シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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やあ (゚∀。)y─┛
ようこそ、ライアンの阿片窟へ。
この阿片はサービスだから、まずは吸って落ち着いて欲しい。

うん、タイトルで察してくれたと想うけど「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、この項目を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない本編でも感じた「糞眼鏡のきもさ」みたいなものを感じてくれたと思う。
糞眼鏡のどうしようもなさが際立つほどにアシュナギの尊さや素晴らしさがまた際立つそう思って、この阿片を作ったんだ。

それじゃあ良ければ普段とはまた違った阿片をどうか堪能していってくれ


※アシュナギ要素は今回ありません

ちなみに自分はトリニティにおいてアシュナギが不動のワンツーですが、三番目に糞眼鏡ことギルベルトが好きです。人気投票では一票も入れませんでした。




ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ?ロデオン少将も出来たぞ?

「俺は、お前達のために生き、お前達のために死のう」

 

その盟友の否、誰もが仰ぐべき絶対的な光の宣誓を

 

「この身のすべては皆を幸福にするためにある。輝く明日を、誰もが笑顔で誰もが明日を向いて生きられるように……願うからこそ、必ず往こう。未来をこの手で切り開くのだ」

 

ーーーああ、どうかそのまま進み続けてくれ、そして英雄譚の紡ぎだす至高の光をどうか私に見せて欲しい

 

ギルベルト・ハーヴェスは今にも涙を流さんばかりの感動を総身で味わいながら聞いていた。

 

 

魔星を撃破した救国の英雄クリストファー・ヴァルゼライドのアドラー第37代総統就任。

それは民からの絶大なる歓声で持って迎え入れられた。誰もが暗い過去を忘れ、その理想の指導者の姿に祖国に齎される約束された繁栄を確信する。そんな中竹馬の友であるロデオン少将に次ぐ中だと周囲から目されているヴァルゼライドの盟友ギルベルト・ハーヴェスはようやく己の仰ぐ光がその力量に相応しい地位へと着いたという感動を味わいつつも、そんな彼に対して歓呼の声を向ける帝国臣民達をどこか冷めた目で見つめていた。

 

ーーー彼らがヴァルゼライド閣下を仰いでいるのはつまるところ一切の傷のない絶対的な英雄だと思っているから

 

自分達に繁栄を齎してくれる都合の良い(・・・・・)存在だからこそ。もしも彼に何らかの傷が、そう例えば大虐殺は実は彼が権力を手中に収める為に起きてしまったものだったなどと言った場合、あるいは国のためにいざ自分が切り捨てられる少数になった場合

 

ーーー自称善良である彼ら民衆は賢しらげに非難するのだろうな

 

「誰かの犠牲の下で得た繁栄や幸せなど間違っている」「俺達はただ穏やかに暮らしていければいい」彼らが口にするのはいつもそれ(・・・・・)だ。輝かしき勝者がどれほどの覚悟でその道を選んだのかなど知ろうともせずに。恩知らずにも恥知らずにも。自分達も知らぬうちに誰かを踏み台にして今の幸福があるなどということを考えようともせずに

 

ーーーそのような者達にまで果たして光を齎す価値があるのだろうか?

 

ヴァルゼライドの事をギルベルトは心より尊敬している、彼ほどにヴァルゼライドの事を崇敬しているものはそうはいないと言って良い。だがそれでも悪ではない(・・・・・)帝国の民へと平等に光を齎そうとするヴァルゼライドの姿勢には一片の不満を覚えざるを得ない。これでは勝者が哀れではないかと。平等に光を齎されて得をするのは基本的には弱者なのだから

 

ーーーいかんな、そのような不満を抱く資格など私にはないというのに

 

そう何せ自分は敗者(・・)なのから。ヴァルゼライドに対して己の持つ理想を打明け、そして決裂して激突し、敗北した。故に敗者である自分が輝かしい勝者である英雄に対して不満を抱く資格などない。勝者の総取り、それこそが彼の奉じるものなのだから。

