シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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やあ (゚∀。)y─┛
ようこそ、ライアンの阿片窟へ。
この阿片はサービスだから、まずは吸って落ち着いて欲しい。

うん、タイトルで察してくれたと想うけど「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、この項目を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない本編でも感じた「ガニュメデスのモブとは思えないインパクト」みたいなものを感じてくれたと思う。
総統閣下に寝取られた彼を描くことで総統の記憶ぶち込まれたりしたのに一番の想いが「今度こそ、君を守り抜くために」だったアッシュの幼馴染ガチ勢っぷりがまた際立つ。そう思って、この阿片を作ったんだ。

それじゃあ良ければ普段とはまた違った阿片をどうか堪能していってくれ


※アシュナギ要素は今回ありません

ガニュメデスに対する解釈は作者の完全妄想になります。
某wikiではおじさんと糞眼鏡と並ぶ扱いを受けたりしていますが、自分の中のイメージのガニュメデスはあくまで「普通の人」です。


僕は何よりも誰よりも貴方に会えて良かった

ーーーああ、僕はどうしてこんなところに来てしまったんだろう

 

ある青年はもはや避けられぬ死を前にして、覚悟も矜持も砕けてそんな後悔を抱えていた。

 

 

 

「軍人になる?」

 

シズル・潮・アマツは目の前の恋人の言葉に目を丸くしながら呟いた。

 

「うん、シズルも知っているだろう、今この国は大きく割れている」

 

 

新西暦1025年、軍事帝国アドラーは二つの派閥の争いによって大きく揺れていた。一つは血統派、こうして会話をしている二人の実家も所属している所で、名前の通りに昔からこの国を牛耳ってきた貴種を中心とした血と縁故による強固なつながりを有する派閥だ。最もれっきとした貴種(アマツ)である女の家と青年の家ではその中でも差があるのだが……

もうひとつは改革派、血筋や育ちに依る事のない実力主義の社会の実現を目指して、血や縁故ではなく理想によって結びついている派閥である。

 

本来ならばこの二派は二派と呼ぶにもおこがましい開きがあった。だがある一人の人物とある一つの出来事によってそれは大きく覆ることになった。

スラム出身の英雄クリストファー・ヴァルゼライド大佐。今や数多くの勇名でもってアドラーの民ならば子どもであろうと知って居る彼を被検体にしたエスペラント技術の発見。これによって当時大尉であった彼は少佐へと昇進。一躍改革派の筆頭へと躍り出た。

本来であれば如何に功績があったとはいえ少佐に過ぎない彼が派閥のリーダーにまでなれなかっただろう、少なくとも主導権争いが起きてしかるべきだった。しかし、改革派の主な面々はむしろ彼ほどの男が未だ少佐に過ぎないことこそがこの国の腐敗の証であるといわんばかりに一致団結。以来3年、国の主導権を巡ってこの二派は争い続けている。

 

「もしかして私の両親が言っていた事を気にしているの?」

 

うちの娘の婿に相応しいのはあの忌々しい卑賤の成り上がり者の思い上がりを砕けるような者である、シズル・潮・アマツはもしやそのためにと目の前の恋人が軍人を志望したのではないかと危惧する。

 

「いいや違うんだシズル、僕はその逆。改革派に入ってあの方と共に生まれや育ちに関係のない公正な社会を作りたいんだ」

 

静かに、だが確かな決意を持って青年は恋人の言葉を否定して驚いた顔をしている恋人に向けて告げる

 

「ずっと思っていたんだ僕は君に対してあまりに不釣合いだって……」

 

家柄の差だけではない。穏やかで優しい性格、誰もが振り向くであろう美貌、そして研究者としての才覚、そのどれもを持っているシズル・潮・アマツはまさに才媛と呼ばれるに相応しき人物だ。そんな恋人に対して自分はあまりにも男として情けなさ過ぎる、シズルがどう思っているかは置いておくとしてそれが青年の自分に対する認識だったのだ。

 

「そんな事ないわ!私は貴方の良い所をたくさん知っている、貴方がいてくれるだけで私は幸せなのよ」

 

そう言い募るシズルの言葉も青年には根本的な部分では届いていない。この場合重要なのは青年自身が今の自分に対して情けないと思ってしまっているのが問題なのだ

 

「ありがとう、でも僕は胸を張ってシズル・潮・アマツの恋人だと胸を張って宣言できる自分になりたいんだ」

 

そう告げる青年の脳裏に浮かぶのは幾多の困難を乗り越えて英雄と呼ばれるようになった男の姿。ああ、そうだ自分は子どもの頃にあんな風になりたいと願っていた。家柄や血筋といったもので劣等感を抱かずに目の前にいる最愛の女性と一緒に居られるような世界を作りたいと夢想した。だが、それを現実にするにはあまりに困難だからと大人になるうちに次第に諦めてしまって行っていた。なんと情けない事だろう、あの方(・・・)は自分よりもはるかに恵まれない立場でついにはそれを現実に出来るかもしれないところまで来たと言うのに。そんな風に諦めていた女々しい自分を変えたいと願うからこそと言わんばかりに青年は告げる、自分の決心をずっと諦めていた夢を。

