ーーー勝利とは何か?
その答えはきっと今は生きる皆それぞれ違うものなのだろう。だからこそ俺は、これからもその答えを探し求めてこの世界を生きていくのだ。この誇らしく素晴らしい我が半身と共に……
~ヘリオス君の救世☆日記~
○月☓日
我が片翼の勧めで日記を始めて見ることとした。日々の記録を書き留める事で新たな発見があるかもしれないと勧められての事である。どうにも俺の考えは常人とはズレているようなのでこうして、自分の思惟を残し、他者に読んでもらうことでより改善に務める事が出来るだろう。そういうわけで早速だが日々の記録を綴っていく。
~~以下アッシュの外交官としての活動の記録がしばらく綴られていく~~~
○月△日
今日の片翼は随分と素直に胸の内をペルセフォネ達に語っていたが、どうやらそれは第二太陽の影響であったらしい。俺としてはただ普段は内に秘めていた想いを語っていただけと捉えていたために気づいていなかったが、なるほど言われてみれば今日の片翼は随分と情熱的であったかもしれない。だが、我が片翼の内に秘めた情熱はあんなものではない、俺は奴がどんな苦境に合ってもペルセフォネへの愛を見失わなかったやつの強さを知っている。そう、我が片翼はどんな時もそうだった、迷いながらくやみながらそれでも誰かのために勇気を出して、大切な事は決して間違えなかった素晴らしき男なのだ。
だからこそ、目の前のペルセフォネ達の誤解を座して見ることはできなかった。第二太陽如きにあの素晴らしき男の思いが歪まされる?なんだそれは全くもってありえない、その程度で揺らぐようなものでは断じてない!と気がつけば俺は我が片翼の名誉を擁護していた。幸いな事に片翼自身には喜んで貰えたのが、何故かペルセフォネは顔を真赤にして「やっぱりお前なんか大嫌いだ!」等と俺に対して叫んでいた。……また俺は何か誤ったのだろうか?検証が必要であろう
追記
後日ペルセフォネに理由を問い詰めた所「あんな大勢の前で愛だとかなんだとか言われると普通は恥ずかしいものなんだよ!」との事である。……一体やつは何を言っているのだろうか?想いをしかと口にして伝える事は間違いなく正しいことだし、実際貴様自身も戦場だろうと公衆の面前だろうと所構わず我が片翼に対する愛を叫んでいたではないか?そうしたところは尊敬に値するとさえ思っていたのだぞ、とそう伝えるとまたもや顔を真赤にして「ア、アレは……思わずこう気持ちが昂ぶっちゃってつい勢いで言っちゃっただけというか……」等と言うので「つまり本心ではなかったという事か?」と問い詰めると「そんな訳あるかぁ!私のアッシュに対する思いは紛れもない本物だ!!!」と怒りだしたので、「ならば問題ないではないか」と伝えた。
すると何やらフルフルと震えだして「だから、そういう事をあっさり言う所が嫌いなんだよぉーーーーー!!!」と叫んで脱兎のごとく立ち去ってしまった。……むう、女心というのは複雑怪奇なものだ。後で片翼に改めて聞くとしよう
○月△日
ついに片翼が愛する女性たちとの関係を定めた。三人全員と共に婚姻関係を結び、四人でこれからも共に過ごしていく、それが我が片翼の選んだ道であったのだ。一人に定めないのは不誠実ではないかという迷いは未だ片翼の中にある、しかしそれでも我が片翼は決断したのだ。ならば俺はそれを寿ぐとしよう。
そしてそんな迷っている片翼の背を押したのは師の言葉だった。「責任」等というものに囚われず、自分がどうしたいかで行動しろ」か……俺では言えぬ言葉だろう。流石は師だ。これからも片翼と共に多くの事を俺もまた学ばせて貰いたいものだ。
☓月○日
やはり片翼は誠実な男だ。ゼファー・コールレインとグレイ・ハートヴェインの企みによって色街へと繰り出す事となったが、最後まで奴は肉欲にその身を委ねる事無くペルセフォネ達に対する愛を貫いていた。十人十色とは言うが、冥王ももう少し我が片翼を見習うべきであろう。ハートヴェインの方も、ヴィクトリア中将に叱責を受けてもうしないと誓っていたために信用して良いだろう。アレも普段は好漢と言って良い男なのだが……
☓月△日
奇妙な夢を見た。俺が夢を見たという事それ自体がおかしいのだが、とにかくそういう他ない。その世界では何故かどの人物も見る陰もなく性格が変わっていたのだ。だがそんな中でも我が片翼とペルセフォネ、二人の持つ愛は揺らいでいなかった。全くもって流石だ
2月14日
本来であればこの日は俺は片翼との感覚共有をほとんど断ち切っているつもりであった。何故ならば今日はバレンタインデー、恋人たちにとっては記念すべき日である。故、無粋な真似はしまいと思っていたのだが、生憎とそうもいかなくなった。商国の十氏族の一人が自らの手のものを片翼の懐に潜り込ませんとしてきたのだ。無論、我が片翼のペルセフォネたちへの愛が揺らぐはずもなし、作戦は失敗で終わったが、記念日をそのような無粋な乱入者に邪魔されたペルセフォネ達には同情を禁じ得ない。早急に片翼との感覚を断ち切ったわけだが、何やら他ならぬペルセフォネ達に呼び出されて疑問に思っていたわけだが、片翼宛ではなく俺宛へのチョコレートが送られてきた。
……どうやら彼女たちは俺を片翼の友と、そう認めてくれていたらしい。初めて食す事になった甘味の味というのは悪くない……いや、この言い方は用意してくれた彼女たちに失礼だろう。大変に美味なものであった。
・・・
△月○日