そんな埒もない考えをめぐらせながら、周囲を見渡してみるとヴァルゼライドの竹馬の友にして、彼の盟友でもあるアルバート・ロデオン少将の姿が目に映った。そうしてギルベルトは過去に思いを馳せた。決して色あせることなき、自らにとって黄金に輝いていた出会いと日々を……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すまないハーヴェス、お前にはいつも感謝している」

 

「おう、お前も忙しいってのにわざわざすまねぇな、本当にありがたいと思っているぜ」

 

そんな心の底からの敬意を抱ける盟友二人からの感謝の言葉を聞きギルベルト・ハーヴェス大尉は鷹揚と答えた

 

「何構わんよ我が英雄、そして我が盟友ロデオン中尉。私が身につけたわずかばかりの知識が貴殿らの力になるというのならこれに勝る喜びはない」

 

そうしていつものように軍務を終えた後のわずかな時間を使っての目の前の二人に対する士官教育をギルベルトは始めるのであった。彼らと出会ったのはおよそ一年前、士官学校を首席で卒業したギルベルト・ハーヴェスは武功を立てる為にも激戦区として知られる東部戦線への配属を希望した。そうして彼は配属された場所でかつてない衝撃と感動を味わうこととなる。

 

東部戦線の英雄クリストファー・ヴァルゼライド。噂には聞いていた、スラム出身でありながらも凄まじいまでの武勲を挙げている男がいると。だが、これほどまでとはギルベルトをして思っていたなかったのだ。仮に彼が天賦の才に恵まれていたのならばギルベルトはそこまでの衝撃を受けなかっただろう。環境と言うー要素をひっくり返すだけの才能という+要素を持って生まれていた、それだけで済んだ。

だが、彼が自分よりもはるかに才能に恵まれていないにも関わらず、自分をはるかに上回る力量を持っていたからこそギルベルトは衝撃を受ける。人は努力一つで、意志力一つのみでこれほどまでに至れるのかと文字通り世界がひっくり返るような衝撃を受けた。

また、彼の盟友たるロデオン中尉の存在も彼に少なくない衝撃を齎した。彼はそんなヴァルゼライドについていこうと自身も同様に必死に努力を重ねていたのだ。「あいつは俺とは違う奴だから」そんな惰弱な弱音を一切吐かない。ただただ親友たるヴァルゼライドの歩みについていくべく自らも努力を重ねる、そんな在り様にギルベルトは心からの敬意を抱き、気が付けば彼らに声をかけていた。

 

「私に何か力になれるような事はないかな」

 

と。そうしてそんな自分に対して彼らはこう答えたのだ

 

「叶うのならば、貴殿の持つ知識を無学な我らに教授願いたい、ハーヴェス殿」

 

と。そんなどこまでも飽くなき向上心を聞いてギルベルトは再び全身を打ち貫くような感動を味わいながら思うのだ

 

ーーーああ、どこまでも私に光を見せ付ければ気が済むのだ、あなたたちは

 

そんな風にして始めた二人への知識の伝授でギルベルトはまたしても大きな感動を味わうこととなった。彼らは一度たりとも己が身の不遇を嘆く言い訳めいたことをしなかった。自分のように1を聞いて10を知ることは出来ない、だが1を教えたらその1を確実に身に着けるのだ。そうしてひたすらに貪欲にただただ光の為に未来の為にと努力を重ねる二人を見てギルベルトは確信するのだ

 

ーーーやはり、環境など誤差なのだ。

 

「恵まれている者にはわからない?」なんという惰弱で恥知らずな言い訳だったことだろう。断言できる、この言葉を告げた士官学校の級友達は目の前の二人よりもはるかに恵まれた(・・・・・・・・)立場だったと。人間に不可能などない、不断の意志力と努力は環境や才能などと言ったものを凌駕するのだとギルベルトは強い確信を抱く。

