が……もう子供とはいえない恋人同士が……一夜を共にしていながらキスだけで終わる……そんな事が……?」

 

あまりの衝撃に唇を震えさせながらアリスはなおも続けていく

 

「しかも……しかもこんな育った身体の下着姿の恋人に身体を擦り付けられたり、全力で甘えられて……」

 

「う、うわぁ!姉さんどこ触っているのさぁ!?」

 

たゆんと姉につつかれてレインのたわわに実った二つのふくらみが揺れる。だがそんなレインに対してアリスはガシッとレインの両肩を掴んで真剣そのものな表情で告げる

 

「暢気にして居る場合じゃないわよレインちゃん!これは貴方の女としての沽券に関わってくるのよ!!!」

 

そんな鬼気迫る様子の姉にたじろぎながらレインは問いかける

 

「お、女としての沽券ってそんな……」

 

大げさななどと言ってくる危機感の足りない妹に天を仰ぎながら姉は続けていく

 

「あのねぇ貴方達恋人同士よね?」

 

「う、うん……」

 

もう恋人になってから大分経つのに頬を赤らめながらレインは姉の問いへと答える

 

「貴方のその下着姿は私がアッシュ君を脳殺するために勧めた勝負下着よね?」

 

「は、はいそうです……うう、こんな下着私着るつもりはなかったのに……」

 

「貴方はその状態で色っぽくポーズを取りながら私の教えたとおりに彼に迫った。抱きついたりした」

 

「ほ、堀り返さないでよぉ!思い出すだけで本当に恥ずかしくなって来るんだから!」

 

そんなどこまでもズレた返答をしている妹に対してアリスはクワッと目を見開いて

 

「シャラーップ!この事態がどれほど重要かわかっていないお子ちゃまが!!!」

 

「お、お子ちゃまって……」

 

姉のそんな発言にレインはムッとした様子で反論しようとするが

 

「キスだのハグだの添い寝だの、そんな程度で何時までも足踏みしている者をお子ちゃま以外の何と言えば良いのか!!!いーいレインちゃん、もう一度アッシュ君以外の普段貴方の接している野郎共がどんな風かよくよく思い返して見なさい!その上で!!!もう一度、冷静になって昨晩の事を振り返って見なさい!貴方が経験すべきであった出来事が何か抜け落ちていることに気づくはずよ!!!」

 

そんな鬼気迫る様子のアリスの言葉にレインは戸惑いながらまずは普段接する傭兵団の男連中を思い起こす。変り種もいるには居るが多くは金が入るとすぐにやれ娼館だのと言う奴らばかりだ。アッシュと特に仲良くしているグレイなどその最先鋒と言えるであろう。まあ下品なところはなく、女性に対して紳士的な事を心がけている為に女性からの評判自体はそう悪くないというか良い方なのだが。

加えてアッシュが来てからは大分減ったし、姉が目を光らせているのもあってそれほどではないが、自分も何度か男共にそういう目で見られて言い寄られた記憶がある。もちろん適当にあしらって、度を越した奴にはそれ相応の報いをくれてやったが。

続いて羞恥の記憶にのたうち回りながら昨晩の自分がしたことを振り返る……思い出すだけで茹って来るが、ふと気づきそして愕然とする。どうしてアッシュは自分に手を出してくれなかったのだろうか、と。女としてのプライドが砕ける音が聞こえた。

 

「どうやら事の重大さにようやく気づいたようね」

 

そんな妹の様子にアリスもまた厳粛な面持ちで頷く

 

「ね、姉さん……わ、私ってひょっとして魅力……ないのかな?」

 

涙目になりながら告げられた妹の言葉にアリスもまた真剣そのものな様子で考え込む

 

「昨日のアッシュ君の様子を見るに実は男しか愛せないだとか、貴方を女として見れていないだとか、お〇ん〇んがウズウズしていないとかそういう事はないはずよ」

 

多分、きっと、おそらくなどとアリスは昨晩妹に抱きつかれて股間がハイペリオンしていた男の様子を思い出しながら告げる。ならばそうなると彼は一体如何なる理由で目の前にご馳走が用意されながら絶食を敢行し続ける修行僧のような真似をしたのか?単にヘタレたのか、はたまた妹を慮った優しさなのか……などと考えつつも、そんな無理を続ければ遠からず碌な事にならないだろうと思い、目の前の妹を炊きつける。

 

「何にせよこと此処に至ればもはや残された手段は一つのみ!」

 

クワッと目を見開いてアリスはまるで大一番の決戦を前に号令を下すような様子で

 

「以前結局(貴方がヘタレたせいで)不発に終わったプレゼントは私作戦よ!その勝負下着でリベンジを今夜、行なうのよ!今こそ勝利をその手に掴みとるとき!!!」

 

そんな姉の指示にレインは顔を真っ赤にして告げる

 

「無理無理、そんなの無理だよ~~~~~~!!!」

 

顔をブンブンと振りながらそんな事を告げる。常ならば面白がりながらそんな妹をからかうのだが

 

「ヘタレとる場合かぁ!!!そんなんだから何時までもキスどまりで今こんな状況になっているんでしょうが!!!」

 

バン!とベッドを叩いてヘタレる妹を怒りさえ見せながら炊きつけようとする

 

「だって……だって~~~~~」

 

無理なものを無理なんだもんと涙目になる妹を見てアリスはようやく落ち着きを取り戻したのか、ため息をついて

 

「わかったわ……確かに向き不向きがあるし、貴方の場合そのあざとさこそがむしろ武器と言えるかもしれないしね。無理に強引に行くのは貴方の長所を殺しかねないか……」

 

そんな風に矛を収める。しかし、これだけはやっておくようにとばかり告げる

 

「ただし、今夜ちゃんと貴方のやり方で良いから、アッシュ君と話をして見なさい。本能を理性で制御するのが人間かもしれないけどね、無理に抑え続けたりしたら絶対どこかに歪が出来るんだから」

 

常のように面白がる様子ではなく、真摯にこちらを慮っていることがわかるそんな姉の言葉を受けてレインは

 

「う、うん……」

 

頬を赤らめながらもあまりにも今が幸せすぎて、中々先へと進められずにいた自分達の関係を進めるための決心をするのであった……

 

 

 

 

 




アリス姉さん 無双
頭ピンクの女性キャラはラブコメだとすごい重宝します。
正直凄まじいラブラブカップルで特に婚前交渉駄目的な思想や事情もないのに
数年間プラトニックな関係だったは流石に無理があった。
というかあまりにもアッシュが可哀想だと思った
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