シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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さーて今回の阿片は
グレイ、わが世の春を謳歌する
アッシュ、相変わらずの幼馴染ガチ勢っぷり
大聖人、ブラザー・ガラハッド
の三本です!


乙女にとっての勝負、男にとっての審判の日(後)

「グレイく~ん、いつもお店に来てくれてありがとう!これは、私からの気・持・ち……チュ」

 

「あ~抜け駆けなんてずるいわよ~グレイく~ん、私だってグレイ君の事がだーいすきなんだからね!」

 

「ふふふ、どうか俺のために喧嘩をしないでくれハニー達。俺は君たちを皆差別なく平等に愛しているんだから……」

 

 言い寄って来る無数の女性、それらに囲まれてグレイ・ハートヴェインはこの世の春とばかりに得意気に本人は2枚目と信じている、彼を良く知る友人たちならば財布毎むしりとられそうとでも表す、笑顔を浮かべて

 

「君たちの想い!ありがたく受け取っておくぜハニー達!そしてそこのボーイ!この店で高い方から順に酒をバンバン持ってきな!出し惜しみなんてするんじゃねぇぞ!レディ達に失礼だからな!!!」

 

「かしこまりました、ハートヴェイン副隊長。誠にありがとうございます」

 

 そうして決して失礼のないように恭しく一礼をしながらボーイは立ち去って行く。スコルピオ副隊長という地位、高給取り、それでいて居丈高なところがなく気さくで、ガンガン散財してくれる気前の良さ。グレイ・ハートヴェインは店にとってはまことに理想的な上客であった。

 

「キャ~~~グレイ君ったら素敵!でも良いの?今日はバレンタインデー、私たちの方がグレイ君にプレゼントする日なのに?」

 

「ふ、何言ってるんだい。君たちが俺のために作ってくれた愛の籠った手作りのチョコレート、これと釣り合うものなんてこの世には存在しないさ。ホワイトデー、期待していてくれよな」

 

 キランと白い歯を光らせながら宣言するグレイはどこからどう見ても良いカモであった。最もこの手の店はそういう夢を買う場、グレイは思う存分に一夜の夢を堪能して店員たちも夢を見せた分の報酬を得ているので誰も困らない、理想的な関係とも言えるのかもしれない。

 

 

・・・

 

「んで、綺麗にたくわえと今月の給料全部使い切ったと」

 

「はい……なので来月分の給料を前借りさせて貰えないかなぁ……と」

 

 正座をしながらそんな事を頼みこんでくる己が副官の言葉を聞きヴァネッサ・ヴィクトリアはふーと紫煙を吐き出して……

 

「なんというかお前もまあつくづく良いカモだよなぁ……うん、経済派手に回している理想的な高所得者なんじゃないか。立派立派。あ、言っておくがもちろんこれは皮肉だからな」

 

「い、いやーその、麗しきレディ達から思いの詰まったチョコを頂いたらついつい舞い上がってしまいして!」

 

 そりゃそういう仕事だからなと言おうとした言葉をヴァネッサはすんでのところで飲み込む。その程度の事は目の前の男とて理解した上でそういう風に振る舞っているのだろうから。それに全部が全部金をむしりとるためのものという事もないだろう、グレイ・ハートヴェインは紛れもない優良物件だ。

 若くして副隊長という地位にあるエリートで当然ながらそれなりの高給取りで、性格自体も陽気な三枚目その者と言った感じで部下たちからも慕われているし、容姿とてまあパッと見二枚目と言える程度には整っている。唯一の欠点がその散財癖だが、それでも客観的に見ればおおよそかなりの優良物件と言うべき人種だろう。

 恋だの愛だの結婚だの、まるで関心のないヴァネッサとてその程度の事は客観的に見て理解している。故に打算以外の純粋な好意をその手の商売をやっている人間が抱くという事もまあ、有り得ないことではないだろうなとヴァネッサを考える。何時までも続けられる仕事でない以上、その手の身請けをして貰う相手としてグレイ・ハートヴェインはかなりの優良物件なのだから。

 そしてその事自体にヴァネッサは特に含むものはない、仕事に支障のない範囲ならば自由にやってくれやと。どこぞの恋愛小説のように奇妙にモヤモヤとしたものを感じるだのという事はこの女傑には起り得なかった。