これがヴァルゼライド一人だけならばあるいは、あくまでヴァルゼライドが唯一無二の例外に過ぎない、などとギルベルトは多少の冷静さを抱くことが出来たかもしれない。だが、彼は二人(・・)も同時に弛まぬ向上心によって環境という壁を乗り越えんとする男を見てしまった。そうしてヴァルゼライドへと必死に続かんとするアルバート・ロデオンの姿を見て強く思うのだ

 

ーーー必要なのは絶対的な光なのだ

 

アルバート・ロデオンに以前問うたことがある、何故そこまで努力できるのか、不安に思うことはなかったのかと。そんな自分に彼はこう答えたのだ

 

「そりゃあそんな風に思うときもあるさ、こうまで必死に頑張る意味があるのか、結局俺に出来る事なんてたかだか知れているんじゃないかってな」

 

だけどとそこで彼は何かを飲み干すように笑顔で

 

「あいつを、クリスを見ていたらそんな風に思い悩むのが馬鹿らしくなっちまってよ。あのバカときたら俺がついて行かなかったら一人でどこまでもつっ走ちまいやがる。その上にだ」

 

そこで彼は何やら大きなため息を吐いて苦笑しながら

 

「ようやく出来た新しいダチも俺なんかよりはるかに頭がいいはずなのに、そんなクリスに負けず劣らずのバカと来た。だったら、俺がついていかなかったら誰がお前らを止めるってんだよ、ええ、ギルベルト」

 

そんな尊敬する盟友の言葉を聞いてギルベルト・ハーヴェスは確信した。これこそが今までに会ってきた数多の落伍者に欠けていたものなのだと。すなわち目指すべき絶対的な光の存在(・・・・・・・・・・・・・)。英雄を追うためには迷っている暇などないと彼は言った。すなわち、彼らがあのような弱音を吐いて中途で諦めてしまったのは仰ぐべき光が存在しなかったから。

 

ーーーそうか、そういう事だったのか

 

自らが思い描いた理想、それを実現させる為に一体何が必要だったかにようやく気が付いたギルベルト・ハーヴェスはかくして光の殉教者へとなった。至高と仰ぐ光が存在している限り、彼はそんな英雄の忠実なる駒として働き続けるだろう。だがもしも、そうもしも彼に首輪を繋ぐ輝ける勝者が誰も存在しなくなった時、審判者は己が理想の極楽浄土を築くために動き出すだろう。人間では耐えられることの出来ない、ただただ光に満ちた世界。そんな自身が報いたいと願う勝者の輝きへと泥を塗ることになる理想郷(じごく)の如き世界を……

 

 




おっちゃん「そういう意味で言ったんじゃねぇよ!」

ヴァルゼライド閣下とアルバートのおっちゃんってスラム出身なんですよね。当然まともな教育受けていないわけですよ。
しかもエスペラント技術がまだ発見される前の血統派全盛期のため門戸がかなり狭かった時代。
じゃあそんなヴァルゼライド閣下とおっちゃんがどこで基礎的な教養やら士官としての知識をどうやって身につけたのかって言ったらそれは、士官学校を首席で卒業したような俊英のギルベルトと肩を並べた東部戦線時代だったんじゃないかって思ったわけですよ。
で、スラム出身なのに向上心溢れる二人に授業やっているうちに「やっぱり環境とか誤差じゃん!何が恵まれているお前にはわかんねぇだよ!少なくとも目の前の二人よりもお前たちの方がはるかに恵まれていたわ!」ってエリュシオン思想拗らせたんじゃないかなぁと思い描きました。

正直ヴァルゼライド総統が英雄すぎて霞んでいますけど、碌な教育受けられていないスラム出身で腕っ節ではどう考えても登り詰められない諜報部隊の隊長にまで登り詰めたおっちゃんも大概ヤバイと思っています。
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