シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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げっちゅ屋のトリニティコラムより

Qミリィルートやチトセルートだったらトリニティのキャラはどうなっていますか?
A一つだけ間違いないのはチトセルートやミリィルートの場合アッシュは間違いなく死んでいます。
理由はトリニティ本編をやれば色々察しがつくでしょう。
しかしあいつ、本気でラック値低いなぁ……あ、俺のせいか。
こいつぁまいった、HAHAHA!



ああ、嫌だ。認めない。そのような終わりなど許せない
アッシュとナギサちゃんはミリィルートでもチトセルートでも幸せになっているんだよぉオラァン!
そんな想いを込めて描いた短編になります。




フォーリンラブシリーズ
蘇るあの日の思い出。フォーリンラブ、プライスレス(前)


ーーー向いていなかった。

 

自分が何故こうなったかというのを一言で表すならば結局はそうなるのだろう。

一体どこで自分は間違えたのだろうか?

大切な人達を帝国の英雄閣下によって粛清されたからという理由で反帝国として悪名高い強欲竜団を選んでしまったからか?それも確かに理由の一つだろう。結局自分は最後の最後までこの傭兵団に馴染むことが出来なかった。

勝つためになら、帝国の邪魔をするためならば関係のない人や軍人だけでなく民間人まで巻き添えにする。そんな外道に賛同することは出来ず、事ある毎に反発して、その度に周囲から孤立していき、挙句の果てに、こうしてそんな自分の同類であった戦友達と共に捨て駒にされた。

 

でもそれだけならばこうはならなかったはずだ。話に聞く英雄閣下は軍上層部に捨て駒として(そうやって)扱われても、比類なき武功を打ち立て英雄となったのだから。

だが、自分はそうなれなかった。どれだけ血反吐を吐いて努力しても結局の所はそこそこ(・・・・)止まり。大切な女の子を護り抜く英雄にも、英雄を食らおうとする怪物にもなれなかった半端者、それがアシュレイ・ホライゾンという男の真実。徹底的に打ちのめされ、死の間際になってようやく自分は最初から選択を誤ってしまったことに気づく。

そもそもあの優しき少女が復讐など望むはずがなかったのに。もう、守りたかったあの少女はいないのに。そんな本当に向き合わなければならなかった事実から逃げ出した結果がこの様だ。

 

そう自嘲しつつ、最期に思い返す。あの優しかった日々を。こうして地獄を駆けずり回りながらも決して消えなかった愛しい少女の微笑を。最期に一目会いたかったとそんな叶う筈のない奇跡を最期に願いながら、人の気配を感じてもはや満身創痍で動けぬ中顔だけをそっと上げてそれを確認しようとした。

 

そうして最期の最期で彼は大和(かみ)へと感謝を捧げた。自分がまさに願っていた()を最期に見せてくれたのだから。それは、記憶にあった愛しき少女が成長した姿だった。漆黒だった髪が烏羽色へと変わっていてしまったがずっと少女の事を思い続けていた自分は一目で理解できた。

 

ーーー彼女は成長したナギサの姿なのだと。

 

だから最期に残った心残りを、結局約束を果たせなかったことを幻の彼女に詫びて、アシュレイ・ホライゾンは意識を手放した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーやっぱり何度見ても良いものじゃない。

 

団長である姉に命じられて強欲竜団と帝国軍の交戦地へと赴いたレイン・ミラーはそんな感想を抱いていた。何か収穫があればと想い来てみたが、あったのは特に目新しいものもない何時もの光景。いや、ある意味では目新しいといえば目新しいのだろうか。暁の海洋ならば当たり前の光景だが強欲竜団の場合と考えるならば珍しい。

巻き込まれたり人質にされた民間人、そういった非戦闘員の犠牲(・・・・・・)がこの戦場跡では見当たらない。帝国を倒すためならばあらゆる悪逆非道をやってのけた、そうした様子が見当たらないのだ。

 

みんながみんな外道ってわけでもないのかな

 

そんな感想を抱きながら陰鬱な気持ちは変わらないが、それでも普段の強欲竜団の時に比べればはるかにマシな気分でレインは戦場跡の探索を行なっていく。そうして見回っていく中で一人のボロボロの青年の姿が目に映った瞬間レインの頭は完全に真っ白になった。

 

ーーー嘘、まさかそんなはずが

 

だって彼は傭兵なんて似合わない優しい男の子だったから。

そんな風に思うのに、ボロボロのその青年の姿はどこか想い出の中の少年を連想させて

心臓が馬鹿みたいに高鳴るのを感じてその青年へと近づいていく、するとその青年がこちらに気づいたのか顔を上げた。

そうしてこちらの姿を確認して、心の底から救われた(・・・・・・・・・)と言わんばかりに浮かべた微笑がまさしく想い出の中の少年の優しい笑みそのままだったから

まさか、まさか本当にと思いながらも視線はもはや釘付けにされて、遺言のようにその青年がこちらに告げた言葉がナギサの心を打ち貫いた

 

ーーーごめん、ナギサと

 

ナギサと、そう確かに自分の事を青年を呼んだのだ。今ではもはや姉以外には知らないはずの本当の自分の名前を。

だからそう、目の前で安らかな顔をして目を閉じた青年は紛れもない自分の知る少年でーーー

そう理解した瞬間にレインは弾かれるようにして動き出した、すぐさま手持ちの道具で応急手当を行ない、青年を抱えて全力で走り出す。

 

死なせない絶対にーーー今度は私が貴方の全てを護り抜く

 

そう心に誓って。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

生きている?