 

「ま、話はわかった。最低限餓死しない程度にはしてやろう」

 

「えっと……それ以上の遊びに行くための金とかは……」

 

「昨日は良い夢を存分に堪能したんだろ?なら、次の給料まではしっかりと現実を生きていけ」

 

 告げられた言葉にガクリと項垂れるグレイにヴァネッサはしょうがない奴だと苦笑して

 

「ま、私の酒の相手するっていうなら上官としてたまになら奢ってやらんこともない、お前の働き次第だがな」

 

 告げられた言葉をまさしく地獄にたらされた蜘蛛の糸のようにグレイは感じてガバリと顔を上げて

 

「あ、姐さん……」

 

「あーこんな程度で泣き出すなうっとおしい。あくまでキッチリ仕事をやっての話だからな」

 

「ういっす!このグレイ・ハートヴェイン!粉骨砕身任務に励まさせていただきます!!!」

 

「よーし、それじゃあ早速仕事だ。ついてこい副隊長」

 

「畏まりました!ヴィクトリア隊長!!!」

 

 その号令と共に先ほどまで漫才を行っていた空気を一変させ、軍人の顔となったスコルピアの隊長と副隊長は任務へと趣くのであった。

 

 

 

「ところで姐さん、俺のために用意したチョコレートとかが実はあったりとかは……」

 

「私がそんなもん用意するキャラだと思うか?当然ないぞ」

 

「ですよねー」

 

・・・

 

 

「…………」

 

 彼女にとって大切で誰よりも愛しい青年、アシュレイ・ホライゾンに言い寄りながらチョコレートを渡そうとする無数の着飾った女達。そんな光景を見てナギサ・奏・アマツはぷくーと可愛らしく頬を膨らませていた。

 

「ほらほら、妬かないの。しょうがないじゃない、アッシュ君の立場を考えたらあんまり無下にも出来ないんだから」

 

「そりゃ、わかっているけどさ……それでもやっぱり嫌なものは嫌だよ……」

 

 アッシュは私たちなのにとポツリとそう呟くナギサの様子にミステルはしょうがない子だとばかりに苦笑を浮かべる。ミステルとて正直目の前の光景が嫌か嫌でないかと言ったらもちろん嫌なのだが、そこはやはり昔からの立ち位置故かついつい年上のお姉さんとしてこういう風な時は宥める側へと回るのが彼女の性分であった。

 

「ええ、全く持ってアッシュ様に言い寄る雌猫共の多さにはうんざりさせられます」

 

 ギリリと歯ぎしりをしながら今にも呪い殺さん勢いでアヤ・キリガクレが主の言葉を引き継ぐように言う。

 

「百歩譲ってアッシュ様の素の人柄に惚れ込んだような方でしたら許容も致しましょう。アッシュ様はとても魅力的な方、それに惹かれるのは女としては当然の事。ええ、心より理解できますとも」

 

 もちろん譲る気など毛頭ありませんがと言いながらアヤは一旦目を閉じて

 

「ですが、あの方々はアッシュ様ご自身をに惹かれている訳ではなく、アッシュ様の地位や肩書へと恋をなさっているご様子。そんな方々にこの乙女にとっての大切な勝負の日を邪魔されてどうして心穏やかでいられましょうか!」

 

 本来であれば過ごす予定だった愛しい人との甘い一時、それを欲に塗れた打算によって邪魔された事にアヤは怒り心頭である。そしてそれは彼女の主にしても、そして今は止むを得なく宥め役に回っているミステルとて同様である。

 急遽強引にねじ込んできた十氏族の一門からの招待、彼の職務の関係上無下にもするわけには行かずそうして来てみれば三人はアッシュから遠ざけられ、アッシュの傍には曰く「ずっと前から好きだった」などと抜かす打算に塗れたハニートラップ共がああして群がっている始末。アヤにしてもナギサにしてもミステルにしても決して狭量という言葉からは程遠い女性であったが、このような状況で愉快になれるはずもない。

 これが彼の人柄に惚れ込んだ純粋な好意の発露によるものであればアヤが言ったように、複雑ながらも納得できただろう。アシュレイ・ホライゾンという青年の優しさに惹かれて恋をしたのは彼女たちとて同じ。ただ出会ったのが彼女たちより遅かった、というそれだけの違いなのだから。