 

そうして最後にこれこそが一番の理由だと言わんばかりに恥ずかしげに笑いながら恋人に告げる

 

「もしも、そんな風な社会を実現できたら家柄とかそんなものに囚われる事無く、もう誰に気兼ねすることなく君と一緒に居られる。だからそんな未来が来た暁には」

 

僕と結婚して欲しいんだとそう告げる青年の言葉にシズルは驚いた顔を浮かべた後にはにかみながら黙って頷く。そうして青年の決断を尊重して笑顔で送り出したのであった……

 

 

 

ーーーーー

 

シズルに決意を伝えて軍人になってから数ヶ月が経った。残念な事に僕にはエスペラントの資質はなかった、だが身についていた教養・マナーと言ったものを買われて要人警護や帝都の守備を主とするアリエスへと配属となった。当初は僕の出自からか、血統派だと思われていた部隊の皆からも誤解が解けて今ではすっかり仲良くやっている。「俺も男だ。あの方に憧れる気持ちは理解できる」「なよなよした奴かと思ったが根性あるじゃねぇか」「一緒にあの方の少しでもお役に立てるように努力しよう」そう、みんなに言ってもらえた時は涙が出るほどに嬉しかった。ようやく僕は彼女に誇れる自分に生まれ変わる事が出来る。そんな風に自信も芽生えてきたある日、僕は決して忘れぬ感動を味わう事になる。

 

「貴官たちの名を教えてはくれないか」

 

その言葉を聞いた瞬間に今までに味わった事もない、溢れんばかりの感動が総身を駆け巡る。それはおそらくこの言葉を聞いている同僚達も同じだろう。一目でわかる、この方は違う(・・)。自分のような凡俗などとは何もかもが違う奇跡のような存在だと理解できる。いずれはあの方と肩を並べるようになりたい?なんという馬鹿げた思い上がりだったのだろう、自分のような者がこの方と対等になるなど傲慢にも程がある。どこまでもこの誰もが讃えるべき至高の光を仰ぎ追い続ける、それこそが自分がこの世に生を受けた意味なのだと僕は確信を抱く。そんな傑物が自分達のような特別でもないありふれた自分達のような人間の名を知りたがっている、その事実に驚き、部隊の誰かが口にした「どうして自分達などの名を?」と。そんな問いかけにあの方は……

 

「当然だろう。祖国の為に身命を賭し、俺などのために尽力しているお前達一人一人が俺にとっては報いねばならぬ俺の愛する民だ。だからこそ、その思いと覚悟、しかと受け止めて背負うためにもお前達の名を教えて欲しいのだ」

 

どこまでも真摯な瞳でこちらを見据えながらそんなことを口にした。

 

ああ、----ああ

 

この方はどこまでも本気だ。本気で路傍の石ころに過ぎない自分達に対して必ずや報いる、その思いを無駄にしないと誓ってくれているのだ。人気取りや演技、そんな虚飾は一切ないその清廉で真摯な言葉が雷霆のように僕らを打ち貫く。こんな御伽噺のような傑物がこうして現実として存在している、そんな人物と同じ軍服を纏っている事を今すぐ誰かに自慢したくてしょうがない、そんな衝動が胸のうちより溢れ出す。あまりの感動故に名前を発する口が縺れてしまう、だがそんな僕らの様子を見てもあの方はどこまでも真摯に見つめながら……

 

「………アレク・グリューネマン一等兵、ロニ・ドラッケン一等兵、カール・グリルパルツァー一等兵。お前達の名前しかとこの身に刻み込んだ。そして約束しよう、俺は必ずやお前達の献身と思いにも応える為にも必ずやこの国と民へと光を齎して見せよう。どうか今後も至らぬこの身へとお前達の力を貸してほしい」

 

自分達部隊の人間全員の名前をそれが当然だ(・・・・・・)と言わんばかりに刻み込むように呼び、そんな宣誓を口にしてその場を跡にしたのであった。そうして僕らは興奮のままにあの方に名前を覚えていただいたという史上の栄誉を語り合う。あんな傑物に仕えられるという感動を語り合いながら、あのお方の部下として恥じぬようより一掃励むことを誓い合ったのだった……

 

 

そうして僕は今……そんな誇りも誓いも仲間も失い、地を這い蹲りながら死を迎えようとしていた。

 

帝都を突如襲った謎の二体。それらに僕らの部隊は敢然と立ち向かった。祖国とそこに住まう民を守らねばという軍人としての使命感、あの方の部下として恥じぬ自分でありたいという誇りそれらを抱いて。だが結果は無残なものに思った。

 

生物としての格が違う。精神論ではどうにも出来ない現実的な力の差、それらの前に僕らはあっさりと順当に全滅した。ただ一人、直撃を免れた僕は即死こそ免れたものの、明らかな致命傷を負い、もはや立つ事もできない。そうして逃れられぬ死を前にして僕の心を埋め尽くすのはただただ後悔であった。

 

ーーー嫌だ。死にたくない。

 

死んでしまえば何も残らないのだから。軍人として祖国へとこの身命を捧げるという誓いや誇りなど消えうせて、僕の心は覆うのはそんな死への恐怖だった

 

ーーーどうして僕はこんなところに来てしまったのだろう

 

軍人になんかならなければこんな目に合うこともなかったのに。どこか燻る思いは確かに抱えていた。でもそれでも幸せだったのだ。なのにどうしてその幸せを捨ててまで光に憧れてしまったのだろう。ふいに即死した仲間達が羨ましくなる、だって彼らはこんな情けない後悔を抱く事無く誇りを抱いたままに死ねたのだろうから。死への恐怖、こんな道を選んでしまったことへの後悔、そしてそんな風に後悔してしまっている自分自身がどうしようもなく情けなくて涙が溢れ出てくる。

 

ーーーーシズル

 

そうして最後に青年は愛する女性の姿を思い浮かべながらその生涯を終えようと……

 

 

「そこまでだ」

 

瞬間、その絶対的な光の宣誓が死に行く青年の心を焼き尽くした

 

ーーーーああ、ああ。あの方は

 

クリストファー・ヴァルゼライド大佐。自分達が、否男ならば誰もが焦がれる英雄。自分達を庇うように立つ、その背は百の言葉よりも雄弁にその意志を示していた。すなわち、自分の命に代えてでも護り抜くのだと。その姿を見た瞬間に青年の頬をまた涙が伝っていた。だが先ほどの涙と断じて同じではない。胸の高まりが収まらない、今すぐに彼の名前を叫び出したい、だがもはや言葉を発することすら出来ない青年は最後の力を振り絞ってその雄姿を目に焼け付けんとする。

 

そうして始まったのは男の紡ぐ英雄譚、力で勝るはずの怪物二体を相手に堂々とやりあう英雄の姿。練達という言葉すらが侮辱にしかならぬような、常軌を逸した鍛錬によって磨き上げた技の極み。意志力のみで(・・・・・・)怪物を打ち倒せるまでに至った姿。

 

ーーーああ、どうして自分は

 

あんな風に本気にならなかったのだ。あそこまで自分は本気で、ひょっとしたらもしもとかそんなものが一片の余地が入る事無く努力を重ねただろうか?いいや否だ、そうは思えなかったからこそ自分の心に抱いていた理想を諦めて現状に甘んじようとしていた。自分の決断を後悔して裏切ろうとした。

見ろ、そして焼き付けるのだ死の瞬間まであの輝く雄姿を。たかだか死を前にした(・・・・・・・・・・)位であの輝きを追えた喜びに何故嘘をつこうとした。思い出すのだ、あの方に名前を呼んでいただいたときの感動を。仲間と共に理想を語り合った喜びを。軍人として祖国にこの身命を捧げると誓った誇りを。あの方の部下として恥じぬように在ろうという誓いを。

 

「さあ、見せてくれよーーーあんたに宿る輝きを!」

「屑星ならばこの場で粉砕してくれる」

 

そんな言葉と共についに魔星がその本領を発揮しようとしたその瞬間、あの方は確かにこちらに一瞬目を向けて

 

「……すまん。そして誓おう、お前達の死は決して無駄にはしない。帝国の民を弄んだその報い、魂魄にまで刻んでくれる」

 

告げられたのはそんな自分達の犠牲を決して無駄にはしないというどこまでも真摯な誓い。それだけで判る、あの方は心の底から自分達の死を悼んでくれている、背負うと誓っているのだ。そして目の前の怪物たちを決して許さぬと赫怒を燃やしている。だからそう、その宣誓だけで青年は心の底から報われたとばかりに笑みを浮かべて、残っていた命の炎が消えようとするその刹那に、英雄が放った至高の光を魂の底にまで焼き付けて……

 

「ご武運を、閣下。

  僕はここで朽ち果てますが、どうか気に病まないで下さい。

  仕えた日々は短くとも、御身の部下であれた時間は人生において最上の喜びでした。

  ただの兵士である自分の名を覚えていただいた瞬間は、今でも僕の宝物です。

  こんな自分が誇り高く在れたことに、感謝の念しかありません。

  ありがとうございます、ありがとうございます。

  そう、誰よりも何よりも(・・・・・・・)僕は貴方(・・)に会えて良かった 」

 

そんな思いを残し、この世を去るのであった……

 




強欲竜「麗しの英雄の背を追えた喜びがわかっているならもう少しだったなぁ!ちょっとばかし本気さが足りていなかったのが惜しいぜ」
審判者「ああ、やはりあの方こそ全ての者が憧憬とすべき至高の光。志半ばで潰えようとも、閣下を目指し焦がれたその価値の不変さに彼が最期に気づけたようで何よりだよ」

ガニュメデス君の死を前にしたら高潔な理想とかも消えて死に対する恐怖が覆い尽くす部分に関しては進撃の巨人を参考にしています。だが総統閣下だ
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