 

アシュレイ・ホライゾンは目を覚ますとまず最初に自分が本当に生きているのかを疑った。

だって助かるはずがなかったのだ、自分達が最期に交戦した血染処女を率いるギルベルト・ハーヴェスの手腕は卓越したものだった。まさに詰め将棋の如く順当に追い詰められていき、捨て駒にされた自分たちは奮戦むなしくあっさりと壊滅させられた。

これが正規の国家に所属するような軍人ならばともかく、自分たちは後ろ盾もない上に帝国に置いて忌み嫌われる悪名高き強欲竜団である。かける慈悲など一片も有るはずもなく、捕虜にする意味もない。だからこそ、自分たちは所詮捨て駒に過ぎない足止め役だと理解した審判者は軒並み自分達を倒し終えると、わざわざトドメを刺す手間すら惜しいとばかりに撤退をしたのだ。

故に味方からも敵からも手当てを受ける当てのない満身創痍の自分が助かるはずはなくーーー

 

もしかしてここがあの世って奴なのだろうか

 

そう思って身体を起こしてみると身体中に鈍い痛みが走る。

痛い、どうやら自分は死んだわけではなさそうだ。

 

そうして落ち着いてみるとすぅすぅという穏やかな寝息が聞こえ、自分の寝ている傍に座りながら眠っている少女の姿が目に映った。もしかして彼女がーーー自分を助けてくれたのだろうかと想ったところでアッシュの思考が止まる。

まさかそんなはずは、アレは死の間際の自分が見た都合の良い幻だったはずだと想ったところでドアを開ける音が鳴り響いた

 

「こーらレインちゃん、愛しの彼が心配なのはわかるけど食事もとらなくちゃ今度は貴方が倒れちゃうわよ。ほらご飯出来たからって……あら」

 

入ってきたのはパッと見まだ10代の中ごろにしか見えないがどこか妖艶な雰囲気を漂わせた少女だった

 

「どうやら目が覚めたみたいね。私の可愛い妹の健気な努力が無にならなくて良かった良かった」

 

そんな風にころころと笑う女性を見て俺は疑問を解消しようと問いかける

 

「あの、貴方が俺を助けてくれたんですか?ええっと」

 

「アリス、アリス・L・ミラーよ。敬意を込めたいのならアリスさん、親しみを込めたいのならアリスちゃんと呼んでくれていいわ。その問いかけに対する答えはイエスでもあるけどノーでもあるわ。一応可愛い妹の頼みだから手配をしたりはしたけど、瀕死の貴方を血相を変えて連れてきたのはそこで眠っている私の妹だし、高熱を出した貴方のために寝ずに看病していたのもその子だもの。だからメインはあくまでその子で、私はちょこっとお手伝いしただけよ。アッシュ君」

 

「どうして俺の名前を……」

 

「知っているのかって?そりゃ前にこの子が境遇を話した時に言ってたし、連れてきたときもうるさかったからねーアッシュが死んじゃうアッシュが死んじゃうって」

 

「それじゃあやっぱり!?」

 

この子は俺の知って居るあの子なのかとアリスさんに問いかけようとすると

 

「うーん、その辺はその子が目を覚ました時にでも改めてしっかりと話し合いなさいな。積もる話もあるでしょうし。それじゃあ私はこの辺で退散するとするわ。もしも私の可愛い妹を悲しませるような事をしたらその傷口に全力で塩を塗りこんであげるからそのつもりでね」

 

「あ、ちょっと!?」

 

まだ聞きたいことがあるんですけどと言うも、アリスさんは知らん振りをしてそのまま部屋を出て行ってしまった。

 

そんなことをしているうちにどうやら眠っていた少女が目を覚ましたらしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

久しぶりに良い夢を見た。あの日以来思い返すのは彼が最期に勇気を振り絞って私を守ってくれたところ何も出来ずに守られるだけのただの無力なお姫様だったあの頃だったのに、今回はその日ではないもっと前の、まだ何も知らずにみんなと一緒に幸せにしていた頃の夢。

そんな幸せな気分で目を覚ました私は、こちらをまじまじと見つめる目の前の青年と顔を合わせる、そうして私はようやく取り戻すことの出来た愛する人に対して語りかけるのだった

 

「アッシュ……なんだよね……」

 