 しかし、今回彼に言い寄っている者たちはそうではない、彼女らはアッシュの持つ優しさに惹かれたわけでなく、彼の持つ特別外交官という地位、商国出身の英雄という名声といったステータスへと群がっているのだ。

 故に彼女らはそれはもう絶対零度の視線をアッシュへと言い寄っている女性たちへと送っている訳だが、相手もその程度は想定の範囲内、前妻たちから快く思われなかろうが肝心要のアッシュからの寵愛さえ得てしまえばこっちのものだとばかりにアプローチをかけ続ける。それが、どれだけの難行なのか全く考えずに。

 

「アシュレイ様……そのアシュレイ様のために私不慣れですが精一杯チョコレートを作ってみたんです……どうか受け取っては頂けませんか……私のこの想い受け止めてくださいまし……」

 

 ほんのりと頬を赤らめながらその令嬢はおずおずとチョコを差し出す。大抵の男ならばまずいちころなそれに対してアッシュは

 

「申し訳ありませんけど、その好意を受け取る事は出来ません。自分にはもう心に決めた方々がいるんです」

 

 丁重に、だがきっぱりと断った。そこに迷いは一切ない。幼き頃より仕込まれた男を籠絡するための手練手管もこの男には悲しい程に届いてなかった。

 

「わ、私は貴方様の愛を頂けるならば四番目でも愛人でも、なんならそれこそたった一夜のお情けでも!」

 

「俺が気にします。そんな事をしてしまえば俺が何よりも愛しく思っている彼女はきっと焼きもちをやくでしょうから」

 

 取りつくしまもないとはこの事であろう。穏やかながらもそこには有無を言わせぬ迫力があった。自らのプライドを賭けてその令嬢はなおも言い募ろうとするが……

 

「もう止めなさい、イザベラ。お前は残念ながら振られたのだ。潔く諦めなさい」

 

 しれっとそう告げる父親に彼女は「そもそもお父様がこの男を籠絡するようにと私に言ったのではないですか」と言おうとしてすんでのところで飲み込む。

 

「いやはや申し訳ございません、ホライゾン殿。貴方と奥様方がそれほどまでに仲睦まじく、これ以上妻を娶る気はないという事を生憎知らなかったのですよ。娘の幸福を願う一人の親として、ぜひとも娘の想いを叶えてやりたいと思い、今回はこうしてお招きさせて頂いたのですが、どうやらとんだお邪魔をしてしまった様子。大変申し訳なく思っております」

 

 娘にアシュレイ・ホライゾンの籠絡をするよう指示した張本人でありながら、そんな事を一切感じさせない様子で館の主は心よりの誠意が込められているように錯覚する態度で頭を下げる。アシュレイ・ホライゾンはハニートラップの通じる相手ではなかった、ならばこれ以上当初の目的に拘泥しても相手の不興を買うだけ。此処は娘の若さゆえの暴走としておくのが今後を考えれば一番だと判断したのであろう。この切り替えの早さはさすがは海千山千の権力者と言うべきだろうか、経験を積む前のアッシュであるならばコロリと騙されていたかもしれない。

 

「いえ、こちらこそ娘さんのご好意に応えられないことは申し訳なく思っています。ですが、わかってください。自分は彼女たちにすでにとことんぞっこんなんです。その事をお知り合いの方々にも伝えて頂ければと思います」

 

 自分は彼女たち以外に妻も持つ気もないし愛人も一夜限りの関係も持つ気はないからな。ハニートラップは通じないって他の十氏族にも伝えとけよ。

 

「ホライゾン殿は実に愛妻家ですなぁ。承知いたしました。道ならぬ相手に焦がれしまい、悲しい思いをすることになるのは私の娘だけで充分というものでしょう。ホライゾン殿のその愛妻家ぶりについては話の種とさせていただきましょう。……もっとも、それでもある日燃え盛ってしまうのが恋というもの、ホライゾン殿程の方ならばそうとわかりつつも我が娘のように焦がれてしまう者も出るやもしれませんが」

 

 俺らも馬鹿じゃねーから効果ないっていうんならもうやらねぇよ。ただその辺考えずに相変わらずハニトラしかける連中はいるかもしれないけど、その辺まで俺は責任取れないから恨まないでくれよな。

 

 そんな心を泥水で現れるような交流を終えてようやくアシュレイ・ホライゾンは愛しい少女たちの下へと戻るのであった………

 

 

「せっかくのバレンタインデーなのに御免な。でもこれでもう今回のような事は早々なくなると思うから」

 

 そう先ほどまでの努力して作った笑顔ではなく心よりの笑顔を浮かべながらアッシュは3人へと告げる。

 

「ああ、アッシュ様そこまで私たちの事を思って下さるなんてアヤは……アヤは……!」

 

「えへへへ、私はアッシュを信じてたよ」

 

 先ほどまでの不機嫌な様子はどこへやらまるで飼い主の帰還に大喜びするような忠犬のように二人の主従は満面の笑みを浮かべる。

 

「全く、二人とも調子が良いんだから……」

 

 そう苦笑を浮かべるミステル自身も嬉しさがにじみ出ていた。

 

 

 

「アッシュ様、邪魔が入ってしまいましたがどうか私の想いを受け取ってくださいませ。貴方に対する心よりの愛を込めました。貴方と巡り会えた事、それこそがこの私にとっては何にも勝る幸福でした」

 

 そんな風にはにかみながらアヤ・キリガクレが先陣を切り

 

「アッシュ君、普段はちょっと照れくさくて言えないんだけど改めて言わせてもらうわね。私も貴方の事が大好きよ、愛しているわ。それこそ、貴方に出会えた事、それだけでああ、大和様は居るんだってそう思える位にね」

 

 ミステル・バレンタインが照れくさそうにだけど心よりの笑みを浮かべながら手作りのチョコレートを渡すと最後に残ったナギサ・奏・アマツはおずおずとした様子で

 

「あ、あのねアッシュ……二人に比べると私女子力低いっていうか、お菓子作りに慣れていなくて全然美味しくないかもしれないんだけど……」

 

 徐々に消え入りそうなか細い声で震えながらもチョコを差し出して意を決したように

 

「で、でも心を込めてがんばって作ったから!受け取ってください!私は、ナギサ・奏・アマツは貴方の事を愛しています!」

 

 そう告げられながら渡された3人の乙女の決意が籠った品を前に色男はそっと微笑を浮かべて

 

「ありがとう、三人とも。本当に嬉しいよ。これからも君たちを不安にさせてしまう事があるかもしれない、でも俺にとっては皆の場所こそが帰る場所だから。それだけは絶対に何があっても変わらないと、そう断言できる。だから、これからもよろしく」

 

 そう告げてくる愛しい男の姿にひそひそと3人は話し出し

 

「ううーーなんというか改めて告白するのって恥ずかしいもんね。二人は良くもまあ何時もああ、堂々と言えるもんだと感心するわ」

 

「ふふふ、それはもう我々は愛に生きる一族ですから」

 

 照れるミステルにとってアヤは誇らしげな様子を見せて

 

「ア、アヤはともかく私はそんな何時もなんて言えないよ……こ、こういう時だから勇気を振り絞って言っただけで……」

 

 顔から火が出そうな勢いで顔を真っ赤にしてそんな寝ぼけたことを言う少女に二人は一体何を言っているのかと怪訝な表情を浮かべて

 

「ナギサ様?それは所謂ツッコミ待ちという奴でしょうか?」

 

「公衆の面前でド派手な告白した子が何か言っているわねー。「私が誰より好きなのは、今ここに居る貴方だから」だったっけ?」

 

「あ、あれは!気持ちが昂っちゃって思わず言っちゃっただけで……」

 

 ごにょごにょと言いよどむナギサへと二人は冷たい目を向け、思い出せる限りのナギサ・奏・アマツの告白集の朗読を続けて行くのであった。

 

 

「そうだアッシュ、ヘリオスを呼んでくれないかな。ちょっと用があるんだ」

 

「?ああ、わかった」

 

 そうしてアッシュは気を利かせて自分との感覚共有を絶っている己が比翼へと呼びかける。そうするとその場に炎が徐々に人の形を取っていき

 

「何の用だペルセフォネ。俺にとっては縁遠いがお前たちにとっては重要な日なのだろう?俺などの相手をせず存分に我が誇るべき比翼とその想いを交し合うと良い」

 

 自分などが出る幕ではないだろうと告げる救世主へと三人は示し合わせたようにある物を差し出して来て

 

「?どういう事だこれは?」

 

 それがどういうものかは知っている、だがそれを自分へと差しだす意図がわからないと訝しがるヘリオスにアヤは微笑を、ミステルは苦笑を、レインはしかめっ面を浮かべながら

 

「いわゆる義理チョコという奴ですヘリオス様。何よりも愛しい大切な旦那様、その親友に対する妻としての」

 

「まあ色々とあったけど、なんだかんだであなたがアッシュ君にとっては大事な友人ってのはわかるしね」

 

「言っておくが義理だからな義理!!!私たちの本命はあくまでアッシュだぞ!お前に対するコレはあくまで一応お前がアッシュにとっては友達だからっていうので用意したものだから勘違いするんじゃないぞ!!!」

 

 そんな風に告げられた言葉にヘリオスはこの男にしては珍しく一瞬きょとんとした様子を浮かべて

 

「ああ、お前たちが心より愛しているのは我が比翼であり、これはあくまで友誼の証という事だろう。そんな事は言われずとも理解している、我が比翼が心より愛しているのはお前達であると同時に、お前たちの愛が向けられているのは我が比翼ただ一人だ。そんな事を見ていればわかる、誤解を差し挟む余地などどこにある?」

 

 そんな当たり前な事、わざわざ告げるような事ではないだろうと一切の誤解余地なく正しく理解した言葉を告げて

 

「何にせよ、心遣いありがたく受け取らせてもらおう。この礼は然るべきときにさせてもらう」

 

 どこか照れくさそうに見えたのはアッシュの錯覚だっただろうか、そんな言葉を告げて用は済んだとばかりに戻っていくヘリオスをアッシュは優しく微笑みながら見届けるのであった。

 

 

・・・

 

「ガッハッハ、皆良い子にしておったか!」

 

 そう告げながら入ってきた大好きなブラザーおじさんの姿を目にした瞬間に子どもたちは輝く笑顔を浮かべ

 

「あーブラザーだ!!!」

 

「本当だブラザーだ!!」

 

「また来てくれたの!ねぇねぇ今日はどんなお土産持って来てくれたの?」

 

「もう何言っているのよ、今日は私たちがブラザーに日頃のお礼をする時でしょう!」

 

 嗜めるように告げたこの場において一番年長の少女アンネの言葉にブラザーは目を丸くする

 

「むぅ、吾輩にお礼とな?」

 

「うん!はい、ブラザー!みんなでブラザーのために作ったチョコレートだよ!」

 

「おお!?まさかこのようなものを貰えるとは思っていなかったために吾輩、大喜びである!だが良いのかのう、それはおぬしたちが好きだと思う男へと渡すべきものだぞ?」

 

「うん!だからブラザーに渡すの!だって私たちみんな、ブラザーの事が大好きだもん!!!」

 

 その言葉と共にその場にいた子供たちは次々とブラザー・ガラハッドへと拙いながらも一生懸命作ったチョコを手渡していく。

 

「おお……おお、吾輩感激である!愛の手を差しのべるなどなんとも傲慢であった!淋しき男やもめの吾輩に合いの手を差し伸べてくれたのはこの子達の方であったわ!!!」

 

「ブラザー……どうして泣いているの……チョコレートもしかして嫌いだったの……?」

 

 突然泣き出したブラザーの様子に子どもたちは落ち込んだようなそぶりを見せたため、ブラザーはすぐに涙をぬぐい

 

「否、いまのは悲しくて泣いたのではない。あまりの嬉しさに流した歓喜の涙である!皆ありがとう、吾輩感激である!!!」

 

 そうしてブラザーは太陽のような笑顔を浮かべて

 

「だがこれだけのチョコレート!吾輩だけで食べるのはあまりに勿体無い!皆で仲良く食べよう!!!」

 

 そうしてブラザー・ガラハッドは大切な愛し子らと共に笑顔に彩られたバレンタインデーの時間を過ごすのであった……




正直グランド後のアッシュを三ヒロイン以外が籠絡するってヴァルゼライド総統を籠絡するのに負けず劣らずの難易度なんじゃないかという気がしています。
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