今日は大変にめでたい日だ。ペルセフォネがわが片翼との子を身籠っている事が判明したのだ。はにかみながら告げるペルセフォネに、片翼は一瞬忘我へと陥っていたようだが、意味を理解した次の瞬間にはかつてない喜びようを見せていた。誠にめでたいことだ。
△月☓日
生まれてくる我が子の名前をどうするかで片翼は頭を悩ませている。当然だろう、名とはすなわち生まれてくる子に対する親の願いであり祈り。それをどうするかという決断、軽いはずもない。だが我が片翼ならば必ずやその重さを背負ってみせる事であろう。
○月☓日
悩みに悩んだのだろう。我が片翼は俺に意見を求めてきた。だが片翼よ、それは駄目だ。ペルセフォネは我が子につける名をお前にこそ託したのだ。俺ではない。故に、それはお前が選ばなければならない。そう俺が告げると片翼は穏やかに微笑んで「そうだなヘリオス。お前の言うとおりだ、ナギサはもっと大変なんだ。俺がその責任から逃れるわけにはいかないよな」とそう告げていた。……流石は我が片翼だ。迷うことはあれどそれでも決して逃げ出す事はせずペルセフォネのために正しい答えを選び取った。お前ならばきっと素晴らしき名を用意する事だろう。
☓月○日
ついに我が片翼の子が生まれた。幸いなことに母子共に健康そのものの様子で皆胸を撫で下ろしていた。こうして人は想いを、未来を繋いでゆくのだろう。俺には決して出来ぬ事だ。そう思っていたのだが、そんな俺の考えを見透かしたかのように片翼は笑いながら告げてきた。「想いを託すことや伝える事が出来るのは何も実の親子だけじゃないぞ」と。……まったくもってこの男には叶わんな。俺は俺なりに俺の想いをこの子へと伝えていくとしよう……
~おまけ(とあるコピペを参照した話し)~
「ヘリオス!助けてヘリオス!!!ママが!ママが死んじゃう!!!」
深夜、そんな我が片翼とペルセフォネの愛の結晶たる愛子からの呼声に答えて俺は沈めていた意識を浮上させて姿を現す。
(何者かがペルセフォネの命を狙ったというのか!?だがならば何故我が片翼が俺を呼ばなかった!)
才能こそなかったもののそれでもクロウ・ムラサメの長年の指導を受けたアシュレイ・ホライゾンは達人と呼んで良い力量を有している。さらに言えばそれは妻であるナギサ・ホライゾンとて同じ事、ブランクが有るとは言えエスペラントである両名はそこらの凶賊如きに遅れは取らない。加えて言えば国賓たるアッシュが住まうこの屋敷にはそれ相応の警備が敷かれている。それを突破して、命を脅かす程の大敵。そんな存在がいたのかと戦慄と共にヘリオスはその姿を現す、愛子のその助けの声に応えるために。
そうして姿を現したヘリオスはその驚愕の光景によって、なんと一瞬忘我へと陥る。そこに広がっていた光景、それはーーーーー
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
裸で抱き合いながらこっちを見て固まっているアッシュとレインの姿であった。忘我へと陥ったヘリオスの姿を見て二人の子であるミコト・ホライゾンは救世主を目にしたように輝く笑顔を浮かべて
「ああ、ヘリオス!良かった助けに来てくれた!あのねヘリオス、パパがパパがおかしくなっちゃったの!裸でママに何回も乗って押しつぶそうとしてママがすごく苦しそうな顔で叫んでいたの!お願い、パパを元に戻してママを助けて!!!」
「………なるほど」
状況を悟ったヘリオスはどう対処したものかと思案する。二人もそれは同様なのであろう、固まってしまったまま我が子になんと言ったものかと思案しているようだ。
「ミコトよ、まずはお前の誤解をとこう。お前の父はおかしくなどなっていない」
「ええ、だってパパはいつもママにも私にもすっごく優しいんだよ!そんなパパがママをイジメるはずがないもん!」
「お前のその認識は正しい。我が片翼は素晴らしい男であり娘であるお前と妻であるペルセフォネへと抱くその愛は疑いようのないものだ。お前達が傷つく姿を見ること、それは我が片翼にとってみれば自らの身体を切り刻まれるよりも遥かに苦しいものだろう」
「ほら、だからそんなパパがママをイジメるはずがないよ!」
「本当にお前の母は苦しそうにしていただけだったか?」
「え?」
「確かに叫んでいたのだろうが、どこか嬉しそうだったりはしなかったか?」
「アレ……言われてみれば「アッシュ、私もう我慢出来ないよ!お願いアッシュ!」とかむしろママの方からパパにお願いしていたような……あれれ?」
「幼いお前にはわからんだろうが、アレは大人になったらするようになる……そうだなお前の弟か妹を作るための儀式のようなものだ」
弟か妹が出来る、それを聞いた瞬間にミコト・ホライゾンはパァと輝く喜びの表情を浮かべる
「弟か妹が出来るの!?」
「ああ、だがそのためにはお前が邪魔をせず両親を二人きりの状態にさせておく必要がある。この儀式はお前が居ると出来んのだ」
「そ、そうなんだ!パパ、ママ、邪魔してごめんなさい!私良い子にしているから頑張ってね!!」
「……邪魔をしたな。念のためミコトとは俺が一緒に居よう」
「ヘリオス、今日は一緒に寝てくれるの!?」
「ああ、お前が良ければだが」
「えへへ、もちろん良いよ」
そうして二人はその場から立ち去っていく「えへへ、私お姉ちゃんになるんだ~」という愛娘の言葉を聞いて何時までたっても熱々の夫婦は明日の朝、娘になんと説明したものかと頭を抱えるのであった……
ちなみに僕は大人ですがアッシュとナギサちゃんが毎日のようにしている儀式をしたことはありません