心臓が馬鹿みたいに高鳴る。生きていてくれた事がこうしてまた会えたことが今にも泣き出してしまいそうなくらいに嬉しい

 

「そういう君は、ナギサ……なんだよな…?」

 

「うん、そうだよ。私の名前はナギサ・奏・アマツ。貴方の事が大好きなあの日守られた女の子よ」

 

ナギサと、そう自分を呼んでくれた青年に対して感激の言葉で返す。ああ、やはり。やはりそうだったのだ。目の前の青年はあの日私を守ってくれた大好きな少年。喜びのあまりに涙が零れ出す、もう泣き虫だったあのころからは卒業したはずだというのに。

 

「生きていて、くれたんだな……ありがとうナギサありがとう、生きていてくれて本当に……」

 

私が生きていたというそれだけでまるで救われたような顔を彼がするものだから

 

「もう、何言っているのよ……お礼を言うのは命を救われた私の方じゃない。アッシュのほうこそ生きていてくれて本当に良かった……私を庇って死んじゃったと想っていたから……もう二度と会えないと想っていたから……」

 

それはこちらの台詞だとばかりに、貴方が生きていてくれて本当に良かったと私はずっと伝えたかった想いを伝えるのだった。

 

 

そうしてお互いに想いを吐き出した後、私は今の立場を伝えていく。

全てを失った後に姉さんに拾われたこと、そしてせめてもの恩返しとして傭兵になった事を。

あらかた語り終えた私はアッシュへと問いかける

 

「ねぇアッシュ聞いても良いかな……どうしてアッシュは強欲竜団に何か入ったの?」

 

極悪非道、帝国を討つためならば手段を選ばない悪名高き傭兵団。

どう考えても目の前の彼に合っているだなんて思えなかったから、そんな質問が零れ出た。

するとアッシュは顔を悲しく歪ませて、しばらくすると何かを吐きだすようにポツリポツリと話し始めてくれた

 

「ーーー強くなりたかったんだ、今度こそ君を、ナギサを胸を張って守り抜けるように」

 

伝えられたのはそんな言葉。彼は命がけで私を助けてくれたというのにまるで自分は何もする事が出来なかったのだと、ずっとあの日の事を後悔し続けていたのだとわかる台詞

 

「強欲竜団を選んだのは、皆を殺した帝国への反感からさ。でもナギサが想っているように俺には向いてなかった。どれだけ血反吐を吐いて頑張っても結果はそこそこ止まり。団の気風に馴染むことも出来ずに孤立して、最期は捨て駒にされて……そこをナギサに助けられたんだ」

 

「結局俺には向いてなかったんだろうな、英雄になんてなれる器じゃなかった。なのに頑張れば何とかなるなんて勘違いして……!ごめんな、ナギサ。君はこんな俺をずっと信じていてくれたっていうのに俺は、アシュレイ・ホライゾンはそんな情けない男だったんだ」

 

「そんな事ない!」

 

彼がそんな風に英雄になれなかった自分は、何の価値もない塵屑かのように自虐するのが耐えられなくて、私は気づけばそんな風に叫んでアッシュを抱きしめていた。

 

「だってアッシュは、アッシュはあの日私を助けてくれたじゃない!アッシュがあの日助けてくれてなかったら私は死んでた、今私の命があるのはアッシュのおかげなんだよ。傭兵としてそこそこ止まりだった?だから何よ!それの何が悪いの!私はむしろ安心したわよ!アッシュが昔の、優しいあの頃のままでいてくれたってわかったから」

 

呆然とするアッシュに私は想いをぶつけていく

 

「だから、そんな自分に価値がないみたいな風に言わないでよ……私が誰よりも好きなのは英雄なんかじゃない。今此処にいる貴方なんだから……」

 

私が、ミステルやアヤが好きになったのはそんな強くて無敵の英雄なんかじゃない。お調子者で、誰かと仲良くなるのが上手で、人の欠点よりも美点のほうに目がいく、そんなとても優しい男の子なのだと。

 

「ナギサ……ありがとう、本当にありがとう……君とまたこうして会えて俺は本当に……」

 

良かったとずっと抱え込んでいたものを吐き出すかのように泣き出した彼を、私はもう絶対に二度と離さないのだと優しく抱きしめ続けるのだった……

生きていてくれてありがとう、貴方が生きていてくれたことこうして巡り会えたこと、それだけで私は救われたのだと精一杯の想いを伝えるように。

 




トリニティ本編ではアッシュがイケメンぶりを発揮しましたが
この世界のアッシュはボロボロ状態のところをナギサちゃんに救われた形になるのでナギサちゃんマジ聖母な事となりました。
泣いているナギサちゃんを優しく抱きしめるアッシュがいるんだから
ボロボロになったアッシュを聖母の如く包み込むナギサちゃんがいたって良いじゃない

ちなみに当然ながらクールに立ち去ったと見せかけたアリスお姉ちゃんはクールに扉の前で一部始終をばっちり聞いております